上 下
46 / 61
近衛騎士、勇者になる

罪深き行為

しおりを挟む
上着の前を開き、ブルーゼのクノップフを外していく。

国王陛下の堅い礼服の中に、このように愛らしく、か弱く美しい身体が隠されていることを知っているのは、この私だけだ。
中身を想像する不埒者は存在したとしても。

否、一番の不埒者は実際にこのような真似をしている己だろう。と自嘲する。


この肌を。
誰にも見せたくなかった。

表向きは陛下の御為などと言いながら。
他人に陛下の肌を見られることを厭い、世話係を追い払ったのだ。


心の中で、浅ましい劣情を抱いていたことを認めず。


*****


透明なほど白く、なめらかな肌。
胸のふたつの突起は薄桃色をしていて。

下腹部の、ほっそりとした桃色のを何度味わったことか。


この筋肉の少ないやわらかな肌に歯を立て、痕を。
私だけのものだという、をつけてしまいたくなる。

触れるだけでなく。
抱きたい、肌を味わいたい。

奥の奥まで貫き、犯し尽くしたいと。
眩暈がするほどに欲情している。

この身体を前に、今までよく我慢していたと思う。
忠義という言葉で、己を誤魔化していたのだ。


ああ。
いっそ、夢も希望も打ち砕かれるほどに拒絶されれば。嫌悪されていれば。

この腕に抱きたいという、身の程知らずな願いを持たなかったのだろうか?


「……10日以上もお一人でおとこにつかれて。大丈夫でしたか? ご自分でなさったのですか?」
私の問いに、陛下は不思議そうに首を傾げられた。

まさか、気付いておられなかったのだろうか?
ヴァルターの報告では、少々お元気がない様子だと聞いたが。

陛下のに触れ。
「そのご様子では、まだお気づきになってはおられなかったのですか? 今まで私が陛下に対して行ってきたに……」


私は、自分が今まで犯した罪を告白した。
クリスティアン陛下が12歳で精通された時、それを隠したこと。

以来、毎日寝室へ通い、子種を隠匿していたことを。


陛下は私のした悍ましい行為を聞いても、表情を変えたりはせず。
私をじっと見ておられる。

そんな、私の言葉に耳を傾けられて。

何故、嫌悪の目を向けないのですか?
私がこうして、陛下のやわらかな頬を撫でても。


まるで。
赦されているのだと、勘違いしてしまいそうになる。


*****


に気付かれて、戻った時には貴方から軽蔑されていることも覚悟していたのですが。……陛下は、私の身を純粋に心配してくださった。皆、私の顔にしか興味がないというのに。陛下は顔に傷を負った私に微笑んでくださった」
己の顔の傷痕をなぞってみせる。

「勇者になれたのはいいのですが。救世の勇者になると、もう近衛騎士には戻れないのかと思い、私が望むのは勇者の座など捨て、陛下の近衛騎士に戻ることにしよう、と考えていました。……しかし、私は浅ましくも欲を抱いてしまった。触れるだけではなく、貴方をこの腕に抱きたい、奥まで貫き、欲望を注ぎ込みたいと」


ずっと見守ってきた、穢れない心と身体。
それを、この手で滅茶苦茶にしたいという、浅ましい欲望。

白くなめらかな肌を撫で、片足を抱え上げ。

そして。
毎日私が犯していた”罪”を、教えて差し上げた。


「うう~!?」

陛下のは、舌触りも滑らかだ。
子種を溜めるための袋は、いつになく張っているような感じがする。

全体を口内に収め。
舌で裏筋を探りながら、吸い上げる。

「う、ぐぅ……っ、」
やわらかな内腿に顔を挟まれるのが心地好い。


何故、ご自由な足で、私を蹴らないのですか?
蹴飛ばして、抗って。

その指に嵌めておられる魔法の指輪を使って、私を退けないのは何故なのか。

私を傷つけたくないから、もしくは少しは情があるからなのかと。
つい、期待してしまう。

我ながら勝手な男である。


陛下は幼少から剣を握らず、他人を傷つけることなく。姫君の如く優しくお育ちになられた。
故に、攻撃するより受け入れてしまわれるだけなのではないか。

私の脅しに、結婚を承諾したのも。

ご自分の保身より、あの場に居たご家族を、臣下を。
死なせたくなかったからという理由だけであっただろう。


そんなことは、重々理解しているはずだというのに。


*****


内股を震わせ。
陛下が私の口内に遂情された。

口の中に広がる子種を甘く感じるのは、私の魔物の血のせいだろうか。

魔物はヒトの体液……特に精液を好み、糧とするらしい。
魔力も豊富で穢れない陛下の精は、ことさら極上の味に思えるのだろう。


「美味でした」

普段より濃く感じるのは。
私の居ない間、ご自分で処理などをされなかったからなのかもしれない。

「一度だけ、お床に出されたとの報告はありましたが……」

何故それを知っているのか、という視線を向けられ。
苦笑する。

「使用人からも聞いております。ヴァルターに見張りを命じていたので、大事ないとは思いましたが。私の居ない間、誰も貴方には触れなかったようですね?」


さすがに怯えられてしまったのか。
陛下から、不安そうな視線を向けられた。

「……陛下、そのような表情をなさらないでください。私は決して乱暴な真似は致しません」
そう告げたが、責めるような視線を向けられる。


乱暴をしないというなら、何故こうして拘束するのかと問われているようだ。

それは。
もちろん、自決されないようにだが。


「魔法を使えば確かに傷は治るかもしれません。しかし、陛下の身に傷がつくのが耐えられません。ですから、こうして……」

腕の拘束具も、傷にならないようなめした革で。
内側も布を張ってある。


否、それは言い訳だ。

自決されないようにしておいて、犯して。
まずは身体だけでも自分のものにしようと思ったのだ。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺

ウミガメ
BL
魔女の呪いで余命が"1年"になってしまった俺。 その代わりに『触れた男を例外なく全員"好き"にさせてしまう』チート能力を得た。 呪いを解くためには男からの"真実の愛"を手に入れなければならない……!? 果たして失った生命を取り戻すことはできるのか……! 男たちとのラブでムフフな冒険が今始まる(?) ~~~~ 主人公総攻めのBLです。 一部に性的な表現を含むことがあります。要素を含む場合「★」をつけておりますが、苦手な方はご注意ください。 ※この小説は他サイトとの重複掲載をしております。ご了承ください。

処理中です...