限界オタクだった俺が異世界に転生して王様になったら、何故か聖剣を抜いて勇者にクラスチェンジした元近衛騎士に娶られました。

篠崎笙

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華麗なる少年王の半生

麗しき少年王、遠い目をする

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そういえば、ヴァルターのやつ。
アルベルトから、俺には絶対触れるなって厳重注意されてたんだっけ?


政務室で仕事してる時も、やたらきょろきょろしてたな。

あれは、暗殺とかを警戒してたんじゃなく。
俺が、誰かに性的なアプローチをされないか警戒してたのか!

いる訳ねえだろ! 一国の王様にそんな不埒な真似をするやつなんて!
……ここにいたけど。

アルベルトは非常に特異で特殊な例なので省く。


ヴァルターは、アルベルトがいない間、俺を狙う誰かが近づかないように見張りを頼まれていたんだ。
頼まれたというか、脅されたような感じだったな。相当ビビってたし。

アルベルトはいつも優しいのに、何であんなにビビってるのか不思議に思ってたが。
今ならわかる。


この男、滅茶苦茶ヤバい。


*****


攻撃か、移動の指輪を使うべきか、悩んだが。

それを使ってどこかへ逃げたとしても。
どこまでも追ってくる予感が……いや、確信する。

でもって。
逃げたお仕置きとして、もっと酷い目に遭わされるのでは……?


ボールギャグや拘束具だけでなく。
媚薬とか、エネマグラとかアナルプラグとか極太ディルドとか、お仕置きに、これでもかってくらいエッチな道具を使われるに決まってる。

乳首開発とか射精管理とか尿道責めとかされて。
鞭とか低温ローソクとか、三角木馬とか磔とか海老反り石抱きとか!

……あれ? 途中から拷問になってきたな。
それは方向性が違うか。

ハードSMと拷問の境界線がよくわからん。


とにかく。
世界を滅ぼすほどの脅威、暴竜を斃した勇者アルベルトは、もはや世界一の強者である。

この世にはもう、誰もこいつの暴走を止められる者はいない。
だからこそ、父上は。あんな、悲痛な顔をして。


「……陛下、そのような表情をなさらないでください。私は決して乱暴な真似は致しません」
愛おしそうに頬を撫でられる。

どんな顔だ。
ギャグボール噛まされて、俺の美貌が台無しだよ!?

口を閉じられないから、涎出っ放しだし! 鼻水まで出てきたらどうするんだ。
俺の美意識的に、美少年の鼻水はNGです!

というか。
もうすでに乱暴な真似をされてるわけだが。


そういう事は、この口枷と拘束具を外してから言え。


*****


乱暴しないと言うなら何故拘束した、という俺の抗議の視線に気付いたようだ。

「魔法を使えば、確かに傷は治るかもしれません。しかし、陛下の身に傷がつくのが耐えられません。ですから、こうして……」
アルベルトは痛々しそうな顔で言う。


は?
暴れたら怪我させちゃうぞ☆って意味か?

暗黒ダークネス微笑スマイリング†を浮かべて俺を脅す気か!?
腹黒な上に中二病かよ!


口枷をかまされたままじゃ埒があかない。
ビジュアル的にアレなのもあるが、これでは話も出来やしない。

抵抗しないから、これを外せ、と。
王族がやるにはかなりお行儀が悪いが、足で示す。


「……絶対に、おかしな真似はなさらないと、約束していただけますね?」
真顔で念を押された。

おかしな真似ってなんだ?
全裸で自分の尻を両手でバンバン叩きながら白目をむいて、びっくりするほどユートピア! と叫ぶとか?

しねえよ。
今まで美少年らしく振舞ってきた努力が木っ端微塵じゃんか。


こくりと頷いてみせると。
しぶしぶだが、ギャグボールを外されて。

腕は拘束を解いたものの、アルベルトの手でベッドに押し付けられてしまう。
片手で易々と抑え込まれてしまう、悲劇の美少年王……。


垂れていた涎は、ハンカチでちゃんと拭ってくれたのでよしとしよう。
しかし。

「……拘束しないと、興奮しないのか?」
自分の特殊性癖を棚に上げて、軽蔑の眼差しで見てやる。

だって俺のリョナ対象は二次元の非実在少女だから実害無いもん。
人畜無害。ただの脳内鬼畜だもん。

周囲からは汚物みたいに見られてたけどネ!


「とんでもない! そんな趣味はありません!」
アルベルトは慌てて否定してみせたが。

さっきの脅し方、かなり堂にってたし。
絶対ドSだと思う。

こんなドSの元へリーゼロッテをお嫁にやらないで良かったと心から思う。俺がお嫁に行くんだけど。
肉体改造系のプレイだけはご勘弁。ピアスの穴を開けるのでさえ嫌だもん。


*****


「私はお前の希望通り、皆の前で求婚を受けると宣言したではないか。抵抗しない相手を拘束するからには、何か理由があるのだろう?」
刺激しないよう、言葉を選んで話す。

もはや俺にとっては猛獣みたいなものだ。突然何してくるかわかんないし。

「それは……、元臣下に凌辱される屈辱で、陛下が自決されるかと思い……」
悄然と、長い睫毛を伏せて。


アルベルトは俺が臣下に辱めを受けたショックのあまり、世を儚んで舌を噛んで自殺を図ったりしないように、ギャグボールをかませて。
刃物か何かで自刃しないように、手を拘束したのだと言った。

まさかあれ、SM用じゃなくて、自殺防止用具だったのか?


現代では常識だが。
別に舌を噛んだくらいじゃ死なないぞ? 死ぬとすれば、噛んだ舌で窒息死だ。

いや、待て。
王様にギャグボールかまして拘束する方が、よほど屈辱的じゃね?

別に凌辱物は嫌いじゃないが。自分がされるのは嫌だな……。

っていうか、リアルで凌辱って台詞、初めて聞いたよ。
しかも、他でもない、自分に対して。


思わず遠い目をする。
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