4 / 61
華麗なる少年王の半生
祝福された王子の誕生、あるいは転生
しおりを挟む
気を失っていたのだろうか。
気付けば、周りは真っ暗で。
生ぬるく、狭い場所に閉じ込められたような感じがした。
何故かそこは心地好いような感じがして、不快感は無かったものの。
息苦しさを覚えた。
必死にもがいてそこから抜け出した。
しばらくして、肺に空気が入ってくる感覚。
直後、俺は声を上げていた。
まるで、赤ちゃんのような声だと思った。
目は開いているのに、ぼんやりとしか見えない。
おかしいな。視力だけは良い方なのに。同人誌をじっくり読むためにな!
女性が、何か言っているのが聞こえるが。
日本語ではなかった。聞いたことがない言語だ。
ここはどこ? 俺は誰?
来栖翔太だった俺は、本日、トラックに撥ねられて死にました。
グッバイ俺。さらば、お宝本の数々よ。
ハロー、新しい人生。
新たなる俺。
って感じ?
*****
そういえば。次の人生は美しい王子になる、とか言っていたけど。
世界に王国……王制の国っていくつあったっけ? ちょっと思い浮かばない。
地理と社会は苦手だ。
口調はともかく、神様が言ったんだし、話の内容は事実なんだろう。
ということは。
皇太子とかじゃなく、王子って呼ばれる立場になるんだよな?
イギリスではないだろう。アラブって感じもしないし。
落ちる時に見た、地上の風景。
あれは間違いなく、東京じゃなかった。
ビルとか無かったし。
地形も、何というか、言葉には出来ない違和感があって、おかしかった。
もしかして。
俺ってば、異世界に転生しちゃったりなんかしちゃってたり? 異世界で生前の知識を生かしてチート能力も駆使してウハウハ☆ハーレム人生送っちゃったり?
でも、赤ん坊からスタートなのかよ! めんどくせえな!
そりゃないよ。
何なのその、いきなりハードモードは!?
かったるいイベントはスキップさせろよ!
人生はゲームじゃない、ってか?
知ったことか!
スキッププリーズ!
*****
俺が転生した先は、完全に異世界だった。
剣と魔法の世界。
ドラゴンなどのモンスターや妖精とかも普通に存在する、もう完璧にファンタジーな世界である。
異世界といっても、食事とか生活様式は元の世界とそう変わりはないようだったのが救いか。
テレビや電話など、文明の利器はなくて、中世みたいな暮らしではあったが。
何せ、見知らぬ世界だ。見るもの聞くもの全部が新鮮で、今のところ退屈することもないし。
世話は使用人がしてくれるので、特に不便は感じなかった。
唯一、不満と言えるのは。
この世界にはえっちな同人誌が存在しない、という悲しい現実だろう。
製紙工場とか印刷所の存在しないこの世界じゃ、紙はまだまだ貴重品だからね。あるのは歴史書とかの手書きの写本だもん。
もう脳内妄想で済ませるしかない。それかこの俺が産業革命を起こすしかない。やるか。レボリューション。
俺は、ディートヘルムという王国の第一王子、クリスティアン・フォン・ローエンシュタイン=ディートヘルム。
クリスティアン王子として生を受けた。
俺のニュー人生ゲームは赤ん坊から再スタートという、超ハードモードだったが。
何とか異世界の言葉を覚えた。
そして、天使のように可愛らしい上に賢い王子として皆から愛されて。
時期国王となるべく王族としての教育を受けながら、蝶よ花よと大切に育てられたのだった。
せっかくゲットした戦利品を一ページも読むことなく志半ばで死んだ俺だが。
手違いにしろなんにしろ、神様から与えられた新しい人生である。しかも、外見も環境も最高に恵まれた状態でのスタートだ。
こうなれば勝ち組人生は約束されたようなもの。
俺は、限界オタクである俺の本性を隠し。
完璧な王子を演じて生きていくことを決めたのだった。
ふたつ下の可愛い妹、リーゼロッテも生まれ。
美少女にお兄様、と呼ばれ慕われる幸せも知った。
今まで、女という女からは汚物を見るような目とか、蔑みの目でしか見られなかったからな。
はっはっは。
……泣いてないし。
覚悟の上で茨の道を選んだんだし。
*****
そして、俺は16歳。
この国では成人として扱われる年齢になった。
ここでの俺の父親、つまり国王であるベルトラート・フォン・ローエンシュタイン=ディートヘルムは、星見の異能を持つ予言者でもあった。
その予言の導きにより、このディートヘルム王国は飛躍的進歩を遂げ、豊かになり。
様々な災害からも逃れてきたという。
しかし、偉大なるベルトラート王は先日、病により倒れ。
46歳でこの世を去った。
享年29歳だった俺よりは長生きだが。あまりにも早過ぎる死であった。
そして、第一王子である俺が、この国の新しい王様になったのだ。
王子時代短すぎィー!
もう少し王子としてお気楽に過ごしたかった俺としては、ちょっとどころかだいぶ不満だった。
他にも不満はある。
王族といったら、ベッドでの作法とかのあれこれを、美人のお姉さんが指南してくれるものと思っていたのに。
予言により、クリスティアン王子は結婚まで清らかな身であらねばならない、と決められいるのだ。
背けば、この国に恐ろしい不幸が訪れるとか。
これはひどい。
詐欺にあった気分である。
せっかく王様になったのに。成人になっても筆おろし未経験どころか。国中のあらゆる美女を集めた後宮を作って、ウハウハ☆パラダイスも出来ないなんて。
あんまりだ。
ハーレムも作れないなんて、何のための王様だよ!
……施政するためですね、はい。サーセン。
その上。憂鬱なことがある。
先王は、とんでもない予言を遺していったのだ。
それは。
気付けば、周りは真っ暗で。
生ぬるく、狭い場所に閉じ込められたような感じがした。
何故かそこは心地好いような感じがして、不快感は無かったものの。
息苦しさを覚えた。
必死にもがいてそこから抜け出した。
しばらくして、肺に空気が入ってくる感覚。
直後、俺は声を上げていた。
まるで、赤ちゃんのような声だと思った。
目は開いているのに、ぼんやりとしか見えない。
おかしいな。視力だけは良い方なのに。同人誌をじっくり読むためにな!
女性が、何か言っているのが聞こえるが。
日本語ではなかった。聞いたことがない言語だ。
ここはどこ? 俺は誰?
来栖翔太だった俺は、本日、トラックに撥ねられて死にました。
グッバイ俺。さらば、お宝本の数々よ。
ハロー、新しい人生。
新たなる俺。
って感じ?
*****
そういえば。次の人生は美しい王子になる、とか言っていたけど。
世界に王国……王制の国っていくつあったっけ? ちょっと思い浮かばない。
地理と社会は苦手だ。
口調はともかく、神様が言ったんだし、話の内容は事実なんだろう。
ということは。
皇太子とかじゃなく、王子って呼ばれる立場になるんだよな?
イギリスではないだろう。アラブって感じもしないし。
落ちる時に見た、地上の風景。
あれは間違いなく、東京じゃなかった。
ビルとか無かったし。
地形も、何というか、言葉には出来ない違和感があって、おかしかった。
もしかして。
俺ってば、異世界に転生しちゃったりなんかしちゃってたり? 異世界で生前の知識を生かしてチート能力も駆使してウハウハ☆ハーレム人生送っちゃったり?
でも、赤ん坊からスタートなのかよ! めんどくせえな!
そりゃないよ。
何なのその、いきなりハードモードは!?
かったるいイベントはスキップさせろよ!
人生はゲームじゃない、ってか?
知ったことか!
スキッププリーズ!
*****
俺が転生した先は、完全に異世界だった。
剣と魔法の世界。
ドラゴンなどのモンスターや妖精とかも普通に存在する、もう完璧にファンタジーな世界である。
異世界といっても、食事とか生活様式は元の世界とそう変わりはないようだったのが救いか。
テレビや電話など、文明の利器はなくて、中世みたいな暮らしではあったが。
何せ、見知らぬ世界だ。見るもの聞くもの全部が新鮮で、今のところ退屈することもないし。
世話は使用人がしてくれるので、特に不便は感じなかった。
唯一、不満と言えるのは。
この世界にはえっちな同人誌が存在しない、という悲しい現実だろう。
製紙工場とか印刷所の存在しないこの世界じゃ、紙はまだまだ貴重品だからね。あるのは歴史書とかの手書きの写本だもん。
もう脳内妄想で済ませるしかない。それかこの俺が産業革命を起こすしかない。やるか。レボリューション。
俺は、ディートヘルムという王国の第一王子、クリスティアン・フォン・ローエンシュタイン=ディートヘルム。
クリスティアン王子として生を受けた。
俺のニュー人生ゲームは赤ん坊から再スタートという、超ハードモードだったが。
何とか異世界の言葉を覚えた。
そして、天使のように可愛らしい上に賢い王子として皆から愛されて。
時期国王となるべく王族としての教育を受けながら、蝶よ花よと大切に育てられたのだった。
せっかくゲットした戦利品を一ページも読むことなく志半ばで死んだ俺だが。
手違いにしろなんにしろ、神様から与えられた新しい人生である。しかも、外見も環境も最高に恵まれた状態でのスタートだ。
こうなれば勝ち組人生は約束されたようなもの。
俺は、限界オタクである俺の本性を隠し。
完璧な王子を演じて生きていくことを決めたのだった。
ふたつ下の可愛い妹、リーゼロッテも生まれ。
美少女にお兄様、と呼ばれ慕われる幸せも知った。
今まで、女という女からは汚物を見るような目とか、蔑みの目でしか見られなかったからな。
はっはっは。
……泣いてないし。
覚悟の上で茨の道を選んだんだし。
*****
そして、俺は16歳。
この国では成人として扱われる年齢になった。
ここでの俺の父親、つまり国王であるベルトラート・フォン・ローエンシュタイン=ディートヘルムは、星見の異能を持つ予言者でもあった。
その予言の導きにより、このディートヘルム王国は飛躍的進歩を遂げ、豊かになり。
様々な災害からも逃れてきたという。
しかし、偉大なるベルトラート王は先日、病により倒れ。
46歳でこの世を去った。
享年29歳だった俺よりは長生きだが。あまりにも早過ぎる死であった。
そして、第一王子である俺が、この国の新しい王様になったのだ。
王子時代短すぎィー!
もう少し王子としてお気楽に過ごしたかった俺としては、ちょっとどころかだいぶ不満だった。
他にも不満はある。
王族といったら、ベッドでの作法とかのあれこれを、美人のお姉さんが指南してくれるものと思っていたのに。
予言により、クリスティアン王子は結婚まで清らかな身であらねばならない、と決められいるのだ。
背けば、この国に恐ろしい不幸が訪れるとか。
これはひどい。
詐欺にあった気分である。
せっかく王様になったのに。成人になっても筆おろし未経験どころか。国中のあらゆる美女を集めた後宮を作って、ウハウハ☆パラダイスも出来ないなんて。
あんまりだ。
ハーレムも作れないなんて、何のための王様だよ!
……施政するためですね、はい。サーセン。
その上。憂鬱なことがある。
先王は、とんでもない予言を遺していったのだ。
それは。
18
お気に入りに追加
685
あなたにおすすめの小説
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
病んでる愛はゲームの世界で充分です!
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。
幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。
席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。
田山の明日はどっちだ!!
ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。
BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。
11/21
本編一旦完結になります。小話ができ次第追加していきます。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します
バナナ男さん
BL
享年59歳、ハッピーエンドで人生の幕を閉じた大樹は、生前の善行から神様の幹部候補に選ばれたがそれを断りあの世に行く事を望んだ。
しかし自分の人生を変えてくれた「アルバード英雄記」がこれから起こる未来を綴った予言書であった事を知り、その本の主人公である呪われた英雄<レオンハルト>を助けたいと望むも、運命を変えることはできないときっぱり告げられてしまう。
しかしそれでも自分なりのハッピーエンドを目指すと誓い転生───しかし平凡の代名詞である大樹が転生したのは平凡な平民ではなく……?
少年マンガとBLの半々の作品が読みたくてコツコツ書いていたら物凄い量になってしまったため投稿してみることにしました。
(後に)美形の英雄 ✕ (中身おじいちゃん)平凡、攻ヤンデレ注意です。
文章を書くことに関して素人ですので、変な言い回しや文章はソッと目を滑らして頂けると幸いです。
また歴史的な知識や出てくる施設などの設定も作者の無知ゆえの全てファンタジーのものだと思って下さい。
転生者は隠しボス
アロカルネ
BL
魔法と科学が同時に発展した世界があった。
発展し続ける対極のものに、二つの勢力が生まれたのは必定だったのかもしれない。
やがて、発展した魔法こそが覇権を握るべきと謳う者たちの中から魔王が産まれ
科学こそが覇権を握るべきだという人間たちの間で勇者が産まれ
二つの強大な存在は覇権を握り合うために争いを繰り広げていく。
そして、それはこんな世界とはある意味で全く無関係に
のほほんと生きてきた引き籠もり全開の隠しボスであり、メタい思考な無口な少年の話
注意NLもあるよ。基本はBLだけど
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる