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三章 一陽来復

洞房花燭

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花嫁は晴れやかな笑顔で、参道に並ぶ兵達に手を振っている。


花馬車は、上部に何も妨げるものなく。
二人の姿を晒しているが。

花嫁の懐には懐剣を忍ばせてあり、警備も万全である。


私はともかく。
陛下を狙うものはいないだろう。


*****


城門を出て、都の大通りを進む。
沿道には大勢の民が押し寄せ、祝いの花を投げている。


「都だけで、こんなに人がいるのか?」
「いえ、国中から人が集まって来ているのです。宴では、諸侯がご挨拶に参じるかと」

宴の招待客は、厳選したが相当な人数になり。
祝華殿だけでは足りないということで祝泰殿も使用することになった。

民にも振る舞い酒などがあるが、それは城外に用意させてある。

外国の王も、千年ぶりの行事という物珍しさもあってか、参加を熱望されたので、急遽招待することになったのだ。


皇城の外周を周り。行列は皇宮へ戻った。


皇宮内の王廟に参り、二人だけで婚姻の誓いを交わし。
麗しき花嫁の手を取り、宴の席へと進んだ。


*****


宴は、祝華殿で行われる。
司会役の趙羽が名を呼び、呼ばれた者が新郎新婦と挨拶を交わす流れである。

まずは三公の御史大夫、太尉。

医局代表として、呪師。

50州の王に、刑部尚書や兵部尚書など、省を司る官僚。
趙羽も尚書令として、涙ながらに寿ことほぎの言葉を贈ってくれた。


最後を締めるのは、はるばる外国より祝いに駆けつけてくださった羅国王、露州皇帝、墨西州王である。
通訳と補佐が脇を固めている。

他国の王族がこのような祝いの席に訪れたのは、歴史上初めてのことであった。


आपकीこの度はशादी कीご結婚शुभकामनाएँおめでとうございます 」
羅国の王が、笑顔で挨拶をしてこられた。

通訳がそれを訳す前に。

उत्सव केお祝いलिए ありがとうधन्यवादございますयह एक दावत宴を प्रदान用意 करता हैしてますのでखर्च कृपयाどうぞ आप धीरेごゆっくり धीरे कोお過ごし खुशください
陛下は流暢な羅国語で挨拶を返した。

羅国王はそれに大いに驚かれ、喜ばれた。
この先もどうぞよろしく、これほど言葉が通じるのであれば、商業取引などもお願いしたい、と握手を交わし。
陛下も笑顔で応じられた。

露州皇帝、墨西州王とも同様にご挨拶をされて。
やはり陛下の流暢な挨拶に驚かれていた。

私も挨拶だけは学んでいたので、拙いながらも挨拶を述べたら、それも喜ばれた。


*****


乾杯の挨拶をし。宴が始まった。
太府寺の調理監らが腕を振るった料理が、所狭しと並んでいる。

交杯酒をし、割れんばかりの拍手が贈られた。


「麗しの陛下と美貌の丞相に乾杯!」
早くも酔っている者がいる。


宴の席は夜通し開かれているが。新郎新婦はここで退場である。

次は、入洞房の儀式である。
陛下の私室を放送することは躊躇われたので、急遽皇宮の庭内に洞窟を模した部屋を作り、そこで行うことにした。

急造の洞窟ではあるが。
椅子も机もあり、身体を横たえられる長椅子も設置してある。さすがに寝台は無い。

初々しい花嫁と二人、房に入る。


「……皆、貴方に見惚れていましたね。外国からの賓客も虜にするとは、罪なお方だ」

「耀、その格好、すごく似合ってて素敵だよ。惚れ直しちゃった」
「小亮の美しさには誰も敵いはしません」

可愛らしい花嫁は、頬を染めて見上げてくる。
愛らしい唇を奪ってしまいたいが。我慢せねば。


「ちょっと、入りにくい雰囲気作らないでくれないかな!?」
摄像机ビデオカメラを手に、崔公が飛び込んできた。

「徹底的に邪魔してやろう」
武公は指を鳴らしている。

「僕、もういい加減眠いんだけど」
普段はもう就寝時間らしい李公など、半分寝ている。

早く終わらせて、二人きりの時間を過ごしたいものであるが。


「へいへーい、お二人さん、こっち向いて笑ってー?」

崔公の持つ摄像机に向け、二人寄り添い、笑顔を浮かべた。
国民放送であるので、邪険にはできない。
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