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二章 図南鵬翼

自ら反りみて縮くんば千万人と雖も吾往かん

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それで、日本なら各省に大臣を据えて、省の上が内閣、内閣府だろ。
こっちでの名称はどうしよう。アンケートでいいか。


だいたい、こんなもんかな?
わかりにくいところがあれば、内容を入れ替えたり名称を変えてもいい。

何とか会議とか、何とか戦略本部とか、公正取引委員会とか国家公安委員会あたりは需要によって決めてもらおう。
部署によっては、降格に感じるかもしれないが、単なる移動だと思って欲しい。


あ、そういや三権分立してないんだっけ? 裁判所は司法、省庁は行政、国会は立法。
頭いてえ!

裁判所は今まで通り、御史大夫……。いや、大理寺が裁判所に移動、でいいか。


国会といえば、参議院とか衆議院とか、議員って必要ないと思うんだよな。汚職の元だし。
ぶっちゃけ無駄だと思う。

外国では衆議院とかなかったり、あってもボランティア持ち回りで給料は出ないんだよな。
日本くらいだぞ。あんな奴等にムダ金払ってるの。


三権分立はなかったことにしとこう。
君主制だもん。

俺が法律だ!


*****


結局、内閣は国務院という名称に決まって。

外交省、国防省、教育科学技術省、民政省、司法省、国家安全公安省、財政省、人力資源社会保障省、国土資源省、環境保護省、交通運輸省、水利省、農業省、商務観光省が置かれることになった。
独立して、裁判局と医局。

これからは、以上の体制で政務を行う。捺印。


「うう、つっかれたぁ~」
肩凝るわ。

『お疲れ様です……』
耀が、肩を揉んでくれた。

耀の手、大きくてあったかくて気持ちいい。


『お疲れなら、治しますよ!』
信季が飛んできた。


医局は今まで通り、変更なしなので。
呪師の信季ものんびりしている。

何故か耀ものんびりしている。
また尚書令に丸投げしているんだろうか?

変更点山盛りの丞相と御史大夫、受け持つ省が増える太尉は大忙しの筈なんだけど。
尚書令、大丈夫? 過労死したりしない?


上がってくる声によれば。
新しい行政機関は、おおむね好意的に受け入れられたようだ。

それに各々、必要な部署をプラスして。
役立てていって欲しい。


もちろん、新部署設立には皇帝の許可が必要になるけど。


*****


さて。
問題の、労働基準法だが。

行政機関が只今大混乱なので、しばし待たれよ! とメッセージを放送することで、何とかしのいでいる。


暗部だった国の行政にメスが入った! と。国民は新しい行政に期待しているようだ。
期待を裏切りたくないものである。

さすがに奴隷はいないようだが。それに近い労働条件で働かされている人々は、本当に期待を寄せているのだ。


デモとかストライキとかないのかと聞いてみたが。
雇い主に叛意を見せた時点でクビ。官吏の場合は、処刑も有り得るとか。

恐怖政治じゃないですか。
君主制こわっ。


まあでも、日本でも許可なしのデモは道路交通法や公安条例に引っ掛かる場合があるしな。
武器に値するものを持ってれば凶器準備集合罪か凶器準備結集罪になるし。

あんまりガチガチの法律は作りたくないけど。
治安が悪いと、取締りがきつくなるのは仕方ないのかな。

幸い、こっちは皇帝への信仰心が強いから、君主制に対して暴動は起こりにくいようだ。
でも、こないだのカルト教団の例があるから、あんまり油断できないか。

宗教は洗脳状態にあると、思考力が完全停止するからな。


*****


ここ、劫の国が戦争もなく、長く治められているのは。
天子の不思議な力があるからかも。

結婚式に来てくれた外国の王たちも、好感触だった。

自国の言葉を覚えてくれてると、好感度があがるもんだ。
旅行に来た外国人だって、拙くとも自国語で挨拶されれば、ちゃんと勉強して来てるのかと嬉しくなるし。
逆に、何年も住んでいるのに覚える気ゼロな外国人だと、そんなにこっちの言葉覚える気がないんなら自分の国に帰れよって思う。

我ながら、心が狭いが。
島国根性なんてそんなもんである。


今のところ、言葉がわかるのと懐剣くらいかな? 天子として、不思議な力を感じるのは。
それでも、大したものだと思うが。

結局、死の運命を変えたんだもんな。
俺のも。朱亮のも。
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