42 / 84
二章 図南鵬翼
乾を旋らし坤を転ず
しおりを挟む
九寺は御史大夫の管轄で。
祭事を請け負う伯太常寺、宮殿の内務を請け負う光禄寺、宮門の警衛を請け負う衛尉寺、車馬、行幸の行列を請け負う太僕寺、刑罰、投獄を請け負う大理寺、賓客の接待、儀式を請け負う理藩院尚書、皇族を請け負う宗正寺、貨幣、穀物を請け負う戸部尚書、飲食、器物、庭園を請け負う太府寺からなる。
尚書省の尚書令は、政治の実行を受け持つ。
吏部尚書は官吏の任免と進退。戸部尚書は民事、戸籍、租税。
刑部尚書は、警視庁みたいなものだ。
兵部尚書は軍事、武官の進退。礼部尚書は礼楽祭喪、外交、学校。工部尚書は 宮中の器物用度、水利を受け持つ。
門下省は、詔勅の吟味、出納。
中書省は詔勅の記録・伝達。
秘書省は図書寮の長官。
殿中省と内侍省は宮内庁のようなもの。
地方官は、大雑把に言えば県警とか県庁のようなもの。
こうして整理すると、御史大夫って仕事内容やたら豊富っていうか、大変だな。
部下は大勢いるみたいだけど。
でも完璧主義だから、人がやってるの見てるとイライラするそうだ。
ただでさえ忙しいのに、仕事を増やしてしまって申し訳ない。
でも、これもすべて国民のため。
よりよい暮らしのためだから!
*****
そんな感じで、現状調査をほぼ宗元に丸投げした俺だったが。
何かもう、この行政のシステム自体、根本的に改善しないとダメじゃないか? という気になってきた。
御史大夫の担当、多すぎじゃない? ムダな部署多すぎじゃない?
丞相の担当も、いまいちわかりにくいし。
色々、不透明な部署もある。
太尉はまあ、このままでも大丈夫そうだけど。かといって、大幅リストラも問題がある。
科挙の内容も、昔の詩とか覚えてどうすんだよ的な。
そんなん嗜みであって、必須科目じゃないだろ。常識で考えて。
その分、法律とか覚えとけよ。仕事に必要な知識だけでいいだろ。
試験内容も改訂しないとな。
あと、官僚の試験とかもなあなあになり過ぎてるせいで、お偉いさんの親戚と偽って入ってきちゃったのもいたことだし。
合格最低ラインの点数とか、きちんと決めないと。
能力制がいいけど。
その認定も監督によるから難しいか。一律のチェック項目を決めとかないとな。
だいたい、部署名がわかりにくいんだよ。
名称はそのまま、管轄を変えるか。それともわかりやすい名称で、一から作り直すか。
後々のことを考えれば、後者だよな。
来年から変えます、と予告しておけば、混乱も少ないだろう。
よし。あちこち直すとこは直して。
すっきりさっぱり、クリーンな政治を目指すぞ!
*****
『大変職務に熱心なのはよろしいのですが。……新婚なのですけどね?』
耀は苦笑していた。
「仕事しなくていいのか、丞相?」
『私は部下の尚書令が優秀ですので。今のところ任せております』
涼しい顔である。
尚書令か……宴で紹介されたっけ。
確か名前は趙羽、字は玄。
なかなかの美中年だったのに、へろへろだったな……。
かわいそうに。
じゃあまあ、せっかく任せてあるなら、甘えてしまおうかな。
などと誘惑に弱い俺だった。
所詮はニートである。
見上げると。
耀は、俺の手を取って。
『では今から、夫婦の時間でよろしいですね?』
唇に、キスを落とした。
宦官は、下がらせて。
風呂で身体を磨くのも、全て耀がやってしまうようになった。
宦官が連続で事件を起こしたせいかと思ったら、違った。
『私は自分で思ったよりも、嫉妬深い男だったようです』
使用人であろうが、俺の肌を他人に見られたり触れられるのに、我慢できなくなったらしい。
耀も相当な恋愛脳だ……。
でも、今まで耀は、そういう事を一切考えていなかったわけだし。自分は特別愛されているのかと思うと、嬉しくなってしまう。
俺も俺である。
そういえば、風呂付の宦官は、俺と朱亮の身体が入れ替わったことに気づかなかったのかな?
布越しで、素手では絶対に触れられないけど。
見ればわかりそうなもんだけどな。筋肉量も違ってたっていうし。
聞いてみたら、大丈夫だという。
『天子の身を直接見てはならないので。視線を外すのです。違いがわかるほど見る者はいないかと』
そうなんだ。
触って別人だと気付いた伯裕や宗元がすごいのか。
信季はオーラが別人だったから、疑ってたようだけど。
祭事を請け負う伯太常寺、宮殿の内務を請け負う光禄寺、宮門の警衛を請け負う衛尉寺、車馬、行幸の行列を請け負う太僕寺、刑罰、投獄を請け負う大理寺、賓客の接待、儀式を請け負う理藩院尚書、皇族を請け負う宗正寺、貨幣、穀物を請け負う戸部尚書、飲食、器物、庭園を請け負う太府寺からなる。
尚書省の尚書令は、政治の実行を受け持つ。
吏部尚書は官吏の任免と進退。戸部尚書は民事、戸籍、租税。
刑部尚書は、警視庁みたいなものだ。
兵部尚書は軍事、武官の進退。礼部尚書は礼楽祭喪、外交、学校。工部尚書は 宮中の器物用度、水利を受け持つ。
門下省は、詔勅の吟味、出納。
中書省は詔勅の記録・伝達。
秘書省は図書寮の長官。
殿中省と内侍省は宮内庁のようなもの。
地方官は、大雑把に言えば県警とか県庁のようなもの。
こうして整理すると、御史大夫って仕事内容やたら豊富っていうか、大変だな。
部下は大勢いるみたいだけど。
でも完璧主義だから、人がやってるの見てるとイライラするそうだ。
ただでさえ忙しいのに、仕事を増やしてしまって申し訳ない。
でも、これもすべて国民のため。
よりよい暮らしのためだから!
*****
そんな感じで、現状調査をほぼ宗元に丸投げした俺だったが。
何かもう、この行政のシステム自体、根本的に改善しないとダメじゃないか? という気になってきた。
御史大夫の担当、多すぎじゃない? ムダな部署多すぎじゃない?
丞相の担当も、いまいちわかりにくいし。
色々、不透明な部署もある。
太尉はまあ、このままでも大丈夫そうだけど。かといって、大幅リストラも問題がある。
科挙の内容も、昔の詩とか覚えてどうすんだよ的な。
そんなん嗜みであって、必須科目じゃないだろ。常識で考えて。
その分、法律とか覚えとけよ。仕事に必要な知識だけでいいだろ。
試験内容も改訂しないとな。
あと、官僚の試験とかもなあなあになり過ぎてるせいで、お偉いさんの親戚と偽って入ってきちゃったのもいたことだし。
合格最低ラインの点数とか、きちんと決めないと。
能力制がいいけど。
その認定も監督によるから難しいか。一律のチェック項目を決めとかないとな。
だいたい、部署名がわかりにくいんだよ。
名称はそのまま、管轄を変えるか。それともわかりやすい名称で、一から作り直すか。
後々のことを考えれば、後者だよな。
来年から変えます、と予告しておけば、混乱も少ないだろう。
よし。あちこち直すとこは直して。
すっきりさっぱり、クリーンな政治を目指すぞ!
*****
『大変職務に熱心なのはよろしいのですが。……新婚なのですけどね?』
耀は苦笑していた。
「仕事しなくていいのか、丞相?」
『私は部下の尚書令が優秀ですので。今のところ任せております』
涼しい顔である。
尚書令か……宴で紹介されたっけ。
確か名前は趙羽、字は玄。
なかなかの美中年だったのに、へろへろだったな……。
かわいそうに。
じゃあまあ、せっかく任せてあるなら、甘えてしまおうかな。
などと誘惑に弱い俺だった。
所詮はニートである。
見上げると。
耀は、俺の手を取って。
『では今から、夫婦の時間でよろしいですね?』
唇に、キスを落とした。
宦官は、下がらせて。
風呂で身体を磨くのも、全て耀がやってしまうようになった。
宦官が連続で事件を起こしたせいかと思ったら、違った。
『私は自分で思ったよりも、嫉妬深い男だったようです』
使用人であろうが、俺の肌を他人に見られたり触れられるのに、我慢できなくなったらしい。
耀も相当な恋愛脳だ……。
でも、今まで耀は、そういう事を一切考えていなかったわけだし。自分は特別愛されているのかと思うと、嬉しくなってしまう。
俺も俺である。
そういえば、風呂付の宦官は、俺と朱亮の身体が入れ替わったことに気づかなかったのかな?
布越しで、素手では絶対に触れられないけど。
見ればわかりそうなもんだけどな。筋肉量も違ってたっていうし。
聞いてみたら、大丈夫だという。
『天子の身を直接見てはならないので。視線を外すのです。違いがわかるほど見る者はいないかと』
そうなんだ。
触って別人だと気付いた伯裕や宗元がすごいのか。
信季はオーラが別人だったから、疑ってたようだけど。
10
お気に入りに追加
306
あなたにおすすめの小説
総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?
寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。
ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。
ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。
その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。
そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。
それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。
女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。
BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。
このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう!
男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!?
溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。
ブラッドフォード卿のお気に召すままに~~腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する~~
ゆうきぼし/優輝星
BL
異世界転移BL。浄化のため召喚された異世界人は二人だった。腹黒宰相と呼ばれるブラッドフォード卿は、モブ扱いのイブキを手元に置く。それは自分の手駒の一つとして利用するためだった。だが、イブキの可愛さと優しさに触れ溺愛していく。しかもイブキには何やら不思議なチカラがあるようで……。
*マークはR回。(後半になります)
・ご都合主義のなーろっぱです。
・攻めは頭の回転が速い魔力強の超人ですがちょっぴりダメンズなところあり。そんな彼の癒しとなるのが受けです。癖のありそうな脇役あり。どうぞよろしくお願いします。
腹黒宰相×獣医の卵(モフモフ癒やし手)
・イラストは青城硝子先生です。
平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
異世界転移して出会っためちゃくちゃ好きな男が全く手を出してこない
春野ひより
BL
前触れもなく異世界転移したトップアイドル、アオイ。
路頭に迷いかけたアオイを拾ったのは娼館のガメツイ女主人で、アオイは半ば強制的に男娼としてデビューすることに。しかし、絶対に抱かれたくないアオイは初めての客である美しい男に交渉する。
「――僕を見てほしいんです」
奇跡的に男に気に入られたアオイ。足繁く通う男。男はアオイに惜しみなく金を注ぎ、アオイは美しい男に恋をするが、男は「私は貴方のファンです」と言うばかりで頑としてアオイを抱かなくて――。
愛されるには理由が必要だと思っているし、理由が無くなれば捨てられて当然だと思っている受けが「それでも愛して欲しい」と手を伸ばせるようになるまでの話です。
金を使うことでしか愛を伝えられない不器用な人外×自分に付けられた値段でしか愛を実感できない不器用な青年
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる