33 / 84
二章 図南鵬翼
肝胆相照らす
しおりを挟む
『最後の、崔公は何と言ったのですか?』
耀は私室に着いてから、俺に聞いてきた。
何やらむすっとしてる。
「ああ、アディオスのこと?」
『ええ。外国の言語ですよね?』
耀はわからなかったから、拗ねてるのか。
「アディオスはじゃあまたね、くらいの軽い別れの言葉で、アミーゴは友達だけど」
イタリア語にもアディーオというけど。そっちは重い意味の別れの言葉になる。
同じような言葉でも、国によって意味が変わったりする。
『友達? 何故それで、愛してる、に?』
くっ、と眉間に皺が。
「伯裕はマイナー……ええと、あまり知られてない言葉を話すけど、俺には通じるから嬉しいんだって。ほら俺、天才だから物知りだし?」
『確かに。皇帝の儀式もほぼ記憶されてますし、驚嘆すべき記憶力です』
納得して頷いてるし。
『しかし、恋人が他の男と自分に通じない言語で話すのは、妬けます。狭量なものですから』
正直だな。
*****
『……身体、きつかった?』
甘く、耳元で囁かれる。
そうされると、ぞくぞくする。
ここって、性感帯なんだな。知らなかった。
「ん、でも、信季が治してくれたから、大丈夫」
『ここも?』
尻を撫でられて、頷いてみせると。
『では、もう一度。誰のものか、教えないといけませんね?』
そう囁かれて。
ベッドに、押し倒された。
「ん、」
先日の、奪うようなキスではなく、慈しむようなキスをされた。
耀は、一見おとなしい感じの、落ち着いた男に見えるけど。実は正反対の、激情型だよな。
ずっと、そんな自分を抑えていたが。朱亮皇帝という、唯一無二、揺るぎないはずの存在……心の支えを喪ったことによって、箍が外れてしまったのかもしれない。
朱亮は耀を支配し、意のままに動かすことで、耀の危うい心を守っていたのかも。
「耀、”亮”って呼び方、変えて欲しいんだけど……何か、愛称とかない?」
同じ、亮なんだけど。
朱亮を呼ぶのと同じだと、何というか。複雑な気持ちだ。
耀は別だってわかってるというけど。
心のうちは、見えないし。
『愛称……亮亮とか、小亮とか阿亮ですかね? しかし、失礼では?』
子供に呼ぶような愛称だが。
そもそも皇帝の諱を呼び捨てだって、失礼だし。
「いい、気にしない。呼びやすいやつで呼んでくれればいいよ」
*****
『では……、私の可愛い小亮。貴方を、愛しています』
甘く囁かれて。
ドキドキしてしまう。
手であたためた香油で俺の性器を擦りながら、後ろを慣らされて。先に達したら、俺が辛くなるから、と。イきたいのにイかせてもらえない、というじらしプレイをかまされ。
耀の指を三本受け入れて。
それがスムーズに動くようになって、やっと指を引き抜かれた。
俺の足を抱え上げ。
耀は告げた。
『小亮、……私を、受け入れてくれますね?』
「ああ、耀。……いいから、お前の全部、受け止めてやるから。……来い!」
たまらない、という感じで。
抱き締められて。
ずぷっ、と。耀が入ってきた。
『……あまりの包容力に、亮先生、と呼びたくなりました』
にっこり笑っている。
「俺はまだ、二十歳になったばっかだぞ。28歳のオッサンに先生呼ばれるトシじゃな……ああっ、」
突き上げられて。
『そうですね。可愛い小亮は、まだまだ初心者でした』
ぐぷっ、ぐぷっ、と音がするくらい、腰を穿たれてしまう。
「ひっ、や、あっ、強い、もっと、ゆっくり、」
『昨日、この蕾を私に散らされたばかりで。こうされて、可愛く鳴くのが精一杯ですしね?』
俺だけを見て。耀の菫色の瞳が興奮で、鮮やかになってる。
この色、好きだ。
耀がこんなに興奮した姿は、朱亮ですら見たことがないんだ。
自分から、抱きたいと欲しがって。
獣のように圧し掛かってくる、この姿を。
俺だけが、知っている。
「好き、……耀、こんな気持ち、生まれて初めてで。どうしたらいいかわかんないけど……好き」
しがみついて、想いを伝える。
『ああ、もう……、どうして貴方はこうまで私を狂わせるのですか、小亮』
キスされて。
口を塞がれながら、突き上げられた。
耀は私室に着いてから、俺に聞いてきた。
何やらむすっとしてる。
「ああ、アディオスのこと?」
『ええ。外国の言語ですよね?』
耀はわからなかったから、拗ねてるのか。
「アディオスはじゃあまたね、くらいの軽い別れの言葉で、アミーゴは友達だけど」
イタリア語にもアディーオというけど。そっちは重い意味の別れの言葉になる。
同じような言葉でも、国によって意味が変わったりする。
『友達? 何故それで、愛してる、に?』
くっ、と眉間に皺が。
「伯裕はマイナー……ええと、あまり知られてない言葉を話すけど、俺には通じるから嬉しいんだって。ほら俺、天才だから物知りだし?」
『確かに。皇帝の儀式もほぼ記憶されてますし、驚嘆すべき記憶力です』
納得して頷いてるし。
『しかし、恋人が他の男と自分に通じない言語で話すのは、妬けます。狭量なものですから』
正直だな。
*****
『……身体、きつかった?』
甘く、耳元で囁かれる。
そうされると、ぞくぞくする。
ここって、性感帯なんだな。知らなかった。
「ん、でも、信季が治してくれたから、大丈夫」
『ここも?』
尻を撫でられて、頷いてみせると。
『では、もう一度。誰のものか、教えないといけませんね?』
そう囁かれて。
ベッドに、押し倒された。
「ん、」
先日の、奪うようなキスではなく、慈しむようなキスをされた。
耀は、一見おとなしい感じの、落ち着いた男に見えるけど。実は正反対の、激情型だよな。
ずっと、そんな自分を抑えていたが。朱亮皇帝という、唯一無二、揺るぎないはずの存在……心の支えを喪ったことによって、箍が外れてしまったのかもしれない。
朱亮は耀を支配し、意のままに動かすことで、耀の危うい心を守っていたのかも。
「耀、”亮”って呼び方、変えて欲しいんだけど……何か、愛称とかない?」
同じ、亮なんだけど。
朱亮を呼ぶのと同じだと、何というか。複雑な気持ちだ。
耀は別だってわかってるというけど。
心のうちは、見えないし。
『愛称……亮亮とか、小亮とか阿亮ですかね? しかし、失礼では?』
子供に呼ぶような愛称だが。
そもそも皇帝の諱を呼び捨てだって、失礼だし。
「いい、気にしない。呼びやすいやつで呼んでくれればいいよ」
*****
『では……、私の可愛い小亮。貴方を、愛しています』
甘く囁かれて。
ドキドキしてしまう。
手であたためた香油で俺の性器を擦りながら、後ろを慣らされて。先に達したら、俺が辛くなるから、と。イきたいのにイかせてもらえない、というじらしプレイをかまされ。
耀の指を三本受け入れて。
それがスムーズに動くようになって、やっと指を引き抜かれた。
俺の足を抱え上げ。
耀は告げた。
『小亮、……私を、受け入れてくれますね?』
「ああ、耀。……いいから、お前の全部、受け止めてやるから。……来い!」
たまらない、という感じで。
抱き締められて。
ずぷっ、と。耀が入ってきた。
『……あまりの包容力に、亮先生、と呼びたくなりました』
にっこり笑っている。
「俺はまだ、二十歳になったばっかだぞ。28歳のオッサンに先生呼ばれるトシじゃな……ああっ、」
突き上げられて。
『そうですね。可愛い小亮は、まだまだ初心者でした』
ぐぷっ、ぐぷっ、と音がするくらい、腰を穿たれてしまう。
「ひっ、や、あっ、強い、もっと、ゆっくり、」
『昨日、この蕾を私に散らされたばかりで。こうされて、可愛く鳴くのが精一杯ですしね?』
俺だけを見て。耀の菫色の瞳が興奮で、鮮やかになってる。
この色、好きだ。
耀がこんなに興奮した姿は、朱亮ですら見たことがないんだ。
自分から、抱きたいと欲しがって。
獣のように圧し掛かってくる、この姿を。
俺だけが、知っている。
「好き、……耀、こんな気持ち、生まれて初めてで。どうしたらいいかわかんないけど……好き」
しがみついて、想いを伝える。
『ああ、もう……、どうして貴方はこうまで私を狂わせるのですか、小亮』
キスされて。
口を塞がれながら、突き上げられた。
0
お気に入りに追加
304
あなたにおすすめの小説
超絶美形だらけの異世界に普通な俺が送り込まれた訳だが。
篠崎笙
BL
斎藤一は平均的日本人顔、ごく普通の高校生だったが、神の戯れで超絶美形だらけの異世界に送られてしまった。その世界でイチは「カワイイ」存在として扱われてしまう。”夏の国”で保護され、国王から寵愛を受け、想いを通じ合ったが、春、冬、秋の国へと飛ばされ、それぞれの王から寵愛を受けることに……。
※子供は出来ますが、妊娠・出産シーンはありません。自然発生。
※複数の攻めと関係あります。(3Pとかはなく、個別イベント)
※「黒の王とスキーに行く」は最後まではしませんが、ザラーム×アブヤドな話になります。
異世界でチートをお願いしたら、代わりにショタ化しました!?
ミクリ21
BL
39歳の冴えないおっちゃんである相馬は、ある日上司に無理矢理苦手な酒を飲まされアル中で天に召されてしまった。
哀れに思った神様が、何か願いはあるかと聞くから「異世界でチートがほしい」と言った。
すると、神様は一つの条件付きで願いを叶えてくれた。
その条件とは………相馬のショタ化であった!
「陛下を誑かしたのはこの身体か!」って言われてエッチなポーズを沢山とらされました。もうお婿にいけないから責任を取って下さい!
うずみどり
BL
突発的に異世界転移をした男子高校生がバスローブ姿で縛られて近衛隊長にあちこち弄られていいようにされちゃう話です。
ほぼ全編エロで言葉責め。
無理矢理だけど痛くはないです。
召喚された美人サラリーマンは性欲悪魔兄弟達にイカされる
KUMA
BL
朱刃音碧(あかばねあおい)30歳。
ある有名な大人の玩具の開発部門で、働くサラリーマン。
ある日暇をモテ余す悪魔達に、逆召喚され混乱する余裕もなく悪魔達にセックスされる。
性欲悪魔(8人攻め)×人間
エロいリーマンに悪魔達は釘付け…『お前は俺達のもの。』
【R18 完結】淫魔王の性奴隷ーペットー
藤崎 和
BL
【BL】傲慢な淫魔王×孤独で不憫なリーマンの快楽堕ち性奴隷調教
➡︎執着愛、調教、ヤンデレ、複数プレイ、触手攻め、洗脳あり。
家族から勘当され孤独に生きるサラリーマンの秋山彰(あきやましょう)は、ある夜残業帰りにアルカシスと名乗る美丈夫の男に、彼の統べる淫魔界へ強制転移させられる。
目を覚ました彰は、既にアルカシスと主従契約を結んだと聞き困惑する。困惑する彼に突きつけられたのは『主従契約書』と書かれた一枚の書類。
そこには、彰の自筆で“秋山彰”と書かれていた。
「この契約書がある限り、君は私の性奴隷だ。今から7日間、みっちりと私の性奴隷になった事をその身体と心に刻み込んであげる」
「ふっ、ふざけるな、ああっ・・・っ!」
アルカシスにより、身体は快楽を刻み込まれ、7日後アルカシスの性奴隷となった彰は再度突きつけられた主従契約書を前に自らアルカシスの性奴隷になった事を宣誓するのだった。
アルファポリス様他、小説家になろう様、pixiv様にて連載中!
魔族に捕らえられた剣士、淫らに拘束され弄ばれる
たつしろ虎見
BL
魔族ブラッドに捕らえられた剣士エヴァンは、大罪人として拘束され様々な辱めを受ける。性器をリボンで戒められる、卑猥な動きや衣装を強制される……いくら辱められ、その身体を操られても、心を壊す事すら許されないまま魔法で快楽を押し付けられるエヴァン。更にブラッドにはある思惑があり……。
表紙:湯弐さん(https://www.pixiv.net/users/3989101)
転生したらBLゲーの負け犬ライバルでしたが現代社会に疲れ果てた陰キャオタクの俺はこの際男相手でもいいからとにかくチヤホヤされたいっ!
スイセイ
BL
夜勤バイト明けに倒れ込んだベッドの上で、スマホ片手に過労死した俺こと煤ヶ谷鍮太郎は、気がつけばきらびやかな七人の騎士サマたちが居並ぶ広間で立ちすくんでいた。
どうやらここは、死ぬ直前にコラボ報酬目当てでダウンロードしたBL恋愛ソーシャルゲーム『宝石の騎士と七つの耀燈(ランプ)』の世界のようだ。俺の立ち位置はどうやら主人公に対する悪役ライバル、しかも不人気ゆえ途中でフェードアウトするキャラらしい。
だが、俺は知ってしまった。最初のチュートリアルバトルにて、イケメンに守られチヤホヤされて、優しい言葉をかけてもらえる喜びを。
こんなやさしい世界を目の前にして、前世みたいに隅っこで丸まってるだけのダンゴムシとして生きてくなんてできっこない。過去の陰縁焼き捨てて、コンプラ無視のキラキラ王子を傍らに、同じく転生者の廃課金主人公とバチバチしつつ、俺は俺だけが全力でチヤホヤされる世界を目指す!
※頭の悪いギャグ・ソシャゲあるあると・メタネタ多めです。
※逆ハー要素もありますがカップリングは固定です。
※R18は最後にあります。
※愛され→嫌われ→愛されの要素がちょっとだけ入ります。
※表紙の背景は祭屋暦様よりお借りしております。
https://www.pixiv.net/artworks/54224680
童貞が尊ばれる獣人の異世界に召喚されて聖神扱いで神殿に祀られたけど、寝てる間にHなイタズラをされて困ってます。
篠崎笙
BL
四十歳童貞、売れない漫画家だった和久井智紀。流されていた猫を助け、川で転んで溺れ死んだ……はずが、聖神として異世界に召喚された。そこは獣の国で、獣王ヴァルラムのツガイと見込まれた智紀は、寝ている間に身体を慣らされてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる