禍祓師・天羽翼の事件簿 ~半妖のヤンデレ弟子は夜毎師匠に精を注ぐ~

篠崎笙

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secretcase:善哉の告解

Hoc est praeceptum meum(私の掟はこれである)

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「念のため、もう少し注いでおきましょうか」

などと言い訳をし。
先生の腰を引き寄せた。


「いや、……もう、充分、」
「半妖ですから。効果も薄いかもしれませんし。多めにしておかないと、心配です」
あくまでも、貴方のためだというていで。

「いいって、……ひっ……! あう、やあ、」
半ば強引に挿入すると。すんなり入った。

ほのかに朱に染まっているうなじに、唇を寄せて。
腰を叩き付ける。


二回目は、最初よりも悦さそうだった。


‡*‡*‡


諦めて、わたしの精を受け入れるものかと思っていた。
しかし。


先生は翌日からわたしを避けて、逃げ回った。

水城さんを盾にしたりして。
さすがに人前で捕まえてひん剥いて犯すわけにもいかない。


を奪ってしまったのだ。相当ショックだったのだろう。
先生は性的な知識もほとんどないような純粋培養だ。

それが、息子ともいえるくらいの年齢の男に犯されて。精液を腸内にぶちまけられたのである。
逃げるのも仕方ない。

少しだけ、様子をみようと思っていたが。

こんな時に限って、依頼が途絶えたらしく。
先生は、小学生くらいにまで若返ってしまっていたのだ。


わたしは心を鬼にすることに決めた。

悪魔と融合してしまったこの身体は、すでにもう、人間ではないが。
もはや先生の意思などは考えまい。
先生が嫌がろうが逃げようが、定期的に犯すしかない、と。

中身はともかく、外見は小学生だ。どう見ても犯罪者である。
子供を犯すのはさすがに罪悪感を覚えたが。仕方がない。


他に手段を選んでいる場合ではないだろうに。
先生が逃げるのが悪い。


どこもかしこも小さく。手加減をしてやらないと傷付けてしまう。
自分が愉しむなどもっての他。体力も子供並みになっているのだから。

呪いで怪我などはすぐに治るとはいっても、痛い思いをさせるのは嫌だ。

わたしに抱かれることを嫌になられては困る。


優しく、しかし容赦なく。
少しずつ、わたしに抱かれることに慣れさせていった。


‡*‡*‡


小学生のような外見になったこともあり、先生は名を変えるといった。

偽名でも、長年使い続けていれば、概念として本名と変わらなくなるそうで。
定期的に変える必要があるらしい。


新しい偽名は、わたしが考えることにした。

天使のように美しいのだから、天羽翼、はどうでしょう、と提案してみたが。
無感動に、いいよそれで、何でも、と言われたので決定した。


名前を変えるのと同時に、事務所の名も変えた。
仕事の目的も変わったからである。アヤカシごと、何でも収集だ。

事務所のあったビルを丸々一軒土地ごと買い取り、自宅として住む。

経理を任されたので。
いくつかの不動産を押さえ、運用し、貯蓄することにした。

いわくつきの土地は安い。
それを買い上げては祓い、住める場所にして人に貸す。

これから、長く生きるのだ。それには金が必要不可欠である。


「何で僕のことを様付けで呼ぶんだ?」
翼様、と呼ぶと。

大変嫌そうな顔をされた。

「三つ揃えの青年が小学生に本気で傅いてる光景とか、面白くないですか?」
どういう関係なのか、思い悩むに違いない。

「……依頼者をドン引きさせてどうする」
呆れられた。


耽美的な服を用意しても、特に文句も言わず着ているし。

抱いても、たまに文句は言うものの、抵抗しなくなって。
舞い込む依頼を、淡々とこなす。

そんな日々を過ごし、二十年ほど経過した。


‡*‡*‡


ある日。
知らない青年から、国際電話が掛かってきた。

「本郷やけど。覚えとる? うっかり生まれ変わってんけど、つい神槍召喚かましてもうて、教会首になってしもた」
明るい笑い声。胡散臭い関西弁。

まさか、死んだはずの弟子が、生まれ変わって現れるとは予想もしなかったが。
神槍召喚は、彼にしか教えていなかった。

それを知っているのは、本人だけだ。

「……またわたしの弟子になりたいなら、日本に来い、雇ってやる」


今の名は、オスカー・ラングだと名乗った。

オスカーは、神の槍、という意味である。もはや神の槍に呪われてるのではないだろうか。
どうせ、わたしはもう、あの術は使わない。神に呪われた弟子に相応しいだろう。
くれてやる。


わたしは先生……翼様と新しい術を生み出して、目下修行中である。
成功率は半々。精度を上げたいが、なかなか難しい。

弟子に格好悪いところを見せないよう、気をつけねば。

もっと集中力が上がればいいのだが。
どうも煩悩が邪魔をする。

弟子のビザは、何とかしてやろう。
こういう時のために、高官の仕事も受けてきたのだ。戸籍の問題もなんとかなる。


‡*‡*‡


「翼様、わたしの弟子が、ここの所員になりたいそうですが」
まずは、所長である翼様に報告だ。


「え、善哉、弟子なんかいたの?」
呪術のおさらいをしていた翼様は、驚いて振り向いた。

脳も若返ってしまうため、油断すると昔の記憶も消えてしまうそうで。
忘れないように書に記したり、反芻している。相変わらず、真面目である。

「ええ、なかなか見所のある神槍使いですよ」
「ふうん。いいんじゃない?」
翼様は、不思議そうな顔をして。


「そういえば、善哉は、使わなくなってたな。得意な術だったのに」
神槍召喚。

大抵の怪異であれば吸収できるし、消せる。
など、もう必要ではなくなったのだ。

それは、まだ気取られてはいない。


「まあ、エクソシストがあれ使ったら一発で破門だろうし、しょうがないか。そんなバカな真似、善哉はしないだろ?」

「そうですね。教会関係者の前では絶対使えません」
などと笑って言っていたが。


それは、オスカーの破門理由だった。
本人の名誉のため、黙っていてやろう。
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