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case2:人魚の棲む島
人魚の棲む島事件、解決
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ローションを使い、慣らされて。
「は、あ……っ、」
義哉によって、性器に作り変えられてしまった後孔は。指で擦られるだけでも、快感を覚えてしまう。
抱き締められ、キスをされるだけで。ふにゃふにゃと身体の力が抜けてしまう。
亜門に会って、思い出した。
……26年だ。それだけの長い間。よくもまあ、飽きずに抱けると思う。しかも、週三回のペースで。
ただの義務感で、勃つはずもないのに。それだけ長い間、一緒に居たのに。
僕は、義哉の想いに気付かなかった。
義哉は、魔道に身を堕としてまで、こうしたかったのだ。
呪いの遅延のために精を注ぐ、という理由を得て。ようやく想いを遂げたのだと。
愛しているとは言えない誓いとは、何なのだろうか?
義哉が身に取り込んだという妖魔との契約だろうか?
義哉は、いったい何と契約したのだろう。
話そうとしないので、無理に聞かないし、探ったりしないが。
知りたい。
しかし、知るのが怖い。
むしろ、知らないでいたほうがいいような予感がするのは、何故だろう。
‡*‡*‡
「あ、あぁ、……ひっ、」
胸の先を、くにくにと抉られて。
中の義哉をきゅっと締め付けてしまう。
「……次に、ああいうモノに当たったときは、消滅させないでくださいね? わたしが全て吸収して。こうして、貴方に。少しずつ、注ぎ込みますから」
身体が浮き上がるほど、激しく。
「ひゃぅ、」
ズン、と突き上げられる。
「あ……、」
どくどくと、大量の精を注がれているのがわかる。
零れないよう、奥へと塗りこむように、腰を動かされて。
思わず、義哉の背にしがみつく。
「わたしは、そのために。この身体になったのですから……」
普段は眼帯で隠されている、金色の瞳。
半分妖魔に蝕まれ。老いず、ヒトではなくなってしまった身体。
僕のために、人生を狂わせた男。狂気に近い執着。
ああ。
どうしてそれが。……嬉しいと思えるのだろう。
僕はもう、この手を離すことが出来ない。
僕は何と、罪深いのだろうか。
‡*‡*‡
隠岐国にも、八百比丘尼伝説があるという。
若狭国から渡ってきた八百比丘尼は、玉若酢命神社を訪れた際、杉を植え、再び訪れる事を約束した。
神社にある樹齢千数百年の杉を、八百杉と呼んでいる。
それと、もう一つ。
柿本人麻呂の子が隠岐に流され、亡くなった際に恋仲だった比都那姫が遺骨を都の母に届け、若狭国で尼になり供養したという。
この比都那姫が八百比尼(やお姫)、であるという言い伝えだ。
この話には人魚は出ないが。
若い姿のまま、何百年も生きたという伝説が残っているのは何故なのだろう。
時逆の呪いと、何か関係があるのだろうか。
……はたして、水蛭子神は、呪いについて話をしてくれるだろうか。
木片で集めた残留思念からは、意志のようなものを感じなかったが。夜叉丸のように、身に取り込んで辿るしかないかもしれない。
しかし、あまり取り込みたくないな。あれは。
そういえば。
人魚のミイラ、とされるものはどれも化け物のような顔だ。猿と魚を合成した剥製なのだから仕方が無いのだが。童話の人魚姫とは、イメージが全く違う。
あれでは半魚人である。夢も希望も無い。
”赤いろうそくと人魚”だと、少女の姿だが。
昔の伝承では、頭は人で、身体は魚だったのが、いつのまにか半人半魚になっていた。
人魚の肉が不老不死の薬になるという逸話は、どこから来たものだろうか?
珍しいものは長寿のもと、みたいな考えはあちこちで見られるな。
中国には食べると不老不死になる伝説の太歳、という妖怪もあった。
日本にも、食べれば力を得るというぬっぺふほふや肉人という伝説があった。
それは、始皇帝が探していたという不老長寿の薬のもとになる、”封”という肉塊が元らしい。
八百比尼は、永く生きるのに疲れ、自決したという。
昔話は、不老長寿をよいものとしないものが多いような気がする。かぐや姫でも、富士山に不死の薬を捨てていたし。
まあ、僕も実際に若返って、不老の身になったわけだが。いいものではないな。
人魚といえば。
ダゴンも、半人半魚の怪物と称されるのだった。
人魚伝説に惹かれ、寄ってきてしまったのだろうか?
ともあれ。
人魚についての謎はまだまだ尽きないが。
”人魚の棲む島事件”は、一応解決、となる。
了
「は、あ……っ、」
義哉によって、性器に作り変えられてしまった後孔は。指で擦られるだけでも、快感を覚えてしまう。
抱き締められ、キスをされるだけで。ふにゃふにゃと身体の力が抜けてしまう。
亜門に会って、思い出した。
……26年だ。それだけの長い間。よくもまあ、飽きずに抱けると思う。しかも、週三回のペースで。
ただの義務感で、勃つはずもないのに。それだけ長い間、一緒に居たのに。
僕は、義哉の想いに気付かなかった。
義哉は、魔道に身を堕としてまで、こうしたかったのだ。
呪いの遅延のために精を注ぐ、という理由を得て。ようやく想いを遂げたのだと。
愛しているとは言えない誓いとは、何なのだろうか?
義哉が身に取り込んだという妖魔との契約だろうか?
義哉は、いったい何と契約したのだろう。
話そうとしないので、無理に聞かないし、探ったりしないが。
知りたい。
しかし、知るのが怖い。
むしろ、知らないでいたほうがいいような予感がするのは、何故だろう。
‡*‡*‡
「あ、あぁ、……ひっ、」
胸の先を、くにくにと抉られて。
中の義哉をきゅっと締め付けてしまう。
「……次に、ああいうモノに当たったときは、消滅させないでくださいね? わたしが全て吸収して。こうして、貴方に。少しずつ、注ぎ込みますから」
身体が浮き上がるほど、激しく。
「ひゃぅ、」
ズン、と突き上げられる。
「あ……、」
どくどくと、大量の精を注がれているのがわかる。
零れないよう、奥へと塗りこむように、腰を動かされて。
思わず、義哉の背にしがみつく。
「わたしは、そのために。この身体になったのですから……」
普段は眼帯で隠されている、金色の瞳。
半分妖魔に蝕まれ。老いず、ヒトではなくなってしまった身体。
僕のために、人生を狂わせた男。狂気に近い執着。
ああ。
どうしてそれが。……嬉しいと思えるのだろう。
僕はもう、この手を離すことが出来ない。
僕は何と、罪深いのだろうか。
‡*‡*‡
隠岐国にも、八百比丘尼伝説があるという。
若狭国から渡ってきた八百比丘尼は、玉若酢命神社を訪れた際、杉を植え、再び訪れる事を約束した。
神社にある樹齢千数百年の杉を、八百杉と呼んでいる。
それと、もう一つ。
柿本人麻呂の子が隠岐に流され、亡くなった際に恋仲だった比都那姫が遺骨を都の母に届け、若狭国で尼になり供養したという。
この比都那姫が八百比尼(やお姫)、であるという言い伝えだ。
この話には人魚は出ないが。
若い姿のまま、何百年も生きたという伝説が残っているのは何故なのだろう。
時逆の呪いと、何か関係があるのだろうか。
……はたして、水蛭子神は、呪いについて話をしてくれるだろうか。
木片で集めた残留思念からは、意志のようなものを感じなかったが。夜叉丸のように、身に取り込んで辿るしかないかもしれない。
しかし、あまり取り込みたくないな。あれは。
そういえば。
人魚のミイラ、とされるものはどれも化け物のような顔だ。猿と魚を合成した剥製なのだから仕方が無いのだが。童話の人魚姫とは、イメージが全く違う。
あれでは半魚人である。夢も希望も無い。
”赤いろうそくと人魚”だと、少女の姿だが。
昔の伝承では、頭は人で、身体は魚だったのが、いつのまにか半人半魚になっていた。
人魚の肉が不老不死の薬になるという逸話は、どこから来たものだろうか?
珍しいものは長寿のもと、みたいな考えはあちこちで見られるな。
中国には食べると不老不死になる伝説の太歳、という妖怪もあった。
日本にも、食べれば力を得るというぬっぺふほふや肉人という伝説があった。
それは、始皇帝が探していたという不老長寿の薬のもとになる、”封”という肉塊が元らしい。
八百比尼は、永く生きるのに疲れ、自決したという。
昔話は、不老長寿をよいものとしないものが多いような気がする。かぐや姫でも、富士山に不死の薬を捨てていたし。
まあ、僕も実際に若返って、不老の身になったわけだが。いいものではないな。
人魚といえば。
ダゴンも、半人半魚の怪物と称されるのだった。
人魚伝説に惹かれ、寄ってきてしまったのだろうか?
ともあれ。
人魚についての謎はまだまだ尽きないが。
”人魚の棲む島事件”は、一応解決、となる。
了
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