34 / 53
【作戦実行】本編
敵がたくさん 邪魔者いっぱい
しおりを挟む〈りょう以外の視点〉
りょうが忘れ物を取りに行ったため…その場は不穏な空気に変わっていた。
この不穏な空気を先に破ったのは幸だった。
「はぁ……。」
冷たいため息が幸の口から漏れる。
「…みなさんってりょうの事が好きなんですか…??」
冷たいため息に続き、口から出たのは同様なくらいに冷たい言葉だった。
その場にいた全員が息を飲む。
そこには…
ついさっきまで〝りょう兄〟と呼んでいた可愛らしい(?)弟の姿はなかった。
そこにいたのは…
誰にも渡さない…といわんばかりの獣の目をした男の姿があった…。
ここにりょうがいたら…
ひぇ~~~~ッ!!??
となるぐらいの迫力だった。
「好きだよ、りょうくんのこと」
波瑠が真剣な顔で言う。
「俺も好きだ」
「私も好きです」
「俺も好き」
波瑠に続きみんながそれぞれ想いを告げる。
幸の顔色がだんだんと曇っていく。
と、さっきまで黙り込んでいた有が口を開く。
「ふざけんじゃねぇ…!俺たちのほうがずっと…ずぅーっと前からりょうのことが好きなんだよ!!両親が死んだのはもちろん悲しかった…俺たちこれからどうなるんだろうって…けど、りょうとまた一緒に居られることになって近くにりょうを感じられる事が本当に嬉しかった…!そ、それなのに…!」
はぁ…はぁ…と酸素が足りなくなり言葉を続けられなくなった有。
それに熱くなりすぎていつも〝僕〟なのに「俺」に変わっており、男らしくなっている…。
「急に出てきたお前らなんかに俺らのりょうを渡すわけにはいかねぇんだよ。」
と、幸が有の言葉に付け足した。
「で?だから何?別にりょうくんは君たちの物って訳じゃないよね??」
「「っ…」」
りょうは別に君たちの物じゃない、という言葉に兄弟2人は言葉を詰まらせた。
「だな。」
と、肯定する流星。
他の2人もうんうんと頷く。
「つまり、誰にでもチャンスはあるって訳ですよね」
蓮がニヤリと笑う。
(真面目そうに見えて変態という…ギャップ(?))
「おう!年下には負けてられないな~!!他の奴らにもだけど…なんかやる気出てきた~!!!」
豊は兄弟2人を見ながら言うと、パワーがみなぎってきたらしくやる気に満ちていた。
「ふん。俺のほうがりょうとの距離近いし、勝利は近いよな…なんてたってハグしたし。」
「は?それなら僕のほうが大勝利じゃん。だって…りょうのちくび触ったもん。可愛かったな~♪」
「「「「「…は?」」」」」
一気に静まり返り、その場が凍る。
有以外のみんなの口から自然のは?が飛び出た。
「有…おまえ…。」
怖い顔をした幸。
その他もみんな有を睨みつけている。
「別にいいじゃん、まだ誰のものでもないんでしょ?じゃあ好きにしてもいいじゃん。文句言われる筋合いないよ」
そういうと有も睨み返す。
その場が激しい火花を散らしていると、
そこへ…
「はぁ…はぁ……。みんなー!お待たせ~!!!(ニコッ)はぁ…疲れた~、ってどったの?」
何も知らないりょうが息を切らせながら走ってきた。
天使の登場だ。
『吐息がえ…えろい…、可愛い…最後のどったの?って何…天使?天使なのか…』
みんなの頭の中は全く同じことを考えており、りょうの可愛さに忘れてしまった。
彼らの勝負は続くようです…。
274
お気に入りに追加
2,366
あなたにおすすめの小説

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!
ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。
「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」
なんだか義兄の様子がおかしいのですが…?
このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ!
ファンタジーラブコメBLです。
平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります♡
【登場人物】
攻→ヴィルヘルム
完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが…
受→レイナード
和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

転生先がBLの世界とか…俺、聞いてないんですけどぉ〜?
彩ノ華
BL
何も知らないままBLの世界へと転生させられた主人公…。
彼の言動によって知らないうちに皆の好感度を爆上げしていってしまう…。
主人公総受けの話です!((ちなみに無自覚…

BLゲームの世界でモブになったが、主人公とキャラのイベントがおきないバグに見舞われている
青緑三月
BL
主人公は、BLが好きな腐男子
ただ自分は、関わらずに見ているのが好きなだけ
そんな主人公が、BLゲームの世界で
モブになり主人公とキャラのイベントが起こるのを
楽しみにしていた。
だが攻略キャラはいるのに、かんじんの主人公があらわれない……
そんな中、主人公があらわれるのを、まちながら日々を送っているはなし
BL要素は、軽めです。

異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます
はるはう
BL
突然の過労死。そして転生。
休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。
転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。
そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・
知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?

王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。
薄明 喰
BL
アーバスノイヤー公爵家の次男として生誕した僕、ルナイス・アーバスノイヤーは日本という異世界で生きていた記憶を持って生まれてきた。
アーバスノイヤー公爵家は表向きは代々王家に仕える近衛騎士として名を挙げている一族であるが、実は陰で王家に牙を向ける者達の処分や面倒ごとを片付ける暗躍一族なのだ。
そんな公爵家に生まれた僕も将来は家業を熟さないといけないのだけど…前世でなんの才もなくぼんやりと生きてきた僕には無理ですよ!!
え?
僕には暗躍一族としての才能に恵まれている!?
※すべてフィクションであり実在する物、人、言語とは異なることをご了承ください。
色んな国の言葉をMIXさせています。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる