実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

本編

悪役らしい作戦を立てよう☆

その日保健室から出た俺は自分の家へと帰った。
こっちの世界では父と母と俺の3人で暮らしているごく普通の親子だ。最初のほうは知らない人達と暮らすのに困惑して大変だったけど…今ではもうすっかりなれてしまった。





ちなみに俺の家はバスに乗ってすぐの所だ。

家の前に着いた。




＿＿＿ガチャッ





扉を開け、靴を脱ぎ、廊下をすたすたと歩く…




俺は、

「ただいま～」と言い、リビングへと入る。


すると、




「おかえり～入学式どうだった!?もうお友達できた??」



と、母がキッチンからひょいっと顔を出した。



「うーん、普通だよ(笑)まぁ…ぼちぼち…かな？」

(入学式、早々…顔から転んで保健室行ったけどね。友達の1人も出来てないですよ～だ…(泣))




俺はあははと笑って誤魔化し…自分の部屋へと行くため階段をのぼった。



部屋へ入ると…今日の疲れからか俺はベットへとダイブした。

《はあ～疲れたー。今日はヒロインやら…攻略対象者達やら…色んな人と会って疲れたなあ…。》




本当はそのまま眠ってしまいたかったが…明日のために作戦を立てることにした。椅子に座り机へと向かう。ノートを開きペンを持った。持ったはいいが…何にも思いつかない…。





《えーっと…まず悪役ってどんな悪い事するんだ？前世の記憶では曖昧な内容(ただ悪役が悪いことをして断罪される)しか覚えてないしなぁ…》
あんだけ…妹から聞かされてたのに…忘れるなんて……！泣





うーん、どうしたものか…と俺は頭をひねり回したが当然俺のこの頭では思いつくわけがない。よしっ！諦めよう☆


スマホ♪スマホ♪…スマホちゃ～ん♪


俺はカバンからスマホを取り出した。





なんてたってこの世界はまあ…普通の世界と似たようなものだ。救いのスマホ様があるのだ✨
馬鹿な俺をお助け下さい～～～～～!!





俺は検索欄に


『悪役　悪いこと　何』


と、文字を打ち…検索をタップした。




画面には、ずらーっと色んな悪いことがそれはそれは…もう、たっっくさん!!と出てきた。




俺はその中からひとまず…何個か候補に出すことにした。





《ふむふむ…なるほど…。おっ！これいいなぁ。あ、こっちもいい…うーん。えーい、どっちもしちゃえっ！》





と、悩むこと1時間……。
ようやく俺は最高の作戦を立てることに成功した。
最高の計画書ができたのだ。





《最初は不安だったけど悪いことするってちょっと小さい頃の子供心を思い出させるなぁ。少しわくわくしてきた♪さてさてヒロインや攻略対象者達は一体どんな顔を見せくれるかな？楽しみだ…》





「ふふふ…」





俺の口から不敵な笑いが零れた。



きっと今の俺の顔は悪役らしい悪い顔をしていることだろう…。





ご飯を食べ、風呂に入った俺は頑張って必死に作った計画書をぎゅっと胸に抱いてスヤスヤ…と眠ったのだった。