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ほろほろしょうゆの焼きむすび
ほろほろしょうゆの焼きむすび-2
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弥七は銀次郎のことを「やくざの親分」で「札付き」だと言っていた。
やくざといえば、町の裏側を治め、賭場を開いたり、抜け荷に火付け、人殺しをしたりすると噂だ。お鈴をからかっただけかもしれないが、銀次郎が醸し出す迫力を考えるとあながち嘘とも思えない。本当にやくざなら、店に仲間が出入りするかもしれないし、危険なことに巻き込まれるかもしれない。なぜ小料理屋をやっているのか分からないが、もしかしたら裏稼業に使うために隠れ蓑として開いている可能性もある。
そんな物騒なところで働きたくはない。
そう思いながらも、銀次郎の眼差しをどうにも忘れられなかった。お鈴がおとっつあんの口癖を叫んだ時の妙に真剣な眼差し。銀次郎はあの言葉を知っていたのだろうか。
それに、厨房に立った時の高揚感。包丁を握った時の冷たい手触りに、たしかに心が沸いた。
それにしたって、あんな閑古鳥が鳴いている店で働くのはごめんだけども。
ぶつぶつとつぶやきながら歩いていると、足が止まった。
人の多い表通りに面した紙問屋がある。なかなか大きな店で、看板には黒々と「高木屋」と書いてあった。
仙一の店だ。
中はよく賑わっていた。仙太郎を捜しに出ているのか、仙一の姿は見えないものの、手代達がきびきびと客に紙を薦め、時折笑い声も漂う。
お鈴は昨日の話を思い出し、店をぐるりと一回りしてみた。
たしかに表口には店の者が詰めていて、子どもが出ればすぐ分かる。ほかに出入りできそうなのは裏戸だが、裏長屋に面していて、やれ洗濯だ料理の支度だと女房達がかしましい。ここも誰かの目があるはずだ。
店は木塀で囲まれていて、子どもがひとりで乗り越えるのは難しい。手を貸した者がいたとしても、夜半ならいざ知らず、 昼日中に誰にも知られず立ち去るのは難しいだろう。仙一の言ったとおりだ。
本当に神隠しなのだろうか。
ぶるりと体をひと震いさせると、どこからか視線を感じた。
振り向いてあたりを見回すと、用水桶の陰に立っていた男が目をそらした。尻っぱしょり姿で、小柄だがずるがしこそうな眼をしている。
男はお鈴を一瞥して、足早に去っていった。
*
水道橋を渡って少し先。川縁に建つのがみと屋だ。
二階建ての一階の看板障子には「みと屋」と筆で書かれている。妙に達筆なのが面白い。
店の隣には立派な柳の木が生えていて、風に吹かれて葉が穏やかに揺れていた。
お鈴が障子を開けると「おめえかい」とぶっきらぼうな声が出迎える。
紺の暖簾はかかっているが店はがらんとしており、銀次郎が小上がりで煙管をふかしていた。「仕事はなかっただろう」と藪から棒に言う。
「いえ、そんな。はい」
「水野の締め付けで、町はどこも干上がってやがる。おめえみてえな小娘の働き口なんて、どこにもねえだろうよ」
返す言葉もなく、お鈴はうなだれた。
銀次郎の言うとおりだ。老中・水野忠邦の引き締めが厳しく、町人も武家もどこもかしこも金回りが悪い。町には仕事にあぶれる者ばかりだった。
「働く肚は決まったか」
「そ、それはもう少し」
慌てて言うと、銀次郎は「ふん」と鼻を鳴らす。
「おめえ、断れると思ってるのか」
ねめつけるような視線に、お鈴の足が震える。走って逃げだそうかと思ったとたん、後ろから声が降ってきた。
「仙太郎がいなくなったのは本当みたいね。屋敷から突然消えて、主人が色んな所を捜してるってもっぱらの噂よ」
いつの間に入ってきたのか、弥七が音もたてずに後ろに立っていた。
「仙一が主人になったのは三年前。商いが傾いたところに元の主人が急死して、何だかんだと仙一に押し付けられたみたい。ところが店は持ち直し、高木屋はここ数年で大店に」
「あくどい手でも使ったんじゃねえのか」
「あたしもそう思ったんだけどね。仙一の堅実さが実を結んだだけみたい。同業者とも上手くやっていて恨みを買っている様子はなさそう。あるとしたら、かどわかしの線かしら」
「かどわかしなら、とっくに投げ文が届いてらあ」
どうやら仙一について調べていたようだ。いったい何のために、と訝しむお鈴を他所に、弥七は調べた内容を披露する。
「そういえば、ちょくちょく岡っ引きが店に来てたみたいよ」
「岡っ引きだと」
「ええ、でも破落戸みたいな奴よ。高木屋には袖の下をせびりに来てたみたいだけど、仙一が追い返してたって」
「そういう手合いが一番質が悪いな」
「仙太郎がいなくなった日も、その男が来てたみたい。まさかとは思うけどねえ」
「岡っ引きなんて碌な奴がいねえ。おめえ、そいつのこともう少し調べてみろ」
「はいはい」
弥七は店を出ようとして足を止め、ついと振り向く。きょとんとするお鈴の顔を見て、にっこり笑った。
*
「お鈴ちゃん、ちょいと逢引しない」
そう言って連れられたのは、川向こうの茶屋だ。
「弥七さん、今度はどこの娘なのさ」とからかわれている声を聞いて、お鈴は居心地の悪さを感じていた。
物心ついた時から、ずっと店を手伝ってきた。それはとても幸せな時間だったけれど、こんなふうにゆっくりする側だったことなどない。
あたりを見回すと、綺麗な着物をきたお嬢さん達が団子を頬張っている。串を持つのはすべすべした白い手だ。自分のあかぎれた手がみじめに思えて着物の裾をぎゅっと握りしめる。
「さあ、食べな」
弥七が隣に座って団子を置いた。とろりとした餡がきらりと光る。
「でも、あの」
「いいから。あたしの奢りだよ」
「ありがとうございます」
お鈴はおずおずと礼を言い、団子にかぶりついた。もちもちとした感触で口がいっぱいになった。
「顎が疲れちゃいそうでしょう。でもこれが癖になるんだよ」
弥七はあっという間に平らげ、にこにこしている。お鈴は返事をしようにも噛むので大変だ。
「親分のこと、怖がらせちゃってごめんね」
弥七が小さい声で言った。
「親分がやくざだったってのは本当。それはそれは有名な親分だったのさ。とはいっても、そこまで悪い人じゃないから安心しな。ま、安心しなっていうのは無理ね」
続けて、くすくす笑う。
「ゆすりたかりは当たり前で、あの人相でしょう。破落戸五十人相手にひとりで喧嘩したとかいうしね、けっこうやんちゃしてたのよ。でも、殺しだけはしてないらしいわよ。ほんとよ。ってこんな話したら、余計に怖くなっちゃうわよね」
喉につかえる餅を呑み込んで、お鈴は口を開いた。
「あの、弥七さんと銀次郎さんはどういう間柄なんですか」
「あたしはね、遠い昔に親分に助けてもらったの。親分がいなきゃ、あたしは今頃橋の袂かどっかで野垂れ死んでるわ」
弥七は遠い目をした。
「だから、あたしは親分にどこまでもついていくと決めてるの。それであのへんちくな料理屋も手伝ってあげてるんだけどさ。そうそう、それでね。親分なんだけど、ある日すっぱり足を洗うと決めたの。今まで俺は悪いことばかりしてきたが、残りの人生は人様の心を支えられるようになりたい。そう言い出したのが去年の冬」
お鈴は黙ってうなずいた。
「はじめは何言い出したんだろうと思ったんだけど、本気で場所を見つけて店を開いてねえ。それが、みと屋。なのに親分は芋の一つも切れやしないんだから。お店なんて呼べたもんじゃないわよね」
「他の人が料理しちゃいけないんですか」
「最初は板前を雇おうとしてたんだけどね、すぐに親分が怒っちゃって駄目になるの。今は親分が厨房に立ってるけど、料理の腕はどうしようもない。あれだけ刃物振り回してきたのに包丁は使えないなんて傑作よね」
その言葉に、お鈴も口元を引きつらせて苦笑いをする。
「だからね」
弥七が体ごとお鈴のほうを向いて、両手を掴んだ。
「あたしが言いたかったのは、親分がここで働けなんて言ったのは初めてってことよ。何であんなこと言い出したのかは分かんないけど、たぶんお鈴ちゃんには何か特別なものがあるんだと思う。あんなとこで働いて、なんてことはあたしからは言えないけど、それだけは伝えておきたかったのよ」
弥七の手はひんやりしているが、なぜだか温かい。自分のような小娘に、何か特別なものがあるのだろうか。そんな自信はないものの、必要とされていることがお鈴には少しだけ嬉しかった。
それをどう答えていいやら分からず黙っていると、「さ、帰ろっか」と弥七が立ち上がって伸びをする。
お鈴も小さくうなずいた。
三
「私だってねえ、真剣に捜してるんですよ。それを女房は……」
みと屋でくだを巻いているのは仙一だ。それを銀次郎が苦虫を噛み潰したような顔で睨んでいる。
お鈴が茶屋から戻り、弥七が再び出かけて少し経ってから、仙一がやってきた。まだ夕刻で陽もあるというのに泥酔している。どこかで酒を呷って、何を思ってかみと屋にやってきたらしい。初めはお鈴が相手をしていたが、ずいぶん酔っているので今はほったらかしにしている。
「仙太郎は心配ですよ。でも店も心配なんです。私がいないとあの店は駄目なんだ。仙太郎を捜すのは店の者にやらせればいいのに、何で私が足を棒にして駆けずり回らなきゃいけないんですか」
仙一を睨みつけていた銀次郎の眼がぎらりと光った。
「ばかやろう」
仙一は一瞬で酔いが覚めたようで、その場で両手を揃えて立ち上がった。
「さっきから聞いてりゃ、店、店と、店のことばかりじゃねえか。おめえ、倅のことはどうでもいいのか」
そこで、きっと銀次郎を見る。
「そりゃあ心配ですよ。何よりも大切です。だからこそ、私は大切な仙太郎にいい暮らしをさせてやりたくて働くんです」
「おめえ、倅と遊んだのはいつだ」
銀次郎が急に落ち着いた声で言った。仙一は答えに窮し、黙り込む。
「生きていくには銭がいる。銭を稼ぐためには死にものぐるいで働かなきゃならねえ。それがこの世の道理だ。でもな、俺達が生きていくのに銭がいるが、小僧が成長するには親の愛がいる。そいつをすっぽりと忘れちまってるんじゃねえのか」
銀次郎はなぜか、少し辛そうな顔をしていた。
「子どもは、大切にしてやれ」
お鈴は自分の両親を思い出し、思わず口を挟む。
「あたしの家は銭がなくて、おとっつあんもおっかさんも、ずっと働いてました。でも、あたしは二人と一緒にいられればそれだけで幸せでした。何もいらない。銭も簪も着物もいらないから、あたしは、おとっつあんとおっかさんに会いたい。子どもって、そういうものじゃないでしょうか」
仙一は魂の抜けたような顔でぼんやりとお鈴の顔を眺め、その場に座り込んだ。
ぺたりと両手を土につけ、しばらく動かない。
「仙太郎が三つくらいの頃まで、小さな長屋住まいだったんですよ」
そして、下を向いたまま、ぽつりと語り始めた。
「番頭になれたといっても商いは右肩下がり。暮らしに余裕はないし、仕事も忙しい。でも仙太郎はずっと私の帰りを待っていてくれたんです。先にすませればいいのに飯を残して待っていた。冷めてしまった飯を握り飯にして、七輪で炙って食べるんです。女房も出てきて三人で飯を食って。旨かったなあ」
仙一の背中があまりにも薄く見えて、お鈴が声をかけようと思ったその時だ。
どやどやと騒がしい足音と共に、荒々しく看板障子が引きあけられた。
「客かい」
「じいさん、ちょいと黙っててくんな」
じいさんと呼ばれた銀次郎が、あまりの怒りで顔を赤に青にと忙しい。
入ってきたのは男が三人。どこかで見覚えのある顔だとお鈴が頭をひねっているところに、仙一が立ち上がり、眉をひそめた。
「権蔵さんじゃないですか」
「おう、おめえにちょっと用があってな」
「そうだ。高木屋の前にいた人」
お鈴がつぶやくと、権蔵と呼ばれた男はこちらをきっと睨んだ。
「俺は権蔵ってえんだ。お上から十手も預かってる。めったな口を利くんじゃねえ」
権蔵は懐から十手を出し、お鈴に突き付けた。
「おい、仙一。おめえんちの仙太郎がかどわかしにあったらしいじゃねえか。何で俺に相談しなかった」
「い、いえ。まだかどわかしと決まったわけではなくて」
「大店の餓鬼がいなくなったなら、かどわかしに決まってるだろうが。俺が見つけ出してやる。な、気を遣うんじゃねえよ」
権蔵が仙一に近づいて肩に手を回す。声の端に、粘りつくようないやらしさがあった。
銀次郎が袂から手を出し、のそりと立ち上がる。
「おい若いの、こいつは嫌だって言ってんだろう。今日は帰んな」
「てめえ、誰に口利いてやがる。こんなちんけな店、潰してやろうか」
権蔵は眉を吊り上げて床几を蹴とばし、「おい」と顎をしゃくった。後ろに控えていた破落戸二人が前に出る。
剣呑な空気に、お鈴は思わずぎゅっと目をつぶった。
「まあまあ旦那、それくらいで勘弁してくださいな」
ふと、弥七の声がした。
いつ店に入ってきていたのか、まったく気配を感じなかった。知らぬ間に権蔵の後ろにぴたりと立っている。先ほどまで威勢がよかった権蔵は、一瞬の間に顔面を蒼白にして、脂汗を流していた。
「弥七さん」
驚いて声をかけると「お鈴ちゃん、ただいま」と呑気なことを言う。
権蔵は「おい、てめえ」と低い声を漏らした。弥七は影のように張り付いて、何かを押し当てているように見える。
「ねえ、旦那方ももういいでしょう」
おっとりしているが、刃が隠れているような鋭い声。目を向けられた破落戸は身じろぎし、権蔵にすがるような目を向けた。
「け、今日はこれくらいで勘弁してやらあ」
権蔵が震える声を漏らしたとたんに弥七の殺気は消え、張りつめた空気も霧散する。
権蔵達は転がるように店から出ていった。
「弥七さん凄いんですね」
「いやあね、そんな大したことないわよ」
「もしかして、実はお武家様ですか。凄く剣の腕が立つとか」
ただの遊び人だと思っていたが、破落戸どもを気迫で抑え込むとは只者ではない。立ち回りや肝のすわりかたなど、剣の達人ではないかと思ったのだ。
「あっははは。あたしが武家だって。あんな野暮な連中と一緒にしないでよ」
弥七がげらげら笑う。笑い転げる弥七を見ながら、銀次郎が口を開いた。
「弥七はカマイタチの弥七って言われた殺し屋だ」
「えっ」
「こんななりしているが、隅田川の向こうで知らないもんはいねえ。特別に紙きれみたいに薄く研いだ匕首を忍ばせて、すれ違いざまに首を一切りだ。あんまり切れ味がいいもんだから、切られたほうもしばらく歩いてやっと気づくらしい」
それを聞くと、弥七の邪気のない笑顔がとたんに恐ろしく見えてくる。仙一も同様だったようで、白い顔をしていた。
「じゃあさっき権蔵さんに突き付けてたのは」
弥七はふふふ、と意味深な目つきをした後、「あれはただの簪よ」と言って懐から取り出す。花の飾りが施された簪を愛でながら「茶屋の馴染みにあげようと思うの。綺麗だよねえ」と笑った。
「あ、あいつの仕業だ」
仙一がぼそりと低い声でつぶやく。
「権蔵の仕業ですよ。仙太郎がいなくなった日も、権蔵は金をせびりに店に来ていました。あいつが仙太郎をかどわかして、金を巻き上げようと目論んでいるんです」
「あたしもちょっと臭いと思ってた。ああいう手合いはどんなことでもやるわよ」
弥七まで加勢して、二人で盛り上がる。お鈴は、質問をぶつけた。
「でも、何で金を取ろうとしないんですか」
「かどわかしは死罪よ。そんな大事にしたら奉行所もだまっちゃいないし、受け渡しの時に捕まるわ。それなら、権蔵が行方不明の仙太郎を見つけ出したことにして、たんまり礼金をせしめつつ高木屋にくいこむほうがいい」
「そういうものなんでしょうか」
どうもすっきりしない、と思いつつ横を見ると、銀次郎が腕を組んで渋い顔をし、何やら思案している。
「銀次郎さん、どうかしましたか」
「うむ」
「おなかでも痛いんですか」
「そうじゃねえ」と叫び、銀次郎は仙一を見据えて言った。
「こいつはたぶん、かどわかしでも神隠しでもねえ」
やくざといえば、町の裏側を治め、賭場を開いたり、抜け荷に火付け、人殺しをしたりすると噂だ。お鈴をからかっただけかもしれないが、銀次郎が醸し出す迫力を考えるとあながち嘘とも思えない。本当にやくざなら、店に仲間が出入りするかもしれないし、危険なことに巻き込まれるかもしれない。なぜ小料理屋をやっているのか分からないが、もしかしたら裏稼業に使うために隠れ蓑として開いている可能性もある。
そんな物騒なところで働きたくはない。
そう思いながらも、銀次郎の眼差しをどうにも忘れられなかった。お鈴がおとっつあんの口癖を叫んだ時の妙に真剣な眼差し。銀次郎はあの言葉を知っていたのだろうか。
それに、厨房に立った時の高揚感。包丁を握った時の冷たい手触りに、たしかに心が沸いた。
それにしたって、あんな閑古鳥が鳴いている店で働くのはごめんだけども。
ぶつぶつとつぶやきながら歩いていると、足が止まった。
人の多い表通りに面した紙問屋がある。なかなか大きな店で、看板には黒々と「高木屋」と書いてあった。
仙一の店だ。
中はよく賑わっていた。仙太郎を捜しに出ているのか、仙一の姿は見えないものの、手代達がきびきびと客に紙を薦め、時折笑い声も漂う。
お鈴は昨日の話を思い出し、店をぐるりと一回りしてみた。
たしかに表口には店の者が詰めていて、子どもが出ればすぐ分かる。ほかに出入りできそうなのは裏戸だが、裏長屋に面していて、やれ洗濯だ料理の支度だと女房達がかしましい。ここも誰かの目があるはずだ。
店は木塀で囲まれていて、子どもがひとりで乗り越えるのは難しい。手を貸した者がいたとしても、夜半ならいざ知らず、 昼日中に誰にも知られず立ち去るのは難しいだろう。仙一の言ったとおりだ。
本当に神隠しなのだろうか。
ぶるりと体をひと震いさせると、どこからか視線を感じた。
振り向いてあたりを見回すと、用水桶の陰に立っていた男が目をそらした。尻っぱしょり姿で、小柄だがずるがしこそうな眼をしている。
男はお鈴を一瞥して、足早に去っていった。
*
水道橋を渡って少し先。川縁に建つのがみと屋だ。
二階建ての一階の看板障子には「みと屋」と筆で書かれている。妙に達筆なのが面白い。
店の隣には立派な柳の木が生えていて、風に吹かれて葉が穏やかに揺れていた。
お鈴が障子を開けると「おめえかい」とぶっきらぼうな声が出迎える。
紺の暖簾はかかっているが店はがらんとしており、銀次郎が小上がりで煙管をふかしていた。「仕事はなかっただろう」と藪から棒に言う。
「いえ、そんな。はい」
「水野の締め付けで、町はどこも干上がってやがる。おめえみてえな小娘の働き口なんて、どこにもねえだろうよ」
返す言葉もなく、お鈴はうなだれた。
銀次郎の言うとおりだ。老中・水野忠邦の引き締めが厳しく、町人も武家もどこもかしこも金回りが悪い。町には仕事にあぶれる者ばかりだった。
「働く肚は決まったか」
「そ、それはもう少し」
慌てて言うと、銀次郎は「ふん」と鼻を鳴らす。
「おめえ、断れると思ってるのか」
ねめつけるような視線に、お鈴の足が震える。走って逃げだそうかと思ったとたん、後ろから声が降ってきた。
「仙太郎がいなくなったのは本当みたいね。屋敷から突然消えて、主人が色んな所を捜してるってもっぱらの噂よ」
いつの間に入ってきたのか、弥七が音もたてずに後ろに立っていた。
「仙一が主人になったのは三年前。商いが傾いたところに元の主人が急死して、何だかんだと仙一に押し付けられたみたい。ところが店は持ち直し、高木屋はここ数年で大店に」
「あくどい手でも使ったんじゃねえのか」
「あたしもそう思ったんだけどね。仙一の堅実さが実を結んだだけみたい。同業者とも上手くやっていて恨みを買っている様子はなさそう。あるとしたら、かどわかしの線かしら」
「かどわかしなら、とっくに投げ文が届いてらあ」
どうやら仙一について調べていたようだ。いったい何のために、と訝しむお鈴を他所に、弥七は調べた内容を披露する。
「そういえば、ちょくちょく岡っ引きが店に来てたみたいよ」
「岡っ引きだと」
「ええ、でも破落戸みたいな奴よ。高木屋には袖の下をせびりに来てたみたいだけど、仙一が追い返してたって」
「そういう手合いが一番質が悪いな」
「仙太郎がいなくなった日も、その男が来てたみたい。まさかとは思うけどねえ」
「岡っ引きなんて碌な奴がいねえ。おめえ、そいつのこともう少し調べてみろ」
「はいはい」
弥七は店を出ようとして足を止め、ついと振り向く。きょとんとするお鈴の顔を見て、にっこり笑った。
*
「お鈴ちゃん、ちょいと逢引しない」
そう言って連れられたのは、川向こうの茶屋だ。
「弥七さん、今度はどこの娘なのさ」とからかわれている声を聞いて、お鈴は居心地の悪さを感じていた。
物心ついた時から、ずっと店を手伝ってきた。それはとても幸せな時間だったけれど、こんなふうにゆっくりする側だったことなどない。
あたりを見回すと、綺麗な着物をきたお嬢さん達が団子を頬張っている。串を持つのはすべすべした白い手だ。自分のあかぎれた手がみじめに思えて着物の裾をぎゅっと握りしめる。
「さあ、食べな」
弥七が隣に座って団子を置いた。とろりとした餡がきらりと光る。
「でも、あの」
「いいから。あたしの奢りだよ」
「ありがとうございます」
お鈴はおずおずと礼を言い、団子にかぶりついた。もちもちとした感触で口がいっぱいになった。
「顎が疲れちゃいそうでしょう。でもこれが癖になるんだよ」
弥七はあっという間に平らげ、にこにこしている。お鈴は返事をしようにも噛むので大変だ。
「親分のこと、怖がらせちゃってごめんね」
弥七が小さい声で言った。
「親分がやくざだったってのは本当。それはそれは有名な親分だったのさ。とはいっても、そこまで悪い人じゃないから安心しな。ま、安心しなっていうのは無理ね」
続けて、くすくす笑う。
「ゆすりたかりは当たり前で、あの人相でしょう。破落戸五十人相手にひとりで喧嘩したとかいうしね、けっこうやんちゃしてたのよ。でも、殺しだけはしてないらしいわよ。ほんとよ。ってこんな話したら、余計に怖くなっちゃうわよね」
喉につかえる餅を呑み込んで、お鈴は口を開いた。
「あの、弥七さんと銀次郎さんはどういう間柄なんですか」
「あたしはね、遠い昔に親分に助けてもらったの。親分がいなきゃ、あたしは今頃橋の袂かどっかで野垂れ死んでるわ」
弥七は遠い目をした。
「だから、あたしは親分にどこまでもついていくと決めてるの。それであのへんちくな料理屋も手伝ってあげてるんだけどさ。そうそう、それでね。親分なんだけど、ある日すっぱり足を洗うと決めたの。今まで俺は悪いことばかりしてきたが、残りの人生は人様の心を支えられるようになりたい。そう言い出したのが去年の冬」
お鈴は黙ってうなずいた。
「はじめは何言い出したんだろうと思ったんだけど、本気で場所を見つけて店を開いてねえ。それが、みと屋。なのに親分は芋の一つも切れやしないんだから。お店なんて呼べたもんじゃないわよね」
「他の人が料理しちゃいけないんですか」
「最初は板前を雇おうとしてたんだけどね、すぐに親分が怒っちゃって駄目になるの。今は親分が厨房に立ってるけど、料理の腕はどうしようもない。あれだけ刃物振り回してきたのに包丁は使えないなんて傑作よね」
その言葉に、お鈴も口元を引きつらせて苦笑いをする。
「だからね」
弥七が体ごとお鈴のほうを向いて、両手を掴んだ。
「あたしが言いたかったのは、親分がここで働けなんて言ったのは初めてってことよ。何であんなこと言い出したのかは分かんないけど、たぶんお鈴ちゃんには何か特別なものがあるんだと思う。あんなとこで働いて、なんてことはあたしからは言えないけど、それだけは伝えておきたかったのよ」
弥七の手はひんやりしているが、なぜだか温かい。自分のような小娘に、何か特別なものがあるのだろうか。そんな自信はないものの、必要とされていることがお鈴には少しだけ嬉しかった。
それをどう答えていいやら分からず黙っていると、「さ、帰ろっか」と弥七が立ち上がって伸びをする。
お鈴も小さくうなずいた。
三
「私だってねえ、真剣に捜してるんですよ。それを女房は……」
みと屋でくだを巻いているのは仙一だ。それを銀次郎が苦虫を噛み潰したような顔で睨んでいる。
お鈴が茶屋から戻り、弥七が再び出かけて少し経ってから、仙一がやってきた。まだ夕刻で陽もあるというのに泥酔している。どこかで酒を呷って、何を思ってかみと屋にやってきたらしい。初めはお鈴が相手をしていたが、ずいぶん酔っているので今はほったらかしにしている。
「仙太郎は心配ですよ。でも店も心配なんです。私がいないとあの店は駄目なんだ。仙太郎を捜すのは店の者にやらせればいいのに、何で私が足を棒にして駆けずり回らなきゃいけないんですか」
仙一を睨みつけていた銀次郎の眼がぎらりと光った。
「ばかやろう」
仙一は一瞬で酔いが覚めたようで、その場で両手を揃えて立ち上がった。
「さっきから聞いてりゃ、店、店と、店のことばかりじゃねえか。おめえ、倅のことはどうでもいいのか」
そこで、きっと銀次郎を見る。
「そりゃあ心配ですよ。何よりも大切です。だからこそ、私は大切な仙太郎にいい暮らしをさせてやりたくて働くんです」
「おめえ、倅と遊んだのはいつだ」
銀次郎が急に落ち着いた声で言った。仙一は答えに窮し、黙り込む。
「生きていくには銭がいる。銭を稼ぐためには死にものぐるいで働かなきゃならねえ。それがこの世の道理だ。でもな、俺達が生きていくのに銭がいるが、小僧が成長するには親の愛がいる。そいつをすっぽりと忘れちまってるんじゃねえのか」
銀次郎はなぜか、少し辛そうな顔をしていた。
「子どもは、大切にしてやれ」
お鈴は自分の両親を思い出し、思わず口を挟む。
「あたしの家は銭がなくて、おとっつあんもおっかさんも、ずっと働いてました。でも、あたしは二人と一緒にいられればそれだけで幸せでした。何もいらない。銭も簪も着物もいらないから、あたしは、おとっつあんとおっかさんに会いたい。子どもって、そういうものじゃないでしょうか」
仙一は魂の抜けたような顔でぼんやりとお鈴の顔を眺め、その場に座り込んだ。
ぺたりと両手を土につけ、しばらく動かない。
「仙太郎が三つくらいの頃まで、小さな長屋住まいだったんですよ」
そして、下を向いたまま、ぽつりと語り始めた。
「番頭になれたといっても商いは右肩下がり。暮らしに余裕はないし、仕事も忙しい。でも仙太郎はずっと私の帰りを待っていてくれたんです。先にすませればいいのに飯を残して待っていた。冷めてしまった飯を握り飯にして、七輪で炙って食べるんです。女房も出てきて三人で飯を食って。旨かったなあ」
仙一の背中があまりにも薄く見えて、お鈴が声をかけようと思ったその時だ。
どやどやと騒がしい足音と共に、荒々しく看板障子が引きあけられた。
「客かい」
「じいさん、ちょいと黙っててくんな」
じいさんと呼ばれた銀次郎が、あまりの怒りで顔を赤に青にと忙しい。
入ってきたのは男が三人。どこかで見覚えのある顔だとお鈴が頭をひねっているところに、仙一が立ち上がり、眉をひそめた。
「権蔵さんじゃないですか」
「おう、おめえにちょっと用があってな」
「そうだ。高木屋の前にいた人」
お鈴がつぶやくと、権蔵と呼ばれた男はこちらをきっと睨んだ。
「俺は権蔵ってえんだ。お上から十手も預かってる。めったな口を利くんじゃねえ」
権蔵は懐から十手を出し、お鈴に突き付けた。
「おい、仙一。おめえんちの仙太郎がかどわかしにあったらしいじゃねえか。何で俺に相談しなかった」
「い、いえ。まだかどわかしと決まったわけではなくて」
「大店の餓鬼がいなくなったなら、かどわかしに決まってるだろうが。俺が見つけ出してやる。な、気を遣うんじゃねえよ」
権蔵が仙一に近づいて肩に手を回す。声の端に、粘りつくようないやらしさがあった。
銀次郎が袂から手を出し、のそりと立ち上がる。
「おい若いの、こいつは嫌だって言ってんだろう。今日は帰んな」
「てめえ、誰に口利いてやがる。こんなちんけな店、潰してやろうか」
権蔵は眉を吊り上げて床几を蹴とばし、「おい」と顎をしゃくった。後ろに控えていた破落戸二人が前に出る。
剣呑な空気に、お鈴は思わずぎゅっと目をつぶった。
「まあまあ旦那、それくらいで勘弁してくださいな」
ふと、弥七の声がした。
いつ店に入ってきていたのか、まったく気配を感じなかった。知らぬ間に権蔵の後ろにぴたりと立っている。先ほどまで威勢がよかった権蔵は、一瞬の間に顔面を蒼白にして、脂汗を流していた。
「弥七さん」
驚いて声をかけると「お鈴ちゃん、ただいま」と呑気なことを言う。
権蔵は「おい、てめえ」と低い声を漏らした。弥七は影のように張り付いて、何かを押し当てているように見える。
「ねえ、旦那方ももういいでしょう」
おっとりしているが、刃が隠れているような鋭い声。目を向けられた破落戸は身じろぎし、権蔵にすがるような目を向けた。
「け、今日はこれくらいで勘弁してやらあ」
権蔵が震える声を漏らしたとたんに弥七の殺気は消え、張りつめた空気も霧散する。
権蔵達は転がるように店から出ていった。
「弥七さん凄いんですね」
「いやあね、そんな大したことないわよ」
「もしかして、実はお武家様ですか。凄く剣の腕が立つとか」
ただの遊び人だと思っていたが、破落戸どもを気迫で抑え込むとは只者ではない。立ち回りや肝のすわりかたなど、剣の達人ではないかと思ったのだ。
「あっははは。あたしが武家だって。あんな野暮な連中と一緒にしないでよ」
弥七がげらげら笑う。笑い転げる弥七を見ながら、銀次郎が口を開いた。
「弥七はカマイタチの弥七って言われた殺し屋だ」
「えっ」
「こんななりしているが、隅田川の向こうで知らないもんはいねえ。特別に紙きれみたいに薄く研いだ匕首を忍ばせて、すれ違いざまに首を一切りだ。あんまり切れ味がいいもんだから、切られたほうもしばらく歩いてやっと気づくらしい」
それを聞くと、弥七の邪気のない笑顔がとたんに恐ろしく見えてくる。仙一も同様だったようで、白い顔をしていた。
「じゃあさっき権蔵さんに突き付けてたのは」
弥七はふふふ、と意味深な目つきをした後、「あれはただの簪よ」と言って懐から取り出す。花の飾りが施された簪を愛でながら「茶屋の馴染みにあげようと思うの。綺麗だよねえ」と笑った。
「あ、あいつの仕業だ」
仙一がぼそりと低い声でつぶやく。
「権蔵の仕業ですよ。仙太郎がいなくなった日も、権蔵は金をせびりに店に来ていました。あいつが仙太郎をかどわかして、金を巻き上げようと目論んでいるんです」
「あたしもちょっと臭いと思ってた。ああいう手合いはどんなことでもやるわよ」
弥七まで加勢して、二人で盛り上がる。お鈴は、質問をぶつけた。
「でも、何で金を取ろうとしないんですか」
「かどわかしは死罪よ。そんな大事にしたら奉行所もだまっちゃいないし、受け渡しの時に捕まるわ。それなら、権蔵が行方不明の仙太郎を見つけ出したことにして、たんまり礼金をせしめつつ高木屋にくいこむほうがいい」
「そういうものなんでしょうか」
どうもすっきりしない、と思いつつ横を見ると、銀次郎が腕を組んで渋い顔をし、何やら思案している。
「銀次郎さん、どうかしましたか」
「うむ」
「おなかでも痛いんですか」
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