ベタボレプリンス

うさき

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 非常に珍しい光景だ。
 鼻に真っ赤になったティッシュを詰めた状態のイケメンに自分のモン舐められてるとか、もう俺の人生どうしてこうなった。

「はぁ…に、匂いが分からない」
「――あ…ぅ、喋んなっ」

 こんな色気もないただの変態発言にうっかりイかされそうになる。
 濡れた口内の感触に、ゾクゾクと身震いしながら耐える。
 別にこの行為自体は初めてじゃないが、相手も心境も全てが違いすぎて、なんというか居た堪れない。

 だが完全に俺を気持ちよくさせるための動きをされて、奏志の頭を掴んで必死に耐える。
 初めて知ったが男同士だとポイントが分かっているのか、かなり気持ちいい。
 それじゃなくても好きな奴に舐められているだけで心苦しいと言うのに、堪らないと言った様子で何度も屹立を嬲られてあっという間に快感が上り詰めていく。

 先端を舌先でくすぐられ、敏感な箇所にビクリと背筋が仰け反る。
 はあ、と熱く息を吐き出したら好気に溢れる視線と目が合った。

「…今の気持ちいい?いっぱいやってあげるね」
「えっ、ちょっ…っあ!」

 何度も何度もそこをぐりぐりと舌で嬲られる。
 コイツは焦らしたりなんかしない。
 俺が少しでも気持ちいいと思えば、そこを容赦なく責め立ててくる。
 堪らず俺は奏志の髪をぎゅっと掴んだ。

「待てっ、で、出るって…出ちゃうから…っ」
「はぁ、いいよ。いっぱいだして。高瀬くんの気持ちいい顔見せて」
「…っあ、あっ」

 人のモン咥えながら色っぽい目で見上げられて、一気にぞくぞくと背筋に快感が走り抜けた。
 我慢する間もなく甘い声をあげて、ドクッ、と頭が真っ白に弾ける。
 思いっきり奏志の口の中に熱を吐き出していた。
 ドクドクとイッている最中も強く吸い上げられて、腰が震えてしまう。

「――っは…はぁ、わ、悪い…」

 肩で息をしながらぼんやりと奏志を見ると、うっとりとした顔で俺の出したモンを当たり前のように飲み込んでいた。
 マジかよ。予想してたけどやっぱり飲みやがった。

「…お、お前って実は変態だろ…七海以上の――」
「どうして今他の人の名前が出てくるの」

 どこかムッとしたような顔に再び組み敷かれる。
 うつ伏せにされて、覆いかぶさりながら背筋を舐められた。
 ゴリゴリと容赦なく腰に硬いものを押し付けられて、どうしたってビビる。
 
「な、なあ。一つ確認しておいていいか?」
「…ん、なに?」
「や、やっぱり俺が挿れられんの?」
「…へ?それ以外に他に何かあるの?」

 至極当然というように言われた。
 というかもうこの反応は自分が挿れられることを全く想定していないという顔だ。

「…あ、その。高瀬くんがどうしても嫌だって言うなら…そ、その…その…う…っ」

 俺が嫌ならやめると言おうとしてくれているらしいが、物凄く渋っている。
 少し待ってみたが、ゴニョゴニョ言っているだけで中々やめるとは言わない。

 つまり何が何でもコイツは俺にぶち込みたいわけだ。

「…あーもういいよ。今更どうこう言うつもりはねえ。好きにしろって前から言ってるし」
「――あ、ありがとうっ」

 あっという間に声音が明るくなる。
 俺のその言葉待ってやがったくせに、現金過ぎる。

 だがコイツを幸せにすると覚悟した手前、もちろん望みは叶えてやりたい。
 この先長く一緒にいるなら避けては通れない道だ。
 と、完全に俺の中では試練扱いになっていたが、奏志が荒く息を吐き出して着ていたシャツを脱いだから心臓がバクリと跳ね上がってしまった。

「――うわ」

 分かりたくなかったが、コイツに憧れる女の気持ちが少し分かってしまったかも知れない。
 曝け出された身体は匂い立つほど色気が放たれていて、適度についた筋肉は同じ男として羨ましいほどだ。
 思わずぼーっと見惚れていたら、俺の視線に合わせて優しく微笑まれた。
 
「――好きだよ」

 ギュッと心臓が締め付けられる。
 いまだかつて、こんなにドキドキしたことがあっただろうか。
 俺の頭の中は半パニック状態になるほどもういっぱいいっぱいだった。

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