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祭りはわりと大規模なもので、歩行者天国となっているその先に神社があり、そこまでびっしりと屋台が続いていた。
せっかくだから参拝したいという女子二人の意見を聞いて、屋台を散策がてら神社を目指すことにする。
「うめのん、お祭りに来たら絶対食べるものなーに?」
仁美ちゃんに聞かれて、なんだろうと視線を持ち上げる。
「とりあえず焼きそばは食うよな。仁美ちゃんは?」
「私りんご飴かなあ」
「じゃあ両方買いに行こうか」
仁美ちゃんと話をしながら屋台を歩く。
いつもの黒髪ロングは綺麗に結われてアップにされていて、剥き出しのうなじは色っぽかった。
俺が女子二人に話し掛けに行ったら、空気を読んだのか亜美ちゃんは真島のところへ行った。
焼きそばを買いながらちらりと真島と亜美ちゃんの方を見ると、どうやらちゃんと仲良さそうに話をしている。
たまに周りが見えなくなるが、なんだかんだ真島は空気読めるんだよな。
「あ」
見ていたら不意に亜美ちゃんが転びそうになった。
とっさに真島がそれを支える。
亜美ちゃんが転ばなくて良かったが、真島に縋り付いたその手がなかなか離れることはなかった。
「うめのん?」
「――あ、ごめん。なに」
「ぼーっとしてたよ。何見てたの?」
仁美ちゃんに指摘されて真島と亜美ちゃんを指差す。
「いや、あいつら仲良いなって」
「ふふ、でも真島くん本当に来てくれると思わなかったから、亜美大喜びしてたんだよ」
「真島も大喜びしてたよ」
「えっ、亜美と行けるから?」
聞かれて、うーんと首を捻る。
ぶっちゃけそれはない。
「あいつ祭りに行くの初めてなんだってさ」
「えー!そうなの?意外だなあ」
他愛のない雑談をしながら今度は仁美ちゃんが食べたいと言ったりんご飴を買う。
こんな甘ったるそうな物食べたいなんて、本当に女の子だ。
微笑ましく見つめてからふと思い出したが、そういや真島も前にアップルパイが好きだとか言ってたな。
別に全く可愛くないが。
買い食いしながら神社まで辿り着く。
駅からは思ったより距離もあったし、寄り道しまくっていたこともあって浴衣の女子二人には大変そうだった。
「お参りする前にちょっと休憩しようか」
参拝にも列を成していることに気付いて、少し石段にでも座ってゆっくりしようと提案した。
当然だが敷地内にも屋台はあって、適当に飲み物を買ってくると二人に手渡す。
「あの、うめちゃん」
こそっと亜美ちゃんに腕を掴まれた。
真島と仁美ちゃんがちょうど話をしているタイミングだったから、なんとなく俺は何を言われるのか察した。
まああれだ。
どうせ二人きりになりたいってやつだろう。
遊園地の時にもあったし。
「…こ、告白しよっかなって」
「え、マジで」
赤面しながら不安に揺れる瞳に、ふと真島が俺に告白してきた時の事を思い出してしまった。
今更だけど亜美ちゃんはちゃんと本気なんだな、なんて再確認する。
正直結果が分かりきっているだけに微妙な気持ちにはなったが、真剣な気持ちに適当な俺が水を差すわけにはいかない。
ちらりと真島を見ると、ちょうどこっちを見ていたらしく目が合った。
こっち見んな、と目を細めると、ギクリとしたように背筋を伸ばして視線を逸らす。
いきなり告白とくるとは思わなかったから少し驚いたが、ともかく二人きりになりたいのは変わらないだろう。
遊園地の時とは事情も違うし、これが最後かと思えば協力しようという気にもなる。
「…分かった。じゃあこの後花火があるらしいからさ、その時にはぐれようか」
「うん!ありがとう」
祭りに花火に告白、とか最高のシチュエーションじゃねーか。
それでもあの真島の気持ちが変わるとは思っていない。
思ってないが、あいつの今日のテンションは絶好調だったし、もしかしたら情に流されて、なんてパターンもあるかもしれない。
いやでもさすがに――。
亜美ちゃんは心ここにあらず、といった感じで真島を見つめていた。
いつもと雰囲気の違う姿と真っ直ぐに恋い焦がれるその視線は、なぜだか俺を落ち着かない気持ちにさせていた。
せっかくだから参拝したいという女子二人の意見を聞いて、屋台を散策がてら神社を目指すことにする。
「うめのん、お祭りに来たら絶対食べるものなーに?」
仁美ちゃんに聞かれて、なんだろうと視線を持ち上げる。
「とりあえず焼きそばは食うよな。仁美ちゃんは?」
「私りんご飴かなあ」
「じゃあ両方買いに行こうか」
仁美ちゃんと話をしながら屋台を歩く。
いつもの黒髪ロングは綺麗に結われてアップにされていて、剥き出しのうなじは色っぽかった。
俺が女子二人に話し掛けに行ったら、空気を読んだのか亜美ちゃんは真島のところへ行った。
焼きそばを買いながらちらりと真島と亜美ちゃんの方を見ると、どうやらちゃんと仲良さそうに話をしている。
たまに周りが見えなくなるが、なんだかんだ真島は空気読めるんだよな。
「あ」
見ていたら不意に亜美ちゃんが転びそうになった。
とっさに真島がそれを支える。
亜美ちゃんが転ばなくて良かったが、真島に縋り付いたその手がなかなか離れることはなかった。
「うめのん?」
「――あ、ごめん。なに」
「ぼーっとしてたよ。何見てたの?」
仁美ちゃんに指摘されて真島と亜美ちゃんを指差す。
「いや、あいつら仲良いなって」
「ふふ、でも真島くん本当に来てくれると思わなかったから、亜美大喜びしてたんだよ」
「真島も大喜びしてたよ」
「えっ、亜美と行けるから?」
聞かれて、うーんと首を捻る。
ぶっちゃけそれはない。
「あいつ祭りに行くの初めてなんだってさ」
「えー!そうなの?意外だなあ」
他愛のない雑談をしながら今度は仁美ちゃんが食べたいと言ったりんご飴を買う。
こんな甘ったるそうな物食べたいなんて、本当に女の子だ。
微笑ましく見つめてからふと思い出したが、そういや真島も前にアップルパイが好きだとか言ってたな。
別に全く可愛くないが。
買い食いしながら神社まで辿り着く。
駅からは思ったより距離もあったし、寄り道しまくっていたこともあって浴衣の女子二人には大変そうだった。
「お参りする前にちょっと休憩しようか」
参拝にも列を成していることに気付いて、少し石段にでも座ってゆっくりしようと提案した。
当然だが敷地内にも屋台はあって、適当に飲み物を買ってくると二人に手渡す。
「あの、うめちゃん」
こそっと亜美ちゃんに腕を掴まれた。
真島と仁美ちゃんがちょうど話をしているタイミングだったから、なんとなく俺は何を言われるのか察した。
まああれだ。
どうせ二人きりになりたいってやつだろう。
遊園地の時にもあったし。
「…こ、告白しよっかなって」
「え、マジで」
赤面しながら不安に揺れる瞳に、ふと真島が俺に告白してきた時の事を思い出してしまった。
今更だけど亜美ちゃんはちゃんと本気なんだな、なんて再確認する。
正直結果が分かりきっているだけに微妙な気持ちにはなったが、真剣な気持ちに適当な俺が水を差すわけにはいかない。
ちらりと真島を見ると、ちょうどこっちを見ていたらしく目が合った。
こっち見んな、と目を細めると、ギクリとしたように背筋を伸ばして視線を逸らす。
いきなり告白とくるとは思わなかったから少し驚いたが、ともかく二人きりになりたいのは変わらないだろう。
遊園地の時とは事情も違うし、これが最後かと思えば協力しようという気にもなる。
「…分かった。じゃあこの後花火があるらしいからさ、その時にはぐれようか」
「うん!ありがとう」
祭りに花火に告白、とか最高のシチュエーションじゃねーか。
それでもあの真島の気持ちが変わるとは思っていない。
思ってないが、あいつの今日のテンションは絶好調だったし、もしかしたら情に流されて、なんてパターンもあるかもしれない。
いやでもさすがに――。
亜美ちゃんは心ここにあらず、といった感じで真島を見つめていた。
いつもと雰囲気の違う姿と真っ直ぐに恋い焦がれるその視線は、なぜだか俺を落ち着かない気持ちにさせていた。
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