補綴師(ほてつし)

電気羊の夢

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第一章 蛹化

リトライ

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 私にとって二回目の女湯は、初めての時よりリラックス出来ていました。

 初めて女湯に入った時、私は緊張で男として性的に興奮しなかった可能性がありましたが、今回も、女性の裸を見ても体に生理的な変化は起こりませんでした。

 やはり、女装した私の精神は女性になっているようで、私は男の精神状態で男湯にいる時と同じ感覚になっていました。

 私は女湯の脱衣所で全裸になりました。

 Cカップの大きさにボリュームダウンさせた乳房からは、巨乳の印象がなくなっていて、柔らかい乳房は適度に垂れていました。

 バージョンアップさせた乳房は、鎖骨を起点になだらかに膨らんでいて、人為的に作った乳房の不自然さを感じさせませんでした。

 ちなみに、一昔前の豊胸手術はシリコンを使っていて、乳房の膨らみが不自然でしたが、今の生理食塩水を使った豊胸は、その不自然さがなくなっていました。

 乳房の膨らみは液体で再現する事が正解だったようで、私のエピテーゼ作りは間違っていませんでした。

 また、乳頭や乳輪の色も目を引く綺麗さではなく、それでいて、濃すぎて目立つ事もありませんでした。

 そして、少し太くなった太ももの形状も自然に見え、背中からつま先にかけてのラインが滑らかになっていました。

 私の裸体のシルエットは、乳房をボリュームダウンさせた事による華奢な上半身と、ボリュームアップさせた太ももと新たに作ったお腹の膨らみによるふくよかな下半身により、少女の様な印象から適齢期の女性の印象に変わっていました。

 それは、想像で作製した女性器の形状と、成人女性から型を起こした女性器との違いも影響していました。

 女性器は骨盤の発育に伴い、その位置がお尻側に後退する傾向にあり、私の陰裂の位置も成人女性と同じ位置になっていて、女性特有のぽっこりとしたお腹は、今すぐにでも妊娠できそうな、女性としての生殖能力の高さをアピールしていました。

 自分の女体に自信を持った私は大浴場へ向かいました。

 ただ、私は浴槽に10分以上浸かる事が出来ませんでした。

 それは、血行が良くなった肌とエピテーゼの肌の色に差が出るからでした。

 私は自宅のお風呂で予行演習を行い、接着剤の耐久性を確認していて、その時に肌の色の違いに気付いていました。

 私は主に洗い場と脱衣所で自分の裸体を女性に見てもらう事にしましたが、女性たちは私の裸をじっくりと見る事はしませんでした。

 それは、公衆浴場という場所が影響していたようで、同性であっても他人の裸をじっくりと見る行為はエチケット違反にあたるからでした。

 勿論、私も女性たちの裸をじっくりと見ませんでしたが、油断している女性たちは、私の目の前で自分の裸体を晒していました。

 私は綺麗な女性の裸を洗い場の鏡越しに観察し、エピテーゼのバージョンアップの参考にする事にしました。

 初めて入った女湯の大浴場は、私が思っていた以上に女性器が見えていて、意外にも陰裂から小陰唇がはみ出ている女性が多くいました。

 私は改めて陰核や小陰唇を再現して良かったと思いました。

 また、股関節の骨格が女性化していない私は、骨盤の幅を広くしようとすると、下半身を全体的に太くするしかなく、細い脚をした女性が羨ましく思えました。

 本物の女性は、股関節同士の間隔が広く、細い脚をした女性には、左右の太ももの間に逆三角形をした隙間が出来ていて、太った女性の様に太もも同士が密着する事はありませんでした。

 私の股間は、太った女性の様に太もも同士が密着する事はありませんでしたが、太ももの間に出来る逆三角形をした隙間は狭く、痩せている印象はありませんでした。

 世の中には私よりも綺麗な体のパーツを持った女性が多くいて、彼女たちは惜しみなく私に裸体を晒してくれました。

 スタイルの良い女性は、他の女性にマウントを取るように自分の裸体を晒していましたが、上には上がいて、外国人女性のスタイルの良さは日本人の比ではありませんでした。

 最近は外国人の入浴客も増えているようで、若い白人女性の裸体は同じ人類とは思えない程に美しく、また、彼女たちの多くが陰毛を処理していて、剥き出しになっている大陰唇も綺麗な肌色をしていました。

 女湯には私よりも女らしくない女性も多くいましたが、私は自分の女体に自信を失っていて、女湯から撤退する事にしました。

「あのお姉さん綺麗だねw」
「そうねw モデルさんかしらw」

 脱衣所に向かう私の裸を見た女の子が、お母さんらしき人と会話をしていました。

 私に会話を聞かれた事に気付いた若いお母さんは、笑顔で私に会釈をしました。

 自分の女体に自信を失っていた私は、本物の女性に自分の裸体を褒められた事に驚きました。

 私は改めて鏡に映った自分の全身を確認しましたが、その背景には他の女性の裸体も映っていました。

 客観的に見た私の裸体は、高い身長のお陰で脚の太さが気にならず、適度に大きい乳房の形状は美しく、広がった骨盤との対比でウエストの括れが強調されていて、男の肉体をベースにしたお尻は垂れていませんでした。

 体の部分部分では、私の体は劣っていましたが、全体のバランスでは本物の女性に負けていませんでした。

 脚の細い女性は乳房の膨らみが小さく、乳房の大きい女性は乳房だけではなく、お尻の膨らみも垂れていました。

 私は改めて私の裸を見ている本物の女性たちのリアクションを、大きな鏡越しに確認しました。

 女性たちの中には、中学生くらいの女の子もいて、彼女たちは背中を向けている私を羨望の眼差しで見ながら、私の裸体について話をしているようでした。

 それは「自己女性化愛好症」の私にとって至福の時で、女性としての優越感に浸った私の人工女性器からは、カウパー腺液が溢れ出していて、女湯のタイルの上に垂れていました…。
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