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16・夜景が見えるレストランにて
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私たちが通されたのは夜景が見える窓際の席である。
満天の星。
それはさながら宝石が散りばめられているみたい。
しかも個室。VIP待遇だ。王子……というか、アロイス様すごい。
「お酒は飲むか?」
対面に腰をかけたアロイス様が、私にそう質問する。
「では、少しだけ……」
「分かった」
パチンとアロイス様が指を鳴らす。
この国では十六歳になるとお酒を飲んでも問題ない。とはいえ、私は子ども舌なのか、今まであまり飲まなかったけどね。
ウェイターの人から蜜柑ベースのカクテルを受け取る。対してアロイス様は高そうなワインだ。
「素敵な夜に乾杯」
そう言って、アロイス様がワイングラスを上げる。私も慌てて応えた。
運ばれてくる料理はどれも美味しかった。
これでも侯爵令嬢だから、高級料理はたくさん食べたきたけど……一番美味しい気がする。
それはコックの腕もあるけど、向いにアロイス様が座っているからだと思った。
「今日はありがとう」
アロイス様がそう礼を言う。
「いえ……私の方こそ、ありがとうございます。こんなに楽しいデートは初めてかもしれません」
「前の婚約者の時にも?」
試すような口調で、アロイス様が問いかける。
「……分かりません。フリッツと婚約していた時は、初めての恋でしたので。彼に付いていくだけで精一杯で、楽しむ余裕などありませんでした」
「うむ……そうか。仕方がない。しかし嫉妬してしまうな。フリッツ子息は俺の知らない君の姿も知っている。願わくば、ディアナは俺が独占したい」
その声はいつも余裕たっぷりなアロイス様には珍しく、嫉妬心が含まれているように感じた。
「聞いたぞ。フリッツ子息との婚約破棄が、正式に成立したらしいな」
「はい」
「フリッツ子息は、なにか言ってこなかったか?」
「彼は私との婚約を破棄することを嫌がっているようでした。一悶着ありましたが……結果的にはフリッツ有責で婚約破棄といたりましたし、些細なことです」
「それはよかった。もし、フリッツ子息がまだなにか言ってくるようなら、俺を頼るといい。君が満足する結果を約束しよう」
「ありがとうございます」
頼り甲斐のあるアロイス様。
フリッツには彼ほどの包容力を、感じたことがなかったかもしれない。
「それで……婚約破棄が正式に決定するまで、アロイス様との婚約を待ってほしいと伝えていましたが……」
「うむ」
私の瞳をじっと見て、答えを待つアロイス様。
「もう少し、返事をお待ちいただいてもよろしいでしょうか? 非常に失礼な真似をしていると自覚しています。ですが、まだ気持ちの整理が……」
「問題ない」
言葉を選んでいる私を、アロイス様は手で制する。
「なにも、婚約の返事を聞かせてもらおうと思って、デートに誘ったわけでもない。ただ俺は君と一緒にいたかったんだ。急ぐことではない。じっくりと考えて、答えを出してくれ」
「す、すみません……」
アロイス様はそう言ってくれているけど、やっぱり申し訳ない。
返事を待たせて、男をキープするだけの女にはなりたくなかったのだ。
彼に不満はない。アロイス様が私を大切にしてくれるのは、今日のデートで伝わった。
しかし──いや、だからこそと言っていいだろうか──本当に私でいいんだろうか? という気持ちが先走る。
今日のデートも私はドキドキしっぱなしなのに、アロイス様は平常心のままだ。
きっとこういう機会に慣れているんだろう。
完璧超人のアロイス様の隣に、果たして私はふさわしいんだろうか?
それにこのドキドキは果たして、愛や恋なのだろうか?
デートの最中もそんなことを考えていたけど、どうしても答えが出なかった。
「そう、暗い顔をするな。君は笑顔が似合っている。楽しい話をしよう。俺が卒業してから学園は──」
そうアロイス様が言葉を続けようとした時。
彼は持っているフォークを床に落としてしまった。
「いかん、いかん。俺としたことが」
しかしアロイス様は慌てない。店員がすぐに代わりのフォークを持ってきてくれて、それを受け取った。
「アロイス様もそういうところがあるんですね」
「はっはっは、カッコ悪いところを見せてしまったな」
「いえいえ、アロイス様にも可愛いところがあると思いまして」
ただフォークを落としただけだが……アロイス様はそういう些細なミスすらしないと思った。
だが、彼も私と同じ人間なのだ。そう思うと、少し気が軽くなったような気がした。
「す、すみません。可愛いなどと言ってしまい……」
「謝らなくてもいい。それに少しは緊張が解れたか? やはり君はそういう顔をしている方が魅力的だ」
アロイス様にそう見つめられると、またもや心臓の鼓動が跳ね上がってしまう。
やっぱり、アロイス様の方が一枚上手みたい。
そうして私たちは楽しい夜を過ごした。
◆ ◆
「街中でのデートのことだけではなく、邸宅まで送迎まで……本当にありがとうございます」
「好きな女を一人で帰らせるわけにはいかないだろう? それに……最近は物騒だからな」
馬車の中。
アロイス様に家まで送ってもらいながら、私たちは言葉を交わしていた。
「聞いているか? 最近、街では魔族の被害が多い……と」
「……はい」
魔族。
人間とは相容れぬ存在。
魔族は膨大な魔力量を持ち、人に害をなす存在だ。彼らは狡猾で、中には人間社会に溶け込み普通に生活している者もいるという。
昔から魔族によって被害を受けた人たちは多いが、最近はさらに酷くなっている気がする。
つい先日にも夜道を歩く令嬢が魔族に襲われたニュースが、私の耳にも届いた。
騎士団の方々も魔族の被害を撲滅しようとしているが、なかなか手が追いついていないのが現状。
人と魔族の争いは、長年にわたって私たちを悩ませている課題だ。
「俺と別れた後、魔族に襲われた……と聞いたら、俺は悔やんでも悔やみきれないよ。君のことは俺が必ず守る。それは婚約しても同じだ」
「重ね重ね、ありがとうございます」
彼の自信に満ちた顔を見ていたら、自然と安心感が生まれる。
十三年でよくもこう変わるものだ。
十三年前、王城の中庭で自信なさげにしゃがみこんでいた『アロー君』と、今の彼の姿がどうしても重ならなかった。
やがて馬車は私の家のまで到着。
「これでお別れだな」
「今日は楽しかったです。また、このような機会があれば嬉しく思います」
「それはこちらも同じだ。君が望むなら、何度でも今日のような日を過ごそう」
そう言って、アロイス様は私に背を向けた。
彼の乗った馬車が見えなくなるまで、私は見守り続けていた。
名残惜しい気持ちもあったが、私は踵を返し──。
ぞわっ。
一瞬視線を感じて、鳥肌が立つ。
反射的に振り返るが、誰もいない。常闇が広がっているだけであった。
「……気のせいかしら?」
首を傾げて、今度こそ私は歩き出した。
満天の星。
それはさながら宝石が散りばめられているみたい。
しかも個室。VIP待遇だ。王子……というか、アロイス様すごい。
「お酒は飲むか?」
対面に腰をかけたアロイス様が、私にそう質問する。
「では、少しだけ……」
「分かった」
パチンとアロイス様が指を鳴らす。
この国では十六歳になるとお酒を飲んでも問題ない。とはいえ、私は子ども舌なのか、今まであまり飲まなかったけどね。
ウェイターの人から蜜柑ベースのカクテルを受け取る。対してアロイス様は高そうなワインだ。
「素敵な夜に乾杯」
そう言って、アロイス様がワイングラスを上げる。私も慌てて応えた。
運ばれてくる料理はどれも美味しかった。
これでも侯爵令嬢だから、高級料理はたくさん食べたきたけど……一番美味しい気がする。
それはコックの腕もあるけど、向いにアロイス様が座っているからだと思った。
「今日はありがとう」
アロイス様がそう礼を言う。
「いえ……私の方こそ、ありがとうございます。こんなに楽しいデートは初めてかもしれません」
「前の婚約者の時にも?」
試すような口調で、アロイス様が問いかける。
「……分かりません。フリッツと婚約していた時は、初めての恋でしたので。彼に付いていくだけで精一杯で、楽しむ余裕などありませんでした」
「うむ……そうか。仕方がない。しかし嫉妬してしまうな。フリッツ子息は俺の知らない君の姿も知っている。願わくば、ディアナは俺が独占したい」
その声はいつも余裕たっぷりなアロイス様には珍しく、嫉妬心が含まれているように感じた。
「聞いたぞ。フリッツ子息との婚約破棄が、正式に成立したらしいな」
「はい」
「フリッツ子息は、なにか言ってこなかったか?」
「彼は私との婚約を破棄することを嫌がっているようでした。一悶着ありましたが……結果的にはフリッツ有責で婚約破棄といたりましたし、些細なことです」
「それはよかった。もし、フリッツ子息がまだなにか言ってくるようなら、俺を頼るといい。君が満足する結果を約束しよう」
「ありがとうございます」
頼り甲斐のあるアロイス様。
フリッツには彼ほどの包容力を、感じたことがなかったかもしれない。
「それで……婚約破棄が正式に決定するまで、アロイス様との婚約を待ってほしいと伝えていましたが……」
「うむ」
私の瞳をじっと見て、答えを待つアロイス様。
「もう少し、返事をお待ちいただいてもよろしいでしょうか? 非常に失礼な真似をしていると自覚しています。ですが、まだ気持ちの整理が……」
「問題ない」
言葉を選んでいる私を、アロイス様は手で制する。
「なにも、婚約の返事を聞かせてもらおうと思って、デートに誘ったわけでもない。ただ俺は君と一緒にいたかったんだ。急ぐことではない。じっくりと考えて、答えを出してくれ」
「す、すみません……」
アロイス様はそう言ってくれているけど、やっぱり申し訳ない。
返事を待たせて、男をキープするだけの女にはなりたくなかったのだ。
彼に不満はない。アロイス様が私を大切にしてくれるのは、今日のデートで伝わった。
しかし──いや、だからこそと言っていいだろうか──本当に私でいいんだろうか? という気持ちが先走る。
今日のデートも私はドキドキしっぱなしなのに、アロイス様は平常心のままだ。
きっとこういう機会に慣れているんだろう。
完璧超人のアロイス様の隣に、果たして私はふさわしいんだろうか?
それにこのドキドキは果たして、愛や恋なのだろうか?
デートの最中もそんなことを考えていたけど、どうしても答えが出なかった。
「そう、暗い顔をするな。君は笑顔が似合っている。楽しい話をしよう。俺が卒業してから学園は──」
そうアロイス様が言葉を続けようとした時。
彼は持っているフォークを床に落としてしまった。
「いかん、いかん。俺としたことが」
しかしアロイス様は慌てない。店員がすぐに代わりのフォークを持ってきてくれて、それを受け取った。
「アロイス様もそういうところがあるんですね」
「はっはっは、カッコ悪いところを見せてしまったな」
「いえいえ、アロイス様にも可愛いところがあると思いまして」
ただフォークを落としただけだが……アロイス様はそういう些細なミスすらしないと思った。
だが、彼も私と同じ人間なのだ。そう思うと、少し気が軽くなったような気がした。
「す、すみません。可愛いなどと言ってしまい……」
「謝らなくてもいい。それに少しは緊張が解れたか? やはり君はそういう顔をしている方が魅力的だ」
アロイス様にそう見つめられると、またもや心臓の鼓動が跳ね上がってしまう。
やっぱり、アロイス様の方が一枚上手みたい。
そうして私たちは楽しい夜を過ごした。
◆ ◆
「街中でのデートのことだけではなく、邸宅まで送迎まで……本当にありがとうございます」
「好きな女を一人で帰らせるわけにはいかないだろう? それに……最近は物騒だからな」
馬車の中。
アロイス様に家まで送ってもらいながら、私たちは言葉を交わしていた。
「聞いているか? 最近、街では魔族の被害が多い……と」
「……はい」
魔族。
人間とは相容れぬ存在。
魔族は膨大な魔力量を持ち、人に害をなす存在だ。彼らは狡猾で、中には人間社会に溶け込み普通に生活している者もいるという。
昔から魔族によって被害を受けた人たちは多いが、最近はさらに酷くなっている気がする。
つい先日にも夜道を歩く令嬢が魔族に襲われたニュースが、私の耳にも届いた。
騎士団の方々も魔族の被害を撲滅しようとしているが、なかなか手が追いついていないのが現状。
人と魔族の争いは、長年にわたって私たちを悩ませている課題だ。
「俺と別れた後、魔族に襲われた……と聞いたら、俺は悔やんでも悔やみきれないよ。君のことは俺が必ず守る。それは婚約しても同じだ」
「重ね重ね、ありがとうございます」
彼の自信に満ちた顔を見ていたら、自然と安心感が生まれる。
十三年でよくもこう変わるものだ。
十三年前、王城の中庭で自信なさげにしゃがみこんでいた『アロー君』と、今の彼の姿がどうしても重ならなかった。
やがて馬車は私の家のまで到着。
「これでお別れだな」
「今日は楽しかったです。また、このような機会があれば嬉しく思います」
「それはこちらも同じだ。君が望むなら、何度でも今日のような日を過ごそう」
そう言って、アロイス様は私に背を向けた。
彼の乗った馬車が見えなくなるまで、私は見守り続けていた。
名残惜しい気持ちもあったが、私は踵を返し──。
ぞわっ。
一瞬視線を感じて、鳥肌が立つ。
反射的に振り返るが、誰もいない。常闇が広がっているだけであった。
「……気のせいかしら?」
首を傾げて、今度こそ私は歩き出した。
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