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5・親友の王女様
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「ディアナ、急にどうしたのよ」
お昼休み。
クラスメイトの好奇の視線にさらされ続けていたが、ようやく一息吐くことが出来る。
私は屋上のテラスで食後の紅茶を飲みながら、親友のコルネリアと喋っていた。
「急にって?」
「とぼけないで。その姿のことよ。婚約者のフリッツに言われて、今までわざと地味な格好をしていたんじゃ?」
そう言って、コルネリアは一度紅茶を飲む。
大きな瞳をした、可愛らしい少女だ。
ふわふわとした髪は泡のように軽やかで、その柔らかさはまるで天使の羽のようだろう。
視線を引きつける美しさは、同性の私でもつい見惚れてしまう。
彼女の動き一つ一つは非常に優雅で洗練されており、高貴な生まれの人々が持つ独特の気品さを持ち合わせていた。
それもそのはず。
コルネリアはこの国──ベラトリア国の第三王女なのである。
彼女とはこの学園に入学して以来、なにかと気が合う。
本来、侯爵家の私が王女相手にこんなざっくばらんな話し方をするのは不敬なんだけど、彼女は許してくれている。
っていうか「ディアナには一親友として接してほしいから」という彼女の希望で、こういう喋り方をしている。
親身になって話を聞いてくれる優しいコルネリアに、私はしばしば相談事もしていた。
「そうね……コルネリアになら言ってもいいかも」
婚約破棄が成立するまで、他人にあまり喋るつもりはなかった。
しかしコルネリア相手なら別だ。彼女なら信頼出来る。
私は一度深呼吸をしてから、昨日の一件を伝える。
もちろん、フリッツとの婚約を破棄するつもりなのも……だ。
話終わった後、コルネリアは怒った様子で、
「信じられないわ! ディアナっていう素敵な婚約者がいるのに、パーティーで他の女に目移りするなんて! ディアナ、正解よ。そんな婚約者とは信頼関係を築けるはずないわ!」
と言ってくれた。
よかった……あまり心配してはいなかったものの、コルネリアには味方になってほしかったからね。
「だからもう、フリッツの言うことを聞く必要がなくなったということね」
「うん。前の姿も、嫌々だったから」
と私は肩をすくめる。
「良いと思うわ。ディアナは今の姿の方が似合っていると思うもの。とってもキレイ」
「ありがとう」
「それにしても……リーゼねえ。他の男に手を出している話はよく聞くけど、まさかディアナの婚約者にも手を出すなんて」
コルネリアは困ったように眉尻を下げる。
「リーゼって平民だけど、次の聖女候補だから学園に入学出来ているのよね?」
「そうね。今の聖女様はご高齢だから。お父様は早いところ、次の聖女を指名したいと思っているはずよ」
お父様──当たり前だが、この場合ベラトリア国の国王陛下のことを指す。
この国において、聖女は国王や妃の次くらいに権威がある役職だ。
普段は教会と過ごしていると言われる。
奇跡とも称される魔法。
そして誰からも愛される人柄。
こういったことから、国民の中で聖女の人気は高い。神の代弁者と言われることも多い。
ゆえに聖女の存在は、この国において欠かせない存在だ。一代につき一人限り。今の聖女が亡くなるまでに、陛下としても次の聖女を指名しておきたい。
しばらく聖女が空座であった時代もあるらしいが、その際王室の支持率が目に見えてガクッと下がったっていう話もあるくらいだ。
「だからリーゼの学園入学は、強引に決まったらしいのよ。それに対して反対意見も多かった、って聞くんだけど」
「だけど聖女といったら、魔力だけではなく人格も求められるのよね? 果たして、リーゼに聖女が務まるのかしら?」
「ディアナ以外にも、そういった疑問の声は多いわ。マナーの部分はこれから覚えていくにしても……男癖が悪いのわねえ。まあ彼女も上手くやってると思うから、まだお父様の耳には入っていないと思うけど」
とコルネリアは続けた。
「私も彼女が聖女になることは、消極的反対っていう立場だった。でもディアナからの話を聞いて、気が変わった。あの子は聖女にふさわしくない!」
「いいの? 私だけしか聞いていないけど、仮にも王女という立場でそんなことを言って……」
「いいのよ。わたしはディアナの味方なんだからっ! もっとも、第三王女であるわたしがどこまで力になれるか分からないけど……」
口惜しそうにコルネリアは言う。
彼女は側妃の娘である性質上、王室内でも発言力はあまり高くないらしい。
とはいえ、王族であることには変わりないから、他の人たちと比べて……っていうことだし、十分すごいんだけど。
「コルネリアにそう言ってもらえるだけでも、気が楽になるわ。コルネリア、いつもありがとうね」
「だって親友が困っていたら、手を差し伸べるのは当たり前のことでしょ? あなたがそう言う必要は、どこにもないのよ」
とコルネリアは優しげに笑う。
うーん……リーゼなんかより、コルネリアの方がよっぽど聖女にふさわしいと思う。
実際、私だけじゃなく、王女なのに気さくなコルネリアのファンは多い。
そういう彼女だからこそ、私も信頼してフリッツとの一件を話せたというものだ。
「ということは……ディアナ、今は恋人なしってことよね」
「まあ、そういうことになるのかな?」
「早く次の恋を見つけなくっちゃね。誰か気になる人とかいないの?」
テーブルから身を乗り出して、コルネリアは興味津々に聞いてくる。
「い、今は考えられないわ。だってフリッツとあんなことがあった直後ですもの。それに私も貴族だから、自分の気持ちを優先するわけにはいかないし……」
「なに言ってんのよ。別に政略結婚だけが貴族の恋愛じゃないでしょ? 実際、自由恋愛の末に結婚した貴族も多いし」
「そりゃそうだけど……」
「大事なのは自分の気持ちよ。恋に臆病になっちゃダメ」
なるほど……リーゼの言うことにも一理あるかもしれない。
「そうね。でもやっぱり、今は無理よ。だって相手がいないですもの。自分から探すのも気後れするし」
幼い頃は勉強漬けで、それが落ち着いたと思ったらフリッツと婚約した。
ゆえに他の令嬢と比べて、男への耐性がないのかもしれない……ということに、今ふと気付いた。
「相手がいない……ねえ。今のディアナだったら、色んな男が声かけてくると思うけど」
微笑み、コルネリアはさらに続ける。
「ということは、良い相手がいたら恋をしてもいいと思っているってこと?」
「まあ、そういうことね。積極的に自分から探しにいくつもりはないけど」
「なるほどね……」
ふむふむと頷くコルネリア。
その際、彼女の口元がニヤリと笑ったのが見えた。
お昼休み。
クラスメイトの好奇の視線にさらされ続けていたが、ようやく一息吐くことが出来る。
私は屋上のテラスで食後の紅茶を飲みながら、親友のコルネリアと喋っていた。
「急にって?」
「とぼけないで。その姿のことよ。婚約者のフリッツに言われて、今までわざと地味な格好をしていたんじゃ?」
そう言って、コルネリアは一度紅茶を飲む。
大きな瞳をした、可愛らしい少女だ。
ふわふわとした髪は泡のように軽やかで、その柔らかさはまるで天使の羽のようだろう。
視線を引きつける美しさは、同性の私でもつい見惚れてしまう。
彼女の動き一つ一つは非常に優雅で洗練されており、高貴な生まれの人々が持つ独特の気品さを持ち合わせていた。
それもそのはず。
コルネリアはこの国──ベラトリア国の第三王女なのである。
彼女とはこの学園に入学して以来、なにかと気が合う。
本来、侯爵家の私が王女相手にこんなざっくばらんな話し方をするのは不敬なんだけど、彼女は許してくれている。
っていうか「ディアナには一親友として接してほしいから」という彼女の希望で、こういう喋り方をしている。
親身になって話を聞いてくれる優しいコルネリアに、私はしばしば相談事もしていた。
「そうね……コルネリアになら言ってもいいかも」
婚約破棄が成立するまで、他人にあまり喋るつもりはなかった。
しかしコルネリア相手なら別だ。彼女なら信頼出来る。
私は一度深呼吸をしてから、昨日の一件を伝える。
もちろん、フリッツとの婚約を破棄するつもりなのも……だ。
話終わった後、コルネリアは怒った様子で、
「信じられないわ! ディアナっていう素敵な婚約者がいるのに、パーティーで他の女に目移りするなんて! ディアナ、正解よ。そんな婚約者とは信頼関係を築けるはずないわ!」
と言ってくれた。
よかった……あまり心配してはいなかったものの、コルネリアには味方になってほしかったからね。
「だからもう、フリッツの言うことを聞く必要がなくなったということね」
「うん。前の姿も、嫌々だったから」
と私は肩をすくめる。
「良いと思うわ。ディアナは今の姿の方が似合っていると思うもの。とってもキレイ」
「ありがとう」
「それにしても……リーゼねえ。他の男に手を出している話はよく聞くけど、まさかディアナの婚約者にも手を出すなんて」
コルネリアは困ったように眉尻を下げる。
「リーゼって平民だけど、次の聖女候補だから学園に入学出来ているのよね?」
「そうね。今の聖女様はご高齢だから。お父様は早いところ、次の聖女を指名したいと思っているはずよ」
お父様──当たり前だが、この場合ベラトリア国の国王陛下のことを指す。
この国において、聖女は国王や妃の次くらいに権威がある役職だ。
普段は教会と過ごしていると言われる。
奇跡とも称される魔法。
そして誰からも愛される人柄。
こういったことから、国民の中で聖女の人気は高い。神の代弁者と言われることも多い。
ゆえに聖女の存在は、この国において欠かせない存在だ。一代につき一人限り。今の聖女が亡くなるまでに、陛下としても次の聖女を指名しておきたい。
しばらく聖女が空座であった時代もあるらしいが、その際王室の支持率が目に見えてガクッと下がったっていう話もあるくらいだ。
「だからリーゼの学園入学は、強引に決まったらしいのよ。それに対して反対意見も多かった、って聞くんだけど」
「だけど聖女といったら、魔力だけではなく人格も求められるのよね? 果たして、リーゼに聖女が務まるのかしら?」
「ディアナ以外にも、そういった疑問の声は多いわ。マナーの部分はこれから覚えていくにしても……男癖が悪いのわねえ。まあ彼女も上手くやってると思うから、まだお父様の耳には入っていないと思うけど」
とコルネリアは続けた。
「私も彼女が聖女になることは、消極的反対っていう立場だった。でもディアナからの話を聞いて、気が変わった。あの子は聖女にふさわしくない!」
「いいの? 私だけしか聞いていないけど、仮にも王女という立場でそんなことを言って……」
「いいのよ。わたしはディアナの味方なんだからっ! もっとも、第三王女であるわたしがどこまで力になれるか分からないけど……」
口惜しそうにコルネリアは言う。
彼女は側妃の娘である性質上、王室内でも発言力はあまり高くないらしい。
とはいえ、王族であることには変わりないから、他の人たちと比べて……っていうことだし、十分すごいんだけど。
「コルネリアにそう言ってもらえるだけでも、気が楽になるわ。コルネリア、いつもありがとうね」
「だって親友が困っていたら、手を差し伸べるのは当たり前のことでしょ? あなたがそう言う必要は、どこにもないのよ」
とコルネリアは優しげに笑う。
うーん……リーゼなんかより、コルネリアの方がよっぽど聖女にふさわしいと思う。
実際、私だけじゃなく、王女なのに気さくなコルネリアのファンは多い。
そういう彼女だからこそ、私も信頼してフリッツとの一件を話せたというものだ。
「ということは……ディアナ、今は恋人なしってことよね」
「まあ、そういうことになるのかな?」
「早く次の恋を見つけなくっちゃね。誰か気になる人とかいないの?」
テーブルから身を乗り出して、コルネリアは興味津々に聞いてくる。
「い、今は考えられないわ。だってフリッツとあんなことがあった直後ですもの。それに私も貴族だから、自分の気持ちを優先するわけにはいかないし……」
「なに言ってんのよ。別に政略結婚だけが貴族の恋愛じゃないでしょ? 実際、自由恋愛の末に結婚した貴族も多いし」
「そりゃそうだけど……」
「大事なのは自分の気持ちよ。恋に臆病になっちゃダメ」
なるほど……リーゼの言うことにも一理あるかもしれない。
「そうね。でもやっぱり、今は無理よ。だって相手がいないですもの。自分から探すのも気後れするし」
幼い頃は勉強漬けで、それが落ち着いたと思ったらフリッツと婚約した。
ゆえに他の令嬢と比べて、男への耐性がないのかもしれない……ということに、今ふと気付いた。
「相手がいない……ねえ。今のディアナだったら、色んな男が声かけてくると思うけど」
微笑み、コルネリアはさらに続ける。
「ということは、良い相手がいたら恋をしてもいいと思っているってこと?」
「まあ、そういうことね。積極的に自分から探しにいくつもりはないけど」
「なるほどね……」
ふむふむと頷くコルネリア。
その際、彼女の口元がニヤリと笑ったのが見えた。
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