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二章
15・復讐はまだ続く
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「今日からド底辺人生を送ることになったマルレーネの門出を祝って、プレゼントがあるんだ!」
と心優しい俺はとある道具を取り出した。
「あははははははは! やったーですわ!」
マルレーネが壊れたように笑っている。
オークのような顔をした女がこんな不気味な笑い方をしているのだ。
周囲にいた教皇、神官共は最早枢機卿でもなくなった彼女を見て、引いていた。
中には「次は自分の番かもしれない」といった面持ちで、震えているヤツもいたが。
「イーディス。取ってきてくれ」
「うん。分かった」
とことことイーディスを歩いて行き、近くの棚からとある液体が入った瓶を持ってきた。
当初の打ち合わせ通りだ。
「これはなんだと思う?」
「ポーションですわ! 心優しいアルフ様は、わたくしを回復してくれようとしているのですわ!」
「ぶぶー。間違いだ」
「ぎにゃー!」
マルレーネにはこの真っ黒な液体がポーションに見えるんだろうか?
「お前、キレイな髪してるよな」
改めてマルレーネの髪を見た。
宝石がこぼれ落ちるような金色の髪。
マルレーネ自慢の髪で、いつも手入れを怠っていなかった。
この世界において、金色の髪というのはみんなの憧れだ。
「でもこーんなキレイな髪。今からの人生じゃ不釣り合いだよな?」
ニイと口角を釣り上げた。
「わたくしの髪、キレイ? キレイ?」
今から起こることも知らず、マルレーネは目を輝かせた。
「ああ——だからこうしてやる!」
そんなマルレーネの頭上から、俺は一気に液体をぶちまけた。
真っ黒な液体が髪に浸透していく。
「鏡も見せてやるよ!」
「わたくしの髪が……くろ、いろ、になっていきますわ……あは、あははははははは!」
さらに壊れたように笑い出すマルレーネ。
そうなのだ。
このマルレーネにぶちまけた液体は『カラーペイント』と呼ばれるものである。
本来、建物や道具に色鮮やかに塗るための道具だ。
この液体には微量な魔力が含まれており、ペンキといった塗料よりも剥がれにくくなっている。
さらに液体は下まで染み渡っていく。
例えば草にこの液体をぶちまけると、地面の下まで染み渡っていくため、成長して伸びていってもまだ色が付いたままだという。
「どうだ? 真っ黒な髪だ! どこにでもいる真っ黒な髪! 嬉しいだろう?」
「わたくしの髪が黒になった! わたくしのキレイな金色の髪が黒になった! 今まで見下していた庶民と同じ色になった! あははははははは!」
表情は笑っているが、マルレーネは目から涙をこぼしていた。
なかなか器用なヤツだ。
さらさらしたマルレーネの髪が黒色になっただけではなく、見るからにガシガシになっていく。
本来カラーペイントは人体に使うものではないのだ。
髪なんかに使ってみろ。一瞬で痛んでしまい、これからいくら手入れをしても追いつかないだろうな。
「本当にこの部屋はなんでもあるな! 今まで悪魔審判と称して、被害者で遊んでいたのが想像出来るよ!」
このカラーペイントが審判室にあるのも、今俺が考えたようなことをこいつ等もやってたんだろう。
自業自得だ。
「さて……マルレーネも壊れたし。そろそろ聖堂の中に信者達も入ってきそうだな」
大聖堂の扉はもう決壊寸前である。
ぶち破られ、信者達がここに流れ込んでくるのは時間の問題だろう。
「じゃあ俺、もう行くよ!」
と俺は神官共に手を振って、ここから出て行こうとした。
「アルフ。どこから逃げるの?」
「秘密の通路を知ってる。こうなることは分かっていたから、予め他の神官に教えてもらったんだ。脅迫してな」
「成る程」
「まあ俺が通った後は、入り口は封鎖させてもらうが」
弱くなっている神官共では、俺と同じルートを辿って逃げることは不可能なはずだ。
「今から信者達が流れ込んでくるけど、頑張ってくれ! なあに、本当にイーディス神のご加護というものがあったら、生き残れると思うよ!」
絶望で顔を暗くしている一人の神官の肩を、元気づけるようにポンと叩いた。
「ああ……イーディス神よ。我を……我だけでもいいから、助けたまえ」
「そんな自分勝手なヤツにイーディス神は微笑まないよ」
「うん。その通り。アルフみたいに慈悲深き優しい人じゃないと、わたしは笑わない」
とイーディスがぼそっと言った。
あっ、そうそう。
忘れるところだった。
俺はマルレーネに近付き、とある魔石を発動させた。
「もっともっと苦しめ。俺の経験した底辺はこんなもんじゃない」
「——! あははははははは!」
壊れたマルレーネでは俺の言葉を理解出来るんだろうか。
まあいっか。
これで終わりじゃないんだからな。
マルレーネの狂ったような笑い声を聞きながら、俺は脱出用の通路へと急いだ。
◆ ◆
「アルフ。これであの聖女への復讐は終わり?」
秘密の通路はじめじめと暗い場所だ。
街の外の森まで通じており、結構長くなっている。
上から信者の怒声と、神官共の悲鳴が聞こえてきた。
極上の音楽であった。耳が浄化されていくようであった。
「そんなわけないよ」
俺はイーディスと通路を歩きながら、復讐について話す。
「でも、あそこで聖女は殺される。そうなったら、聖女にもう復讐は出来ない」
「最後、俺がマルレーネに使ったのは緊急脱出用の転移の魔石だ」
「えっ?」
イーディスが目を丸くする。
「この魔石を使用すると、死ぬ寸前で魔法が発動して脱出出来るんだ。主にダンジョンに行く冒険者達がよく使っているな」
「どうして……? あのクソ聖女に情けをかけた?」
「俺が? そんなわけないだろう! イーディスは面白いことを言うなあ」
イーディスの頭を撫でた。
この魔石。死ぬ寸前に発動する、というところが肝だ。
これからマルレーネは死にも等しい断罪を、信者達から受けることになるだろう。
死にたい死にたい……死んだ方がマシだ。
ああ、やっと死ねる!
そう思った瞬間に、俺が仕込んだ魔法が発動。
死ぬことが出来ず、大聖堂から脱出してしまうのだ。
「しかもその魔法にはなレベルがあってな。どれくらい死ぬ直前……なのか決めることが出来る。ギリギリまで戦いたい、という冒険者もいるからな」
「うんうん」
「その中でも俺が定めたレベルは……最高レベル10! 体中の血という血が吐き出され、自分の意識もなくなってきた頃に……発動する。それまでマルレーネはその恐怖に耐えなければならないんだ」
ああ!
「助けてくれ」「許してくれ」と叫んでいるマルレーネを想像すると、鳥肌が立ってくる。
もっとも、今の壊れたマルレーネはそういうまともな言葉を発することが出来るのか、と考えると少し疑問だが。
「それでも」
イーディスが不満げに続ける。
「死なない。あの聖女は死なない。それは助けたことになるんじゃ?」
「なるほど、そういう見方もある。だがな、イーディス。俺はあいつをかんたーんに殺さなーい。もっともーっとあいつが苦しまないと、俺の気が晴れない」
殺してくれ、と叫びながら生ゴミを漁るような。
そーんな底辺をマルレーネにもっと味わわせてやる。
マルレーネをあれだけボコボコにしても、俺の心の渇きは潤せなかった。
ちょっーっとはマシになったけどな。
「どうだ? イーディス」
「わくわくする」
さて、そろそろ通路を抜けそうだ。
「アルフ。次はどうするの?」
「もう決まってるよ。あの脳筋頭お花畑頭パーの女戦士をやる」
次のターゲットは——女戦士サラ。
お前だ。
と心優しい俺はとある道具を取り出した。
「あははははははは! やったーですわ!」
マルレーネが壊れたように笑っている。
オークのような顔をした女がこんな不気味な笑い方をしているのだ。
周囲にいた教皇、神官共は最早枢機卿でもなくなった彼女を見て、引いていた。
中には「次は自分の番かもしれない」といった面持ちで、震えているヤツもいたが。
「イーディス。取ってきてくれ」
「うん。分かった」
とことことイーディスを歩いて行き、近くの棚からとある液体が入った瓶を持ってきた。
当初の打ち合わせ通りだ。
「これはなんだと思う?」
「ポーションですわ! 心優しいアルフ様は、わたくしを回復してくれようとしているのですわ!」
「ぶぶー。間違いだ」
「ぎにゃー!」
マルレーネにはこの真っ黒な液体がポーションに見えるんだろうか?
「お前、キレイな髪してるよな」
改めてマルレーネの髪を見た。
宝石がこぼれ落ちるような金色の髪。
マルレーネ自慢の髪で、いつも手入れを怠っていなかった。
この世界において、金色の髪というのはみんなの憧れだ。
「でもこーんなキレイな髪。今からの人生じゃ不釣り合いだよな?」
ニイと口角を釣り上げた。
「わたくしの髪、キレイ? キレイ?」
今から起こることも知らず、マルレーネは目を輝かせた。
「ああ——だからこうしてやる!」
そんなマルレーネの頭上から、俺は一気に液体をぶちまけた。
真っ黒な液体が髪に浸透していく。
「鏡も見せてやるよ!」
「わたくしの髪が……くろ、いろ、になっていきますわ……あは、あははははははは!」
さらに壊れたように笑い出すマルレーネ。
そうなのだ。
このマルレーネにぶちまけた液体は『カラーペイント』と呼ばれるものである。
本来、建物や道具に色鮮やかに塗るための道具だ。
この液体には微量な魔力が含まれており、ペンキといった塗料よりも剥がれにくくなっている。
さらに液体は下まで染み渡っていく。
例えば草にこの液体をぶちまけると、地面の下まで染み渡っていくため、成長して伸びていってもまだ色が付いたままだという。
「どうだ? 真っ黒な髪だ! どこにでもいる真っ黒な髪! 嬉しいだろう?」
「わたくしの髪が黒になった! わたくしのキレイな金色の髪が黒になった! 今まで見下していた庶民と同じ色になった! あははははははは!」
表情は笑っているが、マルレーネは目から涙をこぼしていた。
なかなか器用なヤツだ。
さらさらしたマルレーネの髪が黒色になっただけではなく、見るからにガシガシになっていく。
本来カラーペイントは人体に使うものではないのだ。
髪なんかに使ってみろ。一瞬で痛んでしまい、これからいくら手入れをしても追いつかないだろうな。
「本当にこの部屋はなんでもあるな! 今まで悪魔審判と称して、被害者で遊んでいたのが想像出来るよ!」
このカラーペイントが審判室にあるのも、今俺が考えたようなことをこいつ等もやってたんだろう。
自業自得だ。
「さて……マルレーネも壊れたし。そろそろ聖堂の中に信者達も入ってきそうだな」
大聖堂の扉はもう決壊寸前である。
ぶち破られ、信者達がここに流れ込んでくるのは時間の問題だろう。
「じゃあ俺、もう行くよ!」
と俺は神官共に手を振って、ここから出て行こうとした。
「アルフ。どこから逃げるの?」
「秘密の通路を知ってる。こうなることは分かっていたから、予め他の神官に教えてもらったんだ。脅迫してな」
「成る程」
「まあ俺が通った後は、入り口は封鎖させてもらうが」
弱くなっている神官共では、俺と同じルートを辿って逃げることは不可能なはずだ。
「今から信者達が流れ込んでくるけど、頑張ってくれ! なあに、本当にイーディス神のご加護というものがあったら、生き残れると思うよ!」
絶望で顔を暗くしている一人の神官の肩を、元気づけるようにポンと叩いた。
「ああ……イーディス神よ。我を……我だけでもいいから、助けたまえ」
「そんな自分勝手なヤツにイーディス神は微笑まないよ」
「うん。その通り。アルフみたいに慈悲深き優しい人じゃないと、わたしは笑わない」
とイーディスがぼそっと言った。
あっ、そうそう。
忘れるところだった。
俺はマルレーネに近付き、とある魔石を発動させた。
「もっともっと苦しめ。俺の経験した底辺はこんなもんじゃない」
「——! あははははははは!」
壊れたマルレーネでは俺の言葉を理解出来るんだろうか。
まあいっか。
これで終わりじゃないんだからな。
マルレーネの狂ったような笑い声を聞きながら、俺は脱出用の通路へと急いだ。
◆ ◆
「アルフ。これであの聖女への復讐は終わり?」
秘密の通路はじめじめと暗い場所だ。
街の外の森まで通じており、結構長くなっている。
上から信者の怒声と、神官共の悲鳴が聞こえてきた。
極上の音楽であった。耳が浄化されていくようであった。
「そんなわけないよ」
俺はイーディスと通路を歩きながら、復讐について話す。
「でも、あそこで聖女は殺される。そうなったら、聖女にもう復讐は出来ない」
「最後、俺がマルレーネに使ったのは緊急脱出用の転移の魔石だ」
「えっ?」
イーディスが目を丸くする。
「この魔石を使用すると、死ぬ寸前で魔法が発動して脱出出来るんだ。主にダンジョンに行く冒険者達がよく使っているな」
「どうして……? あのクソ聖女に情けをかけた?」
「俺が? そんなわけないだろう! イーディスは面白いことを言うなあ」
イーディスの頭を撫でた。
この魔石。死ぬ寸前に発動する、というところが肝だ。
これからマルレーネは死にも等しい断罪を、信者達から受けることになるだろう。
死にたい死にたい……死んだ方がマシだ。
ああ、やっと死ねる!
そう思った瞬間に、俺が仕込んだ魔法が発動。
死ぬことが出来ず、大聖堂から脱出してしまうのだ。
「しかもその魔法にはなレベルがあってな。どれくらい死ぬ直前……なのか決めることが出来る。ギリギリまで戦いたい、という冒険者もいるからな」
「うんうん」
「その中でも俺が定めたレベルは……最高レベル10! 体中の血という血が吐き出され、自分の意識もなくなってきた頃に……発動する。それまでマルレーネはその恐怖に耐えなければならないんだ」
ああ!
「助けてくれ」「許してくれ」と叫んでいるマルレーネを想像すると、鳥肌が立ってくる。
もっとも、今の壊れたマルレーネはそういうまともな言葉を発することが出来るのか、と考えると少し疑問だが。
「それでも」
イーディスが不満げに続ける。
「死なない。あの聖女は死なない。それは助けたことになるんじゃ?」
「なるほど、そういう見方もある。だがな、イーディス。俺はあいつをかんたーんに殺さなーい。もっともーっとあいつが苦しまないと、俺の気が晴れない」
殺してくれ、と叫びながら生ゴミを漁るような。
そーんな底辺をマルレーネにもっと味わわせてやる。
マルレーネをあれだけボコボコにしても、俺の心の渇きは潤せなかった。
ちょっーっとはマシになったけどな。
「どうだ? イーディス」
「わくわくする」
さて、そろそろ通路を抜けそうだ。
「アルフ。次はどうするの?」
「もう決まってるよ。あの脳筋頭お花畑頭パーの女戦士をやる」
次のターゲットは——女戦士サラ。
お前だ。
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