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私の行動
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次の日、いつものように叶人が来た。
「来ったぞー」
「うん。…ねぇ、叶人」
「ん?」
「昨日ね、叶人の後輩の子が来たんだ」
「はぁ!?あいつ…!」
「いい子だよねー。めっちゃ先輩想いだったよ~?叶人先輩ー」
ニヤニヤしながら言う。
「や、やめろよ」
叶人は照れている。
うん、やっぱり私は叶人が好き。
だから、言わなきゃ。
嫌だ、言いたくない。ずっと一緒にいたい。
叶人の迷惑になってる。離れなきゃ。
矛盾する想いが私の中を暴れまわる。
一緒にいたい。
迷惑だよ。
叶人はそんな事言わない!
叶人は優しいから。
「…叶人、ずっと言いたい事があったんだけどね、私、叶人を見たくないの」
「え?」
顔を俯かせながらそう言った。顔は見えないが声から絶望しているのは分かる。
「この事故は叶人のせいじゃない。それは心の底から思ってる」
なるべく心に傷が残らないように私から離さなきゃ。
「じゃあ何で!!」
「羨ましいの。あなたが」
嘘。羨ましくない。
「私が過ごせなかった5年を生きてきた事が。歩ける事が。あなただけじゃない。お父さんも、お母さんも、周りの人全員が羨ましいの」
嘘。別に5年くらいどうだっていい。歩けなくてもなんて事ない。誰も、羨ましくない。
あなたに会えなくなるのが、悲しい。寂しい。嫌だ。
「だから、ね?お願い」
顔を上げながら寂しげに笑う。
ちゃんと笑えてる?会いたい想いは隠せてる?
「っ」
叶人が息を呑んだ。
これ以上は、無理。
顔をまた下げる。
「出て行って」
「でも…」
「出て行って!!」
それからいつの間にか時間は過ぎ、私以外、この病室には誰もいなかった。
「…ふっう、…や。いやだよぉ。かなと、いっしょにいて。だめ。それは、だめ。…かな、と」
これでいいんだ。
一緒にいたい!
そんなのだめだよ。でも、でも…!
声を押し殺しながら、泣いた。泣き疲れて寝るまで泣いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
看護師さんにお願いして、叶人とは面会拒否をしてもらった。
それからの日々は地獄だった。なんの楽しみもない、なにもすることがない。
”逢いたい”
その感情だけが私の中を占めていた。
「来ったぞー」
「うん。…ねぇ、叶人」
「ん?」
「昨日ね、叶人の後輩の子が来たんだ」
「はぁ!?あいつ…!」
「いい子だよねー。めっちゃ先輩想いだったよ~?叶人先輩ー」
ニヤニヤしながら言う。
「や、やめろよ」
叶人は照れている。
うん、やっぱり私は叶人が好き。
だから、言わなきゃ。
嫌だ、言いたくない。ずっと一緒にいたい。
叶人の迷惑になってる。離れなきゃ。
矛盾する想いが私の中を暴れまわる。
一緒にいたい。
迷惑だよ。
叶人はそんな事言わない!
叶人は優しいから。
「…叶人、ずっと言いたい事があったんだけどね、私、叶人を見たくないの」
「え?」
顔を俯かせながらそう言った。顔は見えないが声から絶望しているのは分かる。
「この事故は叶人のせいじゃない。それは心の底から思ってる」
なるべく心に傷が残らないように私から離さなきゃ。
「じゃあ何で!!」
「羨ましいの。あなたが」
嘘。羨ましくない。
「私が過ごせなかった5年を生きてきた事が。歩ける事が。あなただけじゃない。お父さんも、お母さんも、周りの人全員が羨ましいの」
嘘。別に5年くらいどうだっていい。歩けなくてもなんて事ない。誰も、羨ましくない。
あなたに会えなくなるのが、悲しい。寂しい。嫌だ。
「だから、ね?お願い」
顔を上げながら寂しげに笑う。
ちゃんと笑えてる?会いたい想いは隠せてる?
「っ」
叶人が息を呑んだ。
これ以上は、無理。
顔をまた下げる。
「出て行って」
「でも…」
「出て行って!!」
それからいつの間にか時間は過ぎ、私以外、この病室には誰もいなかった。
「…ふっう、…や。いやだよぉ。かなと、いっしょにいて。だめ。それは、だめ。…かな、と」
これでいいんだ。
一緒にいたい!
そんなのだめだよ。でも、でも…!
声を押し殺しながら、泣いた。泣き疲れて寝るまで泣いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
看護師さんにお願いして、叶人とは面会拒否をしてもらった。
それからの日々は地獄だった。なんの楽しみもない、なにもすることがない。
”逢いたい”
その感情だけが私の中を占めていた。
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