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第三章〈大元帥と大侍従〉編
3.15 オデット・ド・シャンディベールの遺言(1)
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以下、第三章の締めくくりとして、異母妹マルグリットから聴取した話と、これまでの調査でわかったことをまとめる。
結論を先にいうと、オデット・ド・シャンディベールはすでに亡くなっていた。
父王シャルル六世が崩御した後、オデットとマルグリット母子は幽閉された。
オデットの実家は下級貴族で、父も兄弟たちもそれぞれブルゴーニュ公と母妃イザボー・ド・バヴィエールに仕えている。ようするに、シャンディベール家全体が「シャルル七世の王位継承を否定し、敵対する勢力」ということになる。
親兄弟に従い、ブルゴーニュ公の意向に背かずに、静かに暮らしてしていれば、ほとぼりが冷めた頃に——例えば母妃イザボーが死去するなど——、シャルル六世との関係を口外しない条件で自由になれたかもしれない。
オデットも初めはそのつもりだったのかもしれない。
というのも、私は10年間、母子の行方をつかめなかった。
弱体化しているとはいえフランス王だ。諜報員なら何人も抱えている。
イングランドやブルゴーニュを内偵して、戦争と和睦の可能性を探りながら、見込みある人物を調略したりしている。
母子捜索も同じ流れだ。
個人的な親愛の情だけでなく、政略的な意味もある。
二人を見つけて、無事を見届け、できれば味方になってほしかった。
しかし、フランス王の諜報力を駆使しても消息がわからない。
考えられるのは、すでに母子ともに亡くなっているか、本人たちが私との接触を望んでいないかのどちらか。
私たちの交流は、王太子になってパリにいた一年間だけだ。
心が通い合っていると思ったのは私だけで、オデットもマルグリットも迷惑だったかもしれない。あれから10年も経っているから、私のことを忘れていてもおかしくない。覚えていたとしても、生粋のブルゴーニュ派であるシャンディベール家の人間にとって、私との繋がりは立場を悪くするだろう。
ブルゴーニュ公の支配地域で、一族郎党が敵対側に仕えている環境下で、私が無理に接触を望めば、二人を危険にさらすことになる。
母子の幸せを最優先するなら、これ以上深入りすべきではない。
だから、私は母子を探していることを公にはしなかった。
真相は、正反対だった。
オデットは私と接触しようと試みていた。
敵陣の真っただ中で、親兄弟にも頼ることもできない、孤立無援の状況で。
今、私たちがいるリヨンは、ブルゴーニュ公とブルボン公と王太子領ドーフィネが交わる緩衝地帯で、さまざまな勢力の人間が行き来する。
数年前、かなり具体的なシャルル七世暗殺計画が進行していたという。
真偽の定かでない暗殺計画はいくらでも噂されていたから、特に驚きはない。
私が驚いたのは、オデットは自分の立場が危うくなると知りながら、この計画を私に知らせようした。父や兄を通じて暗殺計画を知ったのかもしれない。
オデットは、想像よりもずっと賢くて勇敢な女性で、私が派遣している密偵のひとりに暗殺計画を打ち明けた。密偵がいることも、内偵を進めていることも彼女は知っていた。
しかも、自分たちを助けてもらうためではなく、私を助けるために初めて連絡を取ろうとした……。
ところが、運の悪いことに、「シャルル七世に仕える密偵」は逆スパイで、オデットの裏切りはブルゴーニュ公の知るところとなり、反逆者として捕らえられた。もともと、幽閉されていた身だ。極刑はまぬがれない。
当時、マルグリットは子供ですべての経緯を知ることは困難だが、オデットとマルグリットは処刑寸前に幽閉先から脱出。
私に会うために、一路、王太子領ドーフィネをめざしたという。
「ごめん……」
「お兄ちゃん? どうして謝るの?」
私は堪えきれなくて、また涙ぐんでいた。
「王太子と呼ばれていたけど、ドーフィネとはあまり縁がなくてね」
元はといえば、オデットは王の世話をする侍女で、政治状況に詳しいわけではない。私のことを「王太子」としてしか認識していなかったのだろう。
「私は王太子になると同時に、ベリー公に叙されたんだ。本拠地はブールジュやポワティエだったから、ドーフィネの動向はそれほど気にかけてなかった」
「そっか。そうだったんですね」
「ごめん。もっと注意を払うべきだった。君たちがそんなことになっていたなんて……」
オデットは王太子領に私がいると考え、庇護を求めようとした。
もはや、母子が生き延びる方法はそれしかない。
ブルゴーニュ派から反逆者として追われている身だから、むやみに素性を明かすわけにいかない。また、逆スパイに密告された教訓から、各所に潜む密偵たちにも頼れなくなった。彼らは本当は誰に仕えているのか、誰が敵で、誰が味方なのか。
逃避行は、過酷をきわめた。
紆余曲折の末、オデットはどの勢力にも属さないジプシーの集団にまぎれこんだ。キリスト教の教会組織とも世俗社会とも関わりのない異邦人たちで、追っ手の目をくらますには好都合だが、狂信的な聖職者に目をつけられて異端審問にかけられる恐れがある。決して安全ではない。
泥水をすするような旅路で、行きずりの母子は生計を立てるために何でもした。
道すがら、頼まれてタロットカード占いをすることもあったという。
父王シャルル六世が与えた財産は没収され、唯一の形見がこのカードだった。金箔が貼られ鮮やかに彩色されたカード一式は、非常に高価なものだが、オデットはどんなに困窮を極めてもこのタロットカードとバードコールだけは手放さなかった。
「アニエスと友達になったのは、カードのおかげなんです」
私がオデットと勘違いして抱き締めた美しい少女の名だ。
さきほどの自分の狼狽ぶりを思い出すと、顔から火を吹きそうだ。離れて見守っていたマリーとルイにもこの醜態を見られたと思うと、どういうわけか後ろめたさを感じる。
(変な気分だ……)
マルグリットが異母妹と確定し、今はマリーも同席して話を聞いている。
こっそり様子をうかがったが、マリーは平然としていて普段と変わりない。
子守に抱かれたルイがご機嫌斜めなのもいつもと同じだ。
(自意識過剰になっているのは、私だけか?)
王らしく堂々と振る舞うべきなのに、だいぶ調子が狂っている。
マルグリットは異母妹に違いないが、アニエス・ソレルとは何者か。
気を取り直して聴取を続ける。
結論を先にいうと、オデット・ド・シャンディベールはすでに亡くなっていた。
父王シャルル六世が崩御した後、オデットとマルグリット母子は幽閉された。
オデットの実家は下級貴族で、父も兄弟たちもそれぞれブルゴーニュ公と母妃イザボー・ド・バヴィエールに仕えている。ようするに、シャンディベール家全体が「シャルル七世の王位継承を否定し、敵対する勢力」ということになる。
親兄弟に従い、ブルゴーニュ公の意向に背かずに、静かに暮らしてしていれば、ほとぼりが冷めた頃に——例えば母妃イザボーが死去するなど——、シャルル六世との関係を口外しない条件で自由になれたかもしれない。
オデットも初めはそのつもりだったのかもしれない。
というのも、私は10年間、母子の行方をつかめなかった。
弱体化しているとはいえフランス王だ。諜報員なら何人も抱えている。
イングランドやブルゴーニュを内偵して、戦争と和睦の可能性を探りながら、見込みある人物を調略したりしている。
母子捜索も同じ流れだ。
個人的な親愛の情だけでなく、政略的な意味もある。
二人を見つけて、無事を見届け、できれば味方になってほしかった。
しかし、フランス王の諜報力を駆使しても消息がわからない。
考えられるのは、すでに母子ともに亡くなっているか、本人たちが私との接触を望んでいないかのどちらか。
私たちの交流は、王太子になってパリにいた一年間だけだ。
心が通い合っていると思ったのは私だけで、オデットもマルグリットも迷惑だったかもしれない。あれから10年も経っているから、私のことを忘れていてもおかしくない。覚えていたとしても、生粋のブルゴーニュ派であるシャンディベール家の人間にとって、私との繋がりは立場を悪くするだろう。
ブルゴーニュ公の支配地域で、一族郎党が敵対側に仕えている環境下で、私が無理に接触を望めば、二人を危険にさらすことになる。
母子の幸せを最優先するなら、これ以上深入りすべきではない。
だから、私は母子を探していることを公にはしなかった。
真相は、正反対だった。
オデットは私と接触しようと試みていた。
敵陣の真っただ中で、親兄弟にも頼ることもできない、孤立無援の状況で。
今、私たちがいるリヨンは、ブルゴーニュ公とブルボン公と王太子領ドーフィネが交わる緩衝地帯で、さまざまな勢力の人間が行き来する。
数年前、かなり具体的なシャルル七世暗殺計画が進行していたという。
真偽の定かでない暗殺計画はいくらでも噂されていたから、特に驚きはない。
私が驚いたのは、オデットは自分の立場が危うくなると知りながら、この計画を私に知らせようした。父や兄を通じて暗殺計画を知ったのかもしれない。
オデットは、想像よりもずっと賢くて勇敢な女性で、私が派遣している密偵のひとりに暗殺計画を打ち明けた。密偵がいることも、内偵を進めていることも彼女は知っていた。
しかも、自分たちを助けてもらうためではなく、私を助けるために初めて連絡を取ろうとした……。
ところが、運の悪いことに、「シャルル七世に仕える密偵」は逆スパイで、オデットの裏切りはブルゴーニュ公の知るところとなり、反逆者として捕らえられた。もともと、幽閉されていた身だ。極刑はまぬがれない。
当時、マルグリットは子供ですべての経緯を知ることは困難だが、オデットとマルグリットは処刑寸前に幽閉先から脱出。
私に会うために、一路、王太子領ドーフィネをめざしたという。
「ごめん……」
「お兄ちゃん? どうして謝るの?」
私は堪えきれなくて、また涙ぐんでいた。
「王太子と呼ばれていたけど、ドーフィネとはあまり縁がなくてね」
元はといえば、オデットは王の世話をする侍女で、政治状況に詳しいわけではない。私のことを「王太子」としてしか認識していなかったのだろう。
「私は王太子になると同時に、ベリー公に叙されたんだ。本拠地はブールジュやポワティエだったから、ドーフィネの動向はそれほど気にかけてなかった」
「そっか。そうだったんですね」
「ごめん。もっと注意を払うべきだった。君たちがそんなことになっていたなんて……」
オデットは王太子領に私がいると考え、庇護を求めようとした。
もはや、母子が生き延びる方法はそれしかない。
ブルゴーニュ派から反逆者として追われている身だから、むやみに素性を明かすわけにいかない。また、逆スパイに密告された教訓から、各所に潜む密偵たちにも頼れなくなった。彼らは本当は誰に仕えているのか、誰が敵で、誰が味方なのか。
逃避行は、過酷をきわめた。
紆余曲折の末、オデットはどの勢力にも属さないジプシーの集団にまぎれこんだ。キリスト教の教会組織とも世俗社会とも関わりのない異邦人たちで、追っ手の目をくらますには好都合だが、狂信的な聖職者に目をつけられて異端審問にかけられる恐れがある。決して安全ではない。
泥水をすするような旅路で、行きずりの母子は生計を立てるために何でもした。
道すがら、頼まれてタロットカード占いをすることもあったという。
父王シャルル六世が与えた財産は没収され、唯一の形見がこのカードだった。金箔が貼られ鮮やかに彩色されたカード一式は、非常に高価なものだが、オデットはどんなに困窮を極めてもこのタロットカードとバードコールだけは手放さなかった。
「アニエスと友達になったのは、カードのおかげなんです」
私がオデットと勘違いして抱き締めた美しい少女の名だ。
さきほどの自分の狼狽ぶりを思い出すと、顔から火を吹きそうだ。離れて見守っていたマリーとルイにもこの醜態を見られたと思うと、どういうわけか後ろめたさを感じる。
(変な気分だ……)
マルグリットが異母妹と確定し、今はマリーも同席して話を聞いている。
こっそり様子をうかがったが、マリーは平然としていて普段と変わりない。
子守に抱かれたルイがご機嫌斜めなのもいつもと同じだ。
(自意識過剰になっているのは、私だけか?)
王らしく堂々と振る舞うべきなのに、だいぶ調子が狂っている。
マルグリットは異母妹に違いないが、アニエス・ソレルとは何者か。
気を取り直して聴取を続ける。
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