7番目のシャルル、聖女と亡霊の声

しんの(C.Clarté)

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第二章〈モン・サン=ミシェルの戦い〉編

勝利王の書斎12:笑えば治る

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 第一章から第二章へ——。
 は、歴史小説の幕間にひらかれる。

 こんにちは、あるいはこんばんは(Bonjour ou bonsoir.)。
 私は、生と死の狭間にただようシャルル七世の「声」である。実体はない。
 生前、ジャンヌ・ダルクを通じて「声」の出現を見ていたせいか、自分がこのような状況になっても驚きはない。たまには、こういうこともあるのだろう。

 ただし、ジャンヌの「声」と違って、私は神でも天使でもない。
 亡霊、すなわちオバケの類いだと思うが、聖水やお祓いは効かなかった。
 作者は私と共存する道を選び、記録を兼ねて小説を書き始めた。この物語は、私の主観がメインとなるため、と心得ていただきたい。

 便宜上、私の居場所を「勝利王の書斎」と呼んでいる。
 作者との約束で、章と章の狭間に開放することになっている。



 少年期編から恒例となっている、各章冒頭を飾るフランスの慣用句シリーズ。
 今回は……。

 "Qui rit guérit."(キリギリ)

 直訳すると、「笑えば治る!」

 戦争と内乱ばかりの狂った時代に生まれて、自分の力ではどうしようもない運命に翻弄されながら、それでも腐らずに生きてゆく。
 悩み多きフランス王にぴったりな慣用句だと思わないか?

 幸福と不幸は、自分の心の持ちようで決まる。
 多少のしんどいことは、笑ってやり過ごしているうちに解決する。
 止まない雨はないといったニュアンスだ。

 だが、笑っているだけでは済まないこともある。
 人の生死のように、治ることのない不可逆な不幸に直面したときは、どうしようもなくつらい。

 さて、時間が来たようだ。
 これより、青年期編・第二章〈モン・サン=ミシェルの戦い〉編を始める。
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