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第一章〈逆臣だらけの宮廷〉編
1.5 フランス王22歳、大元帥31歳(2)やかましい宮廷
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大元帥は、軍事分野に特化した「宰相」に近い。
フランス王の旗下に集う傭兵隊、騎士団、元帥たちを統率し、軍事全般を担う。
平時は、宮廷の顧問会議で強力な決定権を持っている。
とはいえ、1425年当時のアルテュール・ド・リッシュモン伯は31~32歳ほど。顧問会議に列席する重臣たちの中ではかなり若い。
ちなみに、宮廷最年少は22歳になったばかりのこの私——フランス王シャルル七世だ。
大元帥となり、晴れて顧問会議に出席したのはいいが、これまでの無口な鉄面皮はどこへやら。
歯に衣着せぬ物言いの連発で、挙げ句の果てに「これまでの重臣たちを全員罷免する」とまで言い出した。
「あなたがたは陛下の側近に相応しくない。君側の奸は、全員この宮廷から立ち去るがいい」
リッシュモンは「王を利用して私腹を肥やし、自分の既得権を守ることしか考えていない」と言って、側近たちの悪事を告発した。
「ぶ、無礼な……」
「新参者のくせに……」
怒る者、戸惑う者、嘲笑う者、様子を見る者。
重臣たちの反応は人それぞれだ。
「非礼であることと明らかな悪事。罪深いのはどちらか、言わずともわかると思いますが」
リッシュモンは追及の手を緩めなかった。
相手が年上だろうが、格上だろうが、多勢に無勢だろうが、お構いなしだ。
「リッシュモン伯よ、もうその辺で……」
リッシュモンの言い分は正しいが、普通の人間は「良心」と「欲望」のはざまで揺れ動くものだ。
また、人それぞれの事情もある。責め立てる一方では、立つ瀬がない。
「大元帥とお呼びください。陛下から賜った称号です」
リッシュモンは大元帥の身分を誇りに思っているようだ。
しかし、私は任命したことを後悔し始めていた。
(まったく、初日から張り切りすぎだ!)
王侯貴族は聖職者ではない。清濁を併せ持つ。
リッシュモンは潔癖すぎて、あらゆる不正・悪事が許せないようだった。
(このままでは、まずい……)
裕福な貴族は、自前の軍隊を持っている。
騎士道らしい忠誠心は建前で、たいていの貴族は名誉とカネのために王に仕えている。
(王に仕える「利点」を奪い、義務ばかり押し付けたらどうなると思う?)
人心は離れ、王は見限られ、最後には裏切りと反逆というしっぺ返しを食う。
私の宮廷はつねに財政難で人材難だったから、人手を失いたくなかった。
(ゆえに、多少の不正は仕方がない。目をつぶろうと思っているのだが……)
やりすぎて目に余るときは、それとなく忠告するにとどめる。
告発と処罰は最終手段として取っておく。
それが「力なきフランス王シャルル七世」のやり方だった。
「あなたがたは、本気でフランス王国を立て直す気概があるのですか!!」
腹に響くような怒声に、宮廷がしんと静まり返る。
リッシュモンの顔色をうかがうと、こめかみにびきびきと青筋が浮かんでいた。
(こ、怖っ……)
横から口を挟むと、怒りの矛先がこちらに向きそうだ。
「一人ひとりはわずかな不正、腐敗、悪事だとしても、王国全体、年単位で悪弊が積み重なれば膨大な損失です。それとも、あなたがたは陛下の王国を食いつぶして、敵方イングランドに明け渡すつもりなのか!!」
リッシュモンの監視対象は私個人にとどまらず、宮廷の側近たちにも向けられていた。
数字と理屈を交えた告発が延々と続き、名指しで非難された者はリッシュモンと激しい口論を繰り広げ、何人かは腹を立てて退席した。
はじめは「誉れ高きアーサー王の子孫にして、ブルターニュ公自慢の弟君のお手並み拝見」と考えて様子を見ていたが、険悪な雰囲気が長引くにつれて、うんざりしてきた。
「はぁ……、頭が痛くなってきた……」
「それはいけません」
小声で独り言をつぶやいたのに、リッシュモンの地獄耳は聞き逃さなかった。
「侍従長、ただちに頭痛に効く薬を」
「結構だ。大したことではない」
「これからさらに耳に痛い話をします。予防として服用なさってはいかがです」
「断る。耳に痛い話とはいったい何のことだ」
痛くもない腹を探られるのは不愉快だった。
私は食生活も身なりも質素で、王侯貴族としてはかなり地味な部類だ。
「恐れながら申し上げます。陛下の優しさゆえの甘さが、重臣たちの——いえ、逆臣たちの不正と悪事を誘発していると考えられます」
リッシュモンの正義の矛先は、ついに王へ向けられた。
まさか私まで責められるとは思わず、つい、ぽかんと呆けてしまった。
「……陛下、気付け薬をご用意しました」
刺激臭を鼻先に突きつけられて、我に返った。
まさか、本当に薬を用意するとは思わなかった。
気が利くのか、嫌味なのか、判断しかねる。何なのだ、この男は!
「……余もここで断罪されるのか?」
つんと刺激臭のある気付け薬から逃れるため、そしてこの険悪な雰囲気を少しでも和らげようと——少しふざけて驚いて見せると、顧問会議の末席にいるデュノワ伯ジャンが「ぷっ」と吹き出した。
「断罪ではありません。ご注進を申し上げたまで」
リッシュモンはそう答えてから、笑い声を立てた方向を見据えた。
「なぜ、何の役職にもついていない貴公がそこにいる」
「はっ、我が兄オルレアン公シャルルの代理として顧問会議に参加するようにと、王から赦しをいただきました」
冷徹な問いかけに、ジャンは慌てず卒なく答えた。
幼少期のジャンは騎士道物語にあこがれて、伝説のアーサー王の子孫ともいわれるリッシュモンを尊敬していた。だが、当のリッシュモンは何の感慨もなかったようだ。
(二人は知り合いだと聞いていたが、そうでもないのか……?)
近年、デュノワ伯ジャンは私の世話役を離れて、騎士として鍛錬を積んでいる。
そうは言っても、年配の重臣たちに囲まれているせいか、幼なじみのジャンは私にとって一服の清涼剤のような存在だった。だから、いつでも宮廷に出入りできるように特別に取り計らっていた。「兄の代理」というのは口実だ。本来、庶子の身分では顧問会議に参加できない。
正式にデュノワ伯に叙されればいいのだが、ジャンはまだ22歳。実績が足りなかった。
「王弟の庶子にしては、ずいぶんといいご身分のようだな」
「大元帥、その言い方は……」
「はっ、おかげさまで!」
しかし、厳格なリッシュモン大元帥は、この特別待遇を良しとしなかった。
***
私は苛立ちを隠すこともしないで、こつこつと机を叩いた。
「リッシュモン大元帥、貴公は自分が何をしたか分かっているのか!」
広い会議室はがらがらで、いまや私とリッシュモンの二人きり。
騒ぎを止められなかった私も悪いのだが、リッシュモンは「王に相応しくない奸臣」を名指しで謹慎処分とし、ジャンまでも追い出し、ついに誰もいなくなってしまったのだ。
「改めてご注進申し上げます。陛下は、顧問会議の人選を考え直すべきです」
「わ・た・し・が! 作り上げた宮廷の人選がそれほど気に入らないなら、貴公が全部決めればいい!」
私は羽ペンと白紙をリッシュモンに押し付けると、「不愉快だ。今日はこれで解散とする!」と宣言して会議室を後にした。
(※)宮廷の顧問会議メンバーになったリッシュモンが、「王に相応しくない」家臣たちを追い出して誰もいなくなり、シャルル七世がブチ切れたエピソード(実話)は、何度読んでも笑ってしまいます。
フランス王の旗下に集う傭兵隊、騎士団、元帥たちを統率し、軍事全般を担う。
平時は、宮廷の顧問会議で強力な決定権を持っている。
とはいえ、1425年当時のアルテュール・ド・リッシュモン伯は31~32歳ほど。顧問会議に列席する重臣たちの中ではかなり若い。
ちなみに、宮廷最年少は22歳になったばかりのこの私——フランス王シャルル七世だ。
大元帥となり、晴れて顧問会議に出席したのはいいが、これまでの無口な鉄面皮はどこへやら。
歯に衣着せぬ物言いの連発で、挙げ句の果てに「これまでの重臣たちを全員罷免する」とまで言い出した。
「あなたがたは陛下の側近に相応しくない。君側の奸は、全員この宮廷から立ち去るがいい」
リッシュモンは「王を利用して私腹を肥やし、自分の既得権を守ることしか考えていない」と言って、側近たちの悪事を告発した。
「ぶ、無礼な……」
「新参者のくせに……」
怒る者、戸惑う者、嘲笑う者、様子を見る者。
重臣たちの反応は人それぞれだ。
「非礼であることと明らかな悪事。罪深いのはどちらか、言わずともわかると思いますが」
リッシュモンは追及の手を緩めなかった。
相手が年上だろうが、格上だろうが、多勢に無勢だろうが、お構いなしだ。
「リッシュモン伯よ、もうその辺で……」
リッシュモンの言い分は正しいが、普通の人間は「良心」と「欲望」のはざまで揺れ動くものだ。
また、人それぞれの事情もある。責め立てる一方では、立つ瀬がない。
「大元帥とお呼びください。陛下から賜った称号です」
リッシュモンは大元帥の身分を誇りに思っているようだ。
しかし、私は任命したことを後悔し始めていた。
(まったく、初日から張り切りすぎだ!)
王侯貴族は聖職者ではない。清濁を併せ持つ。
リッシュモンは潔癖すぎて、あらゆる不正・悪事が許せないようだった。
(このままでは、まずい……)
裕福な貴族は、自前の軍隊を持っている。
騎士道らしい忠誠心は建前で、たいていの貴族は名誉とカネのために王に仕えている。
(王に仕える「利点」を奪い、義務ばかり押し付けたらどうなると思う?)
人心は離れ、王は見限られ、最後には裏切りと反逆というしっぺ返しを食う。
私の宮廷はつねに財政難で人材難だったから、人手を失いたくなかった。
(ゆえに、多少の不正は仕方がない。目をつぶろうと思っているのだが……)
やりすぎて目に余るときは、それとなく忠告するにとどめる。
告発と処罰は最終手段として取っておく。
それが「力なきフランス王シャルル七世」のやり方だった。
「あなたがたは、本気でフランス王国を立て直す気概があるのですか!!」
腹に響くような怒声に、宮廷がしんと静まり返る。
リッシュモンの顔色をうかがうと、こめかみにびきびきと青筋が浮かんでいた。
(こ、怖っ……)
横から口を挟むと、怒りの矛先がこちらに向きそうだ。
「一人ひとりはわずかな不正、腐敗、悪事だとしても、王国全体、年単位で悪弊が積み重なれば膨大な損失です。それとも、あなたがたは陛下の王国を食いつぶして、敵方イングランドに明け渡すつもりなのか!!」
リッシュモンの監視対象は私個人にとどまらず、宮廷の側近たちにも向けられていた。
数字と理屈を交えた告発が延々と続き、名指しで非難された者はリッシュモンと激しい口論を繰り広げ、何人かは腹を立てて退席した。
はじめは「誉れ高きアーサー王の子孫にして、ブルターニュ公自慢の弟君のお手並み拝見」と考えて様子を見ていたが、険悪な雰囲気が長引くにつれて、うんざりしてきた。
「はぁ……、頭が痛くなってきた……」
「それはいけません」
小声で独り言をつぶやいたのに、リッシュモンの地獄耳は聞き逃さなかった。
「侍従長、ただちに頭痛に効く薬を」
「結構だ。大したことではない」
「これからさらに耳に痛い話をします。予防として服用なさってはいかがです」
「断る。耳に痛い話とはいったい何のことだ」
痛くもない腹を探られるのは不愉快だった。
私は食生活も身なりも質素で、王侯貴族としてはかなり地味な部類だ。
「恐れながら申し上げます。陛下の優しさゆえの甘さが、重臣たちの——いえ、逆臣たちの不正と悪事を誘発していると考えられます」
リッシュモンの正義の矛先は、ついに王へ向けられた。
まさか私まで責められるとは思わず、つい、ぽかんと呆けてしまった。
「……陛下、気付け薬をご用意しました」
刺激臭を鼻先に突きつけられて、我に返った。
まさか、本当に薬を用意するとは思わなかった。
気が利くのか、嫌味なのか、判断しかねる。何なのだ、この男は!
「……余もここで断罪されるのか?」
つんと刺激臭のある気付け薬から逃れるため、そしてこの険悪な雰囲気を少しでも和らげようと——少しふざけて驚いて見せると、顧問会議の末席にいるデュノワ伯ジャンが「ぷっ」と吹き出した。
「断罪ではありません。ご注進を申し上げたまで」
リッシュモンはそう答えてから、笑い声を立てた方向を見据えた。
「なぜ、何の役職にもついていない貴公がそこにいる」
「はっ、我が兄オルレアン公シャルルの代理として顧問会議に参加するようにと、王から赦しをいただきました」
冷徹な問いかけに、ジャンは慌てず卒なく答えた。
幼少期のジャンは騎士道物語にあこがれて、伝説のアーサー王の子孫ともいわれるリッシュモンを尊敬していた。だが、当のリッシュモンは何の感慨もなかったようだ。
(二人は知り合いだと聞いていたが、そうでもないのか……?)
近年、デュノワ伯ジャンは私の世話役を離れて、騎士として鍛錬を積んでいる。
そうは言っても、年配の重臣たちに囲まれているせいか、幼なじみのジャンは私にとって一服の清涼剤のような存在だった。だから、いつでも宮廷に出入りできるように特別に取り計らっていた。「兄の代理」というのは口実だ。本来、庶子の身分では顧問会議に参加できない。
正式にデュノワ伯に叙されればいいのだが、ジャンはまだ22歳。実績が足りなかった。
「王弟の庶子にしては、ずいぶんといいご身分のようだな」
「大元帥、その言い方は……」
「はっ、おかげさまで!」
しかし、厳格なリッシュモン大元帥は、この特別待遇を良しとしなかった。
***
私は苛立ちを隠すこともしないで、こつこつと机を叩いた。
「リッシュモン大元帥、貴公は自分が何をしたか分かっているのか!」
広い会議室はがらがらで、いまや私とリッシュモンの二人きり。
騒ぎを止められなかった私も悪いのだが、リッシュモンは「王に相応しくない奸臣」を名指しで謹慎処分とし、ジャンまでも追い出し、ついに誰もいなくなってしまったのだ。
「改めてご注進申し上げます。陛下は、顧問会議の人選を考え直すべきです」
「わ・た・し・が! 作り上げた宮廷の人選がそれほど気に入らないなら、貴公が全部決めればいい!」
私は羽ペンと白紙をリッシュモンに押し付けると、「不愉快だ。今日はこれで解散とする!」と宣言して会議室を後にした。
(※)宮廷の顧問会議メンバーになったリッシュモンが、「王に相応しくない」家臣たちを追い出して誰もいなくなり、シャルル七世がブチ切れたエピソード(実話)は、何度読んでも笑ってしまいます。
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