32 / 126
第一章〈逆臣だらけの宮廷〉編
1.2 ヴェルヌイユの戦い(2)名もなき犠牲者たち
しおりを挟む
ヴェルヌイユの戦いは「第二のアジャンクール」と呼ばれる。
ヴェルヌイユは1424年8月17日で、アジャンクールの戦いは九年前——1415年10月25日の出来事だ。私は12歳で、戦争や権力闘争とは無縁だった。
運に見放された惨敗の記録と、虐殺された騎士たちの悲劇は、フランス中で語り草になっている。
九年を経て、アジャンクールの犠牲者の息子たちが「打倒イングランド」と「真のフランス王家たるヴァロワ家再興」をスローガンに掲げて、私のもとへ集まってくるようになった。
「シャルル王の旗下で戦わせてください!」
「父を無惨に殺したイングランドには従いたくありません!」
本心は、父の敵討ちといったところか。
威勢だけは良いものの、みんな一様に小柄で、骨董品のような鎖帷子を着込み、痩せた貧相な馬に乗ってくるのが常だった。父を亡くし、苦労しながらここまで生きてきたのだろう。血気盛んな十代半ばの少年が多かった。
若い騎士志望者たちを戦場に送り出すのはかわいそうな気がして、私は何かと理由をつけて小姓として召し上げた。
そんな中に、ミンゲと呼ばれる小姓がいた。名前から察するに南フランス出身だろうか。
遠方に住む母君の胸中を思うと、やはり戦わせたくなくて、城内でパンを焼いて給仕する役目に就かせた。
騎士志望なのに雑用ばかりで、あからさまに不満を漏らしたり、中には脱走する者もいたが、ミンゲはよく尽くしてくれた。私や他の重臣たちそれぞれの好みのパンを覚えて、新しいパンを補充するときにその人が好きなパンを少し多めに用意するなど、最適な給仕をしてくれる。気が利く性格は料理長からも好かれていた。
平和な仕事に満足していると思っていたのだが——
「陛下、このたび戦地へ行くことになりましたので、お別れを申し上げにまいりました」
ミンゲの親戚はスコットランド出身だった。
その縁で、フランス軍の主力でもあるスコットランド軍に入隊することが決まったらしい。
「そうだったのか……」
律儀に挨拶に来るとは、まだ若いのに殊勝な心がけだ。
それゆえに、危険な戦地へ行かせるのはやはり惜しい。
「……故郷の母君は、このことを知っているのか?」
「少し前に、これまでにいただいた給金を仕送りしました」
手紙は、戦いが終わってから。
戦地で手柄を立ててから「武勇伝」を送るつもりだと言う。
「父は悲劇的な最期を遂げましたが、未亡人となった母も悲惨でした。貴族出身でありながら、なりふり構わず、大変な苦労をして私を育ててくれました。これからは『自慢の息子』の武勇伝を聴きながら余生を過ごしてほしいのです」
もはや私に止めることはできない。
私は気分を切り替えて、定型通りにねぎらいの言葉をかけた。
「いままで大儀であった。武運を祈っている」
ミンゲが退室したのを見届けてから、私は「またか」とつぶやき、重いため息を吐いた。
同じことを言って私の前から去っていった者は、これで何人目だろう。
「まだ、声変わりもしていない子供ではないか……!」
八つ当たりするように、玉座の肘かけを拳で叩いた。
なぜ、彼らは「手柄を立てて帰ってくる」と自分を信じられるのだろう。
騎士たちが誇る勇敢さは、私から見れば短絡的な無謀さでしかなかった。
ほとんどの者が——特に、夢見がちで経験の浅い少年ほど早く死んでいく。
「武勇伝よりも、訃報を伝える手紙の方がはるかに多いというのに……」
じわりと熱いものが込み上げてきて、慌てて目元をぬぐった。
今回は「戦う」と決めたのに、私の心は迷っていた。悪い予感がどうしても消えない。
どこの宮廷にも主戦派と穏健派がいる。
前者は「戦い」を、後者は「話し合い」を是とする。
本来、私は穏健派だが、ブルゴーニュ無怖公が殺害されてから自分のやり方に自信がなくなり、さらに臆病になった。
戦いを前に「迷い」が消えないのは、ブルターニュ公の弟——アルテュール・ド・リッシュモン伯を迎えるための会合で、「野戦を避けるように」と忠告されたせいだろうか。だが、もう遅い。
「あっ、そうだ」
ミンゲが去ってしまう前に餞別をあげようと思いつき、私は武器庫へ向かった。
私が16歳のときに、モントロー橋でブルゴーニュ公との会合に備えて小ぶりの甲冑をあつらえた。
ミンゲは旧式の鎖帷子を身につけていた。亡き父の形見だそうで、丁寧に錆を落として手入れされていたが、あれは弓矢に弱いのだ。プレートアーマーを着用すれば生存確率が上がるはずだ。
「なりません」
侍従長ピエール・ド・ジアックに行く手を阻まれた。
「……なぜだ」
「ひとりを特別扱いすれば、他のものに不満が生まれます」
羨望とやっかみは、結果的に本人の足を引っ張ることになると説かれた。
「別に、特別扱いではない」
「では、他のものにも——陛下にお仕えする者たち全員に餞別を与えるのですか」
「そ、それは……」
ぐうの音も出ない。
ヴェルヌイユに参戦するフランス・スコットランド連合軍は1万8000人もいる。
大きな戦いがなくても、普段から財政難に苦しんでいるのに、相場の給料以上の餞別を大盤振る舞いすることはできない。
「敵はイングランドだけではありません。味方の同輩も、戦場で手柄を競い合うライバルです。初陣の若輩者が王から寵愛されていると知れ渡れば、いっそう面倒です。味方を敵に回すほどおそろしいことはありません」
初陣の若輩者が王から寵愛されていると知れ渡れば、やっかみと羨望の的になる。
それだけならよくある話だが、近ごろは不謹慎で卑猥な妄想を、まるで真実であるかのように垂れ流す者までいると聞く。
「陛下の名誉を守るためです」
「もういい、わかった。ジアックの言う通りにする!」
「結構でございます」
名案だと思ったのに即座に否定されて悔しかったが、遣り手の侍従長には逆らえない。
せめてもの救いにと、スコットランド軍を指揮するバカン伯に「ミンゲを盾持ちに配属できないか」と相談した。防御重視で大きな盾を持たせればあるいは——と考えた。
「仰せのままに。あの少年には、我らの同胞スコットランド人の血が半分は流れているのです。悪いようには致しません」
私はヴェルヌイユへ行かなかった。
現地での対応は、実際に出陣する指揮官に任せるしかない。
***
ヴェルヌイユの戦いで、スコットランド軍は壊滅した。
ベッドフォード公は、兄で王弟だったクラレンス公をボージェの戦いで討ち取ったスコットランド軍に狙いを定め、無慈悲に殺してまわった。戦斧で首を切られ、四肢を切断され、捕まったものは絞首刑となり、逃げたものは近隣の堀で水死体となって発見された。
水死体はぐずぐずにふやけていて個人が判別できず、各自が身につけている紋章でようやく見分けがつく有り様だった。
ミンゲ少年の生死はわからない。戦闘中に「フランス軍は分が悪い」と見限って逃亡し、そのまま行方をくらましたのだとしたら——脱走は重罪だが——その方がずっといい。
気立てのいい子だったから、きっとどこでも生きていける。
フランスでもイングランドでもいい。どこかの町で、お城仕込みの美味しいパン焼き職人になっていたらと願ってやまない。
ヴェルヌイユは1424年8月17日で、アジャンクールの戦いは九年前——1415年10月25日の出来事だ。私は12歳で、戦争や権力闘争とは無縁だった。
運に見放された惨敗の記録と、虐殺された騎士たちの悲劇は、フランス中で語り草になっている。
九年を経て、アジャンクールの犠牲者の息子たちが「打倒イングランド」と「真のフランス王家たるヴァロワ家再興」をスローガンに掲げて、私のもとへ集まってくるようになった。
「シャルル王の旗下で戦わせてください!」
「父を無惨に殺したイングランドには従いたくありません!」
本心は、父の敵討ちといったところか。
威勢だけは良いものの、みんな一様に小柄で、骨董品のような鎖帷子を着込み、痩せた貧相な馬に乗ってくるのが常だった。父を亡くし、苦労しながらここまで生きてきたのだろう。血気盛んな十代半ばの少年が多かった。
若い騎士志望者たちを戦場に送り出すのはかわいそうな気がして、私は何かと理由をつけて小姓として召し上げた。
そんな中に、ミンゲと呼ばれる小姓がいた。名前から察するに南フランス出身だろうか。
遠方に住む母君の胸中を思うと、やはり戦わせたくなくて、城内でパンを焼いて給仕する役目に就かせた。
騎士志望なのに雑用ばかりで、あからさまに不満を漏らしたり、中には脱走する者もいたが、ミンゲはよく尽くしてくれた。私や他の重臣たちそれぞれの好みのパンを覚えて、新しいパンを補充するときにその人が好きなパンを少し多めに用意するなど、最適な給仕をしてくれる。気が利く性格は料理長からも好かれていた。
平和な仕事に満足していると思っていたのだが——
「陛下、このたび戦地へ行くことになりましたので、お別れを申し上げにまいりました」
ミンゲの親戚はスコットランド出身だった。
その縁で、フランス軍の主力でもあるスコットランド軍に入隊することが決まったらしい。
「そうだったのか……」
律儀に挨拶に来るとは、まだ若いのに殊勝な心がけだ。
それゆえに、危険な戦地へ行かせるのはやはり惜しい。
「……故郷の母君は、このことを知っているのか?」
「少し前に、これまでにいただいた給金を仕送りしました」
手紙は、戦いが終わってから。
戦地で手柄を立ててから「武勇伝」を送るつもりだと言う。
「父は悲劇的な最期を遂げましたが、未亡人となった母も悲惨でした。貴族出身でありながら、なりふり構わず、大変な苦労をして私を育ててくれました。これからは『自慢の息子』の武勇伝を聴きながら余生を過ごしてほしいのです」
もはや私に止めることはできない。
私は気分を切り替えて、定型通りにねぎらいの言葉をかけた。
「いままで大儀であった。武運を祈っている」
ミンゲが退室したのを見届けてから、私は「またか」とつぶやき、重いため息を吐いた。
同じことを言って私の前から去っていった者は、これで何人目だろう。
「まだ、声変わりもしていない子供ではないか……!」
八つ当たりするように、玉座の肘かけを拳で叩いた。
なぜ、彼らは「手柄を立てて帰ってくる」と自分を信じられるのだろう。
騎士たちが誇る勇敢さは、私から見れば短絡的な無謀さでしかなかった。
ほとんどの者が——特に、夢見がちで経験の浅い少年ほど早く死んでいく。
「武勇伝よりも、訃報を伝える手紙の方がはるかに多いというのに……」
じわりと熱いものが込み上げてきて、慌てて目元をぬぐった。
今回は「戦う」と決めたのに、私の心は迷っていた。悪い予感がどうしても消えない。
どこの宮廷にも主戦派と穏健派がいる。
前者は「戦い」を、後者は「話し合い」を是とする。
本来、私は穏健派だが、ブルゴーニュ無怖公が殺害されてから自分のやり方に自信がなくなり、さらに臆病になった。
戦いを前に「迷い」が消えないのは、ブルターニュ公の弟——アルテュール・ド・リッシュモン伯を迎えるための会合で、「野戦を避けるように」と忠告されたせいだろうか。だが、もう遅い。
「あっ、そうだ」
ミンゲが去ってしまう前に餞別をあげようと思いつき、私は武器庫へ向かった。
私が16歳のときに、モントロー橋でブルゴーニュ公との会合に備えて小ぶりの甲冑をあつらえた。
ミンゲは旧式の鎖帷子を身につけていた。亡き父の形見だそうで、丁寧に錆を落として手入れされていたが、あれは弓矢に弱いのだ。プレートアーマーを着用すれば生存確率が上がるはずだ。
「なりません」
侍従長ピエール・ド・ジアックに行く手を阻まれた。
「……なぜだ」
「ひとりを特別扱いすれば、他のものに不満が生まれます」
羨望とやっかみは、結果的に本人の足を引っ張ることになると説かれた。
「別に、特別扱いではない」
「では、他のものにも——陛下にお仕えする者たち全員に餞別を与えるのですか」
「そ、それは……」
ぐうの音も出ない。
ヴェルヌイユに参戦するフランス・スコットランド連合軍は1万8000人もいる。
大きな戦いがなくても、普段から財政難に苦しんでいるのに、相場の給料以上の餞別を大盤振る舞いすることはできない。
「敵はイングランドだけではありません。味方の同輩も、戦場で手柄を競い合うライバルです。初陣の若輩者が王から寵愛されていると知れ渡れば、いっそう面倒です。味方を敵に回すほどおそろしいことはありません」
初陣の若輩者が王から寵愛されていると知れ渡れば、やっかみと羨望の的になる。
それだけならよくある話だが、近ごろは不謹慎で卑猥な妄想を、まるで真実であるかのように垂れ流す者までいると聞く。
「陛下の名誉を守るためです」
「もういい、わかった。ジアックの言う通りにする!」
「結構でございます」
名案だと思ったのに即座に否定されて悔しかったが、遣り手の侍従長には逆らえない。
せめてもの救いにと、スコットランド軍を指揮するバカン伯に「ミンゲを盾持ちに配属できないか」と相談した。防御重視で大きな盾を持たせればあるいは——と考えた。
「仰せのままに。あの少年には、我らの同胞スコットランド人の血が半分は流れているのです。悪いようには致しません」
私はヴェルヌイユへ行かなかった。
現地での対応は、実際に出陣する指揮官に任せるしかない。
***
ヴェルヌイユの戦いで、スコットランド軍は壊滅した。
ベッドフォード公は、兄で王弟だったクラレンス公をボージェの戦いで討ち取ったスコットランド軍に狙いを定め、無慈悲に殺してまわった。戦斧で首を切られ、四肢を切断され、捕まったものは絞首刑となり、逃げたものは近隣の堀で水死体となって発見された。
水死体はぐずぐずにふやけていて個人が判別できず、各自が身につけている紋章でようやく見分けがつく有り様だった。
ミンゲ少年の生死はわからない。戦闘中に「フランス軍は分が悪い」と見限って逃亡し、そのまま行方をくらましたのだとしたら——脱走は重罪だが——その方がずっといい。
気立てのいい子だったから、きっとどこでも生きていける。
フランスでもイングランドでもいい。どこかの町で、お城仕込みの美味しいパン焼き職人になっていたらと願ってやまない。
46
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
7番目のシャルル、狂った王国にうまれて【少年期編完結】
しんの(C.Clarté)
歴史・時代
15世紀、狂王と淫妃の間に生まれた10番目の子が王位を継ぐとは誰も予想しなかった。兄王子の連続死で、不遇な王子は14歳で王太子となり、没落する王国を背負って死と血にまみれた運命をたどる。「恩人ジャンヌ・ダルクを見捨てた暗愚」と貶される一方で、「建国以来、戦乱の絶えなかった王国にはじめて平和と正義と秩序をもたらした名君」と評価されるフランス王シャルル七世の少年時代の物語。
歴史に残された記述と、筆者が受け継いだ記憶をもとに脚色したフィクションです。
【カクヨムコン7中間選考通過】【アルファポリス第7回歴史・時代小説大賞、読者投票4位】【講談社レジェンド賞最終選考作】
※表紙絵は離雨RIU(@re_hirame)様からいただいたファンアートを使わせていただいてます。
※重複投稿しています。
カクヨム:https://kakuyomu.jp/works/16816927859447599614
小説家になろう:https://ncode.syosetu.com/n9199ey/
暗愚か名君か、ジャンヌ・ダルクではなく勝利王シャルル七世を主人公にした理由
しんの(C.Clarté)
エッセイ・ノンフィクション
勝利王シャルル七世といえば「ジャンヌ・ダルクのおかげで王になった」と「恩人を見捨てた非情な暗愚」という印象がつきまとう、地味なフランス王です。
ですが、その生い立ちは「設定盛りすぎ」としか言いようがない。
これほど波乱の多い生涯を送った実在の人物はいないのでは…と思うほど、魅力的なキャラクターでした。
百年戦争はジャンヌだけじゃない。
知られざるキャラクターとエピソードを掘り起こしたくて……いや、私が読みたいから!
ついに自給自足で小説を書き始めました。
※表紙絵はPaul de Semantによるパブリックドメインの画像を使用しています。
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
教皇の獲物(ジビエ) 〜コンスタンティノポリスに角笛が響く時〜
H・カザーン
歴史・時代
西暦一四五一年。
ローマ教皇の甥レオナルド・ディ・サヴォイアは、十九歳の若さでヴァティカンの枢機卿に叙階(任命)された。
西ローマ帝国を始め広大な西欧の上に立つローマ教皇。一方、その当時の東ローマ帝国は、かつての栄華も去り首都コンスタンティノポリスのみを城壁で囲まれた地域に縮小され、若きオスマンの新皇帝メフメト二世から圧迫を受け続けている都市国家だった。
そんなある日、メフメトと同い年のレオナルドは、ヴァティカンから東ローマとオスマン両帝国の和平大使としての任務を受ける。行方不明だった王女クラウディアに幼い頃から心を寄せていたレオナルドだが、彼女が見つかったかもしれない可能性を西欧に残したまま、遥か東の都コンスタンティノポリスに旅立つ。
教皇はレオナルドを守るため、オスマンとの戦争勃発前には必ず帰還せよと固く申付ける。
交渉後に帰国しようと教皇勅使の船が出港した瞬間、オスマンの攻撃を受け逃れてきたヴェネツィア商船を救い、レオナルドらは東ローマ帝国に引き返すことになった。そのままコンスタンティノポリスにとどまった彼らは、四月、ついにメフメトに城壁の周囲を包囲され、籠城戦に巻き込まれてしまうのだった。
史実に基づいた創作ヨーロッパ史!
わりと大手による新人賞の三次通過作品を改稿したものです。四次の壁はテオドシウス城壁より高いので、なかなか……。
表紙のイラストは都合により主人公じゃなくてユージェニオになってしまいました(スマソ)レオナルドは、もう少し孤独でストイックなイメージのつもり……だったり(*´-`)
華麗なるブルゴーニュ家とハプスブルグ家の歴史絵巻~ 「我らが姫君」マリー姫と「中世最後の騎士」マクシミリアン1世のかくも美しい愛の物語
伽羅かおる
歴史・時代
15世紀欧州随一の富を誇ったブルゴーニュ家の「我らが美しき姫君 マリー・ド・ブルゴーニュ」とハプスブルグ家「中世最後の騎士 マクシミリアン1世」の悲しくも美しい愛の物語を、そしてその2人の側にいた2人の姫アリシアとセシリアの視点から、史実に基づき描いていく歴史小説です。
もともとマリーとマクシミリアンの曽祖父はポルトガルのジョアン1世で、この2人も再従兄弟(はとこ)同士、マリーの父方のお祖母様と、マクシミリアンの母方のお祖父様は兄と妹という関係だったのです。当時のヨーロッパではカトリック同士でしか婚姻を結べないのはもちろんのこと、貴族や王家の結婚は親同士が決める政略結婚ですから、親戚筋同士の結婚になることが多いのです。
そしてこの物語のもう一つの話になる主人公の2人の姫もやはり、アリシアはイングランド王ヨーク家の親族であり、またセシリアの方はマリーとマクシミリアンの曽祖父に当たるジョアン1世の妻であるイングランド王室ランカスター家出身のフィリパ(マリーの父方のお祖母様と、マクシミリアンの母方のお祖父様の母にあたる人)の父であるジョン・オブ・ゴーントの血を引いています。
またヨーク家とランカスター家とはかの有名な《薔薇戦争》の両家になります。
少し複雑なので、この話はおいおい本編において、詳しく説明させていただきますが、この4人はどこかしらで親戚筋に当たる関係だったのです。そしてマリーやマクシミリアンにとって大切な役割を果たしていたマリーの義母マーガレット・オブ・ヨークも決して忘れてはいけない存在です。
ブルゴーニュ家とハプスブルグ家というヨーロッパでも超名門王家の複雑な血筋が絡み合う、華麗なる中世のヨーロッパの姫物語の世界を覗いてみたい方必見です!
読者の皆さんにとって、中世の西洋史を深く知る助けのひとつになることを祈ります!
そしてこの時代のヨーロッパの歴史の面白さをお伝えできればこれほど嬉しいことはありません!
こちらがこの小説の主な参考文献になります。
「Maria von Burgund」 Carl Vossen 著
「Marie de Bourgogne」 Georges-Henri Dumonto著
独語と仏語の文献を駆使して、今までにないマリーとマクシミリアンの世界をお届け致します!
立花道雪遺香~鎮西の片田舎で生まれた没落武士が天下の雄将へと成し遂げる行く末を見届けようと思う~
和本明子
歴史・時代
戸次道雪。その娘、立花誾(ギン)千代。
高橋紹運。その子、高橋彌七郎統虎……後の立花宗茂。
そして彼らを支えし安東、由布、十時、小野、薦野、米多比たち家臣団。
この物語は、激動の戦国時代で誰もが自身の利益と保身に走り、多大の恩がある主君をも見限り裏切ってしまえる乱世に在りて、己の『義』を貫き通し、受け継いできた者たちの、義なる物語である。
紅き龍棲の玉座
五月雨輝
ファンタジー
天空を飛ぶ龍を巧みに操り、龍騎兵戦術を得意とする大陸北東の国家、ローヤン帝国。
天才的戦術家であり、人智を超えた能力、天法術の使い手でもある第一皇子リューシスは、玉座への意思が無いにも関わらず、常にその優れた器量を異母弟であり皇太子のバルタザールの一派に警戒されていた。
そしてついにある日、リューシスは皇太子派の中心人物である宰相マクシムによる陰謀にかかり、皇帝暗殺未遂の大罪人として追われてしまう。
数少ない仲間たちと共に辺境の地まで逃亡するリューシスを、マクシムら皇太子派は執拗に追い続ける。
だがまた、そのようなローヤン帝国の騒乱を好機と見て、帝国を狙う数々の敵が現れる。
強大な隣国の侵攻、かつて大陸を統治していた国の末裔の決起、政治に不満を持つ民衆の蜂起、そしてリューシスを憎悪し、帝国そのものを破壊しようとする謎の天法士の暗躍。
皇子から大罪人へと転落したリューシスは、数々の難敵に対処しながら、自らを陥れた宰相らへ戦いを挑む。
紅い玉座を巡る熾烈な戦いが始まる。
タイトルは紅き(あかき)龍棲(りゅうせい)の玉座、と読みます。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる