74 / 203
第五章〈王太子の宮廷生活〉編
5.11 王太子といとこの秘密通信(3)飛翔する密書
しおりを挟む
宰相アルマニャック伯が戻って来たとき、大鴉は天井から吊り下げた照明器具に止まってガァガァと鳴いていた。
「少し席を外している間におもしろい余興をしていたようですな」
宰相にそう言われて、私は護衛隊長シャステルと顔を見合わせた。
予想に反して、否、予想した通り、大鴉が変身する奇跡を見ることはできなかったが、面白くなかった訳ではない。
余興と言われて面白くないのは私よりも——
「からかわないでください」
「ふふ、アルテュール殿は救出できましたかな?」
ジャンはむくれているようで、それ以上答えなかった。
「だから、あれほど『ただのカラスだ』と申し上げているのに」
飼育担当の若い侍従は、「まったく、相変わらずデュノワ伯は単細胞で思い込みが激しいな」と呆れている。
遠慮のない物言いに、私は「もしかして、ふたりは顔見知りだろうか」と思い至った。
確認する間もなく、若い侍従は上衣に留めている凝った装身具を外して口元に寄せると、ふうっと一吹きした。
まるでガチョウの鳴き声のようなけたたましい笛の音が響き、大鴉が照明器具を蹴って下りてきた。
「本来、伝達役に適しているのは鳩ですが、宰相閣下のご要望でコイツを調教しています」
侍従は片腕を広げて、大鴉を迎え入れた。
「ロンドン塔は大鴉の巣窟です。伝書鳩では食われてしまう」
大鴉をみごとに手なずけた侍従は、クレルモン伯シャルルと名乗った。
私より2歳年上の16歳で、2年前に上京して宮廷に出仕しているという。
ちょうどジャンがパリの王宮に来た時期と重なる。
「すごい!」
「恐れ入ります」
至近距離で見る大鴉は、想像以上に大きい。
狩猟で見慣れたハヤブサなどの猛禽とはまた少し違う迫力があった。
「クレルモン伯と言ったね。貴公が手なずけたの?」
「いえ。元を正せば、我が父ブルボン公とオルレアン公——そこにいるデュノワ伯の兄君シャルル・ドルレアンの提案です」
クレルモン伯の父・ブルボン公は、アジャンクールに参戦して捕らわれ、いまはロンドン塔に幽閉の身だった。
父や兄、あるいは息子や弟がイングランドの人質になっている宮廷人は少なくなかった。
「軍馬、伝書鳩、猟犬、狩猟用のハヤブサ。有用な動物の調教は、軍略に欠かせません。おそらくアーサー王の変身伝説も、動物を上手く使役する能力が元になっているのでしょう」
アルマニャック伯は、大鴉を腕に載せたクレルモン伯を満足そうに眺めた。
「鳩を調教できるなら、あるいはカラスも可能ではと」
ロンドン塔は、裕福かつ高い身分の貴族ばかりが集められた。
虜囚たちは、故郷の支援と身代金のおかげで生活に不自由していないが、厳しい監視がついている。
英仏間で手紙の往来は禁じられていない。
だが、使者を介する書簡は、封蝋されていても事前に手紙の内容を検閲されている可能性が高かった。当然、当たり障りのないことしか書けない。
ロンドン塔ではシャルル・ドルレアンとブルボン公が、パリの王宮では宰相アルマニャック伯とクレルモン伯が秘密の通信・調教実験を担当した。
「美味い餌と鳥笛でおびき寄せ、懐柔し、生け捕りにしてパリへ密輸して……」
「えっ、密輸?!」
「言葉のあやです」
確かに、カラスはどこにでもいる鳥だから、輸出入を禁じられていない。
パリの東にあるヴァンセンヌの森から大鴉を放鳥したところ、一部は森に居着き、一部はロンドンへ戻った。
何度か繰り返して、帰巣本能の強い個体を選び、さながら伝書鳩のように調教を施した。
「ここまで、2年かかりました」
「2年」
長いのか短いのか、私にはよく分からなかった。
「鳩とハヤブサの扱いには慣れていますが、父も私もカラスを相手にするのは初めてで少々手こずりました。しかし、想像以上に頭のいい鳥です。実用に堪える仕上がりになっていると自負しています」
そう言って、クレルモン伯は頭を下げた。
派手な羽飾りのついた帽子と、装飾品の多い凝った衣服はまるで道化のように見えるが、クレルモン伯は自身の技量に誇りを持っていた。
***
パリの宮廷とロンドン塔を結ぶ秘密の通信手段はほぼ完成していた。
だが、たとえ監視役の検閲を免れても、途中で書簡を奪われたり落としてしまう可能性を考えて、文中には暗号を仕込んでいる。
シャルル・ドルレアンは得意の詩文をよく書いた。
もし誰かに見られたときには、詩の師匠に添削してもらう作品だとごまかす手はずになっている。
アルマニャック伯は、パリ大学から詩人アラン・シャルティエを呼び出した。
ノルマンディーのバイユー出身で、地元では代々、公証人や聖職者を務めている裕福な一族だ。
パリ大学は、フランスのみならず西欧各国から優れた学者や文人が集まっていた。
「小心者のしがない役人でございます」
アラン・シャルティエは謙遜したが、一年前に発表した「四人の貴婦人の書」という詩集で一世を風靡し、パリ大学でも一目置かれていた。
シャルル・ドルレアンの手紙から暗号を拾い上げ、詩の韻文を解読してもらった。
「ロンドン塔は相当寒いのでしょう。防寒着を送って欲しいと」
「なんとおいたわしい……」
「女人の温もりが恋しいと」
「にょにん?」
「心が凍えてしまうと」
「心が?」
「はい、そう書いてあります」
当代一流の暗号文は私にはチンプンカンプンだった。
詩的な比喩表現なのか本音なのか。
判断が難しいが、アラン・シャルティエの講義は面白かった。
自称・役人だが、やはり彼は洗練された言葉を操る詩人なのだ。
「あっ、そうだ。アンジューに手紙を送ることはできる?」
「大鴉はロンドン塔のみですが、主要都市に飛ばせる伝書鳩なら各種ご用意してあります」
マリーに手紙を送ろうと思いついた。
まだ妃として迎えにいく余裕がないが、忘れていない証しに何かしたいと思った。
「王太子殿下の婚約者がアンジューに? それはそれは……」
護衛隊長のシャステルが何か耳打ちしたらしく、詩人の心に火をつけたようだ。
「美女に恋文といえば、私の得意分野です!」
「美女? いや、マリーはまだ13歳の少女で……」
「わかります。未成熟の美少女ですねっ!!」
詩人はらんらんと目を輝かせ、ぐいぐいと来るので、私はたじろいでしまった。
「このアランめにお任せください。必ずや美少女の心を射止めてみせましょう」
「いや、婚約者だから射止めるも何も……」
アランいわく、女性とはすべからく美女であり、美少女なのだという。
そして、男とはすべからく美女の忠実な僕なのだと。
アランの指導で、恋文と言えなくもない手紙をしたため、クレルモン伯が伝書鳩を飛ばしてくれた。
返事は来なかった。
クレルモン伯は「悪天候に巻き込まれたり、野生の猛禽や狼に襲われて伝書鳩が届かないこともある」と言った。
アラン・シャルティエは「気高い美女は、簡単にはなびかない」と言った。
それは慰めか?と聞いたら「王太子殿下の婚約者は、すばらしい美女の資質を持っている」と返ってきた。
ロンドン塔との往復書簡と違い、この手紙は戯れも同然。
児戯のような恋文は少々恥ずかしかったが、読まれて困る内容ではない。
アンジューから反応が返って来ないことは寂しかったが、もし届かなかったならば仕方がない。
(二通目を送ってみよう。シャルティエに添削してもらうと、恥ずかしい手紙になりそうだけど)
女の子は、情熱的な手紙の方が嬉しいのだろうか。
胸が張り裂けそうな恋心と、男が求めてやまない女人の温もりとやらを、このときの私はまだ知らなかった。
(※)アラン・シャルティエは32歳。
(※)クレルモン伯は16歳で、デュノワ伯は15歳。二人とも宮廷入り2年目の同期です。
「少し席を外している間におもしろい余興をしていたようですな」
宰相にそう言われて、私は護衛隊長シャステルと顔を見合わせた。
予想に反して、否、予想した通り、大鴉が変身する奇跡を見ることはできなかったが、面白くなかった訳ではない。
余興と言われて面白くないのは私よりも——
「からかわないでください」
「ふふ、アルテュール殿は救出できましたかな?」
ジャンはむくれているようで、それ以上答えなかった。
「だから、あれほど『ただのカラスだ』と申し上げているのに」
飼育担当の若い侍従は、「まったく、相変わらずデュノワ伯は単細胞で思い込みが激しいな」と呆れている。
遠慮のない物言いに、私は「もしかして、ふたりは顔見知りだろうか」と思い至った。
確認する間もなく、若い侍従は上衣に留めている凝った装身具を外して口元に寄せると、ふうっと一吹きした。
まるでガチョウの鳴き声のようなけたたましい笛の音が響き、大鴉が照明器具を蹴って下りてきた。
「本来、伝達役に適しているのは鳩ですが、宰相閣下のご要望でコイツを調教しています」
侍従は片腕を広げて、大鴉を迎え入れた。
「ロンドン塔は大鴉の巣窟です。伝書鳩では食われてしまう」
大鴉をみごとに手なずけた侍従は、クレルモン伯シャルルと名乗った。
私より2歳年上の16歳で、2年前に上京して宮廷に出仕しているという。
ちょうどジャンがパリの王宮に来た時期と重なる。
「すごい!」
「恐れ入ります」
至近距離で見る大鴉は、想像以上に大きい。
狩猟で見慣れたハヤブサなどの猛禽とはまた少し違う迫力があった。
「クレルモン伯と言ったね。貴公が手なずけたの?」
「いえ。元を正せば、我が父ブルボン公とオルレアン公——そこにいるデュノワ伯の兄君シャルル・ドルレアンの提案です」
クレルモン伯の父・ブルボン公は、アジャンクールに参戦して捕らわれ、いまはロンドン塔に幽閉の身だった。
父や兄、あるいは息子や弟がイングランドの人質になっている宮廷人は少なくなかった。
「軍馬、伝書鳩、猟犬、狩猟用のハヤブサ。有用な動物の調教は、軍略に欠かせません。おそらくアーサー王の変身伝説も、動物を上手く使役する能力が元になっているのでしょう」
アルマニャック伯は、大鴉を腕に載せたクレルモン伯を満足そうに眺めた。
「鳩を調教できるなら、あるいはカラスも可能ではと」
ロンドン塔は、裕福かつ高い身分の貴族ばかりが集められた。
虜囚たちは、故郷の支援と身代金のおかげで生活に不自由していないが、厳しい監視がついている。
英仏間で手紙の往来は禁じられていない。
だが、使者を介する書簡は、封蝋されていても事前に手紙の内容を検閲されている可能性が高かった。当然、当たり障りのないことしか書けない。
ロンドン塔ではシャルル・ドルレアンとブルボン公が、パリの王宮では宰相アルマニャック伯とクレルモン伯が秘密の通信・調教実験を担当した。
「美味い餌と鳥笛でおびき寄せ、懐柔し、生け捕りにしてパリへ密輸して……」
「えっ、密輸?!」
「言葉のあやです」
確かに、カラスはどこにでもいる鳥だから、輸出入を禁じられていない。
パリの東にあるヴァンセンヌの森から大鴉を放鳥したところ、一部は森に居着き、一部はロンドンへ戻った。
何度か繰り返して、帰巣本能の強い個体を選び、さながら伝書鳩のように調教を施した。
「ここまで、2年かかりました」
「2年」
長いのか短いのか、私にはよく分からなかった。
「鳩とハヤブサの扱いには慣れていますが、父も私もカラスを相手にするのは初めてで少々手こずりました。しかし、想像以上に頭のいい鳥です。実用に堪える仕上がりになっていると自負しています」
そう言って、クレルモン伯は頭を下げた。
派手な羽飾りのついた帽子と、装飾品の多い凝った衣服はまるで道化のように見えるが、クレルモン伯は自身の技量に誇りを持っていた。
***
パリの宮廷とロンドン塔を結ぶ秘密の通信手段はほぼ完成していた。
だが、たとえ監視役の検閲を免れても、途中で書簡を奪われたり落としてしまう可能性を考えて、文中には暗号を仕込んでいる。
シャルル・ドルレアンは得意の詩文をよく書いた。
もし誰かに見られたときには、詩の師匠に添削してもらう作品だとごまかす手はずになっている。
アルマニャック伯は、パリ大学から詩人アラン・シャルティエを呼び出した。
ノルマンディーのバイユー出身で、地元では代々、公証人や聖職者を務めている裕福な一族だ。
パリ大学は、フランスのみならず西欧各国から優れた学者や文人が集まっていた。
「小心者のしがない役人でございます」
アラン・シャルティエは謙遜したが、一年前に発表した「四人の貴婦人の書」という詩集で一世を風靡し、パリ大学でも一目置かれていた。
シャルル・ドルレアンの手紙から暗号を拾い上げ、詩の韻文を解読してもらった。
「ロンドン塔は相当寒いのでしょう。防寒着を送って欲しいと」
「なんとおいたわしい……」
「女人の温もりが恋しいと」
「にょにん?」
「心が凍えてしまうと」
「心が?」
「はい、そう書いてあります」
当代一流の暗号文は私にはチンプンカンプンだった。
詩的な比喩表現なのか本音なのか。
判断が難しいが、アラン・シャルティエの講義は面白かった。
自称・役人だが、やはり彼は洗練された言葉を操る詩人なのだ。
「あっ、そうだ。アンジューに手紙を送ることはできる?」
「大鴉はロンドン塔のみですが、主要都市に飛ばせる伝書鳩なら各種ご用意してあります」
マリーに手紙を送ろうと思いついた。
まだ妃として迎えにいく余裕がないが、忘れていない証しに何かしたいと思った。
「王太子殿下の婚約者がアンジューに? それはそれは……」
護衛隊長のシャステルが何か耳打ちしたらしく、詩人の心に火をつけたようだ。
「美女に恋文といえば、私の得意分野です!」
「美女? いや、マリーはまだ13歳の少女で……」
「わかります。未成熟の美少女ですねっ!!」
詩人はらんらんと目を輝かせ、ぐいぐいと来るので、私はたじろいでしまった。
「このアランめにお任せください。必ずや美少女の心を射止めてみせましょう」
「いや、婚約者だから射止めるも何も……」
アランいわく、女性とはすべからく美女であり、美少女なのだという。
そして、男とはすべからく美女の忠実な僕なのだと。
アランの指導で、恋文と言えなくもない手紙をしたため、クレルモン伯が伝書鳩を飛ばしてくれた。
返事は来なかった。
クレルモン伯は「悪天候に巻き込まれたり、野生の猛禽や狼に襲われて伝書鳩が届かないこともある」と言った。
アラン・シャルティエは「気高い美女は、簡単にはなびかない」と言った。
それは慰めか?と聞いたら「王太子殿下の婚約者は、すばらしい美女の資質を持っている」と返ってきた。
ロンドン塔との往復書簡と違い、この手紙は戯れも同然。
児戯のような恋文は少々恥ずかしかったが、読まれて困る内容ではない。
アンジューから反応が返って来ないことは寂しかったが、もし届かなかったならば仕方がない。
(二通目を送ってみよう。シャルティエに添削してもらうと、恥ずかしい手紙になりそうだけど)
女の子は、情熱的な手紙の方が嬉しいのだろうか。
胸が張り裂けそうな恋心と、男が求めてやまない女人の温もりとやらを、このときの私はまだ知らなかった。
(※)アラン・シャルティエは32歳。
(※)クレルモン伯は16歳で、デュノワ伯は15歳。二人とも宮廷入り2年目の同期です。
10
お気に入りに追加
192
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
従妹と親密な婚約者に、私は厳しく対処します。
みみぢあん
恋愛
ミレイユの婚約者、オルドリッジ子爵家の長男クレマンは、子供の頃から仲の良い妹のような従妹パトリシアを優先する。 婚約者のミレイユよりもクレマンが従妹を優先するため、学園内でクレマンと従妹の浮気疑惑がうわさになる。
――だが、クレマンが従妹を優先するのは、人には言えない複雑な事情があるからだ。
それを知ったミレイユは婚約破棄するべきか?、婚約を継続するべきか?、悩み続けてミレイユが出した結論は……
※ざまぁ系のお話ではありません。ご注意を😓 まぎらわしくてすみません。
元婚約者様の勘違い
希猫 ゆうみ
恋愛
ある日突然、婚約者の伯爵令息アーノルドから「浮気者」と罵られた伯爵令嬢カイラ。
そのまま罵詈雑言を浴びせられ婚約破棄されてしまう。
しかしアーノルドは酷い勘違いをしているのだ。
アーノルドが見たというホッブス伯爵とキスしていたのは別人。
カイラの双子の妹で数年前親戚である伯爵家の養子となったハリエットだった。
「知らない方がいらっしゃるなんて驚きよ」
「そんな変な男は忘れましょう」
一件落着かに思えたが元婚約者アーノルドは更なる言掛りをつけてくる。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる