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第三章〈アジャンクールの戦い〉編
3.6 アジャンクールの死闘(1)挿絵つき
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馬番の老騎士が予想したとおり、朝までに雨はやんだ。
大量の雨水が森の低地に流れ込んでアジャンクールの狭い道はぬかるみ、ところどころ川のようになっていた。
港湾都市カレーへ通じる道を塞ぐために、フランス側は馬防柵を組んでいた。
イングランドの行く手を阻むと同時に、クロスボウを装備した歩兵を守る構造物だ。
作戦にしたがって隊列を整えているとすでにイングランド軍が間近に迫っていた。先鋒にいるイングランド兵たちはぐっしょりと泥にまみれていた。
総司令官のドルー伯とブシコー元帥は、偵察の斥候から報告を受けていた。
「なんと哀れな! イングランドは雨をしのぐテントさえ足りないのか」
「略奪しようにも、村に軍用テントはありませんからな」
一方のフランス軍は、プレートアーマーにサーコートを羽織った屈強な騎士が多かった。
サーコートには身分と出身をあらわすシンボルをあしらっている。
見た目にも華やかだった。
「想定以上に困窮しているようだ」
「ならば、やつらは今すぐにでもカレーへ行きたいはずだ……」
「……来る!」
二人の司令官の意見は一致した。
(※)アジャンクールの戦いの朝(The Morning of the Battle of Agincourt, John Gilbert)
挑発するように、イングランド陣営から矢が飛んで来た。
何本か地面に突き刺さり、また何本かは兵に命中したが、プレートアーマーは堅かった。重騎士は誰も傷つかなかった。
「小雨がぱらぱらと降っているな」
誰かがそんなことを言った。
ロングボウで長距離を飛ばすときは上に向かって射かける。
すると、矢は垂直に落下する。文字通り、雨のように矢が降ってくる。
ぱらぱらと小雨のように、時には豪雨のように。
百年戦争におけるイングランドの必勝パターンは、長弓兵が大量に発射する「矢の弾幕」にある。
おかげでフランスは何度も苦杯をなめた。
やられっ放しだったわけではない。
戦時中も休戦中も、さまざまな対抗策を研究していた。
熟練の長弓兵があつかうロングボウは、クロスボウよりも射程が長く、連射も可能だ。
しかし、全身をプレートアーマーで覆った重騎兵に傷をつけることはできない。
関節部分など金属の継ぎ目が弱点だったが、そもそもロングボウは命中率が高くない。威力もクロスボウに劣る。
ロングボウの威力では板金プレートを貫通することはできない。
ましてや、馬上の重騎兵の弱点を狙い撃つことは不可能に近い。
事前に計画した作戦では、フランス軍のクロスボウが届く距離まで敵兵を引きつけることになっていた。
イングランド軍が突撃してくるならば、下馬した騎兵が抜刀して戦い、弓兵を守る。
騎乗している重騎兵が突撃するのはそのあと……の予定だった。
待機中の重騎士たちは敵を前にして高ぶりを抑えきれず、うずうずしていた。
「突撃命令はまだか」
50メートルほど先にイングランド兵がいる。
もう目の前だ。相手の顔が見える。中指を立てて挑発する姿も見えている。
プレートアーマーを着ていれば矢の弾幕を怖れることはない。
「上官は? 司令官は? 命令系統はどうなってる?」
騎士の戦い方の真骨頂は、機動力を生かした突撃にある。
騎兵隊に所属する同僚騎士は、手柄を取り合うライバルだ。
突撃命令が下るまで律儀に待機していたら、抜け駆けした誰かに先を越されるかもしれない。そんな心理が働いたのだろう。
「どうやら、病欠の王太子だけでなくシャルル・ドルレアンも臆病者らしい」
「しょせんは城の奥で、詩を書いてる王子様だ。ビビリやがって」
「これだから王族って奴は……」
重騎士たちは兜のスリット越しに目を見合わせ、互いに牽制した。
すでに先頭の騎兵隊はじりじりと進み始めていた。
「おい、前に出過ぎだ。クロスボウの有効射程に入るまで待てと……」
「もう限界だ!」
ついに、せっかちな騎士の一人がしびれを切らして駆け出した。
イングランド軍の先鋒隊までもう50メートルもなかった。
先に手柄を取られてはならないと他の騎士たちも次々とあとに続いた。
敵の陣営まで一瞬で辿り着くかに見えた。
突如、一頭の軍馬が悲痛にいななき、飛び上がって倒れた。
落馬した重騎士はとっさに受け身をとろうとしたが、泥水に落ちると悲鳴を上げた。
プレートアーマーに何かが刺さり、重騎士の胴体を貫通していた。
「何だ?」
駆け出した軍馬はそう簡単に止まれない。
あとに続いた重騎士が異変に気づいた時には、自分自身も馬から落ち、身をもって泥沼の何かを知ることになった。
ソレが何なのか、頭が理解するより先に絶命したかもしれない。
泥沼と化した狭い道に、尖った杭がいくつも打ち込まれていた。
イングランド軍は、あの嵐の中で夜通しトラップを仕込んでいたのだ。
騎士も軍馬も重装備である。その重みで杭にますます深くめり込んだ。
泥まみれの杭は見えにくく、騎士たちはトラップに気づかなかった。
馬は足を負傷すると、走れないだけでなく命に関わる。杭を踏み抜いたかわいそうな軍馬は致命傷を負って倒れた。
杭に引っ掛けてつまずいただけで、重装備の騎士たちは次々と落馬した。
アジャンクールの狭い道は、倒れた軍馬と騎士たちで埋め尽くされた。
トラップを踏む前に異変に気づいた騎士は馬の進行を止めたが、その場から動けなくなった。
立ち往生して前が詰まり、そこへ後方の重騎兵が突撃体勢で突っ込んできた。
フランス軍の戦力は2万。重騎士の割合が多かった。
重騎士たちにロングボウの矢は刺さらなかったが、仲間の軍馬に蹴られ、踏み抜かれた。
仲間の頭を踏みつぶした軍馬もまた、足をもつれさせて倒れた。
森の中は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
「なぜこうなった……誰が突撃しろと言ったのか……」
訳の分からない混戦ぶりに、ドルー伯もブシコー元帥もただ呆然とするしかなかった。
この戦いの勝敗は、わずか1時間で決した。
「我が軍は負けるのか」
シャルル・ドルレアンは伝令から報告を聞いたときも冷静だった。
王太子の代わりに駆り出されたとき、「ようやく幸運が巡って来た」と思ったが、どうやらそうではなかったらしい。
「なんと不甲斐ない……」
淡々とした表情を崩さないまま、めずらしく愚痴をこぼした。
伝令は恐縮してすくみ上がり、罰せられることを怖れたのかそそくさと本陣から離れた。
シャルル・ドルレアンは、誰かに責任を負わせて罰を与えようとは考えなかった。もっと別のことを考えていた。
(父上、母上、不甲斐ない息子で申し訳ありません)
圧倒的な戦力でイングランドを駆逐すれば、直系王族たちを見返すことができる。
戦功を上げれば宮廷で発言力を得られる。そうして、いつか必ずブルゴーニュ公に正当な裁きを——
(残念ですが、仇を取れそうにない……)
「……公、オルレアン公! シャルル・ドルレアン!」
ブシコー元帥に名を呼ばれて、シャルル・ドルレアンは我に返った。
「撤退してください。イングランド軍が目前に迫っています」
「あなたは、数少ないまともな王族です。ここで死んではなりません!」
シャルル・ドルレアンは、王弟の子だ。傍系王族にあたる。
もし直系王族が絶えた場合は、王位継承権が巡ってくる立場だった。
(まだ終わりではないらしい……)
動揺が収まると、周りの様子が見えてきた。行かなければならない。
慌ただしく撤退の準備をしながら、シャルル・ドルレアンは「弟を連れて来なくて良かった」と心の底から思った。
大量の雨水が森の低地に流れ込んでアジャンクールの狭い道はぬかるみ、ところどころ川のようになっていた。
港湾都市カレーへ通じる道を塞ぐために、フランス側は馬防柵を組んでいた。
イングランドの行く手を阻むと同時に、クロスボウを装備した歩兵を守る構造物だ。
作戦にしたがって隊列を整えているとすでにイングランド軍が間近に迫っていた。先鋒にいるイングランド兵たちはぐっしょりと泥にまみれていた。
総司令官のドルー伯とブシコー元帥は、偵察の斥候から報告を受けていた。
「なんと哀れな! イングランドは雨をしのぐテントさえ足りないのか」
「略奪しようにも、村に軍用テントはありませんからな」
一方のフランス軍は、プレートアーマーにサーコートを羽織った屈強な騎士が多かった。
サーコートには身分と出身をあらわすシンボルをあしらっている。
見た目にも華やかだった。
「想定以上に困窮しているようだ」
「ならば、やつらは今すぐにでもカレーへ行きたいはずだ……」
「……来る!」
二人の司令官の意見は一致した。
(※)アジャンクールの戦いの朝(The Morning of the Battle of Agincourt, John Gilbert)
挑発するように、イングランド陣営から矢が飛んで来た。
何本か地面に突き刺さり、また何本かは兵に命中したが、プレートアーマーは堅かった。重騎士は誰も傷つかなかった。
「小雨がぱらぱらと降っているな」
誰かがそんなことを言った。
ロングボウで長距離を飛ばすときは上に向かって射かける。
すると、矢は垂直に落下する。文字通り、雨のように矢が降ってくる。
ぱらぱらと小雨のように、時には豪雨のように。
百年戦争におけるイングランドの必勝パターンは、長弓兵が大量に発射する「矢の弾幕」にある。
おかげでフランスは何度も苦杯をなめた。
やられっ放しだったわけではない。
戦時中も休戦中も、さまざまな対抗策を研究していた。
熟練の長弓兵があつかうロングボウは、クロスボウよりも射程が長く、連射も可能だ。
しかし、全身をプレートアーマーで覆った重騎兵に傷をつけることはできない。
関節部分など金属の継ぎ目が弱点だったが、そもそもロングボウは命中率が高くない。威力もクロスボウに劣る。
ロングボウの威力では板金プレートを貫通することはできない。
ましてや、馬上の重騎兵の弱点を狙い撃つことは不可能に近い。
事前に計画した作戦では、フランス軍のクロスボウが届く距離まで敵兵を引きつけることになっていた。
イングランド軍が突撃してくるならば、下馬した騎兵が抜刀して戦い、弓兵を守る。
騎乗している重騎兵が突撃するのはそのあと……の予定だった。
待機中の重騎士たちは敵を前にして高ぶりを抑えきれず、うずうずしていた。
「突撃命令はまだか」
50メートルほど先にイングランド兵がいる。
もう目の前だ。相手の顔が見える。中指を立てて挑発する姿も見えている。
プレートアーマーを着ていれば矢の弾幕を怖れることはない。
「上官は? 司令官は? 命令系統はどうなってる?」
騎士の戦い方の真骨頂は、機動力を生かした突撃にある。
騎兵隊に所属する同僚騎士は、手柄を取り合うライバルだ。
突撃命令が下るまで律儀に待機していたら、抜け駆けした誰かに先を越されるかもしれない。そんな心理が働いたのだろう。
「どうやら、病欠の王太子だけでなくシャルル・ドルレアンも臆病者らしい」
「しょせんは城の奥で、詩を書いてる王子様だ。ビビリやがって」
「これだから王族って奴は……」
重騎士たちは兜のスリット越しに目を見合わせ、互いに牽制した。
すでに先頭の騎兵隊はじりじりと進み始めていた。
「おい、前に出過ぎだ。クロスボウの有効射程に入るまで待てと……」
「もう限界だ!」
ついに、せっかちな騎士の一人がしびれを切らして駆け出した。
イングランド軍の先鋒隊までもう50メートルもなかった。
先に手柄を取られてはならないと他の騎士たちも次々とあとに続いた。
敵の陣営まで一瞬で辿り着くかに見えた。
突如、一頭の軍馬が悲痛にいななき、飛び上がって倒れた。
落馬した重騎士はとっさに受け身をとろうとしたが、泥水に落ちると悲鳴を上げた。
プレートアーマーに何かが刺さり、重騎士の胴体を貫通していた。
「何だ?」
駆け出した軍馬はそう簡単に止まれない。
あとに続いた重騎士が異変に気づいた時には、自分自身も馬から落ち、身をもって泥沼の何かを知ることになった。
ソレが何なのか、頭が理解するより先に絶命したかもしれない。
泥沼と化した狭い道に、尖った杭がいくつも打ち込まれていた。
イングランド軍は、あの嵐の中で夜通しトラップを仕込んでいたのだ。
騎士も軍馬も重装備である。その重みで杭にますます深くめり込んだ。
泥まみれの杭は見えにくく、騎士たちはトラップに気づかなかった。
馬は足を負傷すると、走れないだけでなく命に関わる。杭を踏み抜いたかわいそうな軍馬は致命傷を負って倒れた。
杭に引っ掛けてつまずいただけで、重装備の騎士たちは次々と落馬した。
アジャンクールの狭い道は、倒れた軍馬と騎士たちで埋め尽くされた。
トラップを踏む前に異変に気づいた騎士は馬の進行を止めたが、その場から動けなくなった。
立ち往生して前が詰まり、そこへ後方の重騎兵が突撃体勢で突っ込んできた。
フランス軍の戦力は2万。重騎士の割合が多かった。
重騎士たちにロングボウの矢は刺さらなかったが、仲間の軍馬に蹴られ、踏み抜かれた。
仲間の頭を踏みつぶした軍馬もまた、足をもつれさせて倒れた。
森の中は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
「なぜこうなった……誰が突撃しろと言ったのか……」
訳の分からない混戦ぶりに、ドルー伯もブシコー元帥もただ呆然とするしかなかった。
この戦いの勝敗は、わずか1時間で決した。
「我が軍は負けるのか」
シャルル・ドルレアンは伝令から報告を聞いたときも冷静だった。
王太子の代わりに駆り出されたとき、「ようやく幸運が巡って来た」と思ったが、どうやらそうではなかったらしい。
「なんと不甲斐ない……」
淡々とした表情を崩さないまま、めずらしく愚痴をこぼした。
伝令は恐縮してすくみ上がり、罰せられることを怖れたのかそそくさと本陣から離れた。
シャルル・ドルレアンは、誰かに責任を負わせて罰を与えようとは考えなかった。もっと別のことを考えていた。
(父上、母上、不甲斐ない息子で申し訳ありません)
圧倒的な戦力でイングランドを駆逐すれば、直系王族たちを見返すことができる。
戦功を上げれば宮廷で発言力を得られる。そうして、いつか必ずブルゴーニュ公に正当な裁きを——
(残念ですが、仇を取れそうにない……)
「……公、オルレアン公! シャルル・ドルレアン!」
ブシコー元帥に名を呼ばれて、シャルル・ドルレアンは我に返った。
「撤退してください。イングランド軍が目前に迫っています」
「あなたは、数少ないまともな王族です。ここで死んではなりません!」
シャルル・ドルレアンは、王弟の子だ。傍系王族にあたる。
もし直系王族が絶えた場合は、王位継承権が巡ってくる立場だった。
(まだ終わりではないらしい……)
動揺が収まると、周りの様子が見えてきた。行かなければならない。
慌ただしく撤退の準備をしながら、シャルル・ドルレアンは「弟を連れて来なくて良かった」と心の底から思った。
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