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追記・2018年末〜「母の遺言と祖母の手帳」

祖母の手帳③「あほうあほう」

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 さちの娘です。「祖母の手帳」シリーズの続きです。
 読みやすいように、誤字?当て字?を直して句読点を入れています。

≪≦d27969252cee91ac6d0e07802022c046.jpg|C≧≫


——悔やむ心はひとつも無いが
七年前、病に負けて社会復帰も断念し
ただ抜け殻の身となれど
子供たちの励ましに頼りつつ
今日も孫の手ひいて山遊び

これで良いかとカラスに問えば、
あほうあほうと言わるるばかり——


 「あほうあほう」が可愛らしい。
 祖母はあまり学のない人だと聞いていましたが、教養と愛嬌を感じます。


——四姉妹、無能な母をよく助け
いばらの道も迷わずに、皆すこやかに
幸せな家庭の主婦に、子の母に
この喜びを、誰に語らん——


 祖母の手帳はここで終わりです。
 祖母は少女時代に関東大震災を経験し、終戦後は満洲・奉天市から女手一つで女児三人(当時小学生~乳児だった伯母)を連れて生還した女丈夫でした。
 激動の時代を、波乱と苦難の人生を生き抜いてハッピーエンドを迎えたように……見えるでしょ。ここでは触れませんが、本当にたくさんのことがあったのです。ここまでよく生きてこれたなぁと思うくらいに。

 辛抱強かった祖母と、我慢強かった母。

 遺品整理をきっかけに、母方のルーツを知ることになりました。
 私は「あほうあほう」な部分しか受け継いでませんが、今のところ平穏に生きています。


≪≦fc455e0dd74d9a79dcdfe9b12bb2e7f9.jpg|C≧≫

 食べたいものは食べておこう
 行きたいとこに行っておこう
 会いたい人に会っておこう
 言いたいことは言っておこう
 人の役には立っておこう

 母がベッドサイドに残した走り書きのメモです。
 祖母の手帳はもうこの世にありませんが、このメモ帳は残っています。
 いつか私がこの世を去るときに燃やしてもらうのかもしれません。
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