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2017年1月「言語・嚥下障害」

田園と、懐かしいハイリゲンシュタット「遺書の家」

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 いつも「旅するドイツ語」を見ている娘から、ハイリゲンシュタットをやるよと教えられて録画をしておいた。

 ハイリゲンシュタットは、難聴になったベートーヴェンが静養した地で、絶望から遺書を書いた家も当時のままあり、交響曲第6番「田園」を作曲したところです。

 娘の卒業旅行記念で一緒に行った所だったので、映る映像の一つ一つがとても懐かしかった。

 ウィーンの森の端にあるハイリゲンシュタット。
 散歩した道は「ベートーヴェンの小路」と呼ばれ、道に沿って小川が流れている。
 ベートーヴェンの時代は柵も住宅もなく、きっとブドウ畑の広がる美しいところだったのでしょうね・・・

 ウィーンから電車に乗り、ハイリゲンシュタット駅下車。
 娘の案内でワクワクしながら歩いて行きました。

 ここの小川のイメージから、田園の第2楽章を作曲。

 そして、近くにはベートーヴェンが静養した家があり、ここで遺書を書いたため『遺書の家』とも言われている。
 表の門を入ると・・・中庭になっていてその奥に家の入口が・・・。

 室内にはベートーヴェン所縁の品々が展示されていて、その遺書も見ることができる。

 遺書の一部より。
  
「隣にいる者には遠くのフルートの音が聞こえるが、私には何も聞こえないとき。また、ある者には羊飼いの歌声が聴こえるが、私には何も聞こえないとき。そのような時には絶望的な気持ちになり、もう少しで自ら命を絶つところだった。芸術。ただそれだけが私を引きとどめたのだ。私が創り出すべきものを全て創りきるまではこの世を去ることは不可能だと思われた。」

 ハイリゲンシュタットの自然の懐に抱かれて、頭の中に溢れるほどの旋律がとめどなく流れたのか、「田園」は交響曲として5楽章まで作曲されている。

 絶望の淵から這い上がり、命の限り、力強く生きたベートーヴェンの音楽は、生き様そのまま、失意のような暗い短調の旋律があったとしても、必ずラストはほとばしる情熱と力強い旋律で終わる。



 娘がEテレで放送されたのを録画ダビングして、DVDにして持って来てくれた。
 昨年来日公演をした、ドイツのバンベルク交響楽団。
 指揮は御年89歳のヘルべルト・ブロムシュテットさん。

 わざわざダビングしてきてくれたのは、演目が「田園」と「運命」。
 アンコールが「エグモント序曲」。

 愛すべき私の大好きな曲ばかりだったのと、とても素晴らしい演奏であったから聴かせてあげたいと思ったそうで。
 CDでいくらでも聴ける曲だけど、映像を見ながらステレオで聴けて、格別なちょっとした音楽会。ベートーヴェンを堪能しました。
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