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2015年末「通院の日々」

吹っ切れた

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 いい匂いがする・・・
 その匂いの主は、通りすがりのお家の垣根から、ひょっこりお顔をのぞかせていて白バラ朱色バラ。慎ましくほんのりとした香りに、思わず足を止めた。

 昨日は定期診察日、下の娘が付き添いで来てくれたので助かりました。
 この間、階段の途中で左膝の力が抜けてガクっとなり、立ち上がれずに怖い思いをしたせいもあって。
 特に階段の昇降の一段一段が覚悟の一歩。

 少しずつ進行しているのかな・・・
 不安をぬぐえぬまま診察日をむかえました。

 診察室に入ると、いつものように両腕、両手、あらゆる角度で先生との力比べ。
 そして指先から手の甲を、じっくり穴の開くほど診られた。
 両腕ともに自覚症状もないし、どうやら大丈夫なようで良かった・・・ ほっ…

 そして、脚の方・・・
 やはり膝に力が入らず急に落ち込むのは一つの症状だそうで、足先から始まり、徐々に筋肉の衰えが上へ上へと進んでいる。
 でも、まだ残って頑張ってくれている筋力。
 それを大事に何とか長持ちさせなきゃ!

 それから、ためらっていた点滴治療のラジカット。
 近隣の診療所が引き受けて下さることになりました。
 診療所の内科の先生の準備期間・・・製薬会社の専門の方が訪問し、詳細な説明をするそうで(内科の先生も初めての治療経験という訳)始まるのは1か月後になりそうです。

 今の住まいの立地条件に通院の不安があるけれど、転居までの間、何とか頑張ってみよう!
 神経内科の先生から、「くれぐれも転ばないように」と、昨日も念を押された(汗)



 気持ちが吹っ切れたこと!
 それは、私の病名が分かった昨年の同じ秋に、症状が出て検査入院された20代半ばのお嬢さん、始めは腕から、そして足へ進行が進み、あっと言う間に車椅子に。
 今月に入り、すでに呼吸器装着(延命のため)という、あまりに早い進行にALSの現実のむごさを改めて知った。

 ALS患者の進行度合いは千差万別、私の場合は本当に遅い進行とのことで、癌とかと同じなのかな・・・
 若い人ほど早く進行してしまうのだろうか・・・
 まだまだたくさんやりたい事があるでしょうにと思うと心が痛む。

 それでも負けない! 生きたい!

 その健気で前向きな姿勢に、点滴が怖いと言っていた自分が恥ずかしく、何とワガママであったことか・・・。



 病院の帰りはちょうどお昼時。娘と寄り道して来ました。
 ミラノに本店のあるパニーノジュスト。
 どうしても食べたかったランチ時間のみのメニュー。


 パニーノ。
 手前は私ので、トーストしたパンでサンドしたもの。
 向こう側は娘のローストビーフがたっぷりのパニーノ。

 ハムとツナとトマトなど野菜たっぷりでチーズがとろけてはみ出てる。えへへ。
 パンがサクサクとしてて、本当に美味しかった!
 そして、コーヒーも私の好きなコクと苦みがあってブラックで飲めて最高!!
 このお店も、お気に入りの一つです。




 帰りの横浜駅構内で見付けたポスターにテンション↑
 観たい!! 「フィガロの結婚」楽しいよね~
 来日公演を娘は知っていて、チケットがねぇ・・・
 そう、かなりの金額なのに、これでもお席はほぼ埋まってしまうそうだから、人気の高さが如何にスゴイか分かるというもの。


 でも、日程は秋・・・
 今年の秋は大きな予定を立てているので、こちらはこのポスターを目にすることができただけで、良かった~と、思うことにしよう。

 この日もたくさんの方の笑顔に会えて素敵な一日でした。
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