33 / 66
水の王国編
え、私天国にきちゃった?
しおりを挟む
「ああ、水の王国に来て良かった」
「道中、水晶鱒の塩焼きも食べられませんでしたからね」
「そう! ほんとそれ!」
私がメアリーと話しつつ舌鼓を打っていると、そばで見ていたティードが話しかけてくれた。
「本日のメインでもあるこちらは一級の水晶鱒です。やはり一級品は塩焼きが一番です」
「これが水晶鱒……」
見た目は少し大きめの鮎のよう。
「目が水晶のように透き通っていることから水晶鱒と呼ばれています」
「あ、確かに綺麗」
魚は焼くと目が白くなる。水晶体のタンパク質が熱凝固するからだ。それなのに水晶鱒の目は焼き魚になっても透明なままだった。
「これも食べられる?」
「レジーナ様……」
「え、だって気になるじゃん!」
「ふふふ。残念ながら硬くて食べられた物ではありません。毒があるというわけではありませんが」
それは残念だけど仕方ない。でも綺麗。そう思って水晶鱒の目を見ているとティードが続けて言った。
「後ほど洗った物をお持ちしましょうか? 高価な物というわけではありませんが観光として来られたのなら記念に」
「是非いただきます!」
「喜んでいただけたみたいで嬉しいです」
「はい! 喜んでます!」
元の世界で見たことのない物、触れられない物、食べられない物。私はそういった物が大好きだ。聖王国のゲームだからというだけでなく、私はますますこの世界が好きになっていく。
「食後にはデザートも用意しておりますので、最後まで楽しんでくださいね」
そう言ってティードは自分の席へと戻っていった。魚は美味しい。お米も美味しい。汁物も漬物も酢の物も美味しい。その上デザートまであるとは……。
「ここは天国か……」
「どうされました? 毒でも入っていましたか?」
「生きてる。美味しくて生きてる実感がある」
「それなら良かったです」
メアリーはそう言うと自分の食事に手をつける。自分の感情で手一杯の中、メアリーを見るとメアリーも幸せそうにしていて可愛い。
料理を食べ終わると、私たちの目の前にデザートが置かれた。それは見たこともない綺麗なかき氷だった。雪のように白いわけではなく、透明な輝くかき氷。たくさんのフルーツが盛り付けてあってとても豪華だ。宝の山を目の前にしたみたいに私もメアリーも目を輝かせていた。
「アリスちゃんに食べてもらいたくて作ってもらった魔法を使ったかき氷なんだ」
私の隣でアウラ王子がアリスにそう説明している。なるほど。この輝きも透明度も魔法を使っていたのか。この世界の料理を楽しむには魔法を使った調理も勉強しないといけなさそう。楽しみが増える。そう思いながら私はかき氷をひとくち食べた。
「ああ、美味しい」
それしか言えなかった。かき氷の味はシロップの味。だけどシロップはただ甘いだけでなく風味豊かで美味しく楽しい。かき氷は今まで経験したことのない滑らかさでクリームみたい。しかしそんな中にも歯応えがある氷が入っていたりして良いアクセントになっている。盛り付けられた果物も様々な種類があって、そのどれもがかき氷とよく合う。ずっと楽しいしずっと美味しい。
「ここは天国か……」
「レジーナ様。ここが天国です」
メアリーも認めてくれた。私本当に天国に来ちゃったらしい。初めから終わりまでずっと美味しいし、ずっと楽しい。こんな経験元の世界でもしたことがない。本当に水の王国に来て良かった。
「贅沢を言うならお酒があれば」
「私にしか聞こえないように言うあたり、まだ理性が残っていて良かったです」
「流石にそんな失礼なことは言えない」
私たちのために開いてくれた宴で催促なんて失礼なこと。でも人間の欲望というのは底がないというし。こんな美味しい料理がある国で飲む美味しいお酒はどんな物なのかと考えると楽しみで仕方がない。
「道中、水晶鱒の塩焼きも食べられませんでしたからね」
「そう! ほんとそれ!」
私がメアリーと話しつつ舌鼓を打っていると、そばで見ていたティードが話しかけてくれた。
「本日のメインでもあるこちらは一級の水晶鱒です。やはり一級品は塩焼きが一番です」
「これが水晶鱒……」
見た目は少し大きめの鮎のよう。
「目が水晶のように透き通っていることから水晶鱒と呼ばれています」
「あ、確かに綺麗」
魚は焼くと目が白くなる。水晶体のタンパク質が熱凝固するからだ。それなのに水晶鱒の目は焼き魚になっても透明なままだった。
「これも食べられる?」
「レジーナ様……」
「え、だって気になるじゃん!」
「ふふふ。残念ながら硬くて食べられた物ではありません。毒があるというわけではありませんが」
それは残念だけど仕方ない。でも綺麗。そう思って水晶鱒の目を見ているとティードが続けて言った。
「後ほど洗った物をお持ちしましょうか? 高価な物というわけではありませんが観光として来られたのなら記念に」
「是非いただきます!」
「喜んでいただけたみたいで嬉しいです」
「はい! 喜んでます!」
元の世界で見たことのない物、触れられない物、食べられない物。私はそういった物が大好きだ。聖王国のゲームだからというだけでなく、私はますますこの世界が好きになっていく。
「食後にはデザートも用意しておりますので、最後まで楽しんでくださいね」
そう言ってティードは自分の席へと戻っていった。魚は美味しい。お米も美味しい。汁物も漬物も酢の物も美味しい。その上デザートまであるとは……。
「ここは天国か……」
「どうされました? 毒でも入っていましたか?」
「生きてる。美味しくて生きてる実感がある」
「それなら良かったです」
メアリーはそう言うと自分の食事に手をつける。自分の感情で手一杯の中、メアリーを見るとメアリーも幸せそうにしていて可愛い。
料理を食べ終わると、私たちの目の前にデザートが置かれた。それは見たこともない綺麗なかき氷だった。雪のように白いわけではなく、透明な輝くかき氷。たくさんのフルーツが盛り付けてあってとても豪華だ。宝の山を目の前にしたみたいに私もメアリーも目を輝かせていた。
「アリスちゃんに食べてもらいたくて作ってもらった魔法を使ったかき氷なんだ」
私の隣でアウラ王子がアリスにそう説明している。なるほど。この輝きも透明度も魔法を使っていたのか。この世界の料理を楽しむには魔法を使った調理も勉強しないといけなさそう。楽しみが増える。そう思いながら私はかき氷をひとくち食べた。
「ああ、美味しい」
それしか言えなかった。かき氷の味はシロップの味。だけどシロップはただ甘いだけでなく風味豊かで美味しく楽しい。かき氷は今まで経験したことのない滑らかさでクリームみたい。しかしそんな中にも歯応えがある氷が入っていたりして良いアクセントになっている。盛り付けられた果物も様々な種類があって、そのどれもがかき氷とよく合う。ずっと楽しいしずっと美味しい。
「ここは天国か……」
「レジーナ様。ここが天国です」
メアリーも認めてくれた。私本当に天国に来ちゃったらしい。初めから終わりまでずっと美味しいし、ずっと楽しい。こんな経験元の世界でもしたことがない。本当に水の王国に来て良かった。
「贅沢を言うならお酒があれば」
「私にしか聞こえないように言うあたり、まだ理性が残っていて良かったです」
「流石にそんな失礼なことは言えない」
私たちのために開いてくれた宴で催促なんて失礼なこと。でも人間の欲望というのは底がないというし。こんな美味しい料理がある国で飲む美味しいお酒はどんな物なのかと考えると楽しみで仕方がない。
1
お気に入りに追加
2,513
あなたにおすすめの小説
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
悪役令息の三下取り巻きに転生したけれど、チートがすごすぎて三下になりきれませんでした
あいま
ファンタジー
悪役令息の取り巻き三下モブに転生した俺、ドコニ・デモイル。10歳。
貴族という序列に厳しい世界で公爵家の令息であるモラハ・ラスゴイの側近選別と噂される公爵家主催のパーティーへ強制的に行く羽目になった。
そこでモラハ・ラスゴイに殴られ、前世の記憶と女神さまから言われた言葉を思い出す。
この世界は前世で知ったくそ小説「貴族学園らぶみーどぅー」という学園を舞台にした剣と魔法の世界であることがわかった。
しかも、モラハ・ラスゴイが成長し学園に入学した暁には、もれなく主人公へ行った悪事がばれて死ぬ運命にある。
さらには、モラハ・ラスゴイと俺は一心同体で、命が繋がる呪いがオプションとしてついている。なぜなら女神様は貴腐人らしく女同士、男同士の恋の発展を望んでいるらしい。女神様は神なのにこの世界を崩壊させるつもりなのだろうか?
とにかく、モラハが死ぬということは、命が繋がる呪いにかかっている俺も当然死ぬということだ。
学園には並々ならぬ執着を見せるモラハが危険に満ち溢れた学園に通わないという選択肢はない。
仕方がなく俺は、モラハ・ラスゴイの根性を叩きなおしながら、時には、殺気を向けてくるメイドを懐柔し、時には、命を狙ってくる自称美少女暗殺者を撃退し、時には、魔物を一掃して魔王を返り討ちにしたりと、女神さまかもらった微妙な恩恵ジョブ変更チート無限を使い、なんとかモラハ・ラスゴイを更生させて生き残ろうとする物語である。
ーーーーー
お読みくださりありがとうございます<(_ _)>
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
異世界道中ゆめうつつ! 転生したら虚弱令嬢でした。チート能力なしでたのしい健康スローライフ!
マーニー
ファンタジー
※ほのぼの日常系です
病弱で閉鎖的な生活を送る、伯爵令嬢の美少女ニコル(10歳)。対して、亡くなった両親が残した借金地獄から抜け出すため、忙殺状態の限界社会人サラ(22歳)。
ある日、同日同時刻に、体力の限界で息を引き取った2人だったが、なんとサラはニコルの体に転生していたのだった。
「こういうときって、神様のチート能力とかあるんじゃないのぉ?涙」
異世界転生お約束の神様登場も特別スキルもなく、ただただ、不健康でひ弱な美少女に転生してしまったサラ。
「せっかく忙殺の日々から解放されたんだから…楽しむしかない。ぜっっったいにスローライフを満喫する!」
―――異世界と健康への不安が募りつつ
憧れのスローライフ実現のためまずは健康体になることを決意したが、果たしてどうなるのか?
魔法に魔物、お貴族様。
夢と現実の狭間のような日々の中で、
転生者サラが自身の夢を叶えるために
新ニコルとして我が道をつきすすむ!
『目指せ健康体!美味しいご飯と楽しい仲間たちと夢のスローライフを叶えていくお話』
※はじめは健康生活。そのうちお料理したり、旅に出たりもします。日常ほのぼの系です。
※非現実色強めな内容です。
※溺愛親バカと、あたおか要素があるのでご注意です。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。
生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)
田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ?
コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。
(あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw)
台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。
読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。
(カクヨムにも投稿しております)
転生者の取り巻き令嬢は無自覚に無双する
山本いとう
ファンタジー
異世界へと転生してきた悪役令嬢の取り巻き令嬢マリアは、辺境にある伯爵領で、世界を支配しているのは武力だと気付き、生き残るためのトレーニングの開発を始める。
やがて人智を超え始めるマリア式トレーニング。
人外の力を手に入れるモールド伯爵領の面々。
当然、武力だけが全てではない貴族世界とはギャップがある訳で…。
脳筋猫かぶり取り巻き令嬢に、王国中が振り回される時は近い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる