サイコミステリー

色部耀

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21.違和感

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「何の理由があって来たのかとか聞かれなかったね」
 嵐が去った後で一息ついているような美波さんに俺はそう言う。美波さんは特に何も考えていなかったのか返事も無い。根掘り葉掘り聞いてくるような先生ではなかったことだけは正直なところ楽ではあった。しかし探し物という目的があったので、その件については聞いてもらえれば良かったかもしれない。

「探し物のことは先生に聞いてみなくてよかったの?」

 その言葉に美波さんはようやく頭が回り始めたのか、俺の顔を見て答えた。

「え、あ、はい。もうここは十分です」

 何も探したりしていないのに十分とはまた不思議な感じだ。美波さんは本当に探すつもりがあるのだろうかと疑問に思う。

「じゃあ、次は小学校に行きましょうか」

 俺の疑問も晴れないまま、美波さんは次の目的地に向かうことを提案して教室から出るように廊下の方へと歩き出した。中学校から小学校まではほとんど離れていない。確かに今日のうちに両方回っておくことは効率的ではある。
 しかしそれとは別で、中学校を何も探さずに通り過ぎるのはやはり違和感が残る。

「美波さん。今日のうちに小学校に向かうことは賛成だけど、いくつか聞きたいことがある。歩きながらでいいから教えてほしい」

 俺は廊下に出たところで美波さんに伝える。急ぐわけでもなく他に用事があるわけでもないからのんびり付き合おうかとも思っていた。しかしいざこうして付き合っているとストレスが無いとは言いづらい状態でもあると分かった。今後は暇だからといってよく分からない事を安請け合いするのは良くないかもしれない。よく考えてから行動しよう。

「……答えられる範囲で良ければ答えます」

 一歩先を歩いていた美波さんは俺に背中を向けてそう言った。俺は歩調を速めて隣に並び、質問を選別しながら歩く。美波さんは俺からの質問を待ちながらもスマートフォンで地図アプリを立ち上げようとしていた。
 ストレスが無いとは言えないと言ったものの、イライラしたり苦しかったりというわけではない。ちょっとモヤモヤする感じ。それが少しでも紛れたらいい。その程度の質問だ。

「俺には美波さんが中学校の中を探しているようには見えなかったんだけど、美波さんはどこを探してたんだ?」
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