花鳥風月少女譚

都川レナ

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6 お茶会

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(生徒会室には、梅林貴子、烏丸翠、天月美寿々の3名が到着。旧生徒会役員4名と共に残る吹子舞を待っていた。)


天月美寿々は新旧生徒会役員の面々を見て思う。もしかして選考基準には容姿端麗であることが入っているのではないかと。

(もちろん自分は論外だとしても!!!)

前生徒会長、鷹ヶ峰飛鳥(たかがみあすか)
前副生徒会長、扇凛子(おうぎりんこ)
                         月美星羅(つきみせいら)
そして前生徒指導部長、櫻木遥子(さくらぎはるこ)。

…まるでなにかの絵画のように美しい。


「飛鳥ぁ、チーズケーキまわしてよ、まだ私食べてないんだけど」
「凛子ダイエット中って言ってたよね?」
「………言ってないし!」

(((間が長い!!!)))

「遅れてすみませんっっ、迷ってしまって…」
「いいのよ、気にしないで。よくある事だわ…。じゃあ全員揃ったところだし、お茶会を始めましょうか」

吹子舞の到着により、新旧生徒会役員顔合わせ、又の名を"お茶会"がスタートした。

鷹ヶ峰前会長の合図で、何処からともなく可愛らしいグリーンのエプロン姿の少女達が現れた。彼女たちはテキパキと給仕を行い、気づいた時にはテーブルの上はケーキというケーキで一杯になった。

(こんな集団、全く知らなかった…!)

「梨沙子、チョコマフィン頂戴」
「かしこまりました」

「友梨奈、梨々子さんによろしくお伝えして下さいね。相変わらず素晴らしく美味しいわ」
「ありがとうございます。きっと梨々子様も喜びます」

…何者??
一番優しそうな櫻木遥子先輩に小声で尋ねる。

「すみません、彼女たちは一体何者なんですか??」
「ああ、調理部の方々よ。…有志でこういうお茶会があるときは来てくれるの。
"梨々子"って分かるかしら?」
「いいえ」
「代々調理部の部長さんは、梨々子って名乗るのよ。いつからなのかはよく分からないけど…。今は確か…えーっと…」
「318代目ですわ」
ひょこっと給仕をしていた少女が答えた。
「正体は秘密ですわ。…知りたいなら調理部に入部下さいね」
私の質問を先読みしたのか、ふふっと笑って躱されてしまった。
「梨々子さんのお菓子が食べ放題なのは、生徒会役員になって一番いいことかもしれないわね。」
と、かなり真面目な顔な遥子先輩。
マジなのか、冗談なのか、イマイチ判別がつかなかった。


~扇凛子と櫻木遥子と梅林貴子~

「貴子ちゃんが会長になるだろうなぁって、私ずっと思ってたよー」
「そんな…恐縮です。」
「まあ正直、そっちの学年は貴子ちゃん以外あんまパッとしないからねぇ」
「そんなことないです、…先輩方が華やか過ぎるんです」
「まーっ、貴子ちゃんは先輩を煽てるのが上手だねぇ」
「凛子、おばあちゃんみたいよ」
「うるさい星羅」
「にしても貴子ちゃんは美人やなぁー、
"花"の…えっと、花籠柳星だっけ?お嫁さんになるんちゃうん?」

(うわあ、それ正解!!!)

貴子は内心悲鳴を上げた。扇凛子の洞察力に舌を巻く。よく見ると凛子の瞳は全く笑っていない。貴子を試しているのだ。
(鎌をかけられてるわ…これ。慎重に応えなければ…)

「そんなお話があるなら嬉しいですけど…残念ながら違いますわ。」

どうだろう。上手く煙を巻けただろうか。

「ふぅーん、そおか、ま、そうやったら教えてな。凛子ね、人間観察は得意なんよ」

(怖っ!…嘘つくな、どうせ見破るからってことね…)

「まあまあ、凛子ちゃん、そのへんにしてあげてよ。うちの可愛い後輩ちゃんなんだから」

櫻木遥子が優しげな微笑みを浮かべて凛子と貴子の間に割って入ってくれた。

「やあね、お話してただけよー」
「ほんとかしら、大丈夫?貴子」
「はい、遥子様。ありがとうございます」
「凛子、ちょっと貴子を借りるわね」
「え?…ああ、まあいいわよ」
「ありがとう」

(!?!?)

え?なになに?
助けられたと思ったら遥子先輩からもなんかあるの??怖い怖い…

遥子の儚げな姿からは想像もつかないほど強い力でグイグイ引っ張られる。

(いたいいたいいたい!)

「…で?」
冷めた目で遥子に促される。

「え、…申し訳ありません。なんのことでしょうか?」
「言われないと礼もできないなんてまだまだね。生徒会長なんて呆れるわ」
「……申し訳ありません。先程はありがとうございました、遥子様。」

(さっき言ったでしょ。耳腐ってんのかこのゴミ女)

「…凛子に聞かれた件、どうなってんのよ。しっかりしなさい」

(これも、罠だ!)

私と柳星様の婚約は、花籠本家と梅林家のほんの一握りしか知らないはずだ。ましてや櫻木家が知るはずもない。ここで認めたら、ややこしい事になる。確か遥子も、柳星の婚約者候補だったはずだ。

「…私は候補者の一人ですが、それ以上でも以下でもありません。扇副会長の発言は推測でしかありませんわ。」

遥子が舌打ちでもしそうな顔で睨みつけてくる。…ギャップが激しいことは昔から知っていたが、ここまで来ると正直怖い。

「…しらばっくれて。」

そう言うと遥子はサッと身を翻し、足早にお茶会の部屋へ消えていってしまった。
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