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黄金都市編
黄金都市編その13
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「すみません・・・これから試合だっていうのに・・・。」
闘技場ロビーでまたまたカルディアさんが申し訳なさそうに謝る。クソ犬は悪びれもせず寝そべって欠伸をしていた。今度、奴の鼻先で思いっきり屁でもかましてやるか。
「なんのなんの。これぐらい平気ですよ。それにクソ犬がしたことですし。」
申し訳なさそうに謝るカルディアさんを宥める。
そうだ、試合に勝ったら手を癒してもらおう。あの胸に付いた双丘に挟んでもらえば治りも良くなりそうだ。そうしよう。カルディアさんなら言ったらやってくれそうだしな。よし!これでいこう。
よからぬことを考えていたら頬をつねられる。
「いひゃいいひゃい!なんでぇ~!?」
「ん?君の顔を見ていたらなんとなく。試合前だからこれで済んでいるんだぞ。」
くそう。監視役がいる所では妄想も迂闊に許されないのか。
「も、もうその辺で・・・あ!そろそろですよ!お二人とも!頑張ってください。」
「む?そうか?では行ってくる。」
「いひゃい~。離して~。」
「・・・だ、大丈夫かな?」
苦笑いで見送ってくれるカルディアさんを残して、女騎士さんは僕の頬をつねったまま引っ張ってゆく。
これから大衆の前に姿をさらすというのに顔に対する攻撃はどうかと思います!第一印象は見た目って言うじゃないですか!『おたふく顔の剣士勝利を飾る』なんて言われたらどーしてくれるんです!?
暗く長い通路を抜けると大歓声と共に一気に光が差し込む。
「西からは~。え~と・・・『かの原初七祖の内3人から教えを受けた弟子一号(男)と弟子二号(女)』長いので原初の弟子たち~!!!そして東からは~~~~・・・」
「アイスエイジだ~~~~~!!!!」
向こう側の通路から飛びこんでくるように登場する水色の長いツインテールの小柄な女の子。その服装はミニのプリーツスカートにハイソックスで絶対領域、胸に大きなリボンをあしらった”ニチ朝”幼女向けのアニメで見れそうなフリフリのへそ出し衣装。この都市に居るってことは狭間世界に来て結構年数経ってると思うんだけど恥ずかしくないのかな?年齢的に。
その登場と共に歓声が一層大きくなる。
「みんな声援ありがとーーー。みんなの魔法少女アイドル、アイスエイジ。今日も頑張るからね~。応援よろしく~!」
両手を振って観客アピールし、ポーズを取るツインテール。
「今日も可愛いよ~。あんな奴等ぶち殺しちゃえ~!」
「女の方は四肢切断で許してやってね~!」
「野郎の方はチンポ凍らせて砕いちまおうぜ~!」
うわー。すげぇ奴来たな。ヤジってるのはあいつのファンか?てか民度終わてるな。その汚いヤジの中で一際目立つ奴がいた。
「そいつを殺せぇ!!!ぶち殺せぇ!!!!!!」
ぼさぼさの髪に目を血走らせ、身を乗り出して僕達を罵倒する人物。隣の女性がなんとか抑えようとしていたが、あまりの異質さに周りの客も引いていた。
懐かしい顔だがかつての整った綺麗な顔は見る影なく、隣の女性も記憶の中よりも随分やつれていた。
「ええっと・・・あれはお知り合い?」
アイスエイジもその人物のあまりのヤジの気迫に若干引いている。
「あー・・・まあ・・・悪いことはしてないんですけど・・・ちょっと恨まれていて。」
「何だか大変みたいね・・・。さて・・・と。」
観客に手を振っていたアイスエイジが顎に手をやり値踏みするようにこちらをジロジロと見てくる。
「う~ん、本当にアンタらがあのフォーチュンの弟子?強そうに見えないわね。」
「えーと・・・フォーチュンさんの知り合い?」
「ううん。直接会ったこと無いわ。ただね・・・噂は聞くのよ。あらゆる魔法に精通し、空からは隕石を振らし、大地を砕く大魔法少女だって。」
「ぷっ・・・ま、まほ・・・魔法少女って。」
見た目は確かに少女だが、香木に頬ずりしてるような中身おばあちゃんのアレが少女?流石の女騎士さんも顔を背けてぷるぷる震えている。
「わ、笑わないで!手始めに弟子から始末してあげるわ!この狭間世界での最強の魔法少女は、このアイスエイジよ!いずれはフォーチュンをも倒しそれを証明するの。そしたらますます私に拍がついて有名になれるわ~。お前たちはその前座よ!覚悟しなさい!」
自信に満ち溢れた表情でビシッと指を指すアイスエイジ。その姿からは敗北など微塵も感じていない、勝利のみを確信した気持ちが読み取れた。
「さあ~!いよいよ制限時間いっぱいだ~!両者構えて~・・・レディー・・・ファイッ!!!」
司会の開始の合図とともにゴングが鳴る。瞬間アイスエイジの手のひらが白くひかり、氷のつららが何本も生成され、ミサイルの様に飛ばしてくる。
剣でいなし、身を躱し対処していくが、アイスエイジはその場から一歩も動かず、氷のつららを次々と精製し連射してくる。その連射は徐々に早くなりついには・・・
「まずい。捌き切れなくなってきた・・・女騎士さん!壁を作ります!こっちへ!」
「あ・・・ああ!」
女騎士さんがいなしながら徐々に近づき、充分な距離に来るのを見計らい、タワーの能力を展開する。
「サンドストラクチャー!!」
巨大な壁を地面から出現させると氷のミサイルが次々と壁に当たり砕けてゆく音が響いた。
「一先ず何とかなりましたね。あの連射の中どうやって近づきましょう・・・」
「私が距離を詰める。こいつでな。」
そう言ってコンコンとトータルワークスさんが作った義手を叩く。この義手には様々な機能がついているらしい。女騎士さんも日頃自主訓練で義手を使った訓練をしてたっけな?ならば任せてみるか!
「わかりました。それじゃ・・・」
言葉の途中で女騎士さんが焦った表情で僕の後ろを見ている。
そういえばさっきから壁に氷が当たる音がしない!?
「伏せろ!!!!」
僕も後ろを振り返ろうとした瞬間、女騎士さんに頭を押さえつけられ地面に突っ伏した。
頭上で女騎士さんが剣で氷をいなす音がする。
「女騎士さん!大丈夫ですか!?」
「問題ない・・・。」
地面から顔を挙げ、声をかけるが、その姿を見て問題ないわけがない。女騎士さんの脇腹と右腕からは血が滲み、顔は苦痛で歪んでいた。慌てて傷を診ようとするが次々と氷のミサイルが壁を迂回して来るのが見える。
「くそっ!ストラクチャー!!」
女騎士さんと僕を包み込む様にタワーの能力で石のかまくらみたく円形のドーム状に展開する。
「ダメだ・・・!光が入らないから、傷が見えない。」
完全に密室に作ったので真っ暗で介抱のしようがない。焦っていると・・・
「待ってろ・・・」
女騎士さんの声がしてカチャカチャと何かを操作する音がする。すると『ぼぅ…』っと左腕の義手が光りだした。
「本当に多機能ですね。」
「ああ・・・全くだ。狭間世界一の職人を名乗るだけあるな。」
「傷を診ます。」
「頼む・・・。」
脇腹と右腕の傷を素早く診る。
(結構深い・・・)
女騎士さんの額には脂汗が浮び、深手の様子を物語っていた。僕はポーチからフォーチュンさんが作った止血剤を取り出し患部に当てて布で縛る。
「ぐうう・・・!!!!」
最初は痛がったが次第に表情が安定してくる。
この傷だ。これ以上やると命に関わるかもしれない・・・。もう諦めて降参するしか・・・
「すみません・・・僕のせいで・・・もう・・・」
待てと言わんばかりに『スッ』と僕の顔の前に手をやる女騎士さん。
「おいおい・・・まさかここでやめるとか言わないだろうな・・・。まだ始まったばかりだぞ。君の覚悟はそんなものか。」
「でも・・・。」
「そんな顔するな。私は大丈夫。このまま終わっちゃ私だって悔しいし納得いかない。ここから反撃と行こうじゃないか・・・」
「女騎士さん・・・わかりました!」
まだ傷が痛むだろうに、無理して笑顔を作って奮い立たせてくれる。ここまで言われちゃやるしかない!改めて自身を奮起させてると・・・
「ねーえ!いつまでそうしてるの~~~~~?お客さんも退屈で寝ちゃいそうよ~~。」
外壁をコンコンと叩く音と共に声が物凄く近くから聞こえる。
女騎士さんにアイコンタクトを取り、能力で外壁の一部に覗き穴を作る。
そこから外の様子を伺うと・・・
「お?やっほー!」
向こうから無防備に覗いてくる。
「わー。結構深手じゃん。もうやめときなってー。死ぬよー?まぁでもフォーチュンの弟子がこんなんだったら本人も大したこと無いわね。強かったって言ってもどうせ噂に尾ひれが付いたんでしょう。」
アイスエイジは観客に聞こえるように僕達を煽り、高笑いしだした。それを聞いた観客も笑いだす。
「引っ込めガキンチョ!」
「ママのおっぱいでも吸ってなー。」
「原初とか言っても大した事ねーな!」
次々にヤジが飛び会場にゴミが投げ入れられる。
「あんたら、市民権も無いんだって?もうここで暮らしていけないね。かわいそーだからお姉さんが門まで送ってあげよっか?ただしアンタらは私の作った氷の首輪をつけて裸で四つん這いになりながら歩いてもらおうかな~?その前にお腹出して服従のポーズをまずここでして貰いましょうか?」
もう勝った気でいるアイスエイジが勝利後の事を考えているのか口に手をやり吹き出しながら提案してくる。
「わ、わかった・・・。」
「お、おい!」
女騎士さんが『本気か!?』という目で見てくる。
「あら~。聞き分けがいいのね~。どれどれ~?」
ニコニコと覗き穴を覗いてきたアイスエイジに向かって中指を立てる。
「あー・・・そう、そっかー・・・ふ~ん・・・・・・・殺してやるわ!!!」
アイスエイジの顔が笑顔のまま見る見るうちに声が低くなり、怒鳴り声を挙げてから。小さな覗き穴に冷気を送ってくる。
「あの・・・今のは?」
「あー、あれはですね。僕の国の『ぶっ殺す』って意味ですよ。」
「・・・ぷ・・・そうか!ぶっ殺すか!よし!やってやろう!!!」
女騎士さんの決意と共に能力を解除する。敵は無警戒に近づいたせいで僕達との距離はかなり近い。絶好のチャンスだった。僕達は左右から踏み込み一太刀を打ち込む。
「取った!!!」
・・・はずだったのに二人の剣は空しく空を斬る。
消えたアイスエイジを探すために辺りを見渡すと眼前に驚きの光景が広がっていた。それは彼女がアイスエイジと言われる所以の光景・・・。その光景を前にこの戦いが一筋縄ではいかないことを僕らは感じていた・・・。
闘技場ロビーでまたまたカルディアさんが申し訳なさそうに謝る。クソ犬は悪びれもせず寝そべって欠伸をしていた。今度、奴の鼻先で思いっきり屁でもかましてやるか。
「なんのなんの。これぐらい平気ですよ。それにクソ犬がしたことですし。」
申し訳なさそうに謝るカルディアさんを宥める。
そうだ、試合に勝ったら手を癒してもらおう。あの胸に付いた双丘に挟んでもらえば治りも良くなりそうだ。そうしよう。カルディアさんなら言ったらやってくれそうだしな。よし!これでいこう。
よからぬことを考えていたら頬をつねられる。
「いひゃいいひゃい!なんでぇ~!?」
「ん?君の顔を見ていたらなんとなく。試合前だからこれで済んでいるんだぞ。」
くそう。監視役がいる所では妄想も迂闊に許されないのか。
「も、もうその辺で・・・あ!そろそろですよ!お二人とも!頑張ってください。」
「む?そうか?では行ってくる。」
「いひゃい~。離して~。」
「・・・だ、大丈夫かな?」
苦笑いで見送ってくれるカルディアさんを残して、女騎士さんは僕の頬をつねったまま引っ張ってゆく。
これから大衆の前に姿をさらすというのに顔に対する攻撃はどうかと思います!第一印象は見た目って言うじゃないですか!『おたふく顔の剣士勝利を飾る』なんて言われたらどーしてくれるんです!?
暗く長い通路を抜けると大歓声と共に一気に光が差し込む。
「西からは~。え~と・・・『かの原初七祖の内3人から教えを受けた弟子一号(男)と弟子二号(女)』長いので原初の弟子たち~!!!そして東からは~~~~・・・」
「アイスエイジだ~~~~~!!!!」
向こう側の通路から飛びこんでくるように登場する水色の長いツインテールの小柄な女の子。その服装はミニのプリーツスカートにハイソックスで絶対領域、胸に大きなリボンをあしらった”ニチ朝”幼女向けのアニメで見れそうなフリフリのへそ出し衣装。この都市に居るってことは狭間世界に来て結構年数経ってると思うんだけど恥ずかしくないのかな?年齢的に。
その登場と共に歓声が一層大きくなる。
「みんな声援ありがとーーー。みんなの魔法少女アイドル、アイスエイジ。今日も頑張るからね~。応援よろしく~!」
両手を振って観客アピールし、ポーズを取るツインテール。
「今日も可愛いよ~。あんな奴等ぶち殺しちゃえ~!」
「女の方は四肢切断で許してやってね~!」
「野郎の方はチンポ凍らせて砕いちまおうぜ~!」
うわー。すげぇ奴来たな。ヤジってるのはあいつのファンか?てか民度終わてるな。その汚いヤジの中で一際目立つ奴がいた。
「そいつを殺せぇ!!!ぶち殺せぇ!!!!!!」
ぼさぼさの髪に目を血走らせ、身を乗り出して僕達を罵倒する人物。隣の女性がなんとか抑えようとしていたが、あまりの異質さに周りの客も引いていた。
懐かしい顔だがかつての整った綺麗な顔は見る影なく、隣の女性も記憶の中よりも随分やつれていた。
「ええっと・・・あれはお知り合い?」
アイスエイジもその人物のあまりのヤジの気迫に若干引いている。
「あー・・・まあ・・・悪いことはしてないんですけど・・・ちょっと恨まれていて。」
「何だか大変みたいね・・・。さて・・・と。」
観客に手を振っていたアイスエイジが顎に手をやり値踏みするようにこちらをジロジロと見てくる。
「う~ん、本当にアンタらがあのフォーチュンの弟子?強そうに見えないわね。」
「えーと・・・フォーチュンさんの知り合い?」
「ううん。直接会ったこと無いわ。ただね・・・噂は聞くのよ。あらゆる魔法に精通し、空からは隕石を振らし、大地を砕く大魔法少女だって。」
「ぷっ・・・ま、まほ・・・魔法少女って。」
見た目は確かに少女だが、香木に頬ずりしてるような中身おばあちゃんのアレが少女?流石の女騎士さんも顔を背けてぷるぷる震えている。
「わ、笑わないで!手始めに弟子から始末してあげるわ!この狭間世界での最強の魔法少女は、このアイスエイジよ!いずれはフォーチュンをも倒しそれを証明するの。そしたらますます私に拍がついて有名になれるわ~。お前たちはその前座よ!覚悟しなさい!」
自信に満ち溢れた表情でビシッと指を指すアイスエイジ。その姿からは敗北など微塵も感じていない、勝利のみを確信した気持ちが読み取れた。
「さあ~!いよいよ制限時間いっぱいだ~!両者構えて~・・・レディー・・・ファイッ!!!」
司会の開始の合図とともにゴングが鳴る。瞬間アイスエイジの手のひらが白くひかり、氷のつららが何本も生成され、ミサイルの様に飛ばしてくる。
剣でいなし、身を躱し対処していくが、アイスエイジはその場から一歩も動かず、氷のつららを次々と精製し連射してくる。その連射は徐々に早くなりついには・・・
「まずい。捌き切れなくなってきた・・・女騎士さん!壁を作ります!こっちへ!」
「あ・・・ああ!」
女騎士さんがいなしながら徐々に近づき、充分な距離に来るのを見計らい、タワーの能力を展開する。
「サンドストラクチャー!!」
巨大な壁を地面から出現させると氷のミサイルが次々と壁に当たり砕けてゆく音が響いた。
「一先ず何とかなりましたね。あの連射の中どうやって近づきましょう・・・」
「私が距離を詰める。こいつでな。」
そう言ってコンコンとトータルワークスさんが作った義手を叩く。この義手には様々な機能がついているらしい。女騎士さんも日頃自主訓練で義手を使った訓練をしてたっけな?ならば任せてみるか!
「わかりました。それじゃ・・・」
言葉の途中で女騎士さんが焦った表情で僕の後ろを見ている。
そういえばさっきから壁に氷が当たる音がしない!?
「伏せろ!!!!」
僕も後ろを振り返ろうとした瞬間、女騎士さんに頭を押さえつけられ地面に突っ伏した。
頭上で女騎士さんが剣で氷をいなす音がする。
「女騎士さん!大丈夫ですか!?」
「問題ない・・・。」
地面から顔を挙げ、声をかけるが、その姿を見て問題ないわけがない。女騎士さんの脇腹と右腕からは血が滲み、顔は苦痛で歪んでいた。慌てて傷を診ようとするが次々と氷のミサイルが壁を迂回して来るのが見える。
「くそっ!ストラクチャー!!」
女騎士さんと僕を包み込む様にタワーの能力で石のかまくらみたく円形のドーム状に展開する。
「ダメだ・・・!光が入らないから、傷が見えない。」
完全に密室に作ったので真っ暗で介抱のしようがない。焦っていると・・・
「待ってろ・・・」
女騎士さんの声がしてカチャカチャと何かを操作する音がする。すると『ぼぅ…』っと左腕の義手が光りだした。
「本当に多機能ですね。」
「ああ・・・全くだ。狭間世界一の職人を名乗るだけあるな。」
「傷を診ます。」
「頼む・・・。」
脇腹と右腕の傷を素早く診る。
(結構深い・・・)
女騎士さんの額には脂汗が浮び、深手の様子を物語っていた。僕はポーチからフォーチュンさんが作った止血剤を取り出し患部に当てて布で縛る。
「ぐうう・・・!!!!」
最初は痛がったが次第に表情が安定してくる。
この傷だ。これ以上やると命に関わるかもしれない・・・。もう諦めて降参するしか・・・
「すみません・・・僕のせいで・・・もう・・・」
待てと言わんばかりに『スッ』と僕の顔の前に手をやる女騎士さん。
「おいおい・・・まさかここでやめるとか言わないだろうな・・・。まだ始まったばかりだぞ。君の覚悟はそんなものか。」
「でも・・・。」
「そんな顔するな。私は大丈夫。このまま終わっちゃ私だって悔しいし納得いかない。ここから反撃と行こうじゃないか・・・」
「女騎士さん・・・わかりました!」
まだ傷が痛むだろうに、無理して笑顔を作って奮い立たせてくれる。ここまで言われちゃやるしかない!改めて自身を奮起させてると・・・
「ねーえ!いつまでそうしてるの~~~~~?お客さんも退屈で寝ちゃいそうよ~~。」
外壁をコンコンと叩く音と共に声が物凄く近くから聞こえる。
女騎士さんにアイコンタクトを取り、能力で外壁の一部に覗き穴を作る。
そこから外の様子を伺うと・・・
「お?やっほー!」
向こうから無防備に覗いてくる。
「わー。結構深手じゃん。もうやめときなってー。死ぬよー?まぁでもフォーチュンの弟子がこんなんだったら本人も大したこと無いわね。強かったって言ってもどうせ噂に尾ひれが付いたんでしょう。」
アイスエイジは観客に聞こえるように僕達を煽り、高笑いしだした。それを聞いた観客も笑いだす。
「引っ込めガキンチョ!」
「ママのおっぱいでも吸ってなー。」
「原初とか言っても大した事ねーな!」
次々にヤジが飛び会場にゴミが投げ入れられる。
「あんたら、市民権も無いんだって?もうここで暮らしていけないね。かわいそーだからお姉さんが門まで送ってあげよっか?ただしアンタらは私の作った氷の首輪をつけて裸で四つん這いになりながら歩いてもらおうかな~?その前にお腹出して服従のポーズをまずここでして貰いましょうか?」
もう勝った気でいるアイスエイジが勝利後の事を考えているのか口に手をやり吹き出しながら提案してくる。
「わ、わかった・・・。」
「お、おい!」
女騎士さんが『本気か!?』という目で見てくる。
「あら~。聞き分けがいいのね~。どれどれ~?」
ニコニコと覗き穴を覗いてきたアイスエイジに向かって中指を立てる。
「あー・・・そう、そっかー・・・ふ~ん・・・・・・・殺してやるわ!!!」
アイスエイジの顔が笑顔のまま見る見るうちに声が低くなり、怒鳴り声を挙げてから。小さな覗き穴に冷気を送ってくる。
「あの・・・今のは?」
「あー、あれはですね。僕の国の『ぶっ殺す』って意味ですよ。」
「・・・ぷ・・・そうか!ぶっ殺すか!よし!やってやろう!!!」
女騎士さんの決意と共に能力を解除する。敵は無警戒に近づいたせいで僕達との距離はかなり近い。絶好のチャンスだった。僕達は左右から踏み込み一太刀を打ち込む。
「取った!!!」
・・・はずだったのに二人の剣は空しく空を斬る。
消えたアイスエイジを探すために辺りを見渡すと眼前に驚きの光景が広がっていた。それは彼女がアイスエイジと言われる所以の光景・・・。その光景を前にこの戦いが一筋縄ではいかないことを僕らは感じていた・・・。
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