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双新星編
本編14 僕とぼく その1
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眼下に地獄が広がっている。
小さくて一人一人は分からない。
しかし、大量の遠距離の魔法や能力で多くの命が散っていくのは、否が応でも分かった。
「・・・帰りますか?」
傍らに立つ放浪者さんが聞いてくる。
「いえ・・・最後まで・・・見ます。」
戦闘は三日三晩続き、現世帰還派が敗走した。
生き残ているものは命を繋ぐために散り散りに逃げる。
勝利者の転生世界帰還派は敗走兵を狩っていく。
その者の全てを奪い去るために・・・
それが当然の権利のように・・・
「むごい・・・」
女騎士さんが辛そうにその光景を見る。
僕は、懐にしまっていた写真を取り出す。
(ぼんぼん・・・・)
「・・・行きましょう。」
戦場・・・いや蹂躙の場に背を向け帰路につく。
「放浪者さん・・・お願いがあるのですが・・・。」
「どうしましたか?」
「案内してほしい場所があるのです。」
僕は放浪者さんに場所を耳打ちする。
「・・・わかりました。こちらです。」
目的地を目指し暫く森を疾走する。
その時・・・
「!!!」
全員が止まった。
「ち・・・今度はお前らか・・・・忌々しい。」
一際大きな木に背中を預け、アドミラルさんに介抱される満身創痍の代表だった。
「お前さえ・・・お前さえ手に入っていれば・・・こんな負け方はしなかった!!!お前が!!あの屍の山を築いたんだ!!!お前さえ!!!お前さえ犠牲になれば!!!」
目を血走らせながら代表が能力を使い僕らに向けて銃を発砲してくる。
放浪者さんはそれを素手で難なく受け止める。
「目的地はこの先です。あなたたちはお行きなさい。ここは私が引き受けましょう。」
「で、でも・・・」
「私は負けませんよ。さあ、行って下さい。」
放浪者さんは僕たちのほうを向き、いつもの余裕のある表情でそう言う。
「行かせると思うのか!!!」
代表が悪鬼の形相で能力をこちらに向けてくるが、
「ちょっと黙れ。膝をついて地面の砂でも数えてろ。」
静かな、それでいて威圧感を感じる声で代表のほうを向き、そう言う放浪者さん。
代表とアドミラルさんは言われたように地面に張り付き下を向く。
そして僕たちのほうに向き直りいつもの調子で、
「さあ!もう大丈夫ですよ。行ってくだ・・・あらぁ~?」
そう言ったが、僕と女騎士さんも膝をついて地面の砂を数えていた。
「久しぶりなんでコントロールが上手くいきませんねぇ・・・」
僕らの前に屈み、そっと手を置き、
「大丈夫です。楽にしてください。」
優しく静かにそう言うと身体が自由になった。
僕が顔を上げた瞬間、アドミラルさんがレイピアを抜いて放浪者さんの背中に突撃してきていた。
「放浪者さん、危ない!」
放浪者さんは振り返りもせず、背中越しに指二本でレイピアの刺突を止めてしまい、『クイッ』とレイピアを摘まんでいる手を捻ると、アドミラルさんはカンフー映画のように空中できりもみ回転する。
そこに振り返りながら放浪者さんは宙に浮いている彼女に掌底を当てて大木まで吹っ飛ばし、アドミラルさんは背中を木に打ち付け地面に突っ伏した。
「うーん・・・彼女には精神系は効きが悪いみたいですね。おそらく彼女の能力に関係しているんでしょう。」
指で摘まんだままのレイピアを『ポイッ』と無造作に放り投げ、涼しい顔でそんなことを言う。
「あ、あなたは何者なんですか?」
女騎士さんが尋ねるが、
放浪者さんは少し考えてから、
「・・・内緒です。」
と、口に人差し指を当ててそう言った。
放浪者さん・・・・それ・・・女の子がやるから良いんですよ・・・
小さくて一人一人は分からない。
しかし、大量の遠距離の魔法や能力で多くの命が散っていくのは、否が応でも分かった。
「・・・帰りますか?」
傍らに立つ放浪者さんが聞いてくる。
「いえ・・・最後まで・・・見ます。」
戦闘は三日三晩続き、現世帰還派が敗走した。
生き残ているものは命を繋ぐために散り散りに逃げる。
勝利者の転生世界帰還派は敗走兵を狩っていく。
その者の全てを奪い去るために・・・
それが当然の権利のように・・・
「むごい・・・」
女騎士さんが辛そうにその光景を見る。
僕は、懐にしまっていた写真を取り出す。
(ぼんぼん・・・・)
「・・・行きましょう。」
戦場・・・いや蹂躙の場に背を向け帰路につく。
「放浪者さん・・・お願いがあるのですが・・・。」
「どうしましたか?」
「案内してほしい場所があるのです。」
僕は放浪者さんに場所を耳打ちする。
「・・・わかりました。こちらです。」
目的地を目指し暫く森を疾走する。
その時・・・
「!!!」
全員が止まった。
「ち・・・今度はお前らか・・・・忌々しい。」
一際大きな木に背中を預け、アドミラルさんに介抱される満身創痍の代表だった。
「お前さえ・・・お前さえ手に入っていれば・・・こんな負け方はしなかった!!!お前が!!あの屍の山を築いたんだ!!!お前さえ!!!お前さえ犠牲になれば!!!」
目を血走らせながら代表が能力を使い僕らに向けて銃を発砲してくる。
放浪者さんはそれを素手で難なく受け止める。
「目的地はこの先です。あなたたちはお行きなさい。ここは私が引き受けましょう。」
「で、でも・・・」
「私は負けませんよ。さあ、行って下さい。」
放浪者さんは僕たちのほうを向き、いつもの余裕のある表情でそう言う。
「行かせると思うのか!!!」
代表が悪鬼の形相で能力をこちらに向けてくるが、
「ちょっと黙れ。膝をついて地面の砂でも数えてろ。」
静かな、それでいて威圧感を感じる声で代表のほうを向き、そう言う放浪者さん。
代表とアドミラルさんは言われたように地面に張り付き下を向く。
そして僕たちのほうに向き直りいつもの調子で、
「さあ!もう大丈夫ですよ。行ってくだ・・・あらぁ~?」
そう言ったが、僕と女騎士さんも膝をついて地面の砂を数えていた。
「久しぶりなんでコントロールが上手くいきませんねぇ・・・」
僕らの前に屈み、そっと手を置き、
「大丈夫です。楽にしてください。」
優しく静かにそう言うと身体が自由になった。
僕が顔を上げた瞬間、アドミラルさんがレイピアを抜いて放浪者さんの背中に突撃してきていた。
「放浪者さん、危ない!」
放浪者さんは振り返りもせず、背中越しに指二本でレイピアの刺突を止めてしまい、『クイッ』とレイピアを摘まんでいる手を捻ると、アドミラルさんはカンフー映画のように空中できりもみ回転する。
そこに振り返りながら放浪者さんは宙に浮いている彼女に掌底を当てて大木まで吹っ飛ばし、アドミラルさんは背中を木に打ち付け地面に突っ伏した。
「うーん・・・彼女には精神系は効きが悪いみたいですね。おそらく彼女の能力に関係しているんでしょう。」
指で摘まんだままのレイピアを『ポイッ』と無造作に放り投げ、涼しい顔でそんなことを言う。
「あ、あなたは何者なんですか?」
女騎士さんが尋ねるが、
放浪者さんは少し考えてから、
「・・・内緒です。」
と、口に人差し指を当ててそう言った。
放浪者さん・・・・それ・・・女の子がやるから良いんですよ・・・
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