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キリちゃん視点
本編8 肝胆相照のティーシポネー その4
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「いててて・・・驚いた・・・。本当に驚いたわ、カルディア。あなたを作った甲斐があったわ!凄い誤算だ!結界張ったのに・・・。素手でこれだから武器なら確実に死んでいたわ・・・てか、ちょっ・・・本当に痛いわ。足も腕もバキバキに折れてるんだけど。神じゃなかったら死んでるってこれ!」
ゴキブリ並みにしぶといクズは顔を腫らしながら、がれきから浮き上がり、折れた歯を吐き出して、嬉しそうにそう言った。
「人の心を模倣するように作ったが、まさか他者の心、精神を共感覚で模倣し能力までコピーするとは・・・完璧に”ジャイアントキリング”を模倣しよった。いや・・・オリジナルを上回った・・・?
この傷、この痛みは回復で治さないでおくわ。あなたに・・・いえ・・・あなた達に敬意を評して。」
何度も発動させた私だから分かる。コピーじゃない。確実に私を上回ていた。
あんな綺麗な紅は私も未だかつて発動できた試しがない・・・
それはきっと・・・自分ではなく人のために怒れる、カルディアだから出来たのだろうと私は思う。
私では絶対に出来ない到達点だった。
カルディアの能力はすでに停止して居た。そしておもむろに私に抱きつき『わんわん』泣き始めた。
「キリちゃん・・・キリちゃん。ごめんね・・・何もできなくて・・・足引っ張ってばかりで、ごめんね。」
「ううん・・・ありがとう、カルディア・・・スカッとしたわ。私こそごめんね・・・いっぱい酷いことした。結局最後まで居てくれたのはあなただった。」
ありがとう・・・本当にありがとう。あなたが居てくれて本当に良かった。
あと僅かなのかもしれない。でも・・・久しぶりだった。色のある世界を見るのは。
カルディアが一撃を入れた瞬間、私の世界は色を取り戻していた。匂いも・・・。
(カルディアの・・・良い匂いがする。)
「いててて・・・いや~。感動の場面ね~。一発入れたご褒美でもあげようかと思ったんだけど。」
ふわふわと浮きながら寄ってきたクズが平然と言う。
そんな満身創痍のクズに対してクソ女は能力を使い脅しという名の交渉を行っている。
(おい、クソ女。意気揚々と交渉してるけど、カルディアのおかげなのよ?そこ間違えるなよ?)
カルディアも少し引きながらクソ女を見ている。
うん。カルディアも分かったでしょ?この女は糞よ。付き合っちゃ駄目よ?
クズ神とクソ女の交渉が終わると、
「で、カルディア?アンタはなんかないわけ?この私に一発入れたんだし。」
クズ神はカルディアに対し甘言を言う。
「だったら・・・褒美をくれるならキリちゃんを!キリちゃんを助けて!」
ダメだ。私は知っている。ロクなことにならないのよ!
「それは無理ね。報酬には対価よ。妹ちゃんはあそこのピンク髪の子の命と言う報酬の対価として消費されるのよ。そこは私でもねじ曲がらない。」
「そんな・・・」
「ま、違う方法で何とかしてあげるわ~。」
「やめなさい。この子に関わるな。」
私は目いっぱい睨みを利かせ牽制する。
「カルディアも聞いちゃダメ。こんな奴の褒美なんてロクでもないわ。受け取っちゃダメ。」
「でも・・・でも・・・」
「もういいの・・・もう充分だから。ありがとうね。」
私はゆっくりとカルディアの頭を撫でる。
本当に・・・もう充分なんだ・・・
「忘れたくない・・・忘れたくないよ!・・・うう~~~~~~!!」
カルディアは私に抱きついて再びボロボロ泣いた。
「ま~。一先ずご褒美は保留っちゅうことで・・・私、帰るわ~。暫く、この塔の工事も中止ね。・・・いててててて・・・」
そう言ってクズ神は浮いていき天井へと消えていった。
クソ女は能力でてっちゃんを応急処置して、
「先に出ていますね。あなた達はゆっくりとお別れを・・・」
そう言って、てっちゃんを連れて塔の外へ消えた。
たいして役に立たなかったんだからそれくらいして然るべきだな。アイツは。
カルディアが私に顔を埋めて泣いている。その姿はまるで初めて彼女を見た時を彷彿とした。
「懐かしいなぁ・・・」
彼女を撫でながらポツリポツリと語る。
「最初あなたを見た時もこうだった。蹲って泣いていた。ついこの間のことなのに・・・凄く懐かしい。拠点についてからも、あなたは私が鬱陶しがってるのに何度も絡んできてさ・・・。」
あの時は本当に鬱陶しかった。私の用事を邪魔したり、お兄ちゃんとの時間を邪魔してくる、ただの厄介者だったなぁ・・・
「とても・・・美しいと思ったの・・・」
「え?」
「最初は月夜に照らされて輝くその白い髪と紅い瞳に心を奪われたんだ。こんなに綺麗な人が居るのかって。その後は正直怖かったけど・・・」
彼女が少し笑う。今ではその笑顔を見ると、とても愛おしいんだ。
「けれども、あの食堂の事件の後、徐々に懐いてくれるキリちゃんが可愛くてたまらなかった。」
「懐いてないわ。」
(幼い私の行為は忘れてよ!不可抗力よ!もうもうもう!)
私は恥ずかしくてそっぽを向いてそう言う。
「カルディア、あなたはいつも私を助けてくれた。私がどんなにきつく当たっても、酷いことしても、ずっとついてきてくれた。私はお兄ちゃんしか見なかったのに・・・あなたを見ていなかったのに・・・」
彼女がずっと私につき従って、後ろを歩いてくれたのは今では本当に感謝している。彼女が居なかったら・・・私は孤独に押しつぶされていたかもしれない。
でも、私が彼女に対してやって来た事を思うと彼女がついてきてくれたのは不思議で仕方が無かった。
「あはは・・・。でも幼いキリちゃんはあたしのこと見てくれたよ。すごく嬉しかった。あれがあったからあなたと向き合えたのかもしれない。頑張れたのかもしれない。」
「そう・・・そうなのね。」
そうか・・・。私がしでかした事を、私がカバーしてくれたのね。すでに統合されている私にカルディアとの想い出が蘇る。
戦場を駆け抜けたこと、一緒にエクレアを食べたこと、てっちゃんと三人で寝たこと、手を引いて私のためにクリーニングやオーダーをしてくれたこと。・・・服を・・・プレゼントして貰ったこと・・・。思い出すと、嬉しくて・・・同時に心が痛かった。
「・・・服ごめんね。プレゼントしてくれたのに・・・。私はお兄ちゃん以外全てを捨てないと、勝てないと思っていた。だから・・・」
カルディアは私の言葉に首を振る。
「キリちゃんは正しい。・・・正しかったよ。結局あたしが足を引っ張ったんだ。あたしを切り捨てていたらキリちゃんは勝っていた。ごめんね・・・・あたしのせいで・・・キリちゃんの願いが・・・。」
カルディアの表情が曇る。
「・・・いいのよ。これで良かったのよ。」
そんな彼女に私は静かに首を振って、空中の映像を見る。
儀式が発動したのだろう。映像ではピンク色の女の子が淡く光出している。
その様子を見つめるお兄ちゃん瞳に・・・私は居ない。
「キリちゃん・・・」
「結局、お兄ちゃんの中に私はもう居ない・・・私の独りよがりだったんだ・・・。本当はあなただけだった。あなただけが傍にいてくれた。あの時、あなたを捨てなくて良かった。今は心の底からそう思っている。」
ライブラはああ言ったが、彼女の首を締めた時、能力が発動しなかったのは彼女が”モノ”だからじゃない。心の奥底では彼女を失いたくない自分が居たんだ。そう確信があった。
ついに私の身体も光始める。もう時間は殆ど残されていないだろう。
「ねぇ・・・カルディア。お願いがあるの。」
「何でも!何でも言って!」
「お兄ちゃんに会ったら殴っておいて。『バカ』って、『幸せになれ』って・・・お願いね。」
「うん・・・・うん・・・・」
カルディアが涙ぐんで聞き入れてくれる。
私も視界がぼやけてくる。
「それと・・・」
「忘れないで・・・覚えていて・・・」
「忘れないよ!絶対・・・絶対忘れないよ!記憶がダメでも・・・私の心カルディアが忘れない!」
カルディアが強く抱きしめてくれる。
暖かい・・・凄く・・・安心出来る。お母さんが抱いてくれてるみたい。
モノじゃない・・・彼女は決してモノなんかじゃない!
だってこんなにも心が溢れてる。
「ありがとう・・・カルディア・・・ありがとう。」
私は抱きつき、素顔の・・・心からのお礼を言う。
その時だった・・・。
(ああ・・・きっと私は”まとも”になっちゃったんだな・・・)
彼女の背中越し・・・ずっと後ろ後方に沢山の人達がジッと私を見ている。
それは今まで私が殺してきた人たち・・・死なせてしまった人達。
その中にリコも居る。首には太い縄の痕・・・。
(そっか・・・あなたも死んだんだ・・・)
そしてみんな一様に目がこう言っていた。
「(ずるい・・・ずるい・・・お前だけ・・・お前だけ・・・そんな幸せな最後が許されると思っているのか?)」と。
(うるさいな・・・もうちょっと黙ってて。あと少しで私は報いを受けるんだから・・・。私が死んだ後は煮るなり焼くなり好きにしなさいよ・・・。だからあとちょっと黙ってろ。お前たち知っているでしょ?私は超わがままなのよ。)
「キリちゃん?」
カルディアが私の様子に気づき、声をかけてくる。
すでに私から発せられる光はどんどん強くなり、その光が最高潮になっていた。
(彼女を心配させたくない。)
私は彼女に追及されないよう先んじて
「ばいばい・・・”エクレアさん”。」
彼女への最大限のお礼と別れを告げた。
最後に見た彼女の顔は驚きと嬉しそうな泣き顔だった。
(良かった・・・本当に・・・。もう思い残すことは無い。さぁ・・・好き勝手やって来た報いを受けましょうか。)
これから待ち受けるは地獄の責め苦か?はたまた奈落の冥府か?
なんだって来ればいいさ・・・
私は大丈夫!どんなものでも、何年でも!
だって彼女からたくさん心を貰ったのだから・・・
ゴキブリ並みにしぶといクズは顔を腫らしながら、がれきから浮き上がり、折れた歯を吐き出して、嬉しそうにそう言った。
「人の心を模倣するように作ったが、まさか他者の心、精神を共感覚で模倣し能力までコピーするとは・・・完璧に”ジャイアントキリング”を模倣しよった。いや・・・オリジナルを上回った・・・?
この傷、この痛みは回復で治さないでおくわ。あなたに・・・いえ・・・あなた達に敬意を評して。」
何度も発動させた私だから分かる。コピーじゃない。確実に私を上回ていた。
あんな綺麗な紅は私も未だかつて発動できた試しがない・・・
それはきっと・・・自分ではなく人のために怒れる、カルディアだから出来たのだろうと私は思う。
私では絶対に出来ない到達点だった。
カルディアの能力はすでに停止して居た。そしておもむろに私に抱きつき『わんわん』泣き始めた。
「キリちゃん・・・キリちゃん。ごめんね・・・何もできなくて・・・足引っ張ってばかりで、ごめんね。」
「ううん・・・ありがとう、カルディア・・・スカッとしたわ。私こそごめんね・・・いっぱい酷いことした。結局最後まで居てくれたのはあなただった。」
ありがとう・・・本当にありがとう。あなたが居てくれて本当に良かった。
あと僅かなのかもしれない。でも・・・久しぶりだった。色のある世界を見るのは。
カルディアが一撃を入れた瞬間、私の世界は色を取り戻していた。匂いも・・・。
(カルディアの・・・良い匂いがする。)
「いててて・・・いや~。感動の場面ね~。一発入れたご褒美でもあげようかと思ったんだけど。」
ふわふわと浮きながら寄ってきたクズが平然と言う。
そんな満身創痍のクズに対してクソ女は能力を使い脅しという名の交渉を行っている。
(おい、クソ女。意気揚々と交渉してるけど、カルディアのおかげなのよ?そこ間違えるなよ?)
カルディアも少し引きながらクソ女を見ている。
うん。カルディアも分かったでしょ?この女は糞よ。付き合っちゃ駄目よ?
クズ神とクソ女の交渉が終わると、
「で、カルディア?アンタはなんかないわけ?この私に一発入れたんだし。」
クズ神はカルディアに対し甘言を言う。
「だったら・・・褒美をくれるならキリちゃんを!キリちゃんを助けて!」
ダメだ。私は知っている。ロクなことにならないのよ!
「それは無理ね。報酬には対価よ。妹ちゃんはあそこのピンク髪の子の命と言う報酬の対価として消費されるのよ。そこは私でもねじ曲がらない。」
「そんな・・・」
「ま、違う方法で何とかしてあげるわ~。」
「やめなさい。この子に関わるな。」
私は目いっぱい睨みを利かせ牽制する。
「カルディアも聞いちゃダメ。こんな奴の褒美なんてロクでもないわ。受け取っちゃダメ。」
「でも・・・でも・・・」
「もういいの・・・もう充分だから。ありがとうね。」
私はゆっくりとカルディアの頭を撫でる。
本当に・・・もう充分なんだ・・・
「忘れたくない・・・忘れたくないよ!・・・うう~~~~~~!!」
カルディアは私に抱きついて再びボロボロ泣いた。
「ま~。一先ずご褒美は保留っちゅうことで・・・私、帰るわ~。暫く、この塔の工事も中止ね。・・・いててててて・・・」
そう言ってクズ神は浮いていき天井へと消えていった。
クソ女は能力でてっちゃんを応急処置して、
「先に出ていますね。あなた達はゆっくりとお別れを・・・」
そう言って、てっちゃんを連れて塔の外へ消えた。
たいして役に立たなかったんだからそれくらいして然るべきだな。アイツは。
カルディアが私に顔を埋めて泣いている。その姿はまるで初めて彼女を見た時を彷彿とした。
「懐かしいなぁ・・・」
彼女を撫でながらポツリポツリと語る。
「最初あなたを見た時もこうだった。蹲って泣いていた。ついこの間のことなのに・・・凄く懐かしい。拠点についてからも、あなたは私が鬱陶しがってるのに何度も絡んできてさ・・・。」
あの時は本当に鬱陶しかった。私の用事を邪魔したり、お兄ちゃんとの時間を邪魔してくる、ただの厄介者だったなぁ・・・
「とても・・・美しいと思ったの・・・」
「え?」
「最初は月夜に照らされて輝くその白い髪と紅い瞳に心を奪われたんだ。こんなに綺麗な人が居るのかって。その後は正直怖かったけど・・・」
彼女が少し笑う。今ではその笑顔を見ると、とても愛おしいんだ。
「けれども、あの食堂の事件の後、徐々に懐いてくれるキリちゃんが可愛くてたまらなかった。」
「懐いてないわ。」
(幼い私の行為は忘れてよ!不可抗力よ!もうもうもう!)
私は恥ずかしくてそっぽを向いてそう言う。
「カルディア、あなたはいつも私を助けてくれた。私がどんなにきつく当たっても、酷いことしても、ずっとついてきてくれた。私はお兄ちゃんしか見なかったのに・・・あなたを見ていなかったのに・・・」
彼女がずっと私につき従って、後ろを歩いてくれたのは今では本当に感謝している。彼女が居なかったら・・・私は孤独に押しつぶされていたかもしれない。
でも、私が彼女に対してやって来た事を思うと彼女がついてきてくれたのは不思議で仕方が無かった。
「あはは・・・。でも幼いキリちゃんはあたしのこと見てくれたよ。すごく嬉しかった。あれがあったからあなたと向き合えたのかもしれない。頑張れたのかもしれない。」
「そう・・・そうなのね。」
そうか・・・。私がしでかした事を、私がカバーしてくれたのね。すでに統合されている私にカルディアとの想い出が蘇る。
戦場を駆け抜けたこと、一緒にエクレアを食べたこと、てっちゃんと三人で寝たこと、手を引いて私のためにクリーニングやオーダーをしてくれたこと。・・・服を・・・プレゼントして貰ったこと・・・。思い出すと、嬉しくて・・・同時に心が痛かった。
「・・・服ごめんね。プレゼントしてくれたのに・・・。私はお兄ちゃん以外全てを捨てないと、勝てないと思っていた。だから・・・」
カルディアは私の言葉に首を振る。
「キリちゃんは正しい。・・・正しかったよ。結局あたしが足を引っ張ったんだ。あたしを切り捨てていたらキリちゃんは勝っていた。ごめんね・・・・あたしのせいで・・・キリちゃんの願いが・・・。」
カルディアの表情が曇る。
「・・・いいのよ。これで良かったのよ。」
そんな彼女に私は静かに首を振って、空中の映像を見る。
儀式が発動したのだろう。映像ではピンク色の女の子が淡く光出している。
その様子を見つめるお兄ちゃん瞳に・・・私は居ない。
「キリちゃん・・・」
「結局、お兄ちゃんの中に私はもう居ない・・・私の独りよがりだったんだ・・・。本当はあなただけだった。あなただけが傍にいてくれた。あの時、あなたを捨てなくて良かった。今は心の底からそう思っている。」
ライブラはああ言ったが、彼女の首を締めた時、能力が発動しなかったのは彼女が”モノ”だからじゃない。心の奥底では彼女を失いたくない自分が居たんだ。そう確信があった。
ついに私の身体も光始める。もう時間は殆ど残されていないだろう。
「ねぇ・・・カルディア。お願いがあるの。」
「何でも!何でも言って!」
「お兄ちゃんに会ったら殴っておいて。『バカ』って、『幸せになれ』って・・・お願いね。」
「うん・・・・うん・・・・」
カルディアが涙ぐんで聞き入れてくれる。
私も視界がぼやけてくる。
「それと・・・」
「忘れないで・・・覚えていて・・・」
「忘れないよ!絶対・・・絶対忘れないよ!記憶がダメでも・・・私の心カルディアが忘れない!」
カルディアが強く抱きしめてくれる。
暖かい・・・凄く・・・安心出来る。お母さんが抱いてくれてるみたい。
モノじゃない・・・彼女は決してモノなんかじゃない!
だってこんなにも心が溢れてる。
「ありがとう・・・カルディア・・・ありがとう。」
私は抱きつき、素顔の・・・心からのお礼を言う。
その時だった・・・。
(ああ・・・きっと私は”まとも”になっちゃったんだな・・・)
彼女の背中越し・・・ずっと後ろ後方に沢山の人達がジッと私を見ている。
それは今まで私が殺してきた人たち・・・死なせてしまった人達。
その中にリコも居る。首には太い縄の痕・・・。
(そっか・・・あなたも死んだんだ・・・)
そしてみんな一様に目がこう言っていた。
「(ずるい・・・ずるい・・・お前だけ・・・お前だけ・・・そんな幸せな最後が許されると思っているのか?)」と。
(うるさいな・・・もうちょっと黙ってて。あと少しで私は報いを受けるんだから・・・。私が死んだ後は煮るなり焼くなり好きにしなさいよ・・・。だからあとちょっと黙ってろ。お前たち知っているでしょ?私は超わがままなのよ。)
「キリちゃん?」
カルディアが私の様子に気づき、声をかけてくる。
すでに私から発せられる光はどんどん強くなり、その光が最高潮になっていた。
(彼女を心配させたくない。)
私は彼女に追及されないよう先んじて
「ばいばい・・・”エクレアさん”。」
彼女への最大限のお礼と別れを告げた。
最後に見た彼女の顔は驚きと嬉しそうな泣き顔だった。
(良かった・・・本当に・・・。もう思い残すことは無い。さぁ・・・好き勝手やって来た報いを受けましょうか。)
これから待ち受けるは地獄の責め苦か?はたまた奈落の冥府か?
なんだって来ればいいさ・・・
私は大丈夫!どんなものでも、何年でも!
だって彼女からたくさん心を貰ったのだから・・・
応援ありがとうございます!
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