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キリちゃん視点
本編2 旅は道連れ、余は会稽
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「うっし!わりいな!ヴォイス。」
「こればかりは仕方ないさ。次回に期待するよ。」
『なあ。聞いてみたらどうだ?』
確かに・・・。ここにいる奴らは皆、神から能力を与えられたのだろう。さっき化け物が襲ってくる前、大勢の雑魚が集められていた時も神らしき人物が空中に映っていた。それならば誰かはあの糞神を知っているかもしれない。
「そうね・・・待って!」
私はヴォイスと言われた人を呼び止める。
「なにかな~気が変わった~?」
「あなた・・・天秤を持った神様を知らない?」
「悪いけど知らないっちゃ~。」
ちっ・・・外れか。
『他の二人にも聞いたらどうだ?あと、殺気はどうにかしろって。』
お兄ちゃんが苦笑いしながら提案した。
仕方ないわ。アイツのことを考えると勝手に漏れちゃうのよ。
これでも抑えようと・・・抑えようと・・・してたっけ?た、たぶんしてるわ!おそらく・・・メイビー?
「あなた達も知らないかしら?天秤の神。」
「俺は知らないぜ。」
「あ、あたしも知りません・・・ごめんなさい。」
なんでこの雑魚謝ってんの?バカみたい。
「そう・・・」
まぁ、簡単に見つかるなんて思ってないけどね。
「じゃ、拠点に案内するぜ。ついてきてくれ。」
そう言って男が先導して歩いてゆく。さっき蹲っていた女も後に続いた。
・・・が、私は突っ立たまま地面に転がっている自分のハルバードを眺める。
『おいおい、どうする?能力が発動してないと武器を運ぶのも一苦労だぞ?』
そう・・・お兄ちゃんの言う通りだ。能力が発動してないと私はか弱き乙女なのだ。ズルズルと汗だくになって武器を引きずるなんて絶対したくない。
この間まで居た異世界じゃ”逆らえなくしてやった”雑魚を雑用として使っていたんだけど、さっきのアリに食われたしな。新しい雑用が居るー・・・ん?
男について行こうとしていた雑魚女が不思議そうにこちらを見ていて、目が合う。
(居るじゃん!おあつらえ向きの新しい雑用が。)
私は心の中でガッツポーズをして新しい雑用に声をかける。
「ねぇ、雑魚。これ持って。」
私はそう言って地面に転がっている自分のハルバードを指した。言われた雑魚はきょとんとした顔を見せる。
なに、鳩が豆鉄砲食らったような顔してんだ。早くやりなさいよ。
「はやくして、雑魚。」
ジッと見つめながらそう言うと、雑魚はビクビクしながら、そそくさと私のハルバードを拾って、案内役の男の背中を追っていった。
『お前・・・言い方。友達出来ないぞ?』
お兄ちゃんがやれやれと言う風にため息をつきながらそう言う。
「いらないわよ・・・そんなの。」
私も彼女の背中をゆっくりと追いながら、そう小さく呟いた。
私が必要としてるのはたった一つだけなんだから・・・
でも・・・なぜだろう・・・あいつの背中を見ていると、何だか違和感を感じた。
拠点につくと何やら説明してる人が居たがどうでもいい。
私がここに来たのは人が多いからだ。あとは寝床と食料さえあればいい。
どうやら雑魚と一緒らしいから、そのまま荷物持ちさせる。
「あなた達、ここのお部屋になったの?」
先住の眼鏡をかけた雑魚が話しかけてくる。
雑用と眼鏡の雑魚同士で慣れ合っているがどうでもいい。
私は一番近いベッドに潜り込み横になった。
「ね、ねぇ~、あなたも自己紹介・・・」
雑魚が話しかけてくる。
『おい。妹よ。友達が話しかけてきてくれてるぞ。』
うるさいな・・・能力の反動で疲れてんのよ。あと友達じゃないってば!
「なに?」
邪魔すんな!と、目で牽制する。
『おい。怖がってるだろ。やめてやれ。』
「知らない・・・。」
だから疲れてるよ!全く、お説教ばかり・・・今日のお兄ちゃんはうざい。あ・・・そうだ。この雑用に食事を確保させよう。身体が回復したらお腹減るだろうし。
「ねえ、雑魚。無駄なことしてるくらいならパンでも果物でも貰ってきて。」
「あ、あの・・・あたし『雑魚』じゃなくて、カルディア・・・」
「は?仕事しろ雑魚。」
用事してこいって言ったんだよ?誰が名乗れっつったんだよ?バカなのか?こいつ?
「ね、ねぇ・・・ここで生活するための物も買い揃えないといけないし、服もあの生き物の血で血まみれで・・・」
「じゃあ、それもよろしく。服はこれ以外着ないから要らない。」
必要なものあるなら言われなくてもやっときなさいよ!全く使えないわね。
「あ、あの~・・・」
『妹よ・・・兄は悲しいぞ。お前がそんなコミュ障に育つなんて・・・それに友達にお願いするときはちゃんと丁寧にお願いしなさい。』
『よよよ』と、わざとらしく悲しむお兄ちゃん。
だ~か~ら~!ああもう!友達じゃないって!今日のお兄ちゃん、うざい!
「うるさいな!!!いいでしょ!!!ほっといてよ!!!」
私はお兄ちゃんの相手が面倒になり布団を被り眠りについた。
何よ!今日は全然優しくない!
何が友達よ!私はお兄ちゃんだけ居ればいいの!!他は要らないもん!!
私はお兄ちゃんさえ居ればいいの!
お兄ちゃんと旅ができればそれでいいの!!
あの天秤の神を殺す、復讐の旅を!!
「こればかりは仕方ないさ。次回に期待するよ。」
『なあ。聞いてみたらどうだ?』
確かに・・・。ここにいる奴らは皆、神から能力を与えられたのだろう。さっき化け物が襲ってくる前、大勢の雑魚が集められていた時も神らしき人物が空中に映っていた。それならば誰かはあの糞神を知っているかもしれない。
「そうね・・・待って!」
私はヴォイスと言われた人を呼び止める。
「なにかな~気が変わった~?」
「あなた・・・天秤を持った神様を知らない?」
「悪いけど知らないっちゃ~。」
ちっ・・・外れか。
『他の二人にも聞いたらどうだ?あと、殺気はどうにかしろって。』
お兄ちゃんが苦笑いしながら提案した。
仕方ないわ。アイツのことを考えると勝手に漏れちゃうのよ。
これでも抑えようと・・・抑えようと・・・してたっけ?た、たぶんしてるわ!おそらく・・・メイビー?
「あなた達も知らないかしら?天秤の神。」
「俺は知らないぜ。」
「あ、あたしも知りません・・・ごめんなさい。」
なんでこの雑魚謝ってんの?バカみたい。
「そう・・・」
まぁ、簡単に見つかるなんて思ってないけどね。
「じゃ、拠点に案内するぜ。ついてきてくれ。」
そう言って男が先導して歩いてゆく。さっき蹲っていた女も後に続いた。
・・・が、私は突っ立たまま地面に転がっている自分のハルバードを眺める。
『おいおい、どうする?能力が発動してないと武器を運ぶのも一苦労だぞ?』
そう・・・お兄ちゃんの言う通りだ。能力が発動してないと私はか弱き乙女なのだ。ズルズルと汗だくになって武器を引きずるなんて絶対したくない。
この間まで居た異世界じゃ”逆らえなくしてやった”雑魚を雑用として使っていたんだけど、さっきのアリに食われたしな。新しい雑用が居るー・・・ん?
男について行こうとしていた雑魚女が不思議そうにこちらを見ていて、目が合う。
(居るじゃん!おあつらえ向きの新しい雑用が。)
私は心の中でガッツポーズをして新しい雑用に声をかける。
「ねぇ、雑魚。これ持って。」
私はそう言って地面に転がっている自分のハルバードを指した。言われた雑魚はきょとんとした顔を見せる。
なに、鳩が豆鉄砲食らったような顔してんだ。早くやりなさいよ。
「はやくして、雑魚。」
ジッと見つめながらそう言うと、雑魚はビクビクしながら、そそくさと私のハルバードを拾って、案内役の男の背中を追っていった。
『お前・・・言い方。友達出来ないぞ?』
お兄ちゃんがやれやれと言う風にため息をつきながらそう言う。
「いらないわよ・・・そんなの。」
私も彼女の背中をゆっくりと追いながら、そう小さく呟いた。
私が必要としてるのはたった一つだけなんだから・・・
でも・・・なぜだろう・・・あいつの背中を見ていると、何だか違和感を感じた。
拠点につくと何やら説明してる人が居たがどうでもいい。
私がここに来たのは人が多いからだ。あとは寝床と食料さえあればいい。
どうやら雑魚と一緒らしいから、そのまま荷物持ちさせる。
「あなた達、ここのお部屋になったの?」
先住の眼鏡をかけた雑魚が話しかけてくる。
雑用と眼鏡の雑魚同士で慣れ合っているがどうでもいい。
私は一番近いベッドに潜り込み横になった。
「ね、ねぇ~、あなたも自己紹介・・・」
雑魚が話しかけてくる。
『おい。妹よ。友達が話しかけてきてくれてるぞ。』
うるさいな・・・能力の反動で疲れてんのよ。あと友達じゃないってば!
「なに?」
邪魔すんな!と、目で牽制する。
『おい。怖がってるだろ。やめてやれ。』
「知らない・・・。」
だから疲れてるよ!全く、お説教ばかり・・・今日のお兄ちゃんはうざい。あ・・・そうだ。この雑用に食事を確保させよう。身体が回復したらお腹減るだろうし。
「ねえ、雑魚。無駄なことしてるくらいならパンでも果物でも貰ってきて。」
「あ、あの・・・あたし『雑魚』じゃなくて、カルディア・・・」
「は?仕事しろ雑魚。」
用事してこいって言ったんだよ?誰が名乗れっつったんだよ?バカなのか?こいつ?
「ね、ねぇ・・・ここで生活するための物も買い揃えないといけないし、服もあの生き物の血で血まみれで・・・」
「じゃあ、それもよろしく。服はこれ以外着ないから要らない。」
必要なものあるなら言われなくてもやっときなさいよ!全く使えないわね。
「あ、あの~・・・」
『妹よ・・・兄は悲しいぞ。お前がそんなコミュ障に育つなんて・・・それに友達にお願いするときはちゃんと丁寧にお願いしなさい。』
『よよよ』と、わざとらしく悲しむお兄ちゃん。
だ~か~ら~!ああもう!友達じゃないって!今日のお兄ちゃん、うざい!
「うるさいな!!!いいでしょ!!!ほっといてよ!!!」
私はお兄ちゃんの相手が面倒になり布団を被り眠りについた。
何よ!今日は全然優しくない!
何が友達よ!私はお兄ちゃんだけ居ればいいの!!他は要らないもん!!
私はお兄ちゃんさえ居ればいいの!
お兄ちゃんと旅ができればそれでいいの!!
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