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本編9 敵か味方か? その1
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何日彷徨っていたのだろう?
それは長くもあり、短くもあった。
あたしたちは気づけば町中に居たのだ。本当にいつの間にかだった。その事に気づいたときは狐につままれたかのようだった。
ハッとして後ろを見れば門と門衛が見え、その奥にはうっそうとした森が微かに覗いた。
当然あんな危険そうな深い森を超えた覚えは無いし、行き来する人を厳しくチェックする、あんな門を潜った覚えもなかった。
前に向き直りよく見渡してみると、辺りは砂地。石で出来た建造物。にぎやかな通り。
人々は行きかい、辺りには露天商が多数出ていた。
そんな中に魔獣を連れた二人の少女。どう見ても違和感のある組み合わせのはずなのに、誰も気にも止めない。これもあの天秤の神様の力によるものなのだろうか?
遠く、町の中央に天を貫く塔が見える。おそらくあれが”神の塔”なのだろう。
キリちゃんが無言でじっと塔を見つめる。その表情からは考えが読み取れなかった。
「行くわよ。カルディア。」
静かにそう告げ。てっちゃんを引いて歩き出す。
あたしもその後に付いて行こうとした、その時、
「待って!あなた達!」
後ろから呼び止められる。そこには角帽を被った学者風の女の子が立っている。
キリちゃんが首だけ動かし、鋭い目つきで相手を見据えた。
「警戒しないで。話をさせて欲しい。あなた達・・・今しがた神の干渉を受けたのではなくて?」
その言葉を聞き、キリちゃんの警戒度が上がる。
「待って!お願い!私も神を探しているの!お願いよ。あなた達の話を聞かせて欲しい。」
「・・・その前に何故私たちが神の干渉を受けていると感じたか言え。」
キリちゃんから冷たく鋭い言葉が発せられる。
「この行きかう人々はあなた方を違和感と受け取っていない。しかし私は能力によって軽減されているの。だからよ。私にはあなた方が直接この黄金都市まで旅をしてきたように見えないもの。」
「・・・わかった。話をしてもいい。」
少し警戒を残しキリちゃんが承諾する。
「良かった。そちらのお嬢さんもいいかしら?」
柔らかい笑顔を向けてそう尋ねてくる学者風の子。
優しそな人だな~。
「あたしも異存はありません。」
「こっちに美味しい料理店があるのよ。そこで話をしましょう。もちろんご馳走するわ。魔獣の子は外でお留守番になっちゃうけど後で美味しい干し肉あげるわね。」
そう言ってあたしたちを先導して裏路地へ入って行く。しばらく裏路地を歩いたときだった。
「ねぇ?ところで後ろの人達はあなたのお友達かしら?」
キリちゃんが前を歩く学者風の子に話しかけた。てっちゃんも『グルル・・・』と低く唸りをあげる。
「あー・・・ごめんなさい。友達ではないけど、多分私の関係だ。」
学者風の子は頬をかきながらバツば悪そうにそう言った。
あたしは何の事かと振り向くと、そこには戦士風の男二人と盗賊風の女が一人が立っていた。
戦士風の男が一人前に出て、学者風の子に対して話始める。
「よお!アーカイブ。これからメシか?あの店は美味いよなぁ~。俺たちの情報売って食うメシはもっと美味いんだろうなぁ。」
そう言う戦士の人は青筋が立っている。
「ごめんなさいね。こっちも商売だから。」
「そうだよなぁ~。でも、そいつを商いにするってことは命取られる覚悟もしてるんだろうな?」
「悪いけど、これから重要な話をするのよね。また今度にしてくれるかしら?」
「いいや、待てないね。あの世でしてくれや。」
そう言って3人は距離を詰めてくる。
「ちょっと待って?それには私たちも含まれてるのかしら?」
キリちゃんが口を挟む。
「ん?おお?何だかお前影が薄いな?勿論、目撃者も仲良くあの世に行ってもらうぜ?」
(そんなこと言ったら殺されちゃうよぉ!)
「そう・・・」
短くそう言って、いつものように右手を出してハルバードを要求するキリちゃん。
(ああ・・・もう駄目だ。)
あたしは恐る恐るハルバードを渡す。
あたしは無駄かもしれないけど小声で、
「キリちゃん、穏便に・・・」
そう耳打ちする。
「相手次第だわ。それにあの女の命なんてどうでもいいもの。」
そんな・・・可哀想だよ。助けてあげようよぉ・・・
なんとか・・・なんとかキリちゃんの興味を引かないと!
「ええ!?それはちょっと・・・神様の事を何か知ってるかもしれないよ?」
あたしの言葉を聞いてキリちゃんはため息をつき、
「ねえ、あなた達。引き下がる気は無いのかしら?私たち急いでるのよ。」
「そいつは出来ねぇ。そこに居るアーカイブは殺す。目撃者のお前らも殺す。」
そう言って男は抜剣する。
(ああ!もう駄目だ!殺されちゃう!この男の人!)
「気を付けてください!その男は幻影を使います!見えてる刃が真実だと思わないで!」
アーカイブさんがキリちゃんに忠告する。
「ふーん・・・そうなの?じゃあ早めに始末しないとね。」
キリちゃんの目は紅くなり、ハルバードを肩慣らしの様に振り回す。
「ネタバレされたが、俺の剣は不可視だ!避けれるわけがねぇ!」
男が勝利を確信した顔で斬りかかろうと動く。
「ごめんね・・・もうさっき終わらせてるわ。」
キリちゃんはつまらなそうに呟くと、男はつまずくように前のめりにバランスを崩した。
見るとすでに足が斬られて地面に置いてけぼりになっている。男はそのまま地面にぶつかると全身バラバラになり、辺りに大量の血が撒き散った。
「は、はぁ!?」
もう一人の男と女は何が起きたのか理解不能という顔をしている。
見ていたアーカイブさんも理解が追いつかず戦慄していた。
(ああ・・・やっぱりこうなった・・・)
「さっきハルバードを振り回したときに切れ込みを入れておいたの。やる気だったみたいだし、相手するのも面倒だから。」
すでに黒い瞳に戻ったキリちゃんが面倒くさそうに言って、続けて
「ねぇ・・・あなた達はどうする?」
妖艶な笑みを浮かべ彼らを脅した。
「い、いえ・・・助けて・・・ください。」
女が声を絞りだす。
「そう?じゃあ、私たちはこの女に用事あるから邪魔しないようにね。なんかこの女、他に恨み買ってそうだけど、他の奴にも言っておいてね。命が要らないなら来てもいいけど。」
キリちゃんが二人に対してにこやかに言うと、首を物凄い勢いで縦に振ってから急いで表通りに逃げていった。
「それじゃ、行きましょ。・・・それとお前、貸し一つよ。」
キリちゃんはあたしにハルバードをちょっと得意げな顔で預けてから、アーカイブさんに一言言って裏路地を歩いて行った。
(えっと・・・何の得意顔なの?キリちゃん・・・)
もしかしてキリちゃんなりの穏便な解決だったんだろうか・・・?あれが?まさかね・・・
「・・・何も、見えなかった・・・」
ボソッと呟く、アーカイブさん。その表情は目が揺れて焦りや恐怖が感じられた。
「え?」
「何でもないの。行きましょ!・・・待ってくださーい!場所知らないですよね~。」
アーカイブさんは優しそうな温和な表情に戻り、そう言ってキリちゃんを追いかけていった。
それは長くもあり、短くもあった。
あたしたちは気づけば町中に居たのだ。本当にいつの間にかだった。その事に気づいたときは狐につままれたかのようだった。
ハッとして後ろを見れば門と門衛が見え、その奥にはうっそうとした森が微かに覗いた。
当然あんな危険そうな深い森を超えた覚えは無いし、行き来する人を厳しくチェックする、あんな門を潜った覚えもなかった。
前に向き直りよく見渡してみると、辺りは砂地。石で出来た建造物。にぎやかな通り。
人々は行きかい、辺りには露天商が多数出ていた。
そんな中に魔獣を連れた二人の少女。どう見ても違和感のある組み合わせのはずなのに、誰も気にも止めない。これもあの天秤の神様の力によるものなのだろうか?
遠く、町の中央に天を貫く塔が見える。おそらくあれが”神の塔”なのだろう。
キリちゃんが無言でじっと塔を見つめる。その表情からは考えが読み取れなかった。
「行くわよ。カルディア。」
静かにそう告げ。てっちゃんを引いて歩き出す。
あたしもその後に付いて行こうとした、その時、
「待って!あなた達!」
後ろから呼び止められる。そこには角帽を被った学者風の女の子が立っている。
キリちゃんが首だけ動かし、鋭い目つきで相手を見据えた。
「警戒しないで。話をさせて欲しい。あなた達・・・今しがた神の干渉を受けたのではなくて?」
その言葉を聞き、キリちゃんの警戒度が上がる。
「待って!お願い!私も神を探しているの!お願いよ。あなた達の話を聞かせて欲しい。」
「・・・その前に何故私たちが神の干渉を受けていると感じたか言え。」
キリちゃんから冷たく鋭い言葉が発せられる。
「この行きかう人々はあなた方を違和感と受け取っていない。しかし私は能力によって軽減されているの。だからよ。私にはあなた方が直接この黄金都市まで旅をしてきたように見えないもの。」
「・・・わかった。話をしてもいい。」
少し警戒を残しキリちゃんが承諾する。
「良かった。そちらのお嬢さんもいいかしら?」
柔らかい笑顔を向けてそう尋ねてくる学者風の子。
優しそな人だな~。
「あたしも異存はありません。」
「こっちに美味しい料理店があるのよ。そこで話をしましょう。もちろんご馳走するわ。魔獣の子は外でお留守番になっちゃうけど後で美味しい干し肉あげるわね。」
そう言ってあたしたちを先導して裏路地へ入って行く。しばらく裏路地を歩いたときだった。
「ねぇ?ところで後ろの人達はあなたのお友達かしら?」
キリちゃんが前を歩く学者風の子に話しかけた。てっちゃんも『グルル・・・』と低く唸りをあげる。
「あー・・・ごめんなさい。友達ではないけど、多分私の関係だ。」
学者風の子は頬をかきながらバツば悪そうにそう言った。
あたしは何の事かと振り向くと、そこには戦士風の男二人と盗賊風の女が一人が立っていた。
戦士風の男が一人前に出て、学者風の子に対して話始める。
「よお!アーカイブ。これからメシか?あの店は美味いよなぁ~。俺たちの情報売って食うメシはもっと美味いんだろうなぁ。」
そう言う戦士の人は青筋が立っている。
「ごめんなさいね。こっちも商売だから。」
「そうだよなぁ~。でも、そいつを商いにするってことは命取られる覚悟もしてるんだろうな?」
「悪いけど、これから重要な話をするのよね。また今度にしてくれるかしら?」
「いいや、待てないね。あの世でしてくれや。」
そう言って3人は距離を詰めてくる。
「ちょっと待って?それには私たちも含まれてるのかしら?」
キリちゃんが口を挟む。
「ん?おお?何だかお前影が薄いな?勿論、目撃者も仲良くあの世に行ってもらうぜ?」
(そんなこと言ったら殺されちゃうよぉ!)
「そう・・・」
短くそう言って、いつものように右手を出してハルバードを要求するキリちゃん。
(ああ・・・もう駄目だ。)
あたしは恐る恐るハルバードを渡す。
あたしは無駄かもしれないけど小声で、
「キリちゃん、穏便に・・・」
そう耳打ちする。
「相手次第だわ。それにあの女の命なんてどうでもいいもの。」
そんな・・・可哀想だよ。助けてあげようよぉ・・・
なんとか・・・なんとかキリちゃんの興味を引かないと!
「ええ!?それはちょっと・・・神様の事を何か知ってるかもしれないよ?」
あたしの言葉を聞いてキリちゃんはため息をつき、
「ねえ、あなた達。引き下がる気は無いのかしら?私たち急いでるのよ。」
「そいつは出来ねぇ。そこに居るアーカイブは殺す。目撃者のお前らも殺す。」
そう言って男は抜剣する。
(ああ!もう駄目だ!殺されちゃう!この男の人!)
「気を付けてください!その男は幻影を使います!見えてる刃が真実だと思わないで!」
アーカイブさんがキリちゃんに忠告する。
「ふーん・・・そうなの?じゃあ早めに始末しないとね。」
キリちゃんの目は紅くなり、ハルバードを肩慣らしの様に振り回す。
「ネタバレされたが、俺の剣は不可視だ!避けれるわけがねぇ!」
男が勝利を確信した顔で斬りかかろうと動く。
「ごめんね・・・もうさっき終わらせてるわ。」
キリちゃんはつまらなそうに呟くと、男はつまずくように前のめりにバランスを崩した。
見るとすでに足が斬られて地面に置いてけぼりになっている。男はそのまま地面にぶつかると全身バラバラになり、辺りに大量の血が撒き散った。
「は、はぁ!?」
もう一人の男と女は何が起きたのか理解不能という顔をしている。
見ていたアーカイブさんも理解が追いつかず戦慄していた。
(ああ・・・やっぱりこうなった・・・)
「さっきハルバードを振り回したときに切れ込みを入れておいたの。やる気だったみたいだし、相手するのも面倒だから。」
すでに黒い瞳に戻ったキリちゃんが面倒くさそうに言って、続けて
「ねぇ・・・あなた達はどうする?」
妖艶な笑みを浮かべ彼らを脅した。
「い、いえ・・・助けて・・・ください。」
女が声を絞りだす。
「そう?じゃあ、私たちはこの女に用事あるから邪魔しないようにね。なんかこの女、他に恨み買ってそうだけど、他の奴にも言っておいてね。命が要らないなら来てもいいけど。」
キリちゃんが二人に対してにこやかに言うと、首を物凄い勢いで縦に振ってから急いで表通りに逃げていった。
「それじゃ、行きましょ。・・・それとお前、貸し一つよ。」
キリちゃんはあたしにハルバードをちょっと得意げな顔で預けてから、アーカイブさんに一言言って裏路地を歩いて行った。
(えっと・・・何の得意顔なの?キリちゃん・・・)
もしかしてキリちゃんなりの穏便な解決だったんだろうか・・・?あれが?まさかね・・・
「・・・何も、見えなかった・・・」
ボソッと呟く、アーカイブさん。その表情は目が揺れて焦りや恐怖が感じられた。
「え?」
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