3 / 21
町案内
しおりを挟む
俺はラキアと共に城の外へと出ていた。既に城の中の案内は終わったのだが、これからここで生活することを考えたら、やはり城の外についても詳しくないといけない。
城の外は、魔王軍が占領している土地が広がっている。魔界と呼ばれているらしいそこは、空が禍々しく淀んでいることを除けば、意外と普通の街という感じだった。
石や黒いレンガのような建材でできた家々が立ち並び、その基盤となる地面は黒と紫のレンガでできている。魔界の人々はドクロが好きなのだろうか、時に玄関に、時には家の門にドクロの飾り付けが成されていた。
ラキアは「わったしーの仕事♪ わったしーの仕事♪」と元気ハツラツに俺の前を歩いている。
「あ! おい人間、この店はいい店だぞ!」
「あ? ……肉屋か、ここ?」
「うん! ここの揚げ物は上等なんだ! 絶対気に入るから、是非食べてみてよ!」
ラキアはそう言って、肉の絵が描かれている看板が掲げられた店へと入っていく。
中の作りは意外と普通だった。木の板で作られた床、黒い石の壁、肉を並べたショーケース。この世界には冷蔵保存の技術があるのかと商品を見ていると、突然豚の怪物(人型)が俺に話しかけてきた。
「何にするんだい?」
その声は暴力的だった。俺は身震いして「は!? いや、その……」と口ごもると、ラキアが「ポルクの揚げ物をくれ! 2つ!」と割って入った。
「……あいよ」
そう言って、豚の怪物は俺たちにポルクとか言う生物の揚げ物をくれた。ラキアがお代を出す。俺はこの世界の通貨を持っていないから仕方ないのだが、明らかに自分より年下の奴に奢ってもらったこの状況に不満を隠しきれなかった。
いやいやいや、無い無い。いくら魔王の娘で金持ちで自分は無一文だからって、奢って貰うなんてそんなこと。俺は恥ずかしさで頭を掻きながら、片手に持った揚げ物を食べようか迷っていた。
「どしたの、人間? 食べないの?」
「あのな、年下の女の子に飯おごってもらいましたなんてすっげぇ恥ずかしい事なんだぞ? お前それわかってる?」
「ふっふっふ! 私の方が存在が上なのだから当然だな! いやぁ、人間を見下すこの感じ、たまんないなぁ」
こいつ、想像以上にむかつくな。一瞬怒ってやろうかと思ったが、後が(主にこいつの父親が)面倒そうなのでやめた。
「……ったく。いいか、これは奢りじゃねーぞ? 絶対後で返すからな」
「むぅ、生意気! ラキアポイントマイナス5点!」
「……なあ、ラキアポイントってなんだ?」
「私の好感度だよ。100点でケーキ一個と交換できる」
今がマイナス7だから、道のりは遠いな。俺はこいつの面倒くささにため息をついた。
「ああ! ため息ついた、ため息ついた! こいつメンドクセーって今思ったでしょ!」
「はいはい、思ってない思ってない」
「ムッキー!」
ラキアはそう叫ぶと俺の脛を蹴りつけた。
「いってぇなお前!」
「うっさい! あんたが悪いんだろバーカ!」
こいつ、ますますムカつくな。魔王の娘じゃなかったらシバいてる所なのに。俺は歯ぎしりをしながらラキアへの怒りを飲み込んだ。
そして俺たちは、買ったポルクとか言う動物の揚げ物を食べながら店を出た。先に食い終わったラキアが、物欲しそうに俺の手にあるポルクの揚げ物を見つめてくる。
「おい、人間。この高貴にして偉大なラキア様に、揚げ物をひと口でいいから献上しようと思ってもいいのだぞ?」
「高貴にして偉大なラキア様は人に物をたからないのですよっと。いっただっきまーす」
俺はそう言ってポルクの揚げ物にかぶりついた。ラキアが「ああー! 揚げ物がー!」とショックを受ける。ふはははは、今まで偉そうにしていた奴を屈服させるこの快感はなかなかだなぁ!
「あら、あらあらあら~? ラキアさんじゃないですの~?」
と、2人仲悪く小競り合いをしていた俺たちの前に、青髪ツインテールの女の子が現れた。耳が尖ってるが、腕や足に鱗のようなものが生えているのを見ると、エルフではなく魚類系の魔族だとわかる。
「な、エリーナ! 私に何か用なの!?」
「いえいえいえー。お父様と共にお買い物へ来てみたところ、ラキアさんが随分と面白そうなことをしているとお思いましてね。まさか魔王の娘ともあろうものが、下等な人間などと共に歩いているとは。やはり低俗な者には低俗なお供が似合うのですわね!」
「んなっ! この人間はともかく、私が低俗だと!? 訂正しろ! ていせい!」
「あらあら、わたくし言葉を間違えたかしら? でもおかしいわね、推敲してもおかしな所なんて見当たりませんわ!」
なんでこう、魔族ってムカつくやつが多いんだよ。このエリーナとかいうガキ、よくもまあ自然と悪口が浮かぶものだな。ラキアもなかなかのものだが。
クソ、バカにされたって思うと腹が立つな。説教してやる。
「おいおいお嬢ちゃん。初対面の人に向かって低俗だなんてそりゃないんじゃないのか? 俺じゃなかったら完全にブチ切れてたぞ」
「黙りなさいですわ、下等で意地汚いゴミムシ以下の人間」
「てんめ、それが良くねぇってんだよ! なんで会ったばかりの奴に舐めた態度取れるんだよ社会でたら死ぬぞてめぇこら!」
「あらあら、初対面の相手をガキだと思って強く勇んで敬語さえ忘れるあなたよりかは幾分マシですわ。自覚していない分なおさらにタチが悪い」
……やべぇ、グウの音もでねぇ。俺は歯ぎしりをしながらエリーナを睨んだ。精一杯の抵抗だ、喰らえ俺の視線!
「あらあら、言い返せなくなった途端に目で反抗とは、これは生物としての底が見えましたわ。脳のないスライムの方がまだ良い思考をしてくれそうですってよ?」
「ぐっ……やることなすこと全てが逆効果じゃねーか。クソ! 俺はもうふてくされる!」
「最高におバカさんですわね」
なんとでも言え、俺はもう知らん。
と、遠くから「エリーナ」と静かな声が聞こえた。エリーナはそれを聞いた途端に、「はいですわ、お父様!」と、声のした方向へ走り出した。
こんなクソガキを育てるたァどんか父親だ。俺はそのツラを一目見てみることにした。
エリーナの父親は、少し癖のある白髪をした、体の一部に鱗の見られる魔族だった。細く若干釣り上がった目、その一方でどこか儚そうなその視線。青いローブは、彼が魔導師かなにかだということを指し示す証拠の気がして、その雰囲気からかなり高い地位なのだろうと判断できた。
魔導師は俺の方をじっと見つめた。
あの目は、何度も見たことがある。人を見下し、心の中で相手をバカにしている、悪意と呆れのこもった視線。
――親子揃ってムカつく奴だ。俺は小さく舌打ちをした。
「ったく。ラキア、行くぞ。あんなんに構わず、この辺の案内を続けてくれ」
俺が呼びかけても、ラキアは反応を示さなかった。代わりに、なにやら独り言を呟いて。
「私は――下等なんかじゃない」
俺はその悔しそうな表情に、動きを止めてしまった。
城の外は、魔王軍が占領している土地が広がっている。魔界と呼ばれているらしいそこは、空が禍々しく淀んでいることを除けば、意外と普通の街という感じだった。
石や黒いレンガのような建材でできた家々が立ち並び、その基盤となる地面は黒と紫のレンガでできている。魔界の人々はドクロが好きなのだろうか、時に玄関に、時には家の門にドクロの飾り付けが成されていた。
ラキアは「わったしーの仕事♪ わったしーの仕事♪」と元気ハツラツに俺の前を歩いている。
「あ! おい人間、この店はいい店だぞ!」
「あ? ……肉屋か、ここ?」
「うん! ここの揚げ物は上等なんだ! 絶対気に入るから、是非食べてみてよ!」
ラキアはそう言って、肉の絵が描かれている看板が掲げられた店へと入っていく。
中の作りは意外と普通だった。木の板で作られた床、黒い石の壁、肉を並べたショーケース。この世界には冷蔵保存の技術があるのかと商品を見ていると、突然豚の怪物(人型)が俺に話しかけてきた。
「何にするんだい?」
その声は暴力的だった。俺は身震いして「は!? いや、その……」と口ごもると、ラキアが「ポルクの揚げ物をくれ! 2つ!」と割って入った。
「……あいよ」
そう言って、豚の怪物は俺たちにポルクとか言う生物の揚げ物をくれた。ラキアがお代を出す。俺はこの世界の通貨を持っていないから仕方ないのだが、明らかに自分より年下の奴に奢ってもらったこの状況に不満を隠しきれなかった。
いやいやいや、無い無い。いくら魔王の娘で金持ちで自分は無一文だからって、奢って貰うなんてそんなこと。俺は恥ずかしさで頭を掻きながら、片手に持った揚げ物を食べようか迷っていた。
「どしたの、人間? 食べないの?」
「あのな、年下の女の子に飯おごってもらいましたなんてすっげぇ恥ずかしい事なんだぞ? お前それわかってる?」
「ふっふっふ! 私の方が存在が上なのだから当然だな! いやぁ、人間を見下すこの感じ、たまんないなぁ」
こいつ、想像以上にむかつくな。一瞬怒ってやろうかと思ったが、後が(主にこいつの父親が)面倒そうなのでやめた。
「……ったく。いいか、これは奢りじゃねーぞ? 絶対後で返すからな」
「むぅ、生意気! ラキアポイントマイナス5点!」
「……なあ、ラキアポイントってなんだ?」
「私の好感度だよ。100点でケーキ一個と交換できる」
今がマイナス7だから、道のりは遠いな。俺はこいつの面倒くささにため息をついた。
「ああ! ため息ついた、ため息ついた! こいつメンドクセーって今思ったでしょ!」
「はいはい、思ってない思ってない」
「ムッキー!」
ラキアはそう叫ぶと俺の脛を蹴りつけた。
「いってぇなお前!」
「うっさい! あんたが悪いんだろバーカ!」
こいつ、ますますムカつくな。魔王の娘じゃなかったらシバいてる所なのに。俺は歯ぎしりをしながらラキアへの怒りを飲み込んだ。
そして俺たちは、買ったポルクとか言う動物の揚げ物を食べながら店を出た。先に食い終わったラキアが、物欲しそうに俺の手にあるポルクの揚げ物を見つめてくる。
「おい、人間。この高貴にして偉大なラキア様に、揚げ物をひと口でいいから献上しようと思ってもいいのだぞ?」
「高貴にして偉大なラキア様は人に物をたからないのですよっと。いっただっきまーす」
俺はそう言ってポルクの揚げ物にかぶりついた。ラキアが「ああー! 揚げ物がー!」とショックを受ける。ふはははは、今まで偉そうにしていた奴を屈服させるこの快感はなかなかだなぁ!
「あら、あらあらあら~? ラキアさんじゃないですの~?」
と、2人仲悪く小競り合いをしていた俺たちの前に、青髪ツインテールの女の子が現れた。耳が尖ってるが、腕や足に鱗のようなものが生えているのを見ると、エルフではなく魚類系の魔族だとわかる。
「な、エリーナ! 私に何か用なの!?」
「いえいえいえー。お父様と共にお買い物へ来てみたところ、ラキアさんが随分と面白そうなことをしているとお思いましてね。まさか魔王の娘ともあろうものが、下等な人間などと共に歩いているとは。やはり低俗な者には低俗なお供が似合うのですわね!」
「んなっ! この人間はともかく、私が低俗だと!? 訂正しろ! ていせい!」
「あらあら、わたくし言葉を間違えたかしら? でもおかしいわね、推敲してもおかしな所なんて見当たりませんわ!」
なんでこう、魔族ってムカつくやつが多いんだよ。このエリーナとかいうガキ、よくもまあ自然と悪口が浮かぶものだな。ラキアもなかなかのものだが。
クソ、バカにされたって思うと腹が立つな。説教してやる。
「おいおいお嬢ちゃん。初対面の人に向かって低俗だなんてそりゃないんじゃないのか? 俺じゃなかったら完全にブチ切れてたぞ」
「黙りなさいですわ、下等で意地汚いゴミムシ以下の人間」
「てんめ、それが良くねぇってんだよ! なんで会ったばかりの奴に舐めた態度取れるんだよ社会でたら死ぬぞてめぇこら!」
「あらあら、初対面の相手をガキだと思って強く勇んで敬語さえ忘れるあなたよりかは幾分マシですわ。自覚していない分なおさらにタチが悪い」
……やべぇ、グウの音もでねぇ。俺は歯ぎしりをしながらエリーナを睨んだ。精一杯の抵抗だ、喰らえ俺の視線!
「あらあら、言い返せなくなった途端に目で反抗とは、これは生物としての底が見えましたわ。脳のないスライムの方がまだ良い思考をしてくれそうですってよ?」
「ぐっ……やることなすこと全てが逆効果じゃねーか。クソ! 俺はもうふてくされる!」
「最高におバカさんですわね」
なんとでも言え、俺はもう知らん。
と、遠くから「エリーナ」と静かな声が聞こえた。エリーナはそれを聞いた途端に、「はいですわ、お父様!」と、声のした方向へ走り出した。
こんなクソガキを育てるたァどんか父親だ。俺はそのツラを一目見てみることにした。
エリーナの父親は、少し癖のある白髪をした、体の一部に鱗の見られる魔族だった。細く若干釣り上がった目、その一方でどこか儚そうなその視線。青いローブは、彼が魔導師かなにかだということを指し示す証拠の気がして、その雰囲気からかなり高い地位なのだろうと判断できた。
魔導師は俺の方をじっと見つめた。
あの目は、何度も見たことがある。人を見下し、心の中で相手をバカにしている、悪意と呆れのこもった視線。
――親子揃ってムカつく奴だ。俺は小さく舌打ちをした。
「ったく。ラキア、行くぞ。あんなんに構わず、この辺の案内を続けてくれ」
俺が呼びかけても、ラキアは反応を示さなかった。代わりに、なにやら独り言を呟いて。
「私は――下等なんかじゃない」
俺はその悔しそうな表情に、動きを止めてしまった。
0
お気に入りに追加
318
あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは

言霊の魔造師~低ランクパーティさえ追放された劣等の僕が、オリジナルの魔術で英雄になるまでの話~
オニオン太郎
ファンタジー
『見返せ、世界を』
あまりの劣等ぶりから低ランクの冒険者パーティーさえ追い出されてしまったエル・ウィグリー。彼はある日、幼い頃から続けていた研究により、全く新しい魔術『言霊』を開発する。
極めて強力な言霊を扱い活躍の場を広げたエル。そんな彼の元に、同じく劣等種の少女フィオナが現れ、ひょんなことからエルは彼女の師匠としてフィオナに魔術を教えることとなる。
言霊の魔術を扱い、徐々に頭角を現す2人。世界から劣等種と嘲笑われたエル・ウィグリーたちは、やがてオリジナルの魔術で『劣等の星』と呼ばれる英雄へと成り上がっていく。
※タイトルの『魔造師』は「まぞうし」と呼びます
※なろうでも同じ作品を掲載してます。

だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる