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第参念珠
余珠『什宝 ~その障り~』
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――さて。
あなたは、前話『什宝』をお読みになられた方であろうか。それとも、未読の読者様であろうか。
どちらの方が幸いであるかは、私には一概に断言出来ない。しかし一つ言えることは、この話―― とても禍々しいサムシングを秘めた、「話自体が生きている」タイプの怪談であるということだ。
『什宝』本編の中で、私は
「細かな所は極力ぼかしたような書き方にして下さい、という怪談提供者様ご本人からの要望があった」
――云々ということを書いた。
しかし賢明な読者様ならば、「え、何処にぼかしがあるの?」「8000字を超える中編クラスの怪談だったじゃない」「細かいところまで執拗に描写してある、いつもの松岡スタイルだよね?」とツッコミを入れられるところだろう。
そう。
実はこの話、かなりシェイプしている。
完全版として公表した場合、15000字ほどの長編になってしまう。私が体験者のSさんから御拝聴させて頂いたお話は、実際それほど長かったのだ。
取材の時期は、『第弐念珠』発表からしばらく経った2019年11月の半ば。
その時から、既に「この話はちょっとスゴイぞ」と手応えを感じていた。
出来れば、この百物語のクライマックスあたり・・・90話以降に収録したいとも思ったほどだ。
Sさんのお話は、深夜の静まりかえったファミレスの中で都合2時間半ほどにも及んだ。
ご本人のたっての希望で、午後9時という遅い時間に待ち合わせた上での取材となったが・・・ 忌々しい上に忸怩たるご記憶を、全部絞り出さんばかりの勢いで紡いで頂いた。非常に心身を消耗なされたであろう、いくら感謝してもし足りない。
淡々と、時おり深い嘆息を交えて全てを語られたSさんは――「さて、ところで 公にして欲しくないポイントについて、今からお話をさせて頂きたいのですが・・・」 とても済まなさそうな苦笑と共に、そんなことを仰った。
Sさんが「ぼかしてほしい」と望まれた点は、主に『大御祖父様の一族』が何処の何家であるかを特定するような情報を示す箇所がほとんどだった。
逆に、「何故そこを?」と首を捻るようなところも、「上手くあやふやにしといて下さい」とお願いされた。その理由を尋ねると、「僕もよくわからんのです」「でも、ぼかさないといけないような気がしてならんのです」 ・・・ご自身も頻りに首を捻りながら、「ごめんなさい、ごめんなさい」 何度も謝られた。
謝られる道理は無い。
むしろ、こんな希有なお話を拝聴出来て嬉しいくらいだ。
――話し合いの結果、全体の3分の1くらいの箇所をカットすることになった。
皆様は驚かれるかも知れないが。本当に、それほど削ったのだ。
「ああ。それくらい短くすれば、大丈夫だと思います」
Sさんは、この取材が始まってからやっと安心したような笑みを漏らした。
大丈夫って何が大丈夫なんです?
私の質問には、「とにかく大丈夫でしょう」という脈絡の繋がらない答えが返ってきた。
さて、時が経って。
実際、私がこの『什宝』を怪談スタイルの文章に起こしたのは2020年の3月半ばくらいの時期になる。
個人的なゴタゴタや周囲の不幸などが重なり、年末から2月半ばにかけて多忙を極めてしまった為に文章化が遅れてしまったわけだが――その頃には、9800字くらいの長さに仕上がっていた。
(♯010『Ⅲの話』より長くなっちゃったな・・・もう少しシェイプ出来んかな・・・)
大御祖父様から「葛籠を開けてくれ」と頼まれてから怪異が起こるまでの間の文章表現・行間テンポやリズムにも、自分で納得行かない点があった。だが、全体の流れを変えるわけには行かない。『実話』なのだから。
聞いたままの話を、より効果的に、より怖く自然な文章として読んで頂くにはどう書けばいいのか・・・試行錯誤を繰り返し、やっと「うん、これでヨシ!」という形にまとまったのが4月21日の朝だった。
出勤前の時間ギリギリまで、怪談の推敲をやっていたわけなのだ。我ながらご苦労なことである。
自分的な落としどころにズッポリはまった文章を書くと、何となく気分がいい。
いつもより明るい気分で仕事場に出て、「おはようございます!」と挨拶した時だった。
おいお前、どうしたんだ・・・ 同僚全員から、怪訝な顔で訊かれた。
目がおかしい感じに充血してるぞ、痛くないか?
慌てて店のトイレに走り、鏡で自分の顔を確認してみる。
そこで 本当に血の気が引いた。
確かに左目が充血している。
目頭側の半分だけが。出血したように真っ赤だ。
(な、何だこれ)
何かの病気の兆候? 祟りや呪いを差し置いて真っ先にそう考えたのだから、怪談書きとしては失格だろう。
だが、明らかにおかしな状態だった。知らず知らずのうちに健康を害していたのかも、と直感的に思った。
調理場に戻り、同僚らに向き合う。
いや、これおかしいね。何でだろうね・・・ 不安な心を打ち消したくて、精一杯おどけた風に笑ってみせる。
全員の顔から表情が消えていた。
おい、治ってるぞ何でだ、と言われた。
慌てて、またトイレに走った。
目がふつうの状態に戻っていた。
※ ※ ※ ※
この一件は、何とも説明の付けがたい実体験として私の心に刻みつけられることとなる。
『妖魅砂時計』完成間際の頃にもおかしな経験をしてしまったことがあったが――それと違って、今回の『半分だけ充血した目』には 何かの意思を明確に感じた。さっきまで赤々としていた目が、数十秒のうちに元に戻るなんて・・・あり得る生理現象なのだろうか?
何ともスッキリしないものを感じた私は、その日の昼休み ある方に連絡を入れてみた。
Sさん本人――ではない。長く連絡を入れていないので、いきなり「怪奇現象が降りかかったんですけど!」と不躾な連絡を入れるのは、ちょっと憚られるものがあったのだ。それに、半充血の目は本当に『什宝』の話に由来する現象であったのか?安易に決めつけるのも失敬な話だ。
私が電話をしたのは、麻生氏である。
今までの百物語シリーズの影の立役者。 15人あまりの体験者様を私に紹介してくれた大恩人であるものの、ちょっとした行き違いから 一時期少し、険悪な関係になっていた人――
そんな麻生氏が、仲直りも兼ねて久しぶりに「物凄くダウナーで厭な話を持った人がいるよ!この話が、またいいんだ!」と紹介してくれたのがSさんだったのだ。
・・・麻生さん、参りました。あの話、きっと生きてますよ。私、怪異に見舞われちゃったかも知れない―― 自分の身に起こったことを、とにかく誰かに聞いてほしかったのだろう。程なく電話に出た麻生氏に、私はマシンガンの如き勢いで身の上話を始めた。
そうか。きっとそれは『什宝』の話のせいだよ。麻生氏も太鼓判を押してくれた。
「実は僕、心臓発作で倒れちゃった。 ――今も引きずってる。黙っててゴメン」
・・・約4ヶ月前。Sさんの取材を終えた私は、深夜の1時頃 麻生氏にお礼のメールを入れた。その時まだ起きていて奥様とDVDを観ていた麻生氏は、突然届いた私からのメールにも勿論、目を通した。
――その直後、発作を起こして テーブルに向かって前のめりに卒倒したという。
奥様が傍にいてくれたことが不幸中の幸いだった。
とっさの119番。駆けつけた救急車で、近くの病院に搬送されたのだ。
「夢を見てた。ずっと。 暗い、狭いところに閉じ込められる夢だよ。これが、いつまで経っても覚めないんだ。だから病室のベッドで目覚めるまで、夢だと思わなかった。 苦しかった。本当に苦しかった・・・」
葛籠の中に居たのかな、夢の中の僕。
――君にあの人を紹介したこと、後悔してる。 そうも言われた。
「死ぬほど情けなくて連絡出来なかった・・・ 発表するの?あの話。 やめとけば・・・」
※ ※ ※ ※
Sさんは「これで大丈夫だろう」と仰っていたが、まだ「大丈夫」ではなかったのだ。
話自体が、まだ 生命力を持っていた。
聞いた人間、いや「他人に伝えようとする努力をした人間」に何らかの悪影響を及ぼす、そんな力がこの話にはあるのだろう。
私は困った。
これでは、この話―― 発表出来ない。
もっと削らなければ、と思った。
話の『キモ』となる部分を、少しカットするのだ。
Sさんに連絡を入れてみる。
かくかくしかじか、こういう出来事がありましたので、ここを削ってアルファポリスに発表してみたいのですが、どうですか・・・と提案してみた。
いいですよ。 実に呆気なく、了解の言葉は返ってきた。
松岡さんが発表しやすいように書いて下さい。余計なことを書き足すのは私としてもカンベンですが、削る分にはどうにでも・・・ とのことだ。
「そうですか。やはり 人を不幸にする話でしたか。なるほど、なるほど」
Sさんの口調は、何故か少し 明るかった。
さて、更にどういう部分を削ったか? 流石にはっきりと言及するわけにはいかないが、
「そこを読んだ場合、葛籠の中に入っていた『あるモノ』について、読者がある程度の推測を働かせることが出来るパート」
・・・だということは明言させて頂こう。
さらにぶっちゃけさせて頂くと、大御祖父様が語った「戦時中の手柄話」を詳細に説明した部分をカットさせて貰った、ということである。
これ以上は言えない。
きっと、これ以上明らかにしてしまうと―― 話が『生きて』しまう。
敢えて、『什宝』発表の三日後にこの文章はアップさせて頂いたが、
今のところ、私には何の不幸も病魔も降りかかっていない。
だからきっと、皆さんも大丈夫だろう。
読んでも。聞いても。話しても。
今のところは。
・・・・・・昨今の、暗い世の中に発表する話ではなかったかも知れない。
だが、 これだけは言えよう。
〝人に取り憑き、害する話は、実在する〟
では、皆様。
お大事に。
あなたは、前話『什宝』をお読みになられた方であろうか。それとも、未読の読者様であろうか。
どちらの方が幸いであるかは、私には一概に断言出来ない。しかし一つ言えることは、この話―― とても禍々しいサムシングを秘めた、「話自体が生きている」タイプの怪談であるということだ。
『什宝』本編の中で、私は
「細かな所は極力ぼかしたような書き方にして下さい、という怪談提供者様ご本人からの要望があった」
――云々ということを書いた。
しかし賢明な読者様ならば、「え、何処にぼかしがあるの?」「8000字を超える中編クラスの怪談だったじゃない」「細かいところまで執拗に描写してある、いつもの松岡スタイルだよね?」とツッコミを入れられるところだろう。
そう。
実はこの話、かなりシェイプしている。
完全版として公表した場合、15000字ほどの長編になってしまう。私が体験者のSさんから御拝聴させて頂いたお話は、実際それほど長かったのだ。
取材の時期は、『第弐念珠』発表からしばらく経った2019年11月の半ば。
その時から、既に「この話はちょっとスゴイぞ」と手応えを感じていた。
出来れば、この百物語のクライマックスあたり・・・90話以降に収録したいとも思ったほどだ。
Sさんのお話は、深夜の静まりかえったファミレスの中で都合2時間半ほどにも及んだ。
ご本人のたっての希望で、午後9時という遅い時間に待ち合わせた上での取材となったが・・・ 忌々しい上に忸怩たるご記憶を、全部絞り出さんばかりの勢いで紡いで頂いた。非常に心身を消耗なされたであろう、いくら感謝してもし足りない。
淡々と、時おり深い嘆息を交えて全てを語られたSさんは――「さて、ところで 公にして欲しくないポイントについて、今からお話をさせて頂きたいのですが・・・」 とても済まなさそうな苦笑と共に、そんなことを仰った。
Sさんが「ぼかしてほしい」と望まれた点は、主に『大御祖父様の一族』が何処の何家であるかを特定するような情報を示す箇所がほとんどだった。
逆に、「何故そこを?」と首を捻るようなところも、「上手くあやふやにしといて下さい」とお願いされた。その理由を尋ねると、「僕もよくわからんのです」「でも、ぼかさないといけないような気がしてならんのです」 ・・・ご自身も頻りに首を捻りながら、「ごめんなさい、ごめんなさい」 何度も謝られた。
謝られる道理は無い。
むしろ、こんな希有なお話を拝聴出来て嬉しいくらいだ。
――話し合いの結果、全体の3分の1くらいの箇所をカットすることになった。
皆様は驚かれるかも知れないが。本当に、それほど削ったのだ。
「ああ。それくらい短くすれば、大丈夫だと思います」
Sさんは、この取材が始まってからやっと安心したような笑みを漏らした。
大丈夫って何が大丈夫なんです?
私の質問には、「とにかく大丈夫でしょう」という脈絡の繋がらない答えが返ってきた。
さて、時が経って。
実際、私がこの『什宝』を怪談スタイルの文章に起こしたのは2020年の3月半ばくらいの時期になる。
個人的なゴタゴタや周囲の不幸などが重なり、年末から2月半ばにかけて多忙を極めてしまった為に文章化が遅れてしまったわけだが――その頃には、9800字くらいの長さに仕上がっていた。
(♯010『Ⅲの話』より長くなっちゃったな・・・もう少しシェイプ出来んかな・・・)
大御祖父様から「葛籠を開けてくれ」と頼まれてから怪異が起こるまでの間の文章表現・行間テンポやリズムにも、自分で納得行かない点があった。だが、全体の流れを変えるわけには行かない。『実話』なのだから。
聞いたままの話を、より効果的に、より怖く自然な文章として読んで頂くにはどう書けばいいのか・・・試行錯誤を繰り返し、やっと「うん、これでヨシ!」という形にまとまったのが4月21日の朝だった。
出勤前の時間ギリギリまで、怪談の推敲をやっていたわけなのだ。我ながらご苦労なことである。
自分的な落としどころにズッポリはまった文章を書くと、何となく気分がいい。
いつもより明るい気分で仕事場に出て、「おはようございます!」と挨拶した時だった。
おいお前、どうしたんだ・・・ 同僚全員から、怪訝な顔で訊かれた。
目がおかしい感じに充血してるぞ、痛くないか?
慌てて店のトイレに走り、鏡で自分の顔を確認してみる。
そこで 本当に血の気が引いた。
確かに左目が充血している。
目頭側の半分だけが。出血したように真っ赤だ。
(な、何だこれ)
何かの病気の兆候? 祟りや呪いを差し置いて真っ先にそう考えたのだから、怪談書きとしては失格だろう。
だが、明らかにおかしな状態だった。知らず知らずのうちに健康を害していたのかも、と直感的に思った。
調理場に戻り、同僚らに向き合う。
いや、これおかしいね。何でだろうね・・・ 不安な心を打ち消したくて、精一杯おどけた風に笑ってみせる。
全員の顔から表情が消えていた。
おい、治ってるぞ何でだ、と言われた。
慌てて、またトイレに走った。
目がふつうの状態に戻っていた。
※ ※ ※ ※
この一件は、何とも説明の付けがたい実体験として私の心に刻みつけられることとなる。
『妖魅砂時計』完成間際の頃にもおかしな経験をしてしまったことがあったが――それと違って、今回の『半分だけ充血した目』には 何かの意思を明確に感じた。さっきまで赤々としていた目が、数十秒のうちに元に戻るなんて・・・あり得る生理現象なのだろうか?
何ともスッキリしないものを感じた私は、その日の昼休み ある方に連絡を入れてみた。
Sさん本人――ではない。長く連絡を入れていないので、いきなり「怪奇現象が降りかかったんですけど!」と不躾な連絡を入れるのは、ちょっと憚られるものがあったのだ。それに、半充血の目は本当に『什宝』の話に由来する現象であったのか?安易に決めつけるのも失敬な話だ。
私が電話をしたのは、麻生氏である。
今までの百物語シリーズの影の立役者。 15人あまりの体験者様を私に紹介してくれた大恩人であるものの、ちょっとした行き違いから 一時期少し、険悪な関係になっていた人――
そんな麻生氏が、仲直りも兼ねて久しぶりに「物凄くダウナーで厭な話を持った人がいるよ!この話が、またいいんだ!」と紹介してくれたのがSさんだったのだ。
・・・麻生さん、参りました。あの話、きっと生きてますよ。私、怪異に見舞われちゃったかも知れない―― 自分の身に起こったことを、とにかく誰かに聞いてほしかったのだろう。程なく電話に出た麻生氏に、私はマシンガンの如き勢いで身の上話を始めた。
そうか。きっとそれは『什宝』の話のせいだよ。麻生氏も太鼓判を押してくれた。
「実は僕、心臓発作で倒れちゃった。 ――今も引きずってる。黙っててゴメン」
・・・約4ヶ月前。Sさんの取材を終えた私は、深夜の1時頃 麻生氏にお礼のメールを入れた。その時まだ起きていて奥様とDVDを観ていた麻生氏は、突然届いた私からのメールにも勿論、目を通した。
――その直後、発作を起こして テーブルに向かって前のめりに卒倒したという。
奥様が傍にいてくれたことが不幸中の幸いだった。
とっさの119番。駆けつけた救急車で、近くの病院に搬送されたのだ。
「夢を見てた。ずっと。 暗い、狭いところに閉じ込められる夢だよ。これが、いつまで経っても覚めないんだ。だから病室のベッドで目覚めるまで、夢だと思わなかった。 苦しかった。本当に苦しかった・・・」
葛籠の中に居たのかな、夢の中の僕。
――君にあの人を紹介したこと、後悔してる。 そうも言われた。
「死ぬほど情けなくて連絡出来なかった・・・ 発表するの?あの話。 やめとけば・・・」
※ ※ ※ ※
Sさんは「これで大丈夫だろう」と仰っていたが、まだ「大丈夫」ではなかったのだ。
話自体が、まだ 生命力を持っていた。
聞いた人間、いや「他人に伝えようとする努力をした人間」に何らかの悪影響を及ぼす、そんな力がこの話にはあるのだろう。
私は困った。
これでは、この話―― 発表出来ない。
もっと削らなければ、と思った。
話の『キモ』となる部分を、少しカットするのだ。
Sさんに連絡を入れてみる。
かくかくしかじか、こういう出来事がありましたので、ここを削ってアルファポリスに発表してみたいのですが、どうですか・・・と提案してみた。
いいですよ。 実に呆気なく、了解の言葉は返ってきた。
松岡さんが発表しやすいように書いて下さい。余計なことを書き足すのは私としてもカンベンですが、削る分にはどうにでも・・・ とのことだ。
「そうですか。やはり 人を不幸にする話でしたか。なるほど、なるほど」
Sさんの口調は、何故か少し 明るかった。
さて、更にどういう部分を削ったか? 流石にはっきりと言及するわけにはいかないが、
「そこを読んだ場合、葛籠の中に入っていた『あるモノ』について、読者がある程度の推測を働かせることが出来るパート」
・・・だということは明言させて頂こう。
さらにぶっちゃけさせて頂くと、大御祖父様が語った「戦時中の手柄話」を詳細に説明した部分をカットさせて貰った、ということである。
これ以上は言えない。
きっと、これ以上明らかにしてしまうと―― 話が『生きて』しまう。
敢えて、『什宝』発表の三日後にこの文章はアップさせて頂いたが、
今のところ、私には何の不幸も病魔も降りかかっていない。
だからきっと、皆さんも大丈夫だろう。
読んでも。聞いても。話しても。
今のところは。
・・・・・・昨今の、暗い世の中に発表する話ではなかったかも知れない。
だが、 これだけは言えよう。
〝人に取り憑き、害する話は、実在する〟
では、皆様。
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