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第06報『コード』
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新倉さんのお宅は一族の本家筋にあたり、仏間の鴨居には幾つもの遺影が並んでいる。
その中にはひときわ若い男性の写真もあり、30歳で夭逝した彼の叔父にあたる人のものなのだという。
この遺影に不可解な変化が現れだした。
おそらく2、3年ほど前からだそうだが、
何故かお顔の頬のあたりに――妙な模様が浮かびだしたのだというのだ。
ちょうど、大きめの指紋のような感じの不思議な模様が。
最初うっすらとくすみのように現れ出たそれが、やがて痣のようにくっきり見えるようになった。
・・・何か故人の『知らせ』だろうか。念の為心当たりを家族や親戚に尋ねてもみたが、誰も彼も見当が付かぬと答える。菩提寺の御住職も、首を捻るばかり。
手の打ちようがないので、仕方なく放っておいた。
――が、今年の初め頃のこと。
「ん~。何かコレさぁ、QRコードに似てね?」
新倉さんのご長男がそんなことを言い出してから、状況が変わってきた。
「スマホのリーダーアプリで読み取れちゃったりして」
「・・・おい、仏間でおかしな事を言うな。バチが当たるぞ」
父親として窘めてはみたものの。
言われてみればもう、QRコード以外の何物にも見えなくなってしまった。
仏間に入ってこの遺影に目が行く度、無意識にスマホを握りしめている自分に気づく。
これは読み取れるものなのか?だとすれば、何が表示されるのか?
気になって仕方が無い。
ある日、馬鹿馬鹿しいとは思いながら 遺影に話しかけてみた。
「叔父貴。何か我々に伝えたいことでもあるのですか? ・・・読み取りますよ?」
――やってくれ、とでも言うが如く
遺影が鴨居から真っ逆さまに落ちてきた。
「・・・だから、なんです。叔父貴の遺影は今、お寺に預かって貰ってます」
新倉さんはそう語る。
そのまま読み取りを実行したら 知らなくていい何かを知ってしまいそうな予感がして、怖くなったのだという。
その中にはひときわ若い男性の写真もあり、30歳で夭逝した彼の叔父にあたる人のものなのだという。
この遺影に不可解な変化が現れだした。
おそらく2、3年ほど前からだそうだが、
何故かお顔の頬のあたりに――妙な模様が浮かびだしたのだというのだ。
ちょうど、大きめの指紋のような感じの不思議な模様が。
最初うっすらとくすみのように現れ出たそれが、やがて痣のようにくっきり見えるようになった。
・・・何か故人の『知らせ』だろうか。念の為心当たりを家族や親戚に尋ねてもみたが、誰も彼も見当が付かぬと答える。菩提寺の御住職も、首を捻るばかり。
手の打ちようがないので、仕方なく放っておいた。
――が、今年の初め頃のこと。
「ん~。何かコレさぁ、QRコードに似てね?」
新倉さんのご長男がそんなことを言い出してから、状況が変わってきた。
「スマホのリーダーアプリで読み取れちゃったりして」
「・・・おい、仏間でおかしな事を言うな。バチが当たるぞ」
父親として窘めてはみたものの。
言われてみればもう、QRコード以外の何物にも見えなくなってしまった。
仏間に入ってこの遺影に目が行く度、無意識にスマホを握りしめている自分に気づく。
これは読み取れるものなのか?だとすれば、何が表示されるのか?
気になって仕方が無い。
ある日、馬鹿馬鹿しいとは思いながら 遺影に話しかけてみた。
「叔父貴。何か我々に伝えたいことでもあるのですか? ・・・読み取りますよ?」
――やってくれ、とでも言うが如く
遺影が鴨居から真っ逆さまに落ちてきた。
「・・・だから、なんです。叔父貴の遺影は今、お寺に預かって貰ってます」
新倉さんはそう語る。
そのまま読み取りを実行したら 知らなくていい何かを知ってしまいそうな予感がして、怖くなったのだという。
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