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訪ね歩くは静かなる水
この世界の危険
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村を出て数時間、休憩を挟みながら水の街へ向かう。
少しの間草原地帯を歩いたが、そのどこにでもあの花…「晴花」が咲いている。
「…これ全部、人間だったのか」
「うん。今のところの予想はそうなるね」
「こわい…」
『大丈夫よマホ。貴方は魔法使いだし、この花はもう動きもしないわ』
「う、うん」
一見すれば、ただ開けた草原に大量の桃色の花が咲き乱れている美しい花畑だ。
これが、人間でなければどれほどに良かっただろうか。
やはり、空は晴天だった。
「そういえば、クラウド卿とスウェネから手紙帰ってきてたよね?よかった、クラウド卿も無事だったんだね」
「ああそうだな。読むか」
セイカは、持っていたクラウド卿の手紙を開いた。
手紙は高級そうな封筒と、丁寧な封蝋をしてある。まさに、クラウド卿のやりそうな返し方だった。
封蝋を割り封筒を開けると、達筆な文が綴ってある便箋が出てきた。
「読み上げるぞ。『久しいなセイカ。お前は無事だと思っていた。何せ家から出ぬ。しばらくお前と連絡を取れずに済まなかった。この晴れ模様だ、1万を超えた老人にはちとキツくてな。なに死ぬことは無い。ようやっと身体を起こしたのだ。ところでセイカよ、この事態についてもう既に調べはついているのだろうが、空について少し話そう。察しの通り、私の雲を操る魔法だが、花の群生地の空は雲が運べぬ。なんとも不思議なことに跳ね返されてしまうのだ。だが、そこ以外の天候は操ることが出来る。…とは言え、もう私の支配下にある地域はほとんどないと言って過言ではない。あるとすれば、お前が生まれた泉周辺じゃ。このとおりの事態じゃ、私は暫し長い休暇を取ろうと思う。来るならいつでも来るがいい、待っているぞ』」
「よかった、無事だね…でもやっぱり、もうほとんど手が出せないみたいだね」
「くらうどじぃじ、ぐあいわるかったの…?」
「く…クラウドじぃじ…ハハッ、いいなそれ」
『マホ、クラウドのことをみんなはクラウド卿と呼んでいるのよ。まぁ確かにおじいちゃんだけれども』
「きょう?」
『貴族様の事よ。プラチナ魔法使いで、その上貴族なの。だからクラウド卿よ』
「わかったー!!」
「でもちょっと呼んでみようよセイカ」
「クラウド…ンフッ…クラウドじぃじ…ハハハッ」
「笑い抑えられない時のセイカ初めて見たかもしれない」
笑いながらクラウドの手紙を丁寧に仕舞うと、次にスウェネからの手紙を開いた。
手紙は赤い封筒で、金の装飾がほどこされている。
中を開くと、丸い文字が特徴的な文の便箋だった。
「この字は確実にスウェネだな」
「ほんとだ、じゃあモノマネしながら僕が読み上げてあげるよ」
ビオンが咳払いをし、喉の調節をする。
出た声は、高く女のような音域の声だった。そして特徴的な語尾の喋り方で読み上げ始めた。
「『せぇ~いかぁ~!すうぇねだよぅぅ!あのねぇいまねぇ!ひとりでさみしぃのぉぅ!うゆ~~!はやくあそびにきてよぅぅ~!!うゆぅ~!!』」
「しぬ!しぬ笑い死ぬ!!」
『元気ねあなた達。2000歳だものね』
『スウェネちゃんいじめるのやめなよ』
『でも似ています。…ちょっと誇張かもしれませんが』
「ビオン様が…へんな喋り方してる…!?」
『これはね、スウェネのマネなのよマホ。本当に、なんか…あの…本当にこれなの』
遂に耐えられなくなって蹲りながら浮いて移動するセイカ。
息ができないほど笑いながら手紙を読み終えると、ビオンは息を切らしながら手紙を仕舞った。
「こんなに笑ったらお腹すいちゃったよ、ご飯にしよっか」
「ははっ…フゥ…そうだな…もう昼だしな」
「ご飯なーにー!?」
「今日のお昼は、月卵トーストだよ」
「やったああ!!」
一行は、草原の開けた場所に腰掛け昼食の準備をする。
ビオンが料理をしている間、セイカは地図を広げルートの確認、マホは妖精たちと遊んでいた。
少しの間だけ、マホから目を離していた。妖精たちが見ているからと。
ふと、セイカが気になってビオンに話しかけにふりかえった時だった。
マホの背後に、とてつもなく大きな『魔獣』が居た。
誰も気付かなかったのだろう。全員が、恐怖に満ちた表情に変わる。
マホの悲鳴が聞こえる。
「マホ!!!」
セイカが駆けつけ、魔獣に杖を振る。
この所、魔獣に会わなかったからこそ油断していた。そもそも、何故魔法使いが街を治める必要がある?
それはこいつのせいだった。魔獣は、魔法使いでなければ倒せないからだ。
守るから、ここに住み経済を回せ。そういう事だ。
「ホーリーヘイト!!」
呪文を唱え杖を振ると、魔獣の頭上と足元に金色の魔法陣が出現し、金色の光となって魔獣を包む。
強い聖属性の魔法は、魔獣を否応なしに消し去った。
「ぁ、あぶねぇ…。あっ、マホ!怪我はないか?」
「う、ぅん…せいかさまぁぁ…」
「あぁあ…えと、ああー、…こ、怖かったな」
余程怖かったのか、マホは泣き出してしまった。
子供と女の泣き顔には免疫がないセイカは、とりあえずマホを撫でて落ち着かせる。
「けど、今聞きたかったことは分かっちまったな…。そうか、魔獣も生きてんだな」
「そうみたいだね…とは言え、前より姿を見ないのはどうして…?っていうかセイカ!?いつの間に聖属性魔法なんか使えるようなったの!?僕ですらホーリーヘイトは苦手なのに!」
「え?あぁいや…俺もそんなに得意じゃねぇが…魔獣には1発だろ?つーか、ホーリーヘイトなんか簡単だろ」
「なーーに言ってんの!?この天才!魔法バカ!紙一重!!」
「悪口か?これ」
『八割褒めてると思うわ』
『ホーリーヘイトの原理ってなに?』
「聖属性の力の元は女神だろ。女神は魔獣が嫌い、イコール聖属性魔法で女神が拒絶してる魔獣を要は駄々みたいな感じに消し去ってるだけ」
『え?そうなの?じゃあヤダーー!!魔獣きらーーい!!やだやだやだ消えちゃえー!!!ってこと?』
「そう。2歳児みたいで面白いだろ。俺は好きだぜホーリーヘイト」
「誰から聞いたんだそんなこと…初めて聞いたよ…」
「ちいせぇ頃にアンジュの女神が目の前でやってた。今セラが言ったのと同じ感じで。キャー、魔獣キモイ、こっち来ないでバカーって」
「わお…」
そんな話をしていると、腕の中で泣いていたマホが徐々にキラキラした顔をセイカに向けた。
「な、なんだ、どうしたマホ」
「セイカ様…すごぉぉい!マホも!マホも戦えるの!?」
「え?あぁまぁ…あでもまだ早いぞ、えっとな…攻撃魔法は15過ぎてからじゃないと…」
『そうよマホ、今使うと、マホの体が耐えられないわ。攻撃魔法はかなり魔力が必要なの』
「そっかあ…」
分かりやすく落ち込むマホを見て、こればかりはどうしようもないと頭を撫でた。
しばらくすると、昼食が出来たようだった。香ばしい小麦の香りと、バターの香りが混ざり合い食欲をそそる。
魔獣に襲われはしたが、一行は何事も無かったかのように昼食をとった。
「んぁ、セイカ、お肉欲しいからさ、今度魔獣…そうだなぁ…インフェルノブル辺り見つけたら消さないで倒そうよ」
「ん?あぁ。アイツうめーもんな」
『あなた達…いやまぁプラチナだけれども…』
『リリィさん、もうこの人達ズレてるから慣れた方がいいよ。そらインフェルノブルなんて高級肉ポンポンとれたら牛なんか育てないから』
『そ、そうよね…。インフェルノブルって…かなりランク高いのに…』
「まあ、通貨の概念がもうねぇに等しいからなぁ…とは言え、魔法使い間では入用の時もあるだろうから、レア魔獣は売りたいな」
リリィがドン引きする中、美味しい昼食を平らげ少し腹休めをする。
あと半日歩けば、水の街に着くだろうとビオンが言うと、一行はやる気を出しまた歩き出すのだった。
少しの間草原地帯を歩いたが、そのどこにでもあの花…「晴花」が咲いている。
「…これ全部、人間だったのか」
「うん。今のところの予想はそうなるね」
「こわい…」
『大丈夫よマホ。貴方は魔法使いだし、この花はもう動きもしないわ』
「う、うん」
一見すれば、ただ開けた草原に大量の桃色の花が咲き乱れている美しい花畑だ。
これが、人間でなければどれほどに良かっただろうか。
やはり、空は晴天だった。
「そういえば、クラウド卿とスウェネから手紙帰ってきてたよね?よかった、クラウド卿も無事だったんだね」
「ああそうだな。読むか」
セイカは、持っていたクラウド卿の手紙を開いた。
手紙は高級そうな封筒と、丁寧な封蝋をしてある。まさに、クラウド卿のやりそうな返し方だった。
封蝋を割り封筒を開けると、達筆な文が綴ってある便箋が出てきた。
「読み上げるぞ。『久しいなセイカ。お前は無事だと思っていた。何せ家から出ぬ。しばらくお前と連絡を取れずに済まなかった。この晴れ模様だ、1万を超えた老人にはちとキツくてな。なに死ぬことは無い。ようやっと身体を起こしたのだ。ところでセイカよ、この事態についてもう既に調べはついているのだろうが、空について少し話そう。察しの通り、私の雲を操る魔法だが、花の群生地の空は雲が運べぬ。なんとも不思議なことに跳ね返されてしまうのだ。だが、そこ以外の天候は操ることが出来る。…とは言え、もう私の支配下にある地域はほとんどないと言って過言ではない。あるとすれば、お前が生まれた泉周辺じゃ。このとおりの事態じゃ、私は暫し長い休暇を取ろうと思う。来るならいつでも来るがいい、待っているぞ』」
「よかった、無事だね…でもやっぱり、もうほとんど手が出せないみたいだね」
「くらうどじぃじ、ぐあいわるかったの…?」
「く…クラウドじぃじ…ハハッ、いいなそれ」
『マホ、クラウドのことをみんなはクラウド卿と呼んでいるのよ。まぁ確かにおじいちゃんだけれども』
「きょう?」
『貴族様の事よ。プラチナ魔法使いで、その上貴族なの。だからクラウド卿よ』
「わかったー!!」
「でもちょっと呼んでみようよセイカ」
「クラウド…ンフッ…クラウドじぃじ…ハハハッ」
「笑い抑えられない時のセイカ初めて見たかもしれない」
笑いながらクラウドの手紙を丁寧に仕舞うと、次にスウェネからの手紙を開いた。
手紙は赤い封筒で、金の装飾がほどこされている。
中を開くと、丸い文字が特徴的な文の便箋だった。
「この字は確実にスウェネだな」
「ほんとだ、じゃあモノマネしながら僕が読み上げてあげるよ」
ビオンが咳払いをし、喉の調節をする。
出た声は、高く女のような音域の声だった。そして特徴的な語尾の喋り方で読み上げ始めた。
「『せぇ~いかぁ~!すうぇねだよぅぅ!あのねぇいまねぇ!ひとりでさみしぃのぉぅ!うゆ~~!はやくあそびにきてよぅぅ~!!うゆぅ~!!』」
「しぬ!しぬ笑い死ぬ!!」
『元気ねあなた達。2000歳だものね』
『スウェネちゃんいじめるのやめなよ』
『でも似ています。…ちょっと誇張かもしれませんが』
「ビオン様が…へんな喋り方してる…!?」
『これはね、スウェネのマネなのよマホ。本当に、なんか…あの…本当にこれなの』
遂に耐えられなくなって蹲りながら浮いて移動するセイカ。
息ができないほど笑いながら手紙を読み終えると、ビオンは息を切らしながら手紙を仕舞った。
「こんなに笑ったらお腹すいちゃったよ、ご飯にしよっか」
「ははっ…フゥ…そうだな…もう昼だしな」
「ご飯なーにー!?」
「今日のお昼は、月卵トーストだよ」
「やったああ!!」
一行は、草原の開けた場所に腰掛け昼食の準備をする。
ビオンが料理をしている間、セイカは地図を広げルートの確認、マホは妖精たちと遊んでいた。
少しの間だけ、マホから目を離していた。妖精たちが見ているからと。
ふと、セイカが気になってビオンに話しかけにふりかえった時だった。
マホの背後に、とてつもなく大きな『魔獣』が居た。
誰も気付かなかったのだろう。全員が、恐怖に満ちた表情に変わる。
マホの悲鳴が聞こえる。
「マホ!!!」
セイカが駆けつけ、魔獣に杖を振る。
この所、魔獣に会わなかったからこそ油断していた。そもそも、何故魔法使いが街を治める必要がある?
それはこいつのせいだった。魔獣は、魔法使いでなければ倒せないからだ。
守るから、ここに住み経済を回せ。そういう事だ。
「ホーリーヘイト!!」
呪文を唱え杖を振ると、魔獣の頭上と足元に金色の魔法陣が出現し、金色の光となって魔獣を包む。
強い聖属性の魔法は、魔獣を否応なしに消し去った。
「ぁ、あぶねぇ…。あっ、マホ!怪我はないか?」
「う、ぅん…せいかさまぁぁ…」
「あぁあ…えと、ああー、…こ、怖かったな」
余程怖かったのか、マホは泣き出してしまった。
子供と女の泣き顔には免疫がないセイカは、とりあえずマホを撫でて落ち着かせる。
「けど、今聞きたかったことは分かっちまったな…。そうか、魔獣も生きてんだな」
「そうみたいだね…とは言え、前より姿を見ないのはどうして…?っていうかセイカ!?いつの間に聖属性魔法なんか使えるようなったの!?僕ですらホーリーヘイトは苦手なのに!」
「え?あぁいや…俺もそんなに得意じゃねぇが…魔獣には1発だろ?つーか、ホーリーヘイトなんか簡単だろ」
「なーーに言ってんの!?この天才!魔法バカ!紙一重!!」
「悪口か?これ」
『八割褒めてると思うわ』
『ホーリーヘイトの原理ってなに?』
「聖属性の力の元は女神だろ。女神は魔獣が嫌い、イコール聖属性魔法で女神が拒絶してる魔獣を要は駄々みたいな感じに消し去ってるだけ」
『え?そうなの?じゃあヤダーー!!魔獣きらーーい!!やだやだやだ消えちゃえー!!!ってこと?』
「そう。2歳児みたいで面白いだろ。俺は好きだぜホーリーヘイト」
「誰から聞いたんだそんなこと…初めて聞いたよ…」
「ちいせぇ頃にアンジュの女神が目の前でやってた。今セラが言ったのと同じ感じで。キャー、魔獣キモイ、こっち来ないでバカーって」
「わお…」
そんな話をしていると、腕の中で泣いていたマホが徐々にキラキラした顔をセイカに向けた。
「な、なんだ、どうしたマホ」
「セイカ様…すごぉぉい!マホも!マホも戦えるの!?」
「え?あぁまぁ…あでもまだ早いぞ、えっとな…攻撃魔法は15過ぎてからじゃないと…」
『そうよマホ、今使うと、マホの体が耐えられないわ。攻撃魔法はかなり魔力が必要なの』
「そっかあ…」
分かりやすく落ち込むマホを見て、こればかりはどうしようもないと頭を撫でた。
しばらくすると、昼食が出来たようだった。香ばしい小麦の香りと、バターの香りが混ざり合い食欲をそそる。
魔獣に襲われはしたが、一行は何事も無かったかのように昼食をとった。
「んぁ、セイカ、お肉欲しいからさ、今度魔獣…そうだなぁ…インフェルノブル辺り見つけたら消さないで倒そうよ」
「ん?あぁ。アイツうめーもんな」
『あなた達…いやまぁプラチナだけれども…』
『リリィさん、もうこの人達ズレてるから慣れた方がいいよ。そらインフェルノブルなんて高級肉ポンポンとれたら牛なんか育てないから』
『そ、そうよね…。インフェルノブルって…かなりランク高いのに…』
「まあ、通貨の概念がもうねぇに等しいからなぁ…とは言え、魔法使い間では入用の時もあるだろうから、レア魔獣は売りたいな」
リリィがドン引きする中、美味しい昼食を平らげ少し腹休めをする。
あと半日歩けば、水の街に着くだろうとビオンが言うと、一行はやる気を出しまた歩き出すのだった。
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