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桜が丘高校
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この世界には、魔法、呪術、超能力が存在し、それら全てをひっくるめた『異能』と呼ばれているものがある。
なんでも、昔の偉い人同士が話し合った際、いちいち呪術やら、魔法やら、マジックやらと、別の名称で呼びあってたらかなり時間がかかってしまった事態があったことで、共通した呼び名――『異能』って呼び名になったそうだ。
そして、自身で生成した魔力を使い、異能を行使する者のことを俺たちの間では『異能力者』と呼ぶのだ。
そんな俺も、実はこの世で(全人口的に言えば)数少ない異能力者の一人だったりする。
といっても、俺は自分で言うのは恥ずかしいんだけど、超絶ド平凡な学生だ。
まだ異能力者じゃなかった頃の変わった点があるとすれば、普通の人よりも少しばかり身体能力が高かったり、目とか耳がよかったりしてたくらいかな。
あとは、両親と妹がいるごく普通な家庭環境で育ってきた、なんの変哲もない男子学生だ。……まぁ、俺が異能を持ってたりする少し特殊な家庭だけどな。
それはさておき、先ほどの事件現場には、そんな異能を使うための『魔力』の残痕が残っていた。
俺だけが気づけたこと。
あの人達がどれだけ優れた警察でも、おそらく異能については知らないであろう。
「……よし」
これは俺の仕事だ。
俺の日常を守るためにも、解決しなきゃならない問題なのだ。
そうして、俺は学校へと向かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ここか……」
着いた場所は、都市部にあるとある高校の前。公立の進学校で、偏差値も高いところ。
ちなみに、仲間の勧めで半ば強制的にこの高校を選ばされた経緯も存在している。
本当に苦労した……まさか、あいつが俺にあんな条件を突きつけてくるなんて思わなかったからな……。
「はぁ……」
思わずため息が出てしまう。
正直言って、学生を本業に、副業として異能力者をやっていきたかったのだが、あいつに言われて仕方なく学生をしながら仕事をこなすことになった。
まぁ、俺もそこまで悪い話じゃないと思ったので、渋々了承したが……少し騙されたと思ってしまう。
そんな俺の目の前には、その高校の校門が見えている。
一応、母さんが早めに起こしてくれたのと、かなり飛ばしてきたため遅刻はしていない。
だから、周りには制服に身を包んだ在校生や新入生が行き交っていた。
「「「「「ようこそ! 桜が丘高校へ!」」」」」
校門のわきに立つ数人の在校生と思われる人達が、元気よく声を上げている。
この高校――『桜が丘高校』は、今年創立100周年を迎えるという、結構歴史ある高校らしい。
しかし、数十年前に起こった戦争の際、戦火に包まれて旧校舎は倒壊。
今あるのは、改修を重ねた数代目の校舎だそうだ。
それもあってか、校舎はかなり綺麗な造りをしている。
偉大な歴史があるせいなのか、入学式ということもあり、かなり人が来ていた。
俺としては早く教室に行って友達作りたいけど、このままだと中に入ることすらできなさそうな勢いである。
「さて、気配を消して潜り込んでみるか……後で処罰されっからやめとくか」
そんなことを呟きながら足を進めていると、ある方向からざわめきが聞こえてきた。
「おい、あれ見ろよ」
「うわー、すげぇ美人じゃん」
「えっ!? どの子?」
「ほら、あそこだよ。金髪の子と、その右隣にいる黒髪の女の子」
「マジかよ……あんなレベルの美少女を拝めるとは……!」
「あの子は、この学校のアイドルになるだろうな……」
などと、口々に言っている。
そして、その視線は一点に注がれていた。
どうやら、そこにはかなりの美少女がいるようだ。
正直言って、美男美女とかは仕事柄見慣れている。
チームメンバーは絶世の美少女だし、先輩はめっちゃ美人だ。
しかし、そんな言葉につられてしまうのが男というもの。
ついつい気になってしまい、そちらへと視線を向ける。
「――それでね~、静香ちゃんはこの学校は初めてでしょ? 私が案内してあげるから安心して!」
「え、あ、ありがとうございます! 入学式でこんなに親切な人に出会えるなんて嬉しいです……」
……うん。
見覚えのある金髪お嬢様顔が一人、見知らぬ黒髪美少女を案内していた。
……とりあえず、この場から離れt「あ! やっと見つけたわよ優慈!」……られらなかったみたいだ。
「あんたねぇ、こっちはみんなを探せるようにかなり早めに来てたのに、あんただけいつまでたっても見つからなかったのよ。どこにいたわけ?」
「……お前の知らないところで色々とあったんだよ。それと、ここは人が多いんだ。大声で名前を呼ぶな。お前みたいな美少女がいると変なやっかみを受けるだろ」
「ふぅん……まぁ、いいわ。それより、今日は私と一緒に行動してもらうから覚悟しなさいよね」
「へーへー。了解しましたよっと」
俺の目の前に立つ、サラサラ金髪ストレートヘアーで言葉遣いや態度から気の強そうなことが察せられる美少女。
ほぼ無いに等しい胸を常日頃から自信満々に反らし、もう一人のチームメンバーの雄大な山脈を見て嘆いているこの少女の名前は「秋神楓」。俺の異能力者としてのパートナーだ。
まぁ、こいつはただ単に自分が天才だと思っていて、実際にそうだとしか言いようがない完璧超人なのだが……それはさておき。
「それにしても、本当にこの高校に入学できたんだな……」
「はぁ? なに言ってるの、私は天才なのよ? これくらい余裕に決まってるじゃない。むしろ私からの無茶ぶりを頑張ってこなしたあんたが凄いわよ」
「ソウデスネー……」
いやほんと、この無茶ぶりさえなければ完璧なんだけどな……。
「あ、あの……そちらの方は……?」
「……さっきから気になってたんだが、その子は誰だ?」
「……あ! ごめんね! 紹介するの忘れてた!」
そう言うと、楓はこちらに向き直って黒髪美少女の紹介を始めた。
「この子は『小夜静香』ちゃん。私のクラスメイトで、さっき仲良くなったの」
「さっき出会ったばっかりかよ……相変わらずだな……」
「え、あの、よろしくお願いします! 静香といいます!」
ぺこりと頭を下げる静香さん。
とても礼儀正しい子だ。
……というか、俺には敬語なんだな。なんか悲しいぞ。
「俺は白石優慈だ。これから三年間同じクラスになるかもしれないから、よろしく頼む」
「はい! よろしくお願いします!」
「うんうん。二人とも挨拶できて良きかな良きかな~」
まるで親のような目で俺たちを見てくる楓。
こういうところを見ると、年不相応に見えてしまう。
……まぁ、俺たちが話を聞いただけでもかなりエグイと思う経験してたんだから、精神的に少し大人びても仕方ないのか……?
「じゃあ、そろそろ行こうか! 静香ちゃんはどの教室かわかってる?」
「え、えっと……とりあえず、1組ということだけはわかっているんですけど……」
「なら大丈夫よ。私と同じだから」
「そうなの!? よかったぁ……」
安堵の息を漏らす静香さん。
この様子だと、彼女は結構緊張しているようだ。
まぁ、それも無理はないだろう。
なんせ、入学式当日でこんなにも人が来ているのだ。不安になるのも当然である。
「あ、でも……白石君は違うんじゃなかったっけ?」
「俺のことは気にするな。どうせいつものことだし」
「それどういう意味よ」
「気にすんなってことだ」
俺の言葉に、不満げな表情を見せる楓。
……こいつの機嫌を損ねると面倒なので、さっさと話題を変えよう。
「それよりも、早く行かないと入学式の時間に間に合わないんじゃないか?」
「え、あ、ホントだ! 急ごう静香ちゃん!」
「う、うん! わかったよ秋神さん!」
「ほら行くわよ優慈。遅れるとあんただけ入学式に参加できないことになるわよ」
「はいはい。今行きますよっと」
こうして、俺たち三人は入学式が行われる体育館へと向かった。
なんでも、昔の偉い人同士が話し合った際、いちいち呪術やら、魔法やら、マジックやらと、別の名称で呼びあってたらかなり時間がかかってしまった事態があったことで、共通した呼び名――『異能』って呼び名になったそうだ。
そして、自身で生成した魔力を使い、異能を行使する者のことを俺たちの間では『異能力者』と呼ぶのだ。
そんな俺も、実はこの世で(全人口的に言えば)数少ない異能力者の一人だったりする。
といっても、俺は自分で言うのは恥ずかしいんだけど、超絶ド平凡な学生だ。
まだ異能力者じゃなかった頃の変わった点があるとすれば、普通の人よりも少しばかり身体能力が高かったり、目とか耳がよかったりしてたくらいかな。
あとは、両親と妹がいるごく普通な家庭環境で育ってきた、なんの変哲もない男子学生だ。……まぁ、俺が異能を持ってたりする少し特殊な家庭だけどな。
それはさておき、先ほどの事件現場には、そんな異能を使うための『魔力』の残痕が残っていた。
俺だけが気づけたこと。
あの人達がどれだけ優れた警察でも、おそらく異能については知らないであろう。
「……よし」
これは俺の仕事だ。
俺の日常を守るためにも、解決しなきゃならない問題なのだ。
そうして、俺は学校へと向かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ここか……」
着いた場所は、都市部にあるとある高校の前。公立の進学校で、偏差値も高いところ。
ちなみに、仲間の勧めで半ば強制的にこの高校を選ばされた経緯も存在している。
本当に苦労した……まさか、あいつが俺にあんな条件を突きつけてくるなんて思わなかったからな……。
「はぁ……」
思わずため息が出てしまう。
正直言って、学生を本業に、副業として異能力者をやっていきたかったのだが、あいつに言われて仕方なく学生をしながら仕事をこなすことになった。
まぁ、俺もそこまで悪い話じゃないと思ったので、渋々了承したが……少し騙されたと思ってしまう。
そんな俺の目の前には、その高校の校門が見えている。
一応、母さんが早めに起こしてくれたのと、かなり飛ばしてきたため遅刻はしていない。
だから、周りには制服に身を包んだ在校生や新入生が行き交っていた。
「「「「「ようこそ! 桜が丘高校へ!」」」」」
校門のわきに立つ数人の在校生と思われる人達が、元気よく声を上げている。
この高校――『桜が丘高校』は、今年創立100周年を迎えるという、結構歴史ある高校らしい。
しかし、数十年前に起こった戦争の際、戦火に包まれて旧校舎は倒壊。
今あるのは、改修を重ねた数代目の校舎だそうだ。
それもあってか、校舎はかなり綺麗な造りをしている。
偉大な歴史があるせいなのか、入学式ということもあり、かなり人が来ていた。
俺としては早く教室に行って友達作りたいけど、このままだと中に入ることすらできなさそうな勢いである。
「さて、気配を消して潜り込んでみるか……後で処罰されっからやめとくか」
そんなことを呟きながら足を進めていると、ある方向からざわめきが聞こえてきた。
「おい、あれ見ろよ」
「うわー、すげぇ美人じゃん」
「えっ!? どの子?」
「ほら、あそこだよ。金髪の子と、その右隣にいる黒髪の女の子」
「マジかよ……あんなレベルの美少女を拝めるとは……!」
「あの子は、この学校のアイドルになるだろうな……」
などと、口々に言っている。
そして、その視線は一点に注がれていた。
どうやら、そこにはかなりの美少女がいるようだ。
正直言って、美男美女とかは仕事柄見慣れている。
チームメンバーは絶世の美少女だし、先輩はめっちゃ美人だ。
しかし、そんな言葉につられてしまうのが男というもの。
ついつい気になってしまい、そちらへと視線を向ける。
「――それでね~、静香ちゃんはこの学校は初めてでしょ? 私が案内してあげるから安心して!」
「え、あ、ありがとうございます! 入学式でこんなに親切な人に出会えるなんて嬉しいです……」
……うん。
見覚えのある金髪お嬢様顔が一人、見知らぬ黒髪美少女を案内していた。
……とりあえず、この場から離れt「あ! やっと見つけたわよ優慈!」……られらなかったみたいだ。
「あんたねぇ、こっちはみんなを探せるようにかなり早めに来てたのに、あんただけいつまでたっても見つからなかったのよ。どこにいたわけ?」
「……お前の知らないところで色々とあったんだよ。それと、ここは人が多いんだ。大声で名前を呼ぶな。お前みたいな美少女がいると変なやっかみを受けるだろ」
「ふぅん……まぁ、いいわ。それより、今日は私と一緒に行動してもらうから覚悟しなさいよね」
「へーへー。了解しましたよっと」
俺の目の前に立つ、サラサラ金髪ストレートヘアーで言葉遣いや態度から気の強そうなことが察せられる美少女。
ほぼ無いに等しい胸を常日頃から自信満々に反らし、もう一人のチームメンバーの雄大な山脈を見て嘆いているこの少女の名前は「秋神楓」。俺の異能力者としてのパートナーだ。
まぁ、こいつはただ単に自分が天才だと思っていて、実際にそうだとしか言いようがない完璧超人なのだが……それはさておき。
「それにしても、本当にこの高校に入学できたんだな……」
「はぁ? なに言ってるの、私は天才なのよ? これくらい余裕に決まってるじゃない。むしろ私からの無茶ぶりを頑張ってこなしたあんたが凄いわよ」
「ソウデスネー……」
いやほんと、この無茶ぶりさえなければ完璧なんだけどな……。
「あ、あの……そちらの方は……?」
「……さっきから気になってたんだが、その子は誰だ?」
「……あ! ごめんね! 紹介するの忘れてた!」
そう言うと、楓はこちらに向き直って黒髪美少女の紹介を始めた。
「この子は『小夜静香』ちゃん。私のクラスメイトで、さっき仲良くなったの」
「さっき出会ったばっかりかよ……相変わらずだな……」
「え、あの、よろしくお願いします! 静香といいます!」
ぺこりと頭を下げる静香さん。
とても礼儀正しい子だ。
……というか、俺には敬語なんだな。なんか悲しいぞ。
「俺は白石優慈だ。これから三年間同じクラスになるかもしれないから、よろしく頼む」
「はい! よろしくお願いします!」
「うんうん。二人とも挨拶できて良きかな良きかな~」
まるで親のような目で俺たちを見てくる楓。
こういうところを見ると、年不相応に見えてしまう。
……まぁ、俺たちが話を聞いただけでもかなりエグイと思う経験してたんだから、精神的に少し大人びても仕方ないのか……?
「じゃあ、そろそろ行こうか! 静香ちゃんはどの教室かわかってる?」
「え、えっと……とりあえず、1組ということだけはわかっているんですけど……」
「なら大丈夫よ。私と同じだから」
「そうなの!? よかったぁ……」
安堵の息を漏らす静香さん。
この様子だと、彼女は結構緊張しているようだ。
まぁ、それも無理はないだろう。
なんせ、入学式当日でこんなにも人が来ているのだ。不安になるのも当然である。
「あ、でも……白石君は違うんじゃなかったっけ?」
「俺のことは気にするな。どうせいつものことだし」
「それどういう意味よ」
「気にすんなってことだ」
俺の言葉に、不満げな表情を見せる楓。
……こいつの機嫌を損ねると面倒なので、さっさと話題を変えよう。
「それよりも、早く行かないと入学式の時間に間に合わないんじゃないか?」
「え、あ、ホントだ! 急ごう静香ちゃん!」
「う、うん! わかったよ秋神さん!」
「ほら行くわよ優慈。遅れるとあんただけ入学式に参加できないことになるわよ」
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