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5章:鐘は泣いている
第163話 逆徒に価値なし
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震えながら歩く年寄り達だが、荷馬車の近くにいる荒くれ者連中は容赦がなかった。警棒で尻を叩いて急かし、整列をさせてから商店で物品を品定めするかのように老人達を見つめる。垂れ下がった乳房、禿散らかった頭部、シミ、体中に刻まれた醜い皺、老いによって使い物にならなくなった寂しい体躯。それら全てを眺め、侮蔑するように鼻を鳴らす。
「まだ全員揃わんのか」
「おお、これはシボーク様。ご苦労様です」
奥から一人の男がやって来た。小太りで口がひん曲がっており、情けなく下がった眉がやけに印象のある男である。老人を叩いて笑っていた荒くれ者達が、彼が近づくや否や凛々しく佇み直し、次に出る言葉を待っているかのようだった。
「どうせまともに動けん。逃げる事など出来んだろう…家屋を壊してでも見つけろ。どの道取り上げる資産だ」
「はっ!!」
その男の声を皮切りに、荒くれ者達が民家のドアを叩き、年寄り共を引き渡せと怒鳴り上げ始める。遂には斧や警棒で粗末な戸を破壊し、悲鳴と家具が壊れる音と共に住居を侵した。隠れ見ていたフォルト達は、ルーファンを除き口に手を当てて震える。そうでもしないと声を張り上げ、彼らの横暴を止めようと抗議でも始めてしまうだろう。彼等だけではない。僅かに良心が残っている人間であればきっとそうする筈である。
「ようやく見つけたぞ ! 隠れていやがった !」
泣いている老婆の髪を掴み、引きずりながら荒くれ者の一人が姿を見せた。老婆の足には割れたのであろう食器の欠片が刺さっており、滴った血が点々と心細い軌跡を民家から連ねている。それを皮切りに続々と隠れていた者達が引きずり出されて来た。中には血と痣にまみれ、最早生きているのかどうかさえ分からない者もいる。
「やめてよおおおお ! やめてってえええええ ! うわあああああああん!!」
すると、寂しく歩いていた老爺の後を追うように、民家から子供が泣きながら飛び出した。涙目になっている母親が必死に制止するが、老爺は二人を振り返ってにっこりと笑うだけだった。
「心配しなさんな」
彼らを宥めようとした老爺だが、間もなく警棒で顔をぶたれる。そして続けざまに蹴りを尻に入れられて転んでしまった。
「さっさと歩けと言ってるだろ ! ゴキブリにも劣るくたばり損ないの耄碌風情が !」
老爺はすみませんと小さく何度も呟き、フラフラになりながらも立って荷馬車の列へと加わる。そして順番に載せられていくが、子供は母親の腕を振りほどき荷馬車へと駆けていく。が、すぐに荒くれ者の一人に抑えつけられた。そのまま力ずくで地面に叩き倒され、起き上がろうとしたその腹に蹴りを入れられる。朝に食べたらしい物が、液状になって口から溢れ出てきた。無情にも荷馬車は、そんな子供を背に出発してしまった。
「少年」
シボークが悶えている子供へ近づいた。
「どうして泣いているのだ ?」
「お…お前らがじいちゃんを攫って…」
「何が悪いのかね ? 彼ら年寄りは、働くわけでもなければ無駄にお金を溜め込み、おまけに税金を使ってお医者さんのお世話になっているんだぞ。その税金は君のお母さんや、いずれは君が払わないといけなくなるんだ」
そこまで言ってから、シボークは子供が飛び出てきた家を指さした。
「見た所、君の家は貧乏そうだね。なぜだと思う ? それはこの国にたくさんいる、おじいさんとおばあさんが原因だよ。彼らは税金を貪り、君達の様に未来ある人々を苦しめている寄生虫なんだ。無駄に長く生きた事だけを誇って、権力者のつもりでふんぞり返っている。考えてみたまえ。君のおじいさんは、君に何かしてあげたのかね ? お金をくれたか ? 働いて少しでもこの国のために貢献しようとしたか ? してないんだよ。何も」
シボークが子供に捲し立てる後ろで、荒くれ者達が口々に「流石はシボーク様だ」、「今日も愚民相手に正論が炸裂してやがる」などと口々に褒めているのが至極不気味であった。そして、それが聞こえているらしいシボークが頬を緩めている事から、自分の信者に太鼓持ちをさせるのが習慣化しているのは誰が見ても明らかである。しかし口にはしない。すれば最後、地獄が待っているからであった。
「…教えてくれたよ」
その時、少年が呟いた。
「何か言ったかね」
「狩りのやり方を…教えてくれた。文字の書き方も教えてくれた。色んな事を教えてくれたよ。家事だって、いっつも母さんの手伝いをしてくれたよ ! 町の皆からも大好きって言われて、なのに――」
「反抗する気か ?」
シボークの声がいきなり冷たくなった。この世の終わりかというほどに暗いそのトーンに子供は絶句し、ただ機嫌を窺うように彼の顔を見上げる事しか出来なくなっている。
「やはりダメだな。合理的に物を考えられんバカは…もういい」
シボークは立ち上がり、近くにいた荒くれ者達に目配せをする。そのまま従者と共に立ち去っていく彼の進む先には、白い壁と見紛う様な巨大な暴風があった。位置的には町から遥か彼方の筈であり、そう考えるならば驚異的な規模である。間違いなく<障壁>であった。
「跪け。母親も一緒だ」
荒くれ者の一人が事務的な口ぶりで言った。しかしその手には、警棒よりも更に大きな棍棒が握り締められており、それを肩に担ぎながら子供と母親を見下ろしている。大人しく従う他なかった。
「国体護持…いい言葉だよなあ。国がアホみたいな変わり方をしないように守り続けるって意味だ。今からする質問は、国を守るために大事な事だぞ。間違えた答えをしないでくれよ、少年」
荒くれ者は肩に担いでいた棍棒を少し振った。周りの者達は、固唾を飲んで見守っている。
「一回しか言わない。国を守るためには無駄な物を削ぎ落し、それを民に分配しなければならない。正しいと思うか ?」
「…はい」
「そうだな。そして年寄りはまさしくその無駄な物であり、この国を弱体化させる一番の問題だ。つまり処分しなければならない。違うか ?」
「それは違う、俺のじいちゃんは―――」
「この非国民がっ!!」
子供の抗議は、荒くれ者の怒鳴りと振り下ろされた棍棒によって掻き消された。血と脳髄をぶちまけ、倒れ伏しながら痙攣している子供の姿に母親は悲痛な叫びを上げたが、間もなく他の男達に抑えられてしまう。そのまま地面にうつ伏せにされ、手足を抑えられた彼女だが、その頭部は絶妙に叩き潰しやすそうな位置にあった。
「夫人、あなたの意見を聞きましょう。先程、私が発した言葉は間違っていると御思いか ?」
「悪魔!!薄汚い悪魔め ! 呪ってやる ! 必ず報いを受けさせてやる!!」
「回答無しか。愚かな選択だな」
そして棍棒は再び振り下ろされ、母親の頭部を愛しい我が子とそっくりな姿に破壊してみせる。仲間達が非国民は地獄に堕ちろと死体に唾を吐きかける傍らで、実行犯の男は自分に付いた血を不愉快そうに拭って辺りを見回した。
「これが、ターリナー様の教えを理解しない愚図な裏切り者の末路だ ! この国の未来のために払わなければならない犠牲もあると、せいぜい貴様らも学んで精進しろ ! さすれば、いずれはターリナー様の偉大なるお考えが理解できる ! その意識の変化こそが、この国の改革に必要なのだ ! 以上 ! ここに倒れてる売国奴共は、後で見本台に一週間吊るしておくように ! いいな !」
その言葉を最後に荒くれ者達は退散し、残された民衆はそそくさと死体に近づき始める。そして無実の命が奪われたという現実を悲しむ事すらせず、死体を引き摺って”悪しき見本”にするために吊るし台へと運んでいった。
「まだ全員揃わんのか」
「おお、これはシボーク様。ご苦労様です」
奥から一人の男がやって来た。小太りで口がひん曲がっており、情けなく下がった眉がやけに印象のある男である。老人を叩いて笑っていた荒くれ者達が、彼が近づくや否や凛々しく佇み直し、次に出る言葉を待っているかのようだった。
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「はっ!!」
その男の声を皮切りに、荒くれ者達が民家のドアを叩き、年寄り共を引き渡せと怒鳴り上げ始める。遂には斧や警棒で粗末な戸を破壊し、悲鳴と家具が壊れる音と共に住居を侵した。隠れ見ていたフォルト達は、ルーファンを除き口に手を当てて震える。そうでもしないと声を張り上げ、彼らの横暴を止めようと抗議でも始めてしまうだろう。彼等だけではない。僅かに良心が残っている人間であればきっとそうする筈である。
「ようやく見つけたぞ ! 隠れていやがった !」
泣いている老婆の髪を掴み、引きずりながら荒くれ者の一人が姿を見せた。老婆の足には割れたのであろう食器の欠片が刺さっており、滴った血が点々と心細い軌跡を民家から連ねている。それを皮切りに続々と隠れていた者達が引きずり出されて来た。中には血と痣にまみれ、最早生きているのかどうかさえ分からない者もいる。
「やめてよおおおお ! やめてってえええええ ! うわあああああああん!!」
すると、寂しく歩いていた老爺の後を追うように、民家から子供が泣きながら飛び出した。涙目になっている母親が必死に制止するが、老爺は二人を振り返ってにっこりと笑うだけだった。
「心配しなさんな」
彼らを宥めようとした老爺だが、間もなく警棒で顔をぶたれる。そして続けざまに蹴りを尻に入れられて転んでしまった。
「さっさと歩けと言ってるだろ ! ゴキブリにも劣るくたばり損ないの耄碌風情が !」
老爺はすみませんと小さく何度も呟き、フラフラになりながらも立って荷馬車の列へと加わる。そして順番に載せられていくが、子供は母親の腕を振りほどき荷馬車へと駆けていく。が、すぐに荒くれ者の一人に抑えつけられた。そのまま力ずくで地面に叩き倒され、起き上がろうとしたその腹に蹴りを入れられる。朝に食べたらしい物が、液状になって口から溢れ出てきた。無情にも荷馬車は、そんな子供を背に出発してしまった。
「少年」
シボークが悶えている子供へ近づいた。
「どうして泣いているのだ ?」
「お…お前らがじいちゃんを攫って…」
「何が悪いのかね ? 彼ら年寄りは、働くわけでもなければ無駄にお金を溜め込み、おまけに税金を使ってお医者さんのお世話になっているんだぞ。その税金は君のお母さんや、いずれは君が払わないといけなくなるんだ」
そこまで言ってから、シボークは子供が飛び出てきた家を指さした。
「見た所、君の家は貧乏そうだね。なぜだと思う ? それはこの国にたくさんいる、おじいさんとおばあさんが原因だよ。彼らは税金を貪り、君達の様に未来ある人々を苦しめている寄生虫なんだ。無駄に長く生きた事だけを誇って、権力者のつもりでふんぞり返っている。考えてみたまえ。君のおじいさんは、君に何かしてあげたのかね ? お金をくれたか ? 働いて少しでもこの国のために貢献しようとしたか ? してないんだよ。何も」
シボークが子供に捲し立てる後ろで、荒くれ者達が口々に「流石はシボーク様だ」、「今日も愚民相手に正論が炸裂してやがる」などと口々に褒めているのが至極不気味であった。そして、それが聞こえているらしいシボークが頬を緩めている事から、自分の信者に太鼓持ちをさせるのが習慣化しているのは誰が見ても明らかである。しかし口にはしない。すれば最後、地獄が待っているからであった。
「…教えてくれたよ」
その時、少年が呟いた。
「何か言ったかね」
「狩りのやり方を…教えてくれた。文字の書き方も教えてくれた。色んな事を教えてくれたよ。家事だって、いっつも母さんの手伝いをしてくれたよ ! 町の皆からも大好きって言われて、なのに――」
「反抗する気か ?」
シボークの声がいきなり冷たくなった。この世の終わりかというほどに暗いそのトーンに子供は絶句し、ただ機嫌を窺うように彼の顔を見上げる事しか出来なくなっている。
「やはりダメだな。合理的に物を考えられんバカは…もういい」
シボークは立ち上がり、近くにいた荒くれ者達に目配せをする。そのまま従者と共に立ち去っていく彼の進む先には、白い壁と見紛う様な巨大な暴風があった。位置的には町から遥か彼方の筈であり、そう考えるならば驚異的な規模である。間違いなく<障壁>であった。
「跪け。母親も一緒だ」
荒くれ者の一人が事務的な口ぶりで言った。しかしその手には、警棒よりも更に大きな棍棒が握り締められており、それを肩に担ぎながら子供と母親を見下ろしている。大人しく従う他なかった。
「国体護持…いい言葉だよなあ。国がアホみたいな変わり方をしないように守り続けるって意味だ。今からする質問は、国を守るために大事な事だぞ。間違えた答えをしないでくれよ、少年」
荒くれ者は肩に担いでいた棍棒を少し振った。周りの者達は、固唾を飲んで見守っている。
「一回しか言わない。国を守るためには無駄な物を削ぎ落し、それを民に分配しなければならない。正しいと思うか ?」
「…はい」
「そうだな。そして年寄りはまさしくその無駄な物であり、この国を弱体化させる一番の問題だ。つまり処分しなければならない。違うか ?」
「それは違う、俺のじいちゃんは―――」
「この非国民がっ!!」
子供の抗議は、荒くれ者の怒鳴りと振り下ろされた棍棒によって掻き消された。血と脳髄をぶちまけ、倒れ伏しながら痙攣している子供の姿に母親は悲痛な叫びを上げたが、間もなく他の男達に抑えられてしまう。そのまま地面にうつ伏せにされ、手足を抑えられた彼女だが、その頭部は絶妙に叩き潰しやすそうな位置にあった。
「夫人、あなたの意見を聞きましょう。先程、私が発した言葉は間違っていると御思いか ?」
「悪魔!!薄汚い悪魔め ! 呪ってやる ! 必ず報いを受けさせてやる!!」
「回答無しか。愚かな選択だな」
そして棍棒は再び振り下ろされ、母親の頭部を愛しい我が子とそっくりな姿に破壊してみせる。仲間達が非国民は地獄に堕ちろと死体に唾を吐きかける傍らで、実行犯の男は自分に付いた血を不愉快そうに拭って辺りを見回した。
「これが、ターリナー様の教えを理解しない愚図な裏切り者の末路だ ! この国の未来のために払わなければならない犠牲もあると、せいぜい貴様らも学んで精進しろ ! さすれば、いずれはターリナー様の偉大なるお考えが理解できる ! その意識の変化こそが、この国の改革に必要なのだ ! 以上 ! ここに倒れてる売国奴共は、後で見本台に一週間吊るしておくように ! いいな !」
その言葉を最後に荒くれ者達は退散し、残された民衆はそそくさと死体に近づき始める。そして無実の命が奪われたという現実を悲しむ事すらせず、死体を引き摺って”悪しき見本”にするために吊るし台へと運んでいった。
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