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2章:砂上の安寧
第47話 相応の対価
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「で、どうするんだ ?」
祠に駆け寄った後、ジョナサンはルーファンへ尋ねる。
「記憶は曖昧だが、あの時は確か祠に体が触れていたんだ」
サラザールと出会う直前、自身の身に何があったかを一から思い返したルーファンは、祠にもたれ掛かって倒れていた事について考える。あれが原因なのだろうか。しかし物は試しにと触れてみても、何が起きるわけでもなく祠は沈黙し続けていた。
「何か他に条件があるんじゃないか ?」
「やっぱりか…待っててくれ」
ジョナサンは急かすが、ルーファンは落ち着き払ったまま自分の手に付けている手甲を外し、覚悟を決めたように深く呼吸をして袖を捲った。
「頼むぞ」
そしてナイフを取り出してから腕を大きく切り裂き、わずかに顔を歪ませてから血だまりのある窪みへ手を突っ込んだ。<継承>を行う時と同じ様に血を捧げれば、恐らくは上手くいく。だがこれでも尚辺りは恐ろしく静まり返っており、これといった変化は見られない。
汗が噴き出してきた。負傷や疲労によるものではない。想定していない事態を迎えようとしている現状への焦り。それによって体が緊張し、冷や汗が出始めていた。このままでは只の骨折り損どころか、大勢の人間を見殺しにしてしまう事になってしまう。
(祠へ触れろ)
その時、声が聞こえた。サラザールと自分がテレパシーを行う際によく似た、反響しながら脳に轟くような声。だが、その声は重々しく野太い声をしている。
(血濡れの方でだ)
言われるがままにルーファンは傷の入った手を窪みから上げ、祠にべっとりと血を付けながら触れる。すると、少し間を置いた後にレリーフとして刻まれていた巨人の眼が光った。
「やったのか⁉」
隣で覗くように見ていたジョナサンが驚き、二人で顔を見合わせる。だがルーファンはすぐに地獄を見ることになった。目を離した隙に掌に痛みが走る。
「…え ?」
すぐに自身の手の方へ視線を戻すと、祠から伸びるようにして鋭利な形状の何かが手の甲を貫通している。鈍い輝きを放つ灰色の鉄鉱石であった。
「うわあああああああ !」
怪我をしていると自覚した直後、事態を認識した脳によって痛みを体中に伝えられる。慌てて祠から離れるために引き抜こうとするが、不思議な事にビクともしなかった。刺さっているからではなく、まるで何かによって強く貼り付けられているような感覚があり、無理やり引き剝がそうものなら皮膚どころか肉まで持っていかれそうな強烈さである。
「嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ⁉…痛って !」
ルーファンの身の危険を感じ、何とか引き離そうとジョナサンが彼の体を引っ張る。だが腕や肩、背中から次々と彼の体から鉱石が生え始めている上に、そのせいで手を怪我してしまった。痛みに怯んだジョナサンは慄き、思わずルーファンから離れてしまう。手の甲に刺さっている物も含め、すべてがルーファンの体から生じているらしい。そして痛みを伴う物である事は藻掻き苦しみ、悲鳴を上げ続けるルーファンの様子からして理解できた。
体から生えてきた鉱石の棘によって覆い尽くされると、顔も例外ではないかのように皮膚を突き破って埋め尽くされていく。喉仏や口の中からも溢れるように鉱石が生えていた。とうとう声を発する事も出来なくなった直後、目玉を押し潰すように眼孔が鉱石によって埋め尽くされる。そしてぐちゃぐちゃになった目玉を押し出すようにして、無数の鉱石が伸びていった。
「…ルーファン ?」
遂には人の形をした石の集合体と見紛う姿となり、鉱石で体を埋め尽くされたルーファンは動かなくなった。ジョナサンが恐る恐る語り掛けるが当然応答は無い。どうすればいいのか分からず、ただただ変わり果てたその姿を見ているしかなかった。
――――サラザール達は何とか奮戦するものの、数が増えていくリミグロン兵を相手に消耗し始めていた。人ならざる存在であるサラザールはともかく、不慣れな上に体力的にも限界があるフォルトはすぐにでも地べたに身を放り投げたい気分である。
「まだ来る…」
もうやだと言いたげな風にフォルトが呟いた。口には出さないものの、サラザールも辟易したように空や階段を上ってくる敵を前に首を横に振る。いい加減諦めてくれないものかと苛立っていた。だがやるしかないのだ。文句を言った所で連中が手を引いてくれるわけでは無い。そう思ったサラザールは肩を回すが、何かに気づいたように振り返って入口の方を見た。
「どうしたの ?」
「…やったかも」
フォルトの問に対してサラザールが答えた瞬間、大きな振動が山を襲った。
「な、何だこれは⁉」
リミグロン兵の声によって二人は辺りが影に覆われている事に気付く。そしてたまらず辺りを見回し、絶句した。階段の両隣、山の岩肌から大量の巨腕が生えていた。岩によって作られているそれは一列に並ぶようにして大量に現れ、両隣から階段を挟み撃ちにしている。
「ヤバい」
殺気を感じたサラザールが呟き、フォルトを地に伏せさせる。間もなく岩の腕が動き出し、まるで合掌でもするかのように階段のど真ん中でぶつかった。逃げる間もなく兵士やワイバーンが餌食となり、破裂音や湿っぽい何かが潰されたような音もするが、それを上回るほどの衝突音が響き渡った。空からは階段に合掌した巨大な手の列が出来ているかの様に見えていた。
「うわ…」
やがて岩の腕達は引っ込むが、立ち上がったフォルトは潰されてミンチにされた死体を見て眩暈を起こしそうになる。僅かに挟まる事を逃れた部位がそこかしこに散らばっているお陰で、更に凄惨さを際立たせていた。
「向かいましょう。今の内に」
対照的に冷静そうなサラザールはすぐに動き出し、入り口の方へと向かう。動揺を隠せないままフォルトは後に続き、入り口を塞いでいた岩を引っ込めてから二人で祠の方へと向かった。
「どうなったの⁉ねえ―――」
ひたすら走り続け、人影が見えるや否やフォルトは叫ぶ。だが祠に触れたまま動かなくなっている人型の鉱石と、その前で立ち尽くしているジョナサンを見た事でさらに困惑をする羽目になった。
「これって、もしかして… ?」
「分からないんだ…あっという間の出来事で…」
嫌な予感がしたフォルトは尋ねるが、ジョナサンも事態を把握できていないせいで上手く答えられない。
「まあ、成功はしたみたいね」
そんな二人にとって耳を疑うような発言を後方でサラザールはする。思わず振り返った二人だが、ほぼ同じタイミングで祠の近くの地面が隆起を始めた。やがてそこから手や頭部が現れ、何者かが這い出て来る。
「ふぃ~、久々の娑婆だぜ」
立ち上がってから土を払うその男は、非常にガタイの良いひょうきんそうな風貌であった。頭部はサイド部分の髪が一切なく、トップ部分のみが生えている。そして後頭部の方で束ねるようにして結っていた。何より神話の英雄じみた剛健そうな肉体を持ち、不気味な首飾りを無数に身に着けている。
ただし皮のズボンと古めかしいサンダルこそ履いてはいるが、上半身には何も身に纏っていない。彫刻の様な筋肉を、これ見よがしに露出させている。そして何より目を引くのは、両腕から首にかけてダイヤモンドの様な透明な結晶で構成されていた。それ以外の箇所が小麦色の皮膚だという事もあってか非常に目立っている。
「あ、あなたは ?」
次々起こる事態に理解が追い付かないまま、フォルトは疲弊しきったまま尋ねる。
「う~ん、そうだな。ガロステルと呼んでくれ、フォルト・ラゲードン殿」
地中から現れた男は胡散臭い爽やかな笑顔と共にそう言った。
祠に駆け寄った後、ジョナサンはルーファンへ尋ねる。
「記憶は曖昧だが、あの時は確か祠に体が触れていたんだ」
サラザールと出会う直前、自身の身に何があったかを一から思い返したルーファンは、祠にもたれ掛かって倒れていた事について考える。あれが原因なのだろうか。しかし物は試しにと触れてみても、何が起きるわけでもなく祠は沈黙し続けていた。
「何か他に条件があるんじゃないか ?」
「やっぱりか…待っててくれ」
ジョナサンは急かすが、ルーファンは落ち着き払ったまま自分の手に付けている手甲を外し、覚悟を決めたように深く呼吸をして袖を捲った。
「頼むぞ」
そしてナイフを取り出してから腕を大きく切り裂き、わずかに顔を歪ませてから血だまりのある窪みへ手を突っ込んだ。<継承>を行う時と同じ様に血を捧げれば、恐らくは上手くいく。だがこれでも尚辺りは恐ろしく静まり返っており、これといった変化は見られない。
汗が噴き出してきた。負傷や疲労によるものではない。想定していない事態を迎えようとしている現状への焦り。それによって体が緊張し、冷や汗が出始めていた。このままでは只の骨折り損どころか、大勢の人間を見殺しにしてしまう事になってしまう。
(祠へ触れろ)
その時、声が聞こえた。サラザールと自分がテレパシーを行う際によく似た、反響しながら脳に轟くような声。だが、その声は重々しく野太い声をしている。
(血濡れの方でだ)
言われるがままにルーファンは傷の入った手を窪みから上げ、祠にべっとりと血を付けながら触れる。すると、少し間を置いた後にレリーフとして刻まれていた巨人の眼が光った。
「やったのか⁉」
隣で覗くように見ていたジョナサンが驚き、二人で顔を見合わせる。だがルーファンはすぐに地獄を見ることになった。目を離した隙に掌に痛みが走る。
「…え ?」
すぐに自身の手の方へ視線を戻すと、祠から伸びるようにして鋭利な形状の何かが手の甲を貫通している。鈍い輝きを放つ灰色の鉄鉱石であった。
「うわあああああああ !」
怪我をしていると自覚した直後、事態を認識した脳によって痛みを体中に伝えられる。慌てて祠から離れるために引き抜こうとするが、不思議な事にビクともしなかった。刺さっているからではなく、まるで何かによって強く貼り付けられているような感覚があり、無理やり引き剝がそうものなら皮膚どころか肉まで持っていかれそうな強烈さである。
「嘘だろ嘘だろ嘘だろ嘘だろ⁉…痛って !」
ルーファンの身の危険を感じ、何とか引き離そうとジョナサンが彼の体を引っ張る。だが腕や肩、背中から次々と彼の体から鉱石が生え始めている上に、そのせいで手を怪我してしまった。痛みに怯んだジョナサンは慄き、思わずルーファンから離れてしまう。手の甲に刺さっている物も含め、すべてがルーファンの体から生じているらしい。そして痛みを伴う物である事は藻掻き苦しみ、悲鳴を上げ続けるルーファンの様子からして理解できた。
体から生えてきた鉱石の棘によって覆い尽くされると、顔も例外ではないかのように皮膚を突き破って埋め尽くされていく。喉仏や口の中からも溢れるように鉱石が生えていた。とうとう声を発する事も出来なくなった直後、目玉を押し潰すように眼孔が鉱石によって埋め尽くされる。そしてぐちゃぐちゃになった目玉を押し出すようにして、無数の鉱石が伸びていった。
「…ルーファン ?」
遂には人の形をした石の集合体と見紛う姿となり、鉱石で体を埋め尽くされたルーファンは動かなくなった。ジョナサンが恐る恐る語り掛けるが当然応答は無い。どうすればいいのか分からず、ただただ変わり果てたその姿を見ているしかなかった。
――――サラザール達は何とか奮戦するものの、数が増えていくリミグロン兵を相手に消耗し始めていた。人ならざる存在であるサラザールはともかく、不慣れな上に体力的にも限界があるフォルトはすぐにでも地べたに身を放り投げたい気分である。
「まだ来る…」
もうやだと言いたげな風にフォルトが呟いた。口には出さないものの、サラザールも辟易したように空や階段を上ってくる敵を前に首を横に振る。いい加減諦めてくれないものかと苛立っていた。だがやるしかないのだ。文句を言った所で連中が手を引いてくれるわけでは無い。そう思ったサラザールは肩を回すが、何かに気づいたように振り返って入口の方を見た。
「どうしたの ?」
「…やったかも」
フォルトの問に対してサラザールが答えた瞬間、大きな振動が山を襲った。
「な、何だこれは⁉」
リミグロン兵の声によって二人は辺りが影に覆われている事に気付く。そしてたまらず辺りを見回し、絶句した。階段の両隣、山の岩肌から大量の巨腕が生えていた。岩によって作られているそれは一列に並ぶようにして大量に現れ、両隣から階段を挟み撃ちにしている。
「ヤバい」
殺気を感じたサラザールが呟き、フォルトを地に伏せさせる。間もなく岩の腕が動き出し、まるで合掌でもするかのように階段のど真ん中でぶつかった。逃げる間もなく兵士やワイバーンが餌食となり、破裂音や湿っぽい何かが潰されたような音もするが、それを上回るほどの衝突音が響き渡った。空からは階段に合掌した巨大な手の列が出来ているかの様に見えていた。
「うわ…」
やがて岩の腕達は引っ込むが、立ち上がったフォルトは潰されてミンチにされた死体を見て眩暈を起こしそうになる。僅かに挟まる事を逃れた部位がそこかしこに散らばっているお陰で、更に凄惨さを際立たせていた。
「向かいましょう。今の内に」
対照的に冷静そうなサラザールはすぐに動き出し、入り口の方へと向かう。動揺を隠せないままフォルトは後に続き、入り口を塞いでいた岩を引っ込めてから二人で祠の方へと向かった。
「どうなったの⁉ねえ―――」
ひたすら走り続け、人影が見えるや否やフォルトは叫ぶ。だが祠に触れたまま動かなくなっている人型の鉱石と、その前で立ち尽くしているジョナサンを見た事でさらに困惑をする羽目になった。
「これって、もしかして… ?」
「分からないんだ…あっという間の出来事で…」
嫌な予感がしたフォルトは尋ねるが、ジョナサンも事態を把握できていないせいで上手く答えられない。
「まあ、成功はしたみたいね」
そんな二人にとって耳を疑うような発言を後方でサラザールはする。思わず振り返った二人だが、ほぼ同じタイミングで祠の近くの地面が隆起を始めた。やがてそこから手や頭部が現れ、何者かが這い出て来る。
「ふぃ~、久々の娑婆だぜ」
立ち上がってから土を払うその男は、非常にガタイの良いひょうきんそうな風貌であった。頭部はサイド部分の髪が一切なく、トップ部分のみが生えている。そして後頭部の方で束ねるようにして結っていた。何より神話の英雄じみた剛健そうな肉体を持ち、不気味な首飾りを無数に身に着けている。
ただし皮のズボンと古めかしいサンダルこそ履いてはいるが、上半身には何も身に纏っていない。彫刻の様な筋肉を、これ見よがしに露出させている。そして何より目を引くのは、両腕から首にかけてダイヤモンドの様な透明な結晶で構成されていた。それ以外の箇所が小麦色の皮膚だという事もあってか非常に目立っている。
「あ、あなたは ?」
次々起こる事態に理解が追い付かないまま、フォルトは疲弊しきったまま尋ねる。
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