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貿易都市グリゴレオ編
7 七天大魔王の眷属
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少女は暗い下水道を逃げ回る。何度も何度見つかっては逃げを繰り返した。
それでも少女は運命に屈することなく走り、逃げ続けた。
(こんなものが現実なら、私は)
「見つけたぞ!捕らえ殺せ!」
はっとした時には遅かった。傭兵たちは少女が逃げることの出来ないように囲んだのだ。
「でも何もせずに殺すのは惜しいな。1発ヤルか?」
下卑た笑い声で傭兵たちは笑う。そして口々に賛同の声を上げた。
「さて」
がっと少女が身動きできないよう、一人の傭兵が掴む。
だが少女はその光景を睨みつけていた。
(私は、化物になってやる!!)
そして少女は下卑た傭兵たちの波に飲まれた。
○ ○ ○
「おいそこの野郎。その女をこっちに渡せ。今なら見逃してやってもいい」
目に怒りを宿した太ったヒゲの濃い男(長いのでオッサンと呼ばしていただこう)が俺を睨む。
「渡したこの娘はどうなるのか教えて頂いてもよろしいかな?」
こんな時は下手に出るのではなく、上手に出た方がいい。舐められたら最後、暴力を行使してくる可能性がある。
がはははっ!とオッサンは盛大に笑い
「決まってるだろ?取られた金を奪い返してそこの女を犯してやるんだ!」
ここの男共ってオカズとか秘蔵本いわゆる春画とか持ってないの?常に性欲溢れてんだけど。
'ここの世界ではありませんね。欲求不満なのでしょう'
だからってわざわざ高い金払ってヤル必要無くない?無駄だろ?食いもんとか服とか買えよ。
'それはあなたが欲しいものでしょう?'
まぁ違わないけど。
「じゃあ尚更この娘を渡すわけには行かないなぁ」
俺の背中で震えていた少女が驚いたように俺を見る。見捨てられると思っていたのか?
'あの、ひとつ良いでしょうか?彼女は'
あーちょっと黙って。今いいところだから。
'…………'
「ふんっ!変わり者風情が、なぁんにも知らねぇんだな。そこの女はなぁ奴隷だぜ?しかも逃亡中ときた。さらに言っちまえばよぉ、七天大魔王の一人のルシファーの眷属奴隷だ。それでもそこの女を庇うのか?」
七天大魔王?えーと確か、
'七つの大罪です。傲慢、嫉妬、怠惰、強欲、色欲、暴食、憤怒の七つの感情を悪魔に見立てたものです'
なんでそんな肝心なことを教えてくれなかったんだ?マグさんよ。
'言おうとしたらあなたが止めてきたのでしょう'
呆れんばかりのため息をつくマグ。こいつ最近人間味を帯びてきてるな。
ま、どうでもいいことは置いといて。
「眷属?奴隷?ははっ、お前馬鹿?」
ほんとこういうやつ見てると腹が立ってくる。伝統だのなんだのばかり言ってるけど結局は自分たちのご都合に合わせてるだけだ。それなら俺も俺のご都合を主張させていただこう。
「奴隷だろうが魔王の眷属だろうが生きてるもんは生きてんだ。無駄な命なんてこの世界にも前の世界にもねぇよ」
「何言ってやかんだ。まぁ死にてぇってことはわかった。ここで骨となって死ね」
オッサンはポケットから何かを取り出し口に含む。そして呪文と思しきものを詠唱する。
「死は人を喰らいて恐怖は感情を喰らう。吾の問答に汝、答えよ!召されよ、タナトス!」
瞬間、あたりが暗闇に包まれ暗く光る魔法陣が地面に映える。そこから出てきたのは…。
それでも少女は運命に屈することなく走り、逃げ続けた。
(こんなものが現実なら、私は)
「見つけたぞ!捕らえ殺せ!」
はっとした時には遅かった。傭兵たちは少女が逃げることの出来ないように囲んだのだ。
「でも何もせずに殺すのは惜しいな。1発ヤルか?」
下卑た笑い声で傭兵たちは笑う。そして口々に賛同の声を上げた。
「さて」
がっと少女が身動きできないよう、一人の傭兵が掴む。
だが少女はその光景を睨みつけていた。
(私は、化物になってやる!!)
そして少女は下卑た傭兵たちの波に飲まれた。
○ ○ ○
「おいそこの野郎。その女をこっちに渡せ。今なら見逃してやってもいい」
目に怒りを宿した太ったヒゲの濃い男(長いのでオッサンと呼ばしていただこう)が俺を睨む。
「渡したこの娘はどうなるのか教えて頂いてもよろしいかな?」
こんな時は下手に出るのではなく、上手に出た方がいい。舐められたら最後、暴力を行使してくる可能性がある。
がはははっ!とオッサンは盛大に笑い
「決まってるだろ?取られた金を奪い返してそこの女を犯してやるんだ!」
ここの男共ってオカズとか秘蔵本いわゆる春画とか持ってないの?常に性欲溢れてんだけど。
'ここの世界ではありませんね。欲求不満なのでしょう'
だからってわざわざ高い金払ってヤル必要無くない?無駄だろ?食いもんとか服とか買えよ。
'それはあなたが欲しいものでしょう?'
まぁ違わないけど。
「じゃあ尚更この娘を渡すわけには行かないなぁ」
俺の背中で震えていた少女が驚いたように俺を見る。見捨てられると思っていたのか?
'あの、ひとつ良いでしょうか?彼女は'
あーちょっと黙って。今いいところだから。
'…………'
「ふんっ!変わり者風情が、なぁんにも知らねぇんだな。そこの女はなぁ奴隷だぜ?しかも逃亡中ときた。さらに言っちまえばよぉ、七天大魔王の一人のルシファーの眷属奴隷だ。それでもそこの女を庇うのか?」
七天大魔王?えーと確か、
'七つの大罪です。傲慢、嫉妬、怠惰、強欲、色欲、暴食、憤怒の七つの感情を悪魔に見立てたものです'
なんでそんな肝心なことを教えてくれなかったんだ?マグさんよ。
'言おうとしたらあなたが止めてきたのでしょう'
呆れんばかりのため息をつくマグ。こいつ最近人間味を帯びてきてるな。
ま、どうでもいいことは置いといて。
「眷属?奴隷?ははっ、お前馬鹿?」
ほんとこういうやつ見てると腹が立ってくる。伝統だのなんだのばかり言ってるけど結局は自分たちのご都合に合わせてるだけだ。それなら俺も俺のご都合を主張させていただこう。
「奴隷だろうが魔王の眷属だろうが生きてるもんは生きてんだ。無駄な命なんてこの世界にも前の世界にもねぇよ」
「何言ってやかんだ。まぁ死にてぇってことはわかった。ここで骨となって死ね」
オッサンはポケットから何かを取り出し口に含む。そして呪文と思しきものを詠唱する。
「死は人を喰らいて恐怖は感情を喰らう。吾の問答に汝、答えよ!召されよ、タナトス!」
瞬間、あたりが暗闇に包まれ暗く光る魔法陣が地面に映える。そこから出てきたのは…。
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