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ひとりかくれんぼへの好奇心

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その夜。

浩一は、スマートフォンを見ながらまだ自分の知らない禁忌がないかを調べていた。

だが、ほとんどが自分の知っているものばかりであり、興味を惹くものを見つけることはできなかった。

そして、調べていく中で浩一は、自分が過去に何度も見たことがある危険な遊びを目にしたのであった。

それは、「ひとりかくれんぼ」という危険な遊びである。

浩一は、わかっていながらも、その遊びのやり方と概要が記されているサイトのリンクをクリックした。

ひとりかくれんぼの概要は以下の通りであった。

・必要なもの

手足があるぬいぐるみ
ぬいぐるみに詰めるための米
縫い針と糸(赤い色がよい)
刃物(包丁やカッターナイフなど)
コップ一杯の塩水
爪か髪の毛

・始める前の下準備
1.用意したぬいぐるみに名前を付けて、ぬいぐるみを刃物などで裂いて中にある綿をすべて取りだす。
2.綿の代わりにぬいぐるみの中に米を詰め、爪か髪の毛を一緒に入れる。(血や髪の毛を入れると、危険度が増す。)
3.縫い針と糸を使って裂いた部分を縫い、余った糸はぬいぐるみの周りに巻き付かせてくくる。
4.浴室に行き、水を入れた風呂桶を用意する。
5.あらかじめ隠れられる場所(クローゼットや押し入れの中など)を決め、そこにコップ1杯の塩水を置いておく。

・やり方
午前3時に行う。
1.ぬいぐるみに対して「最初の鬼は○○(自分の名前)だから」と3回言う。
2.浴室に行き、水を張った風呂桶にぬいぐるみを入れる。
3.家中の明かりを消し、テレビだけは砂嵐の画面にした状態でつけておく。
4.目を閉じて10秒数え、数え終えたら浴室に行く。
5.浴室にあるぬいぐるみに「△△(ぬいぐるみの名前)見つけた」と言い、ぬいぐるみを刃物で刺す。
6.ぬいぐるみに「次は△△(ぬいぐるみの名前)が鬼だから」と言い、言い終えたらすぐに塩水を置いた隠れ場所に隠れる。

・終わらせ方
1.用意した塩水を半分ほど口に含み、コップを持って隠れ場所から出る。
この時、何かを見たり、何が起きたりしても、下記の「手順3」まで決して塩水を吐き出したりしないこと。
2.浴室へぬいぐみを探しに行く。
3.ぬいぐるみを見つけたらコップに残った塩水をかけ、口に含んだ塩水も吹きかける。
4.ぬいぐるみに「私の勝ち」と3回言うことで「ひとりかくれんぼ」が終了する。

浩一は概要を見た瞬間、今すぐそれを試してみたいという衝動が心の中で再燃しそうになった。
だが、浩一は以前母と住んでいた時に自分が起こした過ちを思い出した。

「危険な遊びをして最後に困るのは自分だ。あの時だって収拾がつかなくなったじゃないか」

浩一は心の中にそう言い聞かせながら、心の中で沸き起こる衝動を必死に抑えた。

そして、夕食を済ませ、シャワーを浴び、床に就いた時だった。

再び、あの「ひとりかくれんぼ」をやりたいという衝動が心の中で生じ、あろうことかそれは心の中でどんどん渦巻いていった。

その衝動は大学でも、家の中でも、移動中においても収まることはなかった。

浩一は思わず、部長にその事を相談しようと思った。

だが、以前の「五芒星の件」で部長たちにはそのような事はやらないほうが良いと念を押された後だ。

あからさまに学習能力がない自分の様子に部長も不快感を感じてしまうのではないかと思い、相談をすることができずにいた。

ある日の夜の事だった。

浩一の中で再び、「ひとりかくれんぼ」をやりたいという衝動が巻き起こった。

浩一は本当にやってしまいたいと考えていた。
しかし、それをやると更に恐ろしいことが起こるのではないか、もしかすると命の危機に陥るのではないか、という不安が浩一の中で渦巻き、なかなか実行に移せずにいた。

「どうしよう......やって大丈夫なのだろうか......」

しかし、浩一の中で沸き起こる衝動はどんどん肥大化し、浩一自身の理性よりも先に体を動かしてしまった。

浩一はひとりかくれんぼに必要な道具を手当たり次第にそろえようとしていた。

「縫い針と糸......は前ズボンが破けた時に勝った裁縫道具を使うか。塩水もOK......」

手を見ると少しだけ震えている。
やはり怖いのだろうか。
それでも好奇心は止まらなかった。

道具をそろえようとしたところで一つ重要な足りないことに気づいた。

「ぬいぐるみなんて持ってないよな......」

浩一は縫いぐるみとはあまり縁がない人生だった。
今まで特撮ヒーローのフィギュアを買ってもらったことはあったが、ぬいぐるみはどちらかというと女の子が持っているイメージもあり、あまり好まなかった。

でも、この好奇心を満たすためには買わなければならない。

そう思いながらスマートフォンで近くの100円ショップの場所を調べる。

しかし、時間は遅く、既に閉店してしまっていた。

浩一はため息をついた。
けれど、諦めきれない。

必要なものを確認し、明日の夜実行しよう。

そう思いながら眠りについた。
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