異世界転移して最強のおっさん……の隣に住んでいる。

モデル.S

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第1章

宝石を求めて

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馬車の揺れの中、ラミアは空になった酒瓶を軽く振りながら横目で俺を見た。

「なあ、ラミア。ちょっと相談がある」

「なんだい? また鉱石掘りたいってか?」

「いや、今度は宝石を探したい」

「宝石?」

 ラミアが目を細めて、ぐいと俺に顔を寄せてくる。

「ほほう……女でもできたか?」

「そうじゃない。単純に価値が高いものを探してるだけだ」

「ふ~ん、ま、そういうことにしといてやるか」

 ラミアはくつくつと笑いながら、腰の革袋から小さな石をいくつか取り出した。

「宝石って言ってもな、ただ綺麗ってだけじゃ高く売れねぇ。希少性、透明度、加工のしやすさ……いろんな条件があるんだぜ」

「もちろん、それもわかってる。欲しいのは、他の街や市場でも滅多に見ないような珍しい石だ」

「なるほどねぇ。そういうことなら――ちょいと面白い場所があるぜ」

「……どこだ?」

「ローゼ鉱窟って名前の鉱山だ。今はほとんど使われてねぇが、昔は王家御用達の宝石採掘場だった場所でな。ローズグリモアっていう赤紫の宝石が採れるって噂があったんだ」

「今は使われてないのか?」

「ああ、崩落事故があって閉鎖されてる。でも、完全に埋もれたわけじゃない。ちょっと腕に自信があるやつが掘れば、まだ採れるって話さ」

「なるほどな……危険はありそうだが、やってみる価値はあるな」

「ほぉ~……やる気だねぇ。いいぜ、あたしも付き合ってやるよ。**ただし! 報酬は相応にな?」

「……ああ、酒代はちゃんと出すよ」

「よっしゃ決まり!」

 ラミアは上機嫌に酒瓶を打ち鳴らした。

(宝石探し、面白くなりそうだな……)


---
数日後。準備を整え、俺とラミアは宝石を求めて王都東のローゼ鉱窟へ向かっていた。

 馬車で半日。森の中を抜け、岩山に沿って進むと、苔むした岩肌にぽっかりと空いた洞窟の入口が見えてくる。

「ここがローゼ鉱窟か……見た目は静かだが、雰囲気あるな」

「昔はよく栄えた鉱脈さ。でも、事故で封鎖されてからは誰も近づかなくなった」

 ラミアはランタンを掲げ、軽く鼻を鳴らす。

「でもまぁ、宝石ってのは、こういう**人の手が入らなくなった場所にこそ眠ってるもんよ。特に“普通の宝石”な。魔力の影響もなく、加工がしやすい奴ら」

「ルビーやサファイア、オパール……そんな感じの石か?」

「そうそう。あたしらの世界じゃよくあるやつでも、街じゃ高値がつくこともあるしな」



 洞窟の中は、思ったより広く、古い木材で支えられた坑道が奥へと伸びている。

「まずは安全確認っと……」

 ラミアが壁に触れ、目を細めた。

「まだ崩れそうなとこはねぇな。中腹まで進んでみるか」

 歩くこと十数分。ところどころで壁の岩が割れて露出しており、内側にほんのりと色味のある結晶が光っていた。

「お? これは……」

 ラミアが小さなハンマーで岩を軽く叩くと、透明感のある青い石が姿を現す。

「アクアマリンか。これはなかなか上等だぞ、ユート」

「いい感じだな……他にもあるか?」

「おう。こっちには**シトリン、こっちはガーネット……おっと、こりゃローズグリモアの原石かもな」

「まじで!?」

「まだ断定はできねぇけどな。でも色は悪くねぇ」


 ラミアがテンション高くツルハシを振るう。

「よっしゃ、掘りまくるぞぉ! 酒代のためにもなぁッ!」

「……ま、任せた」

 俺は採れた石をひとつずつ仕分けしながら、元の世界での価値や加工の可能性を考える。

 (普通の宝石のほうが“持ち込みやすい”し、売りやすい……まずはこういうのを集めてみるのもアリだな)

 宝石採掘は順調に進み、数時間後には――

アクアマリン(中粒)×4

ガーネット(小粒)×6

シトリン(中粒)×2

ローズグリモア(不明な赤紫石)×1


 かなりの成果となった。


---

「いやぁ、働いた働いた……今日のビールはうまいぞぉ~」

「しっかり運んでくれたらな」

「まっかせとけっての!」

 ラミアの肩には鉱石を詰めた袋。
 重そうなそれを軽々と担ぎ、満足げに笑っていた。

(これで向こうに持ち帰る宝石の目処が立った……第一便には十分すぎる)


---
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