CHOCOLATEDIARY

春子

文字の大きさ
上 下
2 / 5

見える世界

しおりを挟む
守護霊は、一般的に、その人の先祖などが多く遠い先祖や亡くなった身内等が、務めている。
 たまに、力の持った守護霊もいるし、ただ、本当に、生前から、人格が、良くできた人だった感じがする人もいる。
 困ることは、見える人間に、助けてくれと、懇願されても、その人は、自分と無関係で、何なら、初対面ですと、悪いが、無視をしたりしてしまう。
 あんなに、ペコペコ、頭を下げて、守ろうとしてる奴は、横暴に、人に、カツアゲしてますけど。
 しかも、カツアゲ相手、千晃ですけど。
 見る目がなさ過ぎる。千晃は、年齢よりも、体格に恵まれ、同年代の子よりも、しっかりしてる体つきで、祖父に似てしまった目の第一印象は、ちょっと見てるだけなのに、威圧感がある。性格は、至って、攻撃的ではないから、ちょっと可哀想。
 と言うか、子供に、カツアゲしてる中学生は、情けない。
「ソラ、先に当たり棒、交換してきて。」
「んーうん。」
 当たり棒を交換しに来たのに、絡まれてしまった。
 チラッと、背後にいる守護霊に、避けるように、動かした。
 千晃を守っている守護神の一体である龍、通称、龍牙《りゅうが》が今にも襲いかかりそうだ。太刀打ちできるわけ無い。一介の守護霊が。可哀想である。
 この人の守護霊、やめたほうがいい。
 着物を着た歳の召したおばあさまだったが、この人は、十分、役目を果たした。
 こんなトラブルを再三、繰り返してきた此奴を守るために、傷ついたのだろう。
 着物の襟足など、ボロボロだ。
『もう良いんだよ。貴女は、よく、やった。仏様も貴女の役目をきちんと見てる。このままだと、貴女は消えちゃう。あの光の道を歩いていって。』
 キョロキョロ、見渡すおばあさんは、良いのかと悩んでる様子。
『大丈夫。ほら、あの人、貴女の大事な人じゃない?』
 恐らく、おばあさんの親だろうか?何となく、そんな感じがする。
 手招きしている。おばあさんは、ハッとし、そちらに駆け寄ると、姿が、少女に戻った。
 おさげ姿で、可愛い真っ赤の梅の花の着物。
 両親に抱きしめられ、道を歩いていく。
「遠い子孫の為に、自分を犠牲にしなくて良いんだよ。それに、もう引き返せないよ。彼。」
 守護霊が居なくなった彼に、新たに、守護霊がついたとしても、もう、彼を守るために、力を貸すかと言われれば、無理だ。
「引き返せる道もあったのに…残念。」
 当たり棒を交換しに、店に入った。


「あれ?カツアゲしてきた人は?」
「龍牙がちょっと暴れそうだから、宥めるのに必死で、気づいたら、どっか、行った。当たり棒、変えられた?」
「うん。はい。」
 アイスの当たり棒で交換したアイスを渡す。
「帰ろう。」
「うん。」
 人生転げ落ちたように思う。あの人。
 でも、無関係な人だから。助けようがないし。諦めてね。



 一般的に見えてる風景と異なることはわかっていた。
 両親は、霊感のれの字もないほど、霊感が無いのだ。凄く羨ましい。
 ただ、器はでかく、子供の見たことや感じたことを、嘘だとか、力を利用しようとかしない、普通の感覚でいてくれるのが、救い。
 だから、視界を遮られていて、見えなかった花火の形やあそこは行ってはいけないと言った忠告を真面目に聞いてくれる。そして、彼らは、花火の形はこうであるとか、わかった。行かないようにするとか、一般人が見えている事を教えてくれる。
 両親に災いが降りかからないように、兄弟は気をつけている。特にソラは、両親に、加護と言われる位の力を注ぎ、災いを消している。
 ソラは、上の兄たちとちょっと異なり、使役しているのは、小さきものと呼ばれるちょっとした妖怪たちに、頼み事を頼み、駄賃に、褒美を与えている。ギブアンドテイク。
 小さきものは、優秀であり、煤のような真っ黒な形をした妖怪だったり、小鳥に擬態した何かだったり…様々。

「あれは、ストーカー?」
「よく見ろ。顔面に血だらけの女だ。地縛霊だ。厄介だ。遠回りしよう。」
「…気づかれた!」
「ダッシュ!!」
 ギャー。やめて。交通事故で亡くなられたのは、可哀相だが、ついてくるんじゃない!!無念を晴らすために、動くのは、わかるけれど、こちらの都合は無視をしないで。
 いきなり、電柱から落ちてこないで!!
 その後、丁重に、天に行って頂いた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

世にも異様な物語

板倉恭司
大衆娯楽
 娯楽性に極振りした短編集です。コメディからホラーまで、内容はいろいろです。グロい内容のものもありますので、注意してください。

幼馴染が俺以外の奴と同棲を始めていた.txt

只野誠
青春
 影の薄い正真正銘の陰キャ、冬至唯中(とうじただなか)は幼馴染の春野千春(はるのちはる)に小学生のことからずっと恋をしている。  千春と同じ大学を目指すが冬至だけが大学に落ち浪人する。  翌年、千春と同じ大学に受かるが、千春は同じ大学の人物と既に同棲をしていた。  これはラブコメです。  ラブなコメディですか? 自信はありません。  NTRの要素と言うよりはBSSの要素かな? まあ、あるかもしれませんが、これはラブコメです。  三話まで読めば…… 一部の方は、まあ、うん…… と、なるかもしれませんし、ならないかもしれません。  そんなお話です。  後、大学生のお話で性的なお話が多々でます。まあ、テーマの一つなので。   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  苦手な人は注意が必要です!  ただ、そう言うのことの目的には使えないと思います。  直接的な行為の描写などはありま…… ありません。たぶん。  雰囲気だけにとどめておいていると思います。  ついでにタイトルなどについている.txtはファイル名をタイトルにしてて、それをコピーしたときついてきたので、そのままいろんなところにも採用しただけです。  深い意味はありません。  度々、四回に一回くらいの割合で、全く関係のないような話も入りますが、一服の清涼剤と思って受け入れてください。  最終話までちゃんと書いてからの予約投稿となっています。  誤字脱字チェックで多少予約投稿の時期に誤差はあると思いますが。  とりあえず途中で終わるようなことはないです。  お話の内容はともかく、その点は安心してお読みください。  初回2024/2/3から一日一話ずつ公開します。  最終話まで予約投稿で済みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

鷹鷲高校執事科

三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。 東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。 物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。 各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。 表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)

私の隣は、心が見えない男の子

舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。 隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。 二人はこの春から、同じクラスの高校生。 一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。 きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。

NBAを目指す日本人

らんしゅすてるべんしょん
青春
日本では、身長と身体能力による先天的な不利によりNBAの活躍は基本無理であろうと言われた世界へ、175センチしかないNBAでは圧倒的な低身長で活躍していく少年の物語りである。 《実在する人物の登場あり、架空の人物も存在する、性格などは本人とは少し違う可能性もあるため、イメージを崩されたくないかたはブラウザバックでお願いします》 ※超不定期更新です。

先輩に振られた。でも、いとこと幼馴染が結婚したいという想いを伝えてくる。俺を振った先輩は、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。

のんびりとゆっくり
青春
俺、海春夢海(うみはるゆめうみ)。俺は高校一年生の時、先輩に振られた。高校二年生の始業式の日、俺は、いとこの春島紗緒里(はるしまさおり)ちゃんと再会を果たす。彼女は、幼い頃もかわいかったが、より一層かわいくなっていた。彼女は、俺に恋している。そして、婚約して結婚したい、と言ってきている。戸惑いながらも、彼女の熱い想いに、次第に彼女に傾いていく俺の心。そして、かわいい子で幼馴染の夏森寿々子(なつもりすずこ)ちゃんも、俺と婚約して結婚してほしい、という気持ちを伝えてきた。先輩は、その後、付き合ってほしいと言ってきたが、間に合わない。俺のデレデレ、甘々でラブラブな青春が、今始まろうとしている。この作品は、「小説家になろう」様「カクヨム」様にも投稿しています。「小説家になろう」様「カクヨム」様への投稿は、「先輩に振られた俺。でも、その後、いとこと幼馴染が婚約して結婚したい、という想いを一生懸命伝えてくる。俺を振った先輩が付き合ってほしいと言ってきても、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。」という題名でしています。

短編集「空色のマフラー」

ふるは ゆう
青春
親友の手編みのマフラーは、彼に渡せないことを私は知っていた「空色のマフラー」他、ショートストーリー集です。

処理中です...