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虫の知らせ(6)
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大きな音と共に降り立ったその物体は、海に浮かぶ大きな船のような形をしており、帆ではなく、球体のような風船が浮かぶ。
アーチ状の模様と、艶々とした真っ白な船から、曲が流れてくる。
ハーブの音色が響く。
いきなり現れたその物体に、ロッシュヴォークのペット、ドラゴンモドキ達が、吼える。
「お止め。」
サラトガがドラゴンモドキたちを宥める。
御者は、ドラゴンモドキ達を宥めつつ、警戒心は解かないまま、主人の命を待つ。
「宇宙人だあ。」
「やめなさい。不敬で捕まるわよ。」
「ねえねえ、不敬ってなーに?」
双子にガッチリ、捕まってるリーサとアルミンは、羽交い締めにされながらも、目は、その船を見ている。
「生で見たのは、初めてだわ。噂で聞いていたけれど、あれは、妖精界の妖精たちが、こちらにやってくる時に、使用する船よ。何で造られたかすら、理解できない物だと聞いてるわ。彼らの技術は、こちらで再現出来ないと聞いたことがあるわ。」
「ねえ、何故、来たのかしら?」
「わからないわ。」
女性陣が不安がる中、ダグラスは、それに近寄る。
ダグラスが近寄るのを尻目に、船から、穴が開いていく。
シュバッと出てきた何か。覆面をつけていた恐らく、護衛か何かだろう。
船を降り立ち、危険がないかを確認。合図を送る。
「あ!」
リーサたちは大きな声を出す。
コハクが出てきた。その背後から、フランとノアに、あとは誰だろう。
小さな男の子を抱えた青年が一人、出てきた。
「…妖精王、標的を見つけました。」
先に降り立っていた護衛が、そちらに向かい、頭を垂れ、話す。すると、ドンッと重圧を感じ、莫大な魔法の力を感じだ。
「なに?」
あまりの衝撃に、双子にしがみつく。双子もぎゅうとしがみつき、あり得ない力に震え上がる。
「…あらまあ。」
ツェリは、目を細くする。何となく、あの女が、断末魔のような叫びをあげてる気もするけれど、同情はしない。
「地震じゃない?」
「グラグラした!」
怖い怖いと二人は叫ぶ。双子が宥める。
「ねえ、ギル、私が出る前に、妖精王にしてやられたわ?」
「落ちついてほしい。あの女の前に出ようとしないでくれ。兄さんもマルクスも黙ってない。」
「瀕死状態のあの女に然程、興味がないわ。でもあの女、コルルに向かって、やったでしょう?気分を害されたわ。」
「動かないでくれ。」
すると、コハクが無邪気にこちらに向かって手を振っている。
「おーい。」
「コハクだあ。」
地震でびっくりしていた二人は、おーいと手を振る。
「なにそれ?宇宙船?」
「宇宙船じゃないよ!お船だよ!あれ?何で、リーサたちいるの?」
「だってここ、おじいちゃん家だもん。」
コハクは甲板らしき所から、声を掛けてくる。
「ふーん?あ!あっ!噂のドラゴンさん?」
「うちのドラゴンモドキだよ!すごいでしょ!かっこいいでしょう!」
コハクがドラゴンモドキに気づいた。興味津々なコハクに、アルミンは、喜色満面になり、熱弁。
「アルミン、やめなさい。」
コルルが慌てて止める。
「…ねえねえ、どなた様?」
コハクの背後にいる青年と青年に抱えられている少年に気づいたリーサが聞く。
「リーサ!!アルミン!!聞いてぇ。僕たち、妖精界に行ったよ!お友達になったの!エリアスとエリアスのお兄様のギティアラさんだよ!!」
「妖精?…はっ!悪戯ピンキー!?」
「君たちは、悪戯ピンキーに夢を見てるのか?」
ギティアラは、不思議そうに呟く。
「わー!人間がいっぱい!!」
兄に抱えられながら、興奮するエリアスは、背後で行われている様に気づかない。
アーチ状の模様と、艶々とした真っ白な船から、曲が流れてくる。
ハーブの音色が響く。
いきなり現れたその物体に、ロッシュヴォークのペット、ドラゴンモドキ達が、吼える。
「お止め。」
サラトガがドラゴンモドキたちを宥める。
御者は、ドラゴンモドキ達を宥めつつ、警戒心は解かないまま、主人の命を待つ。
「宇宙人だあ。」
「やめなさい。不敬で捕まるわよ。」
「ねえねえ、不敬ってなーに?」
双子にガッチリ、捕まってるリーサとアルミンは、羽交い締めにされながらも、目は、その船を見ている。
「生で見たのは、初めてだわ。噂で聞いていたけれど、あれは、妖精界の妖精たちが、こちらにやってくる時に、使用する船よ。何で造られたかすら、理解できない物だと聞いてるわ。彼らの技術は、こちらで再現出来ないと聞いたことがあるわ。」
「ねえ、何故、来たのかしら?」
「わからないわ。」
女性陣が不安がる中、ダグラスは、それに近寄る。
ダグラスが近寄るのを尻目に、船から、穴が開いていく。
シュバッと出てきた何か。覆面をつけていた恐らく、護衛か何かだろう。
船を降り立ち、危険がないかを確認。合図を送る。
「あ!」
リーサたちは大きな声を出す。
コハクが出てきた。その背後から、フランとノアに、あとは誰だろう。
小さな男の子を抱えた青年が一人、出てきた。
「…妖精王、標的を見つけました。」
先に降り立っていた護衛が、そちらに向かい、頭を垂れ、話す。すると、ドンッと重圧を感じ、莫大な魔法の力を感じだ。
「なに?」
あまりの衝撃に、双子にしがみつく。双子もぎゅうとしがみつき、あり得ない力に震え上がる。
「…あらまあ。」
ツェリは、目を細くする。何となく、あの女が、断末魔のような叫びをあげてる気もするけれど、同情はしない。
「地震じゃない?」
「グラグラした!」
怖い怖いと二人は叫ぶ。双子が宥める。
「ねえ、ギル、私が出る前に、妖精王にしてやられたわ?」
「落ちついてほしい。あの女の前に出ようとしないでくれ。兄さんもマルクスも黙ってない。」
「瀕死状態のあの女に然程、興味がないわ。でもあの女、コルルに向かって、やったでしょう?気分を害されたわ。」
「動かないでくれ。」
すると、コハクが無邪気にこちらに向かって手を振っている。
「おーい。」
「コハクだあ。」
地震でびっくりしていた二人は、おーいと手を振る。
「なにそれ?宇宙船?」
「宇宙船じゃないよ!お船だよ!あれ?何で、リーサたちいるの?」
「だってここ、おじいちゃん家だもん。」
コハクは甲板らしき所から、声を掛けてくる。
「ふーん?あ!あっ!噂のドラゴンさん?」
「うちのドラゴンモドキだよ!すごいでしょ!かっこいいでしょう!」
コハクがドラゴンモドキに気づいた。興味津々なコハクに、アルミンは、喜色満面になり、熱弁。
「アルミン、やめなさい。」
コルルが慌てて止める。
「…ねえねえ、どなた様?」
コハクの背後にいる青年と青年に抱えられている少年に気づいたリーサが聞く。
「リーサ!!アルミン!!聞いてぇ。僕たち、妖精界に行ったよ!お友達になったの!エリアスとエリアスのお兄様のギティアラさんだよ!!」
「妖精?…はっ!悪戯ピンキー!?」
「君たちは、悪戯ピンキーに夢を見てるのか?」
ギティアラは、不思議そうに呟く。
「わー!人間がいっぱい!!」
兄に抱えられながら、興奮するエリアスは、背後で行われている様に気づかない。
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