小さなベイビー、大きな野望

祖母の自慢のガーデンパーティー

祖母主催のガーデンパーティー。
庭師が、きちんと管理された庭には、綺麗な花が咲き誇り、メイドたちが、気合いを入れて、支度にかかる。
「今日の茶葉は、茶葉の名産地のカロリーナの茶葉 なの。甘味の強い茶葉だけれど、美味しいのよ。」
祖母が語る横で、積もって並べられている一口サイズのシュークリームの山に釘つけ。
他には、色鮮やかな色をしたマカロンやクッキー等、つまめるものから、レモンのシフォンケーキが柔らかそう。
既に、シュークリームに目をつけてるが、待ったがかかってるため、目線だけが、向く。
「あれ。珍しい。リリーエ先生。フラープが舞っているよ。」
サラトガが、指を指す。
フラープとは、珍しい蝶々で、透き通った綺麗な黄色の羽をしており、模様が、美しい水色の線がついてる蝶々。
中々、お目にかからない蝶々なので、見たものに、幸せが訪れると言われてる。
「あらまあ！｣
リリーエは口を綻ばせる。
「リリーエが頑張ったからね。」
喜ぶ祖母に良かったと頷き、キョロキョロ、探す。
「リーサ？」
「…。」
蝶々がいたなら、悪戯ピンキーが出ても良いのに。
娘が何を考えてるかなんて、わかってるツェリはため息をつく。
「リーサ、悪戯ピンキーのことは、諦めなさい。」
「でも、かわいいんだもん。」
「リーサは、悪戯ピンキーに興味を持ってるの？」
「家で飼いたいと言うのよ！私は認めないし、嫌だわ！悪戯ピンキーなんて、見た目以外、いいとこなんてないんだから！｣
目がくりくりでかわいいのだ。
リーサは、ふくれ面。
「悪戯ピンキーなど、悪戯ばかりする妖精ではありませんか。私も大事なお茶会を滅茶苦茶にされて…腹立たしい！｣
リリーエはギリギリと、愛用の扇子を握りしめる。
「リリーエ。お茶の挨拶を頼むよ。」
「まあ。私ったら…。そうね。」
リリーエはごほんと咳払いをし、パーティーの開始の挨拶をする。


「おかしなお茶会でも出されているお菓子ですわ。シンプルだけれど、豪華に見えるのよね。」
一口大のシュークリームの山に盛り上げるだけであるが、インパクトがある。
タプンタプンのクリームが中身に詰まってるため、ぽってり。
これは好みが分かれてしまうが、上から、練乳をかけるスタイルもある。
「童話の世界のお菓子だけれど、どれも美味しそうで、振る舞うには、良いのですよね。」
何層にも層を作ってるサクサクのパイ生地に少しの塩味と甘いチョコレートが、ぎっしり詰まったパイ。
砂糖菓子の代表作、星屑の欠片と呼ばれている砂糖の固まりで、甘い飴玉。
掬うと、プルンとしたカラメルソースたっぷりの巨大プリンなど。
お菓子の世界を描いた代表作でもあるおかしなお茶会を模したティーパーティー等は、定番。
「甘さに飽きたら、これもあるから、召し上がって。」
角切りされた固形チーズ。それにしょっぱい味付けがする東の方のお菓子。
クルミ割り人形のように、ボリボリ、食べるリーサにもう少し、お上品に食べなさいと注意を飛ばす。
「美味しい！｣
堅いせんべいもリーサの歯の前では、敵ではない。
「あまり食べ過ぎて、夕飯食べれなくなるわよ。」
「大丈夫。」
「所作の一つ一つ、練習がてら、取り組みなさい。いざ、身内だけでない、パーティーに呼ばれて、恥を欠く前に。」
「パーティーは嫌いじゃないよ！｣
リリーエの説得にも、リーサはキリッと答える。パーティーに招待されても、年がら年中、甘えてるリーサに、そこまで、求めていない。
子供らしい行動に、しょうがないと思われている。
「ベイビーをお呼びしてくれる方々は、身内みたいなものだから…。」
「難しいようなら、真似てもいいのですよ？あなたの回りには、お手本がたくさん、いるでしょう？フィルをはじめ、ツェリやマリー、あなたの親友であるオフィーリアちゃんも。」
「知ってる！｣
鼻を高くするリーサに、あなたを誉めてるわけではないのよとツェリは、言う。
「挨拶の練習は八割は、出来るようになったのだけれど…。」
フィルが弁明をする。
リーサは、シュークリームとせんべいを交互に頬張る。
「まず、あなたは、コモゾリスのように頬張る癖を直さねば！｣
むぎゅとリーサは、頬を捕まれた。