小さなベイビー、大きな野望

春子

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思い出話に花を咲かせる

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リリーエとデニエルの朝は早く、毎朝、起きたら、二人は軽く、身支度を整え、二人で散歩に出掛けるのが日課。
子育てを終えてから、やるようになった習慣で、散歩とはいえ、邸宅の庭の回りをぐるりと、ゆっくり、散策するだけ。
他愛もない話をしながら、穏やかな朝である。
しかしながら、今回は、リーサがいる。
リーサもまた母に似ず、朝は、起きれるタイプ。
あまりにも、明後日を向く髪を直し、身支度を整えてから、二人と手を繋いでお散歩に参戦。
「リーサがいるだけで、賑やかだね。」
「リーサ、お止めなさい。跳び跳ねたら、転びますわ!」
「知ってるう。」
テンション高めの孫娘に、呆れつつも、見守る。


シェフが手によりをかけて作った朝食。
家で出されない容器に入ったゆで卵がとても気になり、なんだこれ?と見る。
「ベアから貰ったのですよ。変わっているでしょう?でもシンプルだけれど、美味しいのよ。濃厚で。器も幾つか、貰い受けたのです。」
ベアとは、リリーエの妹で、カイゾル三兄弟の末姫。ベアトリーチェ。
ゆで卵型をした器には、綺麗に施された銀細工が彫られている。
「何の卵?」
「オゾール地方で生息してるエンケイと言う鳥が産む卵ですわ。あの子は、今、あちこち、旅行に足を運んでいますからね。」
「スプーンで掬うの?このまま、齧るの?」
「スプーンで掬うのよ。ゆで卵だけど、これは、プリンのように柔らかいの。」
言われた通りに掬うと、想像以上に柔らかい。
「あの子ったら、私を出不精だと言うのですよ!」
「ベアは昔から、お転婆だったから、あちこち、動き回りたくなるんだよ。リリーエは、どちらかと言えば、おしとやかで、読書や刺繍をするのが、好きだろう?」
「出不精ってなーに?」
「外に出たがらない人のことよ。美味しいわ。これ、流石、ベアおば様。」
「…考えてみれば、少し、あの子は、ツェリやリーサに似てますわ。」
「まあ…ちょっとお転婆さんなところがね。」
「まま、なんか言われてるよ!」
「あら。何も聞こえないわ。ねえ。フィル、これ、気に入ったわ。手に入ったら、朝御飯の定番にしましょう?」
「そうね。美味しいわ。」
「リーサ、口、開けろ。」
スペンサーがリーサに嫌いなものを口に放り込む。
賑やかな朝食。


ハルベルの始まりは、商いをして、培った情報網の強さを武器に、始まりとされた一家。
初代ベルクール・ハルベルから始まったとされ、彼の使い魔が鷲であったことから、家紋にも、鷲があしらわれることとなった。
写真が無かった時代のために、絵で残されている肖像画では、穏やかな紳士な姿で金髪に碧眼。肩に相棒の鷲が優雅に佇んでいる。
「スペンサーも大人になったらああなる?」
「ハハハハ。ないわ!」
「スペンサーがあんな風になるわけないじゃんか。」
「そうだって、無理無理。」
探検と言う名のリリーエからの講座を逃げている面々。
下四人は、強かである。現在、優秀な兄たちがリリーエの相手をしている。
講座が始まるとわかった四人は、雲隠れ中。
ちなみに兄たちは、またあいつらはとため息を溢している。
「いけませんわ。ぼっちゃま方。」
ビクッ。
ギギッと振り向くと、満面な笑みを浮かべたココが立っていた。
「籠城もわかりますよ。リリーエ様がお呼びでございます。」
「いやあ。」
宝物庫に隠れていた四人は、ココの手腕により、引き摺られていく。





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